TRAILS REPORT

HAMMOCKS for Hiker – After Report #3 / ハンモック名鑑&周辺ギア

2016.06.29
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これまでのアフター・レポートで、ハンモックに興味を持っていただけただろうか?そんな方々の次のステップは、ハンモック選び。ハンモックと一口に言っても、その種類はさまざま。今回のイベントでも、多くの人がそのバリエーションの豊かさに驚いていたし、ブランドごとに異なる特徴に興味津々だった。そう、ハンモックは奥が深いのである。

「じゃあ、どれがいいの?」と言われても、正直、答えることは難しい。それぞれにそれぞれの良さがあり、絶対解は存在しないのだ。

今回のレポートでは、イベントに出展した5つのハンモックブランドに加えて、3つのウッドストーブ、1つのタープ、さらに周辺ギアを紹介する。それぞれを比較検討して、ぜひ自分にピッタリのものを選んで欲しい。判断基準は、他でもないあなたの中にあるのだから!



ハンモック



■eno / 空間を演出する豊富なカラバリ&アクセサリー
イーノ(Eagles Nest Outfitters)は、1999年に北米で誕生したハンモック専業メーカー。日本の代理店であるサンウエストの内山哲孝さんは、同ブランドの特徴をこう語る。

イーノ

enoのアイテムで作った特別な空間を楽しむ内山さん。

内山 「よくハンモックを使うことで『いつもの場所に特別な時間を』と言っているんですが、enoはそれを実現できるブランドです。カラーバリエーションが豊富ですし、タープやバグネットはもちろんフラッグやLEDイルミネーションライトなどのアクセサリーも充実。空間をガラッと変えることができるんです。たとえばドリップコーヒーを淹れる人がいるとその匂いにつられて人が集まって来るじゃないですか。それと同じで、そこにコミュニケーションが生まれるんです」

カラビナをかける場所がたくさんあり、張り具合を細かく調整できるストラップ。コッヘルなど、さまざまなギアをかけることもできる。

カラビナをかける場所がたくさんあり、張り具合を細かく調整できるストラップ。コッヘルなど、さまざまなギアをかけることもできる。

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内山さんがオススメするのは、同ブランドで小型&最軽量モデルの『サブ7』。

内山 「同ブランドのラインナップ中で185gともっとも軽いのが特長。少しでも荷物をミニマムにしたい人向けのコンパクト&ライトなモデルです。宿泊はもちろんですが、公園に持っていって使うにも便利です。私もよく子どもと一緒に公園に行くのですが、ハンモックを張ることでただの近所の公園が、特別な空間に変わるんです。ぜひ試してほしいですね」

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購入すると、その内10ドルが「PCTA」や「Leave No Trace」など、アメリカのトレイル管理団体に寄付されるモデルもある。

バイシクルコーヒー

オークランド(Oakland)発の「バイシクルコーヒー」。内山さんは、このブランドの焙煎担当でもある。

■EXPED / シンプルで優れたユーザビリティ
エクスペドは、1997年にスイスで生まれたギアブランド。その名前は「エクスペディション・イクイップメント」が由来であり、探検や冒険、遠征のための装備という意味である。日本の代理店であるアクシーズクインの新井知哉さんは、同ブランドのハンモックの特徴をこう語る。

エクスペド

広報担当の新井さん(右)とブランドマネージャーの柳谷さん(左)。

新井 「高いユーザビリティですね。ユーザーが悩まずに使えるようにできています。設営の際、特別なロープワークも必要ありません。雨除け付きのカラビナ(ドリップ・クリップ)もそう。使い手が何かしなくても、未然にいろいろ防いでくれるような仕様になっているんです」

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雨天時に、ストラップからしたたってくる雨水を止めてくれるドリップ・クリップ。

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新井さんイチオシのプロダクトは「トラベルハンモック」とのこと。

新井 「これはガンガン使い倒せます。他のモデルは軽量化のために薄い生地にしていますが、これは少し厚めなんです(重量は315g)。洗濯機でも洗えますしね。肌ざわりもいいし、幅もちょうど良くて寝た時の包まれ具合が最高なんです。このサイズ感は、エクスペドが長年作りつづけている経験とノウハウから生み出されたものです」

