TRAILS REPORT

HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2018 #01 軽さは正義?ハンモックの最新スペック調査

2018.06.15
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文・構成:TRAILS 写真:Keita Yasukawa

ハイカーのための日本最大級のハンモックイベント『HAMMOCKS for Hiker』。3回目を迎えた今年も、盛況のうちに終了しました。

今回の記事では、イベントを通じて明確になった『ハンモックの現在(いま)』を詳しく、正しく、みなさんにお届けします。

まずは『TRAILS research』から。TRAILSでは、過去にもOMMレースやロングトレイルに関するリサーチを実施して公開してきました。今回の対象はもちろんハンモック。いったいどんな結果になったのでしょうか。まずはご覧ください。



TRAILS research「軽さは正義?ハンモックの最新スペック調査」



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ここ数年、続々と新商品がリリースされているハンモック。急激な増加によって、製品選びの難しさを感じている読者の方も多いだろう。

現在のトレンドは、『軽量化』と、もうひとつはゆったりした『幅広』タイプの充実だ。ひたすら軽量化を進めるだけでなく、快適性も求める揺り戻しのような動きが起きているのだ。TRAILSは、『軽量性』と『快適性』の軸で整理すれば、ユーザーが自分に合ったハンモックを見つけることができるはずだと考えた。

そこで、現在流通しているハンモックのなかから代表的なものを14個ピックアップして、その製品データをすべてあらいなおした。

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『快適性』を表す軸として、「Width 横幅」を採用して整理した。快適性には、幅の広さ以外にも、素材や構造など複数の要素があるが、今回はシンプルに整理できる指標を採用した。

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※原則として、メーカーの公表値を使用してスペックを比較。『Ultralight』『Light Weight』は、本体のみの重量を表記。KAMMOKのWallabyのみ、カラビナ込みの公表値しか存在しないため実測値を使用。『Standard』に属するものは専用の付属品も多く、付属品込みの公表値を使用。

『ウルトラライト(UL)ハンモック』: 今後変わる可能性はあるが、現段階では200g以下であることが境界線となりそうだ。幅は120cm前後のミニマムなものが、ここに区分される。

『ライトウェイト(LW)・ハンモック』: 今年のトレンドの新しい軽量な幅広ハンモックは、ここのカテゴリーに入る。300g以下に抑えつつも、幅150cm以上で寝心地の自由度を高めたものが多い。

『スタンダード・ハンモック』: パッカブルハンモックのクラシックスタイルで、ライトなものよりもしっかりした生地(70デニールの厚み)で、寝心地に優れているのが特徴。ENOの定番Double Nest Hammockなどがこのカテゴリーの代表モデルだ。

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アウトドアギアの進化の歴史は、軽量化の歴史としても置き換えられる。ハンモックも例にもれず、素材の追求や構造の進化により、ここ数年でかなりの軽量化が実現してきた。本体重量が200gを下回るULハンモックももう珍しくはなくなった。

そしてバックパックやテントなど、多くのULギアの進化がそうであったように、いったん極端な軽量化が進んで、ある程度の限界までいきつくと、そこから軽さをキープしつつプラスαとして快適性を付加するようになる。それが落ち着くと、また軽量化への揺り戻しが起こる。軽量化と快適性のあいだの振り子運動のなかで、アウトドアギアは進化を続けてきた。

ULバックパックにたとえるなら、ゴーライトのJAMやゴッサマーギアのゴリラ(2代目)が誕生した時のシーンと似たものを感じる。ハンモックも、今の快適性を求める動きが進んだのち、また新たな軽量化のアイディアを取り入れたギアが登場してくるのかもしれない。

ハンモック本体だけでなく、ツリーストラップも60-200g程度の幅でいろいろなタイプがある。同じようにタープは300-500g程度の幅がある。ハンモックシステム全体での軽量性と快適性を考えながら、自分なりのベストなシステムをつくってみよう。



2018年のキーワードは『幅広』。5つの注目ハンモックをピックアップ!



