TRAILS REPORT

北海道 BACKCOUNTRY TRIP / スノーハイキング & BCスキー

2016.04.01
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北海道・大雪山でのスノーハイキング&バックカントリースキーのMOVIEとレポートが、TRAIL MOVIE WORKの二人から届きました。北海道の贅沢なスノーフィールドでのハイキングの映像。この旅の二人のBUDDYは、旭川出身のbcn2氏。大雪山の雪は、ニセコを上回り世界屈指のシルキー・パウダーと言われており、そのベストシーズンの”THE DAY”を引き当てた、bcn2氏のBCスキーの映像も必見です。



[MOVIE]


■白き「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」を歩く

大雪山に遊びに行くとき、僕たちはいつもそれが当たり前のことのように、旭川で生活しているN君(bcn2氏)の家にころがりこむ。そして、当たり前のようにジンギスカンでもてなされる。今回はN君の家に行く前に、ツリーランもできるスキー場でひと滑りしていて、疲れがたまった体をあっという間にお酒が溶かして、早々に眠気がやってきた。

カムイミンタラ。アイヌ語で「神々の遊ぶ庭」と名付けられた大雪山。日本最大の高山帯。夏に登ったときには、その約2000m級の山々が連なる山頂付近から見渡す景色が、まるで水平線までずっとずぅっと山が広がっているような不思議な感覚を味わった。冬の大雪山は、今回が初めて。関東で生まれ育った僕たちには、北海道の広大な大地に広がる、白くやわらかい雪の輝きは、シンボリックな異世界の情景である。今回のトリップの最初のフィールドである、大雪山の黒岳に向かう車の中で、もうすぐその世界の中に身を置けることを待ち遠しく、車窓に映る雪景色を眺めていた。

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まっさらなノートレースの新雪の斜面を駆け下りる

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雪の原生林のなかを地形とGPSを確認しながら歩く


■吹雪の黒岳、原生林に抱かれた三段山

僕たちが目の前に見ていたのは、その「壁」だった。昨年の12月にこの大雪山・黒岳の北壁で、女性初の「ピオレ・ドール(黄金のピッケル)賞」受賞者である登山家の谷口けいさんが滑落して亡くなった。「用を足す」と言って、山頂付近まで到達した後、仲間とつないでいたロープを外してその場を離れ、そのまま姿を消してしまった。発見されたのは、そこから700mほど下にある斜面だったそうである。 僕たちの今回のトリップでは、この人生のあっけなさをどこかに抱えながら、目の前に広がるスノーフィールドを楽しんだ。

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黒岳の5合目付近。奥には層雲峡の景色

この日の黒岳は、僕が勝手に思い描いたハッピーな白銀世界とはちょっと違って、風が強く、細かな雪が常に顔や体に吹き付けてきた。おまけに僕たちが履いていたNorthern Litesのレース用のスノーシューは、この日の斜面を登るには少々頼りなく、N君が履いていた登坂機能に勝るMSRのライトニング・アッセントを羨ましく眺める。ただ、下りのノートレースの新雪の斜面を駆け下りるには、僕らの方にだいぶ分があったと思う。

樹林帯のなかで遅めのランチ。なかなか温まらない鍋のスープにやきもきしながらも、食事で体を温める

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今回使ったNorthern Litesのスノーシュー

次の日は、大雪山系の中で南側に位置する十勝山系の三段山に向かった。大雪山系の山々は、冬はバックカントリーの山と言えるほど、BCスキーヤーやボーダーがたくさん楽しんでいる。N君にとっては大雪山がホームマウンテン。彼は普段から大雪山系のいろんなところで、BCスキーで滑っている。バックカントリーの意味は広いが、「整備されていない自然のエリア」から「裏山」くらいの意味合いも含む。N君にとっては、「裏山」くらいのニュアンスが近いかもしれない。

そんな裏山をN君にこの日もBUDDYとしてナビゲートしてもらいながら、ふわふわの新雪の層の積もった三段山を歩いた。夏の登山道の痕跡はもちろん、冬用の赤テープもサインもほとんどないので、地形を見ながら、登りは歩きやすそうな斜面を、下りはできるだけトレースのついていない真っさらな斜面を選んで歩いた。北海道の原生林を中、木々の間に降り積もった雪の上を歩く経験は、夏のときにはほとんど想像できない、圧倒的な別世界だった。

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■「シルキースノー」と呼ばれる世界屈指の大雪山のパウダー

日本の中でも極上のパウダーを味わえる北海道。なかでも大雪山の雪は、シルキースノーと形容され、きめ細かく雪の重さも驚くほど軽い。そのためニセコを上回る世界屈指のパウダースノーとも称されている。MOVIEで記録されているのは、まさに大雪山の旭岳で、THE DAYを引き当てたN君(bcn2氏)の映像。映像を見せてもらっただけで、アドレナリンが全開になる、極上のパウダーだ。

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今回のBUDDYのN君。普段から大雪山の山々でBCスキーを楽しんでいる

N君が愛用しているのは、FIELD EARTHのT9という板で、BCスキーヤーが使うファットスキーの中でも太いスーパーファットスキーというカテゴリーの板。この板は独特の操作感があって、極太にもかかわらず小回りが利いてコントロールしやすい。3Dかつアンシメトリカルな形状になっており、このおかげでパウダーはもちろん圧雪面でもスキーヤーの意思をダイレクトに表現できる。またパウダーでの流動性に優れるので初速が速いなどの特徴がある。

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Movieにも出ている旭岳の”THE DAY”の記録

僕たちが今回歩いた大雪山の黒岳や三段山は、N君が普段はBCスキーで遊んでいるフィールドでもある。このエリアは、ローカルのBCスキーヤーやボーダーはもちろん、海外からもパウダー目当てにBC LOVERたちやってくる。僕たちも、歩いているときに海外からのBCスキーヤーと出会い、滑り終えて興奮した彼ら/彼女らと、わけもわからずハイタッチをされたりした。来シーズンには、僕たちも”THE DAY”を引き当てられるよう、少しずつ準備をしておこう。


WRITER
トレイルズ

トレイルズ

佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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