また、ハンモックの弱点は背面の冷えであるが、寒い時期はEXPEDの化繊綿入りのスリーピングマットと組み合わせるのがオススメとのこと。

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化繊綿が封入されたスリーピングマット「シンマットUL7」。

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別売りのポンプバッグ(防水バッグ兼ポンプ)を使用すると、あっという間に膨らむ。

■HENNESSY HAMMOCK / 特許取得のオールインワンモデル
ヘネシーハンモックは、カナダの工業デザイナーであるトム・ヘネシーによって開発された。1999年に発売されたそのハンモックは、テントとハンモックを融合させた新しいキャンピングハンモックだった。日本の代理店であるA&Fの庄田さんは、同ブランドの特徴をこう語る。


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ヘネシーハンモックのラインナップと庄田さん。

庄田 「ハンモックを宿泊道具として確立させたパイオニアですよね。蚊帳付きの本体とタープも含めてトータルでデザインされているのが一番の特長。一体型なのでとても便利です」

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最新モデルの「ジャングルエクスペディション」。底の生地を2層にすることで、虫刺されを防いでくれる。

hennessy pack

いま一番売れているのは同ブランド最軽量の『ウルトラライトバックパッカー(重量860g)』とのこと。

庄田 「軽量化したいハイカーの方々に人気です。軽いだけでなく、オールインワンならではの便利さも人気の理由。たとえばタープが別売りの場合、雨風をしのぐためにどんなタープにするべきか悩みますよね。しかもフィールドで使用せずに最適なものを選ぶのは難しい。でも、ヘネシーハンモックなら、そういう煩わしさが一切ない。タープはもちろんバグネットも含めてすべてベストなサイズのものを組み合わせているので、非常に完成度が高いんです」

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ヘビの抜け殻のような収納袋。その名も「スネークスキン」。撤収の際は、これをスライドさせることでハンモック一式を収納する。

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ハンモック本体とバグネットはジッパーで連結。ここを開けて出入りする。

■Hummingbird Hammocks / 世界最軽量
ハミングバードハンモックは、2014年創業のハンモック専門メーカー。創業者はパラシュートメーカー出身で、パラシュートの丈夫で軽量な素材を使用しているのが強み。日本の代理店であるアウトドアギアマニアックスのスティーブ・マイヤーズさんは、同ブランドの特徴をこう語る。

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ハミングバードのシングルハンモックに座るスティーブ。

スティーブ 「とにかく軽い。一人用のシングルハンモックはたったの147gです。素材は全部パラシュートに使用しているもの。本体とストラップの連結部分のカラビナ(ソフトカラビナ)も金属ではありません。また、多くのハンモックはナイロン製なので通気性が高いですが、これはパラシュートの生地なので空気が通りにくく濡れにくい。これが保温力にもつながっているんです」

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一人用のシングルハンモック(右:147g)と、一人用ながら少し大きめで快適性に優れたシングルハンモック+(左:210g)。

また現在、新製品の開発も進んでいるとのこと。

スティーブ 「今年はバグネットとタープ(2種類)をリリースする予定。タープの生地はシルナイロンではなく、より防水性の高いものです。まだ発売日は未定ですが、楽しみにしていてください」

■THERM-A-REST / マットレスブランドならではの寝心地
サーマレストは、自動膨張式エアマットを世界で最初に考案したアメリカのメーカー。創業は1971年。スリーピングマットの代名詞といっても過言ではないブランドである。日本の代理店であるモチヅキの西脇将美さんは、同ブランドのハンモックの特徴をこう語る。

サーマレスト

モチヅキの広報担当である西脇さん。

西脇 「肌ざわりですね。そもそも『アウトドアで最高の眠りを提供する』ことを追求しているブランドなので、軽さには走りません。夏場に肌を露出して寝たりする場合、ナイロン素材だと不快感があるんです。でもサーマレストのハンモックはポリエステルなので、とてもしなやか。たとえるなら、 シーツ付きの布団で寝る感じ。シーツ無しとの違いをイメージしてもらうといいと思います」