■ ENO / Super Sub(イーノ / スーパーサブ)
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【重量】270g(ハンモック本体) / 【幅】188cm / 【価格】11,500円 + 税

同ブランドの最軽量モデルSub6と同じ軽量素材を採用しつつ、幅を188cmと超ワイドにしたもの(Sub6の幅は119cm)。窮屈感や締めつけ感がいっさいなく、ふわっと包み込まれる感覚がたまらない。

■ SEA TO SUMMIT / Ultralight Hammock Single XL(シートゥサミット / ウルトラライトハンモック・シングル XL)
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【重量】205g(ハンモック本体 ※一体型ストレージバッグ含む) / 【幅】150cm / 【価格】10,000円 + 税

同ブランドの「ウルトラライトハンモック」のXLサイズ版。素材は変えていないためシートゥサミットならではの透け感はそのままに、寝心地がアップ。重量も205gとかなり抑えているのもポイント。

■ KAMMOK / Wallaby(カモック / ワラビー)
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【重量】259g(ハンモック本体 ※カラビナを外した実測値) / 【幅】127cm / 【価格】9,200円 + 税

幅127cmとワイドモデルではないが、このワラビーの特徴は生地感。軽量ハンモックのほとんどが20〜30D(デニール・繊維の太さの単位)であるのに対して、ワラビーは40D。寝てみるとわかるが、生地の厚さのおかげで想像以上の安心感がある。

■ THERM-A-REST / Slacker Hammock Single(サーマレスト / スラッカー ハンモック・シングル)
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【重量】570g(ハンモック本体) / 【幅】160cm / 【価格】8,900円 + 税 ※ハンモックの下側を覆っているのは、防寒アイテムである同社の『スラッカー スーパースナグラー』。

スリーピングマットメーカーとして名高いサーマレストならではのハンモック。幅は160cm、さらに肌触りに優れたポリエステル素材を用いることで、快適性が抜群。軽量ではないものの、さすがは寝心地を追求し続けてきたブランド。カラーバリエーションが豊富(7タイプ)なのも嬉しい。

■ HENNESSY HAMMOCK / Leaf Hammmock(ヘネシーハンモック / リーフハンモック)
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【重量】533g / 【幅】147cm / 【価格】10,000円 + 税

オールインワンが特徴のヘネシーハンモックが、既成概念をぶち破ってリリースしたシンプルなハンモック。タープや蚊帳はないものの、同ブランド独自の非対称の構造は健在。寝ると自然と最適なポジションにおさまる独自の構造は、世界中で特許を取得しており、この寝心地は他では味わえない。



リニューアル & アップデートによる『軽量化』と『使い勝手』の追求。



ここ数年で、ハンモック本体の軽量化の動きは落ち着いた。一方で、ツリーストラップをはじめとした付属品のアップデートが進んでいる。ひとつは軽量化。もうひとつは操作性だ。

テントであれば初めての人でも設営イメージがわくが、ハンモックとなると想像できない人は多いのではないだろうか。しかし、仕様変更による操作性の向上によってかなり改善が図られている。

設営のしやすさ、使い勝手の向上。それが現在および今後の傾向のひとつと言えそうだ。

■ BIG AGNESS / Headwall UL(ビッグアグネス / ヘッドウォールUL)
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【重量】170g(ハンモック本体) / 【価格】11,000円 + 税

ビッグアグネスといえば、自立式ダブルウォールテント『Fly Creek UL』が有名。ウルトラライト・テントの代表格であり、ロングトレイルのスルーハイカーからも信頼されている。その同ブランドの新商品、ウルトラライト・ハンモックがこれだ。軽さと快適性の両立が最大の特長。またカラビナ接続式ゆえ、他社製品と組み合わせることも可能だ。

