TRAILS REPORT

HIMALAYA MOUNTAIN LIFE | GEAR Reviews #1 – GHT(2014-2015)で使用したギア

2018.10.05
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文・写真:根津貴央 構成:TRAILS

先日掲載したフード・レビューにつづいて、今回からギア・レビュー(全2回)がスタート!

ヒマラヤで一体どんなギアを使用しているのか? 興味津々な人も多いと思う。さきに結論から言っておくと、GHT(グレート・ヒマラヤ・トレイル)において、そこまで特殊なギアは使っていない。

なんだよ、つまんねーの!と思うかもしれないが、ヒマラヤとはいっても僕が歩いているのは山脈の中腹であり、どこにも登頂しない。標高7,000〜8,000mの高所登山をしているわけではないのだ。

GHT Projectのコンセプトは、『ヒマラヤは、世界最大の里山だ』。そんなGHTで使っているギアをいくつかレビューしたい。2014年から年1回ずつ、計4回歩きに行っているわけだけど、今回は前編として2014年と2015年のギアを取り上げる。

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2014年、GHT Projectの1年目。GHT東端の起点があるカンチェンジュンガにて。



ギア(個人装備)一覧



まずは、個人装備の一覧から。一部、捨ててしまったり、ニューモデルに買い替えてしまったアイテムもあるが、ほぼこれである。

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GHTは現地ガイドでも知らないエリアが多く、万が一を想定した装備が必要。ここに水や食料も加えると合計20Kgほどになる。

パッと見、日本の雪山登山の装備と変わらないと思う。なんて言うと、やっぱりヒマラヤは雪がスゴイのか!と思われそうだが、決してそんなことはなく、どちらかというと万が一に備えて携行した感じである。実際、2014・2015年においてはアイゼンもピッケルも使用することはなかった。

ただ、標高が1,000〜5,000m超までと高低差が大きく、それに加えて朝晩と日中の気温の差(寒暖差)もかなりある。そのため、半袖短パンで平気な時もあれば、ダウンジャケット&ダウンパンツの完全防備が必要な時もある。アイゼン、ピッケル、アルパインブーツ、カラビナ、スリング、ハーネス、ロングゲイターなども携行した。ここら辺のギアが、日本やアメリカにおけるロングディスタンスハイキングとの大きな違いかもしれない。



バックパックは、背負子と発泡スチロールボックスを組み合わせた独自仕様。



僕がGHTで使用したバックパックを紹介しよう。
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2014年バージョン。大型の発泡スチロールボックスは軽量で耐衝撃性も高く防水性もある。有用である一方、行商に間違われることもしばしば。

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2015年バージョン。発泡スチロールボックスを1個から2個に分割。荷物を分別することで、使い勝手が向上した。

背負子(エバニュー / オレンジボーン)と発泡スチロールボックスの組み合わせ。なぜこれにしたのか? と聞かれると、そこまで必然性があるわけではないのだが……。

いちばんの理由としては、日本人の仲間とヒマラヤを旅するにあたり、メイド・イン・ジャパンの日本らしいものを使いたかったから。ネパールでは、ドッコと呼ばれるネパールの背負子がポピュラーなのだが、であれば日本の背負子で行ってみようじゃないか!という思いもちょっとあった。

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これがドッコと呼ばれるネパールの背負子。通常のバックパックにあるような肩と腰のハーネスはなく、ロープを本体にぐるっと回して前頭部にかけて背負う。

正直、使い勝手に不安はあった。でも実際使ってみると想像以上に背負い心地が良かった(ハーネス類のクッション性が高い)。水と食料も含めて20Kgほどの荷物を担いでいたのだが、思ったほど重さを感じない。さすがは耐荷重60Kg。しかも手荒に扱っても壊れる心配がない。難点としては、かさばる!ということくらい。



テントは、軽量 & 大型のものを3人で共用。



つづいてテント! 2014年と2015年は、プロジェクトメンバーの一体感を高めることと、軽量化を図るために、ソロテントではなく共同テントを携行した。

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日本人メンバー3人が使用したのは、ローカスギアのワンポールシェルター『カフラ・シル / Khafra Sil』にメッシュシェルターを組み合わせたもの(左)。右のテントは、同行したネパール人たちが使用していたエスパース(ESPACE)のドームテント。



お気に入りのギア BEST3



■ 日傘
ゴーライトの、クロームドーム・トレッキング・アンブレラ(GoLite / Chrome Dome Trekking Umbrella)。
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雨傘にも日傘にもなるスグレモノ。227g(実測)と軽量ながら頑丈なのも特徴。

僕たちはGHTを毎年1回、1カ月前後歩いている。その行程において、寒いエリアだったり、足場の悪い箇所だったりと、気をつけるべきシチュエーションはさまざまなのだが、意外と油断できないのが強い陽射しなのだ。

雨季が終わった10〜11月をメインに旅しているため、ほとんど雨は降らない。しかも標高が低いエリアはとにかく暑い。

肌寒くなってきた日本を離れ、やっぱ暖かいっていいなーなんて最初は思うのだが、これが日々つづくと想像以上に体力が奪われたり、疲労が蓄積したりする。そこで役立つのがこの日傘、というわけだ。

■ シューズ
シューズは、毎年2足を携行!1足は、雪以外のセクションで使用するローカットシューズ。特に2014年は、アルトラのローンピーク・ポーラテック・ネオシェル(LONE PEAK / POLARTEC / NEOSHELL)が活躍してくれた。

防水性がありながら、透湿性が高くてムレにくい。GHTは埃っぽいエリアが多いため、アッパーがメッシュだとソックスが砂まみれになってしまうのだが、それを防ぐこともできた。

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アルトラのローンピーク・ポーラテック・ネオシェル。2015年は、行程の90%以上をこのシューズで歩き通した。

もう1足は、高標高の雪深いエリアで使用するアルパインブーツ。こちらは、ボリエールのカングリ(BOREAL / KANGRI)。優れた保温性がありながらも、歩きやすいのが特徴だ。

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ボリエールのカングリ。登場機会は少なかったが、安心感は非常に高く、今年(2018年)も使用する予定だ。

■ フライングディスク
ラストは、こんなの要らねーだろ! とツッコまれるのを覚悟で紹介するフライングディスク(メガネの友人が作ったmegane-styler)。

まあたしかに無くてもまったく困ることはないのだが、あると意外と重宝する。まず現地の人はフライングディスクなんて知らないから、これを通じて仲良くなれる。特に子どもは、これを投げると大はしゃぎ。ちょっとしたコミュニケーションツールになるのだ。

さらに、食事用の器にもなる。遊ぶために持っていったものの、同行しているネパール人が、しれっとごはんを盛っていたのには驚いた。

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megane-styler(メガネスタイラー)は、いつの間にかダルバート皿に。エッジがあるのですくいやすく食べやすい!

以上、GHT(2014-2015)の旅で使用したギアを、いくつか紹介させていただいた。参考になりました!なんて人はあまりいないと思うが、僕的にはギアを通じてGHTの旅の雰囲気が少しでも伝われば嬉しい。

ちなみに、次回の後編(2016-2017)は、バックパックを新調したり、ソロテントを採用したりと、もうちょっと特殊性がでるはずなので、そちらもぜひお楽しみに。

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。2018年4月、TRAILSに正式加入。著書に『ロングトレイルはじめました』(誠文堂新光社)がある。

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