西脇さんのオススメスタイルは、スラッカーハンモックシングルとスラッカーハンモックウォーマーの組み合わせ。

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肌ざわりが滑らかで、寝心地のいいスラッカーハンモック。

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スラッカーハンモックシングル&スラッカーハンモックウォーマー

この下部のスラッカーハンモックウォーマーは、サーマレストがスリーピングマットで使用している独自技術サーマキャプチャーテクノロジーを採用。これは熱反射板によって、体の熱を反射させて保温力を高めるという仕組みである。

西脇 「ハンモックにスリーピングマットを入れて寝ると、本来の寝心地を得ることができなくなってしまう。ハンモックの特徴を最大限発揮させるためには、マットは使用しないほうがベターなんです。このウォーマーがあれば、3シーズンは大丈夫です。自分も実際にフィールドで実験済みですから」



ウッドストーブ&ポット



■VARGO / タフ&軽量なチタン製
バーゴは、2003年創業のアメリカのブランド。チタンと言えばバーゴというくらい、一貫してチタンを用いた製品を開発しつづけている。日本の代理店であるケンコー社の吉澤さん面川さんは、同ブランドの特徴をこう語る。

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ケンコー社の吉澤さん(左)と面川さん(右)。

吉澤 「とにかく軽量でタフなチタンにこだわっている所ですね。あとは、シンプルさ。デザインを加えれば加えるほど複雑になって故障しやすくなる。無駄を排除し、できる限りシンプルにすることで強度も高めているんです」

吉澤さんオススメのウッドストーブは、チタニウムヘキサゴンウッドストーブとのこと。

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チタニウムヘキサゴンウッドストーブ。重量は116g。収納ケース付属。

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吉澤 「煙突効果のおかげで燃焼効率がいいのが特長です。使い方としては、まずは着火燃料に火をつけて落ち葉を入れてください。次に細かく折った枝、最後に太めの枝を入れる。あとは煙突効果で勝手に燃焼が起こるんです。また、構造としてはパーツがぜんぶ連結しているので組み立ても簡単だし、パーツがなくなることもありません。これはバーゴならではですね」

また、ウッドストーブとセットで使いたいのが、ボット。

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わずか133gのボット。特にウルトラライトハイカーに支持されているプロダクト。

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フタを逆さにしてセットすれば、湯沸かし用のフタとしてはもちろん、コーヒーなどを保温しておくこともできる。

これは、チタン製のポットでありボトルでもある。だから、それを組み合わせて「ボット」と命名された。ポットとして火にかけてお湯を沸かしても良し、フタをしめてボトルとして料理や飲料を持ち運ぶも良し。非常に斬新なアイテムだ。

■EMBERLIT / 優れた煙突効果
創業者のミハイルが、既存のウッドストーブよりも使いやすく、シンプルで、堅牢で、効率的なものを作りたいという想いから開発したのがエンバーリットストーブだ。日本の代理店であるモチヅキの西脇将美さんは、特徴をこう語る。

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エンバーリットストーブUL(左:136g)とエンバーリットストーブファイヤーアント(右:88g)。

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西脇 「とにかく燃焼効率がいい。サイドの穴が大きすぎると空気と一緒に熱も逃げてしまうが、これは丁度いい。小枝ではなく太い枝を突っ込んでも、ちゃんと燃えてくれます。使い勝手のいいストーブです。大きいほう(UL)と小さいほう(ファイヤーアント)がありますが、お湯を沸かすだけとか、短時間しか使わないのであれば小さいほうがオススメ。焼き物とかで長時間のんびり過ごすなら大きいほうがいいでしょう」

■FIREBOX / 重量はたった113g
ファイヤーボックスは、折りたたみ式ウッドストーブのメーカー。日本の代理店であるアウトドアギアマニアックスのスティーブ・マイヤーズさんはこう語る。

スティーブ 「オススメは、ファイヤーボックスナノストーブ(チタン)です。これはコンパクトであることはもちろん、重量がたったの113g。折りたたむと驚くほど薄くなります。その厚さはわずか6mm。シャツやパンツのポケットにも入る。アルコールストーブや固形燃料、木炭も使えるので、とても便利ですよ」