■ SEA TO SUMMIT / Ultralight Suspension Straps(シートゥサミット / ウルトラライト・サスペンションストラップ)
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(写真右)【重量】77g / 【価格】3,500円 + 税

シートゥサミットのハンモック専用ツリーストラップ。強度を維持しつつ幅を細くすることで、従来のものよりも約90g軽量化。本体と接続するバックルには、わかりやすいイラストで方向が描かれているため、誰でも迷うことなく設営できる。

■ ENO / SUB6(イーノ / サブ・シックス)
HFH1_20
【重量】165g(ハンモック本体) / 【価格】9,500円 + 税

サブ6、つまり6オンス(170g)以下であることがそのまま冠されたハンモック。軽いだけではなくしなやかな伸縮性のある生地は、抜群の寝心地。SUB6はSUB7のアップデート版で、いちばんの変更点は接続部分。カラビナからトグル(ダッフルコートなどに用いられる留め具)に変更することで、約20gの軽量化を実現させるとともに、操作性も向上。

■ EXPED / Travel Hammock Lite Plus(エクスペド / トラベルハンモック・ライト・プラス)
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【重量】250g / 【価格】13,500円 + 税

『Travel Hammock Lite』にツリーストラップがセットになったモデル。アップデートしたことにより、従来のものよりもストラップの軽量化が図られている。また、ハンモック本体とツリーストラップを切り離す必要がない仕様になっているため、設営、撤収、収納もストレスなくスピーディー。



雨の日も安心。ハンモックにベストマッチの各種タープ。



雨天時や宿泊の際に欠かせないのが、屋根となるタープの存在。ハンモック専用のものからタープ単体でも使えるもの、さらには一体型まで、その種類はさまざま。まだまだ進化の途上にいるジャンルゆえ、今後も新たなハンモック向きタープが誕生する可能性大!

■ PAAGO WORKS / Ninja Tarp(パーゴワークス / ニンジャタープ)
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【重量】約540g【価格】20,000円 + 税

豊富な設営バリエーションを有するタープで、その数はなんと30以上。実はこのタープ、ハンモックとの相性も抜群だ。タープ同士を連結すること前提で作られているため、複数ジョイントすればハンモックに寝転びながら宴会を楽しむこともできる。

■ HUMMINGBIRD HAMMOCKS / Pelican Rain Tarp(ハミングバードハンモック / ペリカンレインタープ)
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【重量】363g / 【価格】29,000円 + 税

形状がユニークで、両サイドにドアフラップが設けてある。これを閉じれば、横なぐりの雨や風もしのぐことができる。ハンモックの弱点のひとつは寒さを感じることだが、このタープは密閉性が高いため防寒対策にもなる。また、タープ単体のみの使用も可能で、345 x 300 cmという複数人で使用できる大きさながら、たった363gしかないことも特筆すべき点だ。

■ SEA TO SUMMIT / Hammmock Tarp(シートゥサミット / ハンモックタープ)
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【重量】330g / 【価格】15,000円 + 税

ハンモックハイカーの過ごし方をよく考えられた、アシンメトリーなデザインのハンモック専用タープ。開放感と耐候性のバランスが秀逸。頂点が1つの側は開放感があり、調理や焚き火にピッタリ。反対側は、2点を地面にペグダウンすることで、風雨の吹き込みを防いでくれる。

■ HENNESSY HAMMOCK / Hyperlite A-sym Zip(ヘネシーハンモック / ハイパーライト アシンメトリー ジップ)
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【重量】793g (ハンモック本体487g)/ 【価格】40,000円 + 税

「シェルターとしてのハンモック」というジャンルを生み出したヘネシーハンモックの最軽量モデル。タープ単体では使用できないが、すべてのパーツが最適化されているため、快適性と使い勝手は突出している。オールインワンの世界観と完成度の高さにびびっときた人はコレ。

【次回の#02では、寒さをしのぐためのハンモックギアや、さまざまなTIPS、ウッドストーブなどを紹介するのでお楽しみに!】

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

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