HAMMOCKS for Hiker 2016 – After Report #3 / ハンモック名鑑&周辺ギア
これまでのアフター・レポートで、ハンモックに興味を持っていただけただろうか?そんな方々の次のステップは、ハンモック選び。ハンモックと一口に言っても、その種類はさまざま。今回のイベントでも、多くの人がそのバリエーションの豊かさに驚いていたし、ブランドごとに異なる特徴に興味津々だった。そう、ハンモックは奥が深いのである。
「じゃあ、どれがいいの?」と言われても、正直、答えることは難しい。それぞれにそれぞれの良さがあり、絶対解は存在しないのだ。
今回のレポートでは、イベントに出展した5つのハンモックブランドに加えて、3つのウッドストーブ、1つのタープ、さらに周辺ギアを紹介する。それぞれを比較検討して、ぜひ自分にピッタリのものを選んで欲しい。判断基準は、他でもないあなたの中にあるのだから!
ハンモック
■eno / 空間を演出する豊富なカラバリ&アクセサリー
イーノ(Eagles Nest Outfitters)は、1999年に北米で誕生したハンモック専業メーカー。日本の代理店であるサンウエストの内山哲孝さんは、同ブランドの特徴をこう語る。
内山さんがオススメするのは、同ブランドで小型&最軽量モデルの『サブ7』。
内山 「同ブランドのラインナップ中で185gともっとも軽いのが特長。少しでも荷物をミニマムにしたい人向けのコンパクト&ライトなモデルです。宿泊はもちろんですが、公園に持っていって使うにも便利です。私もよく子どもと一緒に公園に行くのですが、ハンモックを張ることでただの近所の公園が、特別な空間に変わるんです。ぜひ試してほしいですね」
■EXPED / シンプルで優れたユーザビリティエクスペドは、1997年にスイスで生まれたギアブランド。その名前は「エクスペディション・イクイップメント」が由来であり、探検や冒険、遠征のための装備という意味である。日本の代理店であるアクシーズクインの新井知哉さんは、同ブランドのハンモックの特徴をこう語る。 新井 「高いユーザビリティですね。ユーザーが悩まずに使えるようにできています。設営の際、特別なロープワークも必要ありません。雨除け付きのカラビナ(ドリップ・クリップ)もそう。使い手が何かしなくても、未然にいろいろ防いでくれるような仕様になっているんです」
新井さんイチオシのプロダクトは「トラベルハンモック」とのこと。
新井 「これはガンガン使い倒せます。他のモデルは軽量化のために薄い生地にしていますが、これは少し厚めなんです(重量は315g)。洗濯機でも洗えますしね。肌ざわりもいいし、幅もちょうど良くて寝た時の包まれ具合が最高なんです。このサイズ感は、エクスペドが長年作りつづけている経験とノウハウから生み出されたものです」
また、ハンモックの弱点は背面の冷えであるが、寒い時期はEXPEDの化繊綿入りのスリーピングマットと組み合わせるのがオススメとのこと。
■HENNESSY HAMMOCK / 特許取得のオールインワンモデルヘネシーハンモックは、カナダの工業デザイナーであるトム・ヘネシーによって開発された。1999年に発売されたそのハンモックは、テントとハンモックを融合させた新しいキャンピングハンモックだった。日本の代理店であるA&Fの庄田さんは、同ブランドの特徴をこう語る。 庄田 「ハンモックを宿泊道具として確立させたパイオニアですよね。蚊帳付きの本体とタープも含めてトータルでデザインされているのが一番の特長。一体型なのでとても便利です」
いま一番売れているのは同ブランド最軽量の『ウルトラライトバックパッカー(重量860g)』とのこと。
庄田 「軽量化したいハイカーの方々に人気です。軽いだけでなく、オールインワンならではの便利さも人気の理由。たとえばタープが別売りの場合、雨風をしのぐためにどんなタープにするべきか悩みますよね。しかもフィールドで使用せずに最適なものを選ぶのは難しい。でも、ヘネシーハンモックなら、そういう煩わしさが一切ない。タープはもちろんバグネットも含めてすべてベストなサイズのものを組み合わせているので、非常に完成度が高いんです」
■Hummingbird Hammocks / 世界最軽量ハミングバードハンモックは、2014年創業のハンモック専門メーカー。創業者はパラシュートメーカー出身で、パラシュートの丈夫で軽量な素材を使用しているのが強み。日本の代理店であるアウトドアギアマニアックスのスティーブ・マイヤーズさんは、同ブランドの特徴をこう語る。 スティーブ 「とにかく軽い。一人用のシングルハンモックはたったの147gです。素材は全部パラシュートに使用しているもの。本体とストラップの連結部分のカラビナ(ソフトカラビナ)も金属ではありません。また、多くのハンモックはナイロン製なので通気性が高いですが、これはパラシュートの生地なので空気が通りにくく濡れにくい。これが保温力にもつながっているんです」 また現在、新製品の開発も進んでいるとのこと。
スティーブ 「今年はバグネットとタープ(2種類)をリリースする予定。タープの生地はシルナイロンではなく、より防水性の高いものです。まだ発売日は未定ですが、楽しみにしていてください」
■THERM-A-REST / マットレスブランドならではの寝心地
サーマレストは、自動膨張式エアマットを世界で最初に考案したアメリカのメーカー。創業は1971年。スリーピングマットの代名詞といっても過言ではないブランドである。日本の代理店であるモチヅキの西脇将美さんは、同ブランドのハンモックの特徴をこう語る。
西脇さんのオススメスタイルは、スラッカーハンモックシングルとスラッカーハンモックウォーマーの組み合わせ。