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大きさは手のひらサイズ。ユニークなゴトクは安定性も抜群。

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ちょうつがいが付いているので、折りたたみも簡単。

■MAXI TITANIUM/ 純度の高いチタン製品
マキシチタニウムは、純度の高いチタン(Grade1:ASTM規格)のみを使用したポットやボトルを作っているブランド。日本の代理店であるアウトドアギアマニアックスのスティーブ・マイヤーズさんはこう語る。

スティーブ 「ウォーターボトルは容量が800mlで重量は150g。ハイキングの時に水筒として持って行って、そのまま火にかけられるので便利です。水筒にも鍋にもなるユニークなプロダクトです」

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チタン製のウォーターボトル。非常に軽い。塗装などは一切施されていないので、直火もOK。ただし、火にかける時はフタを外すこと。

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G.I Cup 980ml(162g)。軍装備品をモチーフにしたクッカーで、凹状の形状が特徴。




タープ



■PaaGo WORKS / 設営が簡単で変幻自在のタープ
パーゴワークスは、折り紙の手裏剣をモチーフにしたロゴでおなじみの日本ブランド。代表の斎藤徹さんは生粋のデザイナーで、設立以来ユニークでありながらも、誰もが使えるユニバーサルデザインの製品を作りつづけている。

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ニンジャタープとハンモックの組み合わせでくつろぐ斎藤さん。

中でも、同ブランドを代表するプロダクトのひとつである「ニンジャタープ」は、ハンモックとも非常に相性がいい。何より従来のタープと比べ、初心者でも扱いやすい仕様になっているのだ。

斎藤 「気軽に張れるのが特長です。初心者にとってタープって設営が分かりにくいですよね。これは『タープの裾野を広げる!』という目的で作ったものなんです」

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設営をラクにするジョイントポイント。張り綱はこれに引っかけるだけ。

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ジョイントポイントは、合計21カ所。タープ同士を連結させることもできる。

ハンモックとニンジャタープの相性について、斎藤さんはこう語る。

斎藤 「両方ともシンプルな作りなので相性は抜群です。ハンモックはソファベッドだとハイカーズデポの二宮くんが言ってたけど、そう見立てるのならばいろんな家を考えることができる。そういう面で、ニンジャタープにはまだまだ可能性があると思います。今後、ハンモックを使ったさまざまな遊び方が生まれてくるでしょう。それと一緒にニンジャタープのバリエーションも増やしていければいいですね。また現在、オプションとしてネストを開発中なんですが、このイベントを通じてそのヒントを得ることもできました。発売は来年になると思いますが、ご期待ください」

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タープの2辺には紐の入ったスリーブがあり、絞り込んで使用する。

ニンジャタープ

このように2人で寝られるワンポールシェルターにもなる。工夫次第でさまざまな使い方ができる。



SEE YOU NEXT EVENT!



本邦初、前代未聞のハンモックイベント『HAMMOCKS for Hiker』。

『トレイルズ』と『ハイランドデザイン』の2ブランドによって、このマニアックかつ愉快なイベントは企画され、開催された。

当初は一体どうなることかと不安も大きかったようだが、フタを開けてみれば予想を遥かに上回る大盛況ぶり。出展したメーカーと参加したユーザーの距離も近く、非常に一体感のある楽しいイベントとなった。

ハイカーズデポ

ハイランドデザインの3名。左から勝俣さん、二宮さん、長谷川さん。

トレイルズ

トレイルズの3名。佐井夫妻と小川さん。

すでに次回も企画しているようなので、今回参加した人はもちろん行きそびれたという人もぜひご注目を!明後日7/1(金)はハンモック名鑑&周辺ギアの使い方や特徴をMovieで一挙にお届けします。9つもの製品のMovieを同時公開するのでお楽しみに!

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。現在はアウトドア系のメディアを中心に執筆活動を行なう。著書に『ロングトレイルはじめました』(誠文堂新光社)がある。

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