この下部のスラッカーハンモックウォーマーは、サーマレストがスリーピングマットで使用している独自技術サーマキャプチャーテクノロジーを採用。これは熱反射板によって、体の熱を反射させて保温力を高めるという仕組みである。西脇 「ハンモックにスリーピングマットを入れて寝ると、本来の寝心地を得ることができなくなってしまう。ハンモックの特徴を最大限発揮させるためには、マットは使用しないほうがベターなんです。このウォーマーがあれば、3シーズンは大丈夫です。自分も実際にフィールドで実験済みですから」
ウッドストーブ&ポット
■VARGO / タフ&軽量なチタン製
バーゴは、2003年創業のアメリカのブランド。チタンと言えばバーゴというくらい、一貫してチタンを用いた製品を開発しつづけている。日本の代理店であるケンコー社の吉澤さん面川さんは、同ブランドの特徴をこう語る。
吉澤さんオススメのウッドストーブは、チタニウムヘキサゴンウッドストーブとのこと。
吉澤 「煙突効果のおかげで燃焼効率がいいのが特長です。使い方としては、まずは着火燃料に火をつけて落ち葉を入れてください。次に細かく折った枝、最後に太めの枝を入れる。あとは煙突効果で勝手に燃焼が起こるんです。また、構造としてはパーツがぜんぶ連結しているので組み立ても簡単だし、パーツがなくなることもありません。これはバーゴならではですね」
また、ウッドストーブとセットで使いたいのが、ボット。
これは、チタン製のポットでありボトルでもある。だから、それを組み合わせて「ボット」と命名された。ポットとして火にかけてお湯を沸かしても良し、フタをしめてボトルとして料理や飲料を持ち運ぶも良し。非常に斬新なアイテムだ。■EMBERLIT / 優れた煙突効果
創業者のミハイルが、既存のウッドストーブよりも使いやすく、シンプルで、堅牢で、効率的なものを作りたいという想いから開発したのがエンバーリットストーブだ。日本の代理店であるモチヅキの西脇将美さんは、特徴をこう語る。
西脇 「とにかく燃焼効率がいい。サイドの穴が大きすぎると空気と一緒に熱も逃げてしまうが、これは丁度いい。小枝ではなく太い枝を突っ込んでも、ちゃんと燃えてくれます。使い勝手のいいストーブです。大きいほう(UL)と小さいほう(ファイヤーアント)がありますが、お湯を沸かすだけとか、短時間しか使わないのであれば小さいほうがオススメ。焼き物とかで長時間のんびり過ごすなら大きいほうがいいでしょう」
■FIREBOX / 重量はたった113g
ファイヤーボックスは、折りたたみ式ウッドストーブのメーカー。日本の代理店であるアウトドアギアマニアックスのスティーブ・マイヤーズさんはこう語る。
スティーブ 「オススメは、ファイヤーボックスナノストーブ(チタン)です。これはコンパクトであることはもちろん、重量がたったの113g。折りたたむと驚くほど薄くなります。その厚さはわずか6mm。シャツやパンツのポケットにも入る。アルコールストーブや固形燃料、木炭も使えるので、とても便利ですよ」
■MAXI TITANIUM/ 純度の高いチタン製品マキシチタニウムは、純度の高いチタン(Grade1:ASTM規格)のみを使用したポットやボトルを作っているブランド。日本の代理店であるアウトドアギアマニアックスのスティーブ・マイヤーズさんはこう語る。
スティーブ 「ウォーターボトルは容量が800mlで重量は150g。ハイキングの時に水筒として持って行って、そのまま火にかけられるので便利です。水筒にも鍋にもなるユニークなプロダクトです」
タープ
■PaaGo WORKS / 設営が簡単で変幻自在のタープ
パーゴワークスは、折り紙の手裏剣をモチーフにしたロゴでおなじみの日本ブランド。代表の斎藤徹さんは生粋のデザイナーで、設立以来ユニークでありながらも、誰もが使えるユニバーサルデザインの製品を作りつづけている。
斎藤 「気軽に張れるのが特長です。初心者にとってタープって設営が分かりにくいですよね。これは『タープの裾野を広げる!』という目的で作ったものなんです」
ハンモックとニンジャタープの相性について、斎藤さんはこう語る。斎藤 「両方ともシンプルな作りなので相性は抜群です。ハンモックはソファベッドだとハイカーズデポの二宮くんが言ってたけど、そう見立てるのならばいろんな家を考えることができる。そういう面で、ニンジャタープにはまだまだ可能性があると思います。今後、ハンモックを使ったさまざまな遊び方が生まれてくるでしょう。それと一緒にニンジャタープのバリエーションも増やしていければいいですね。また現在、オプションとしてネストを開発中なんですが、このイベントを通じてそのヒントを得ることもできました。発売は来年になると思いますが、ご期待ください」
SEE YOU NEXT EVENT!
本邦初、前代未聞のハンモックイベント『HAMMOCKS for Hiker』。
『トレイルズ』と『ハイランドデザイン』の2ブランドによって、このマニアックかつ愉快なイベントは企画され、開催された。
当初は一体どうなることかと不安も大きかったようだが、フタを開けてみれば予想を遥かに上回る大盛況ぶり。出展したメーカーと参加したユーザーの距離も近く、非常に一体感のある楽しいイベントとなった。
すでに次回も企画しているようなので、今回参加した人はもちろん行きそびれたという人もぜひご注目を!明後日7/1(金)はハンモック名鑑&周辺ギアの使い方や特徴をMovieで一挙にお届けします。9つもの製品のMovieを同時公開するのでお楽しみに!関連記事
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