FISHING

TRAIL FOOD #12 | フィッシング × トレイルフード by 河野辺元康

2025.10.29
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話・写真:河野辺元康 構成:TRAILS

What’s TRAIL FOOD? | 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) が知りたくて立ち上げた、トレイルフードを紹介する記事シリーズ。ULハイキングをはじめ、ロング・ディスタンス・ハイキングやハンモック・ハイキング、パックラフティング、さらにはフライフィッシングやテンカラなど、それぞれの遊びに没頭している人たちに、普段どんなトレイルフードを食べているかを紹介してもらう。トレイル上のリアルに触れることが、きっと新たな気づきや刺激になるはずだ。

* * *

ここに登場するのは、世の中でよく紹介されるような「山でこんなに美味しいものが食べられる!」というフードがかならずしもメインではない。それぞれの遊び方やスタイルのなかで、時には質素に見えるかもしれないが、みんなが実際に食べているリアルなトレイルフードだ。

そこには、旅を楽しむための大事なエッセンスや、アクティビティをする上での実践的なTIPSが詰め込まれているはず。そんなリアルなトレイルフードが知りたくて、この連載記事を立ち上げた。

第12回目の今回は、TRAILS Crewも古くから親交のある、「RSR (RiverSideRambler)」主宰・デザイナーの河野辺元康 (かわのべ もとやす) さんだ。

フライフィッシング × トレイルフード


河野辺元康さんが今回紹介してくれるのは、フライフィッシングでの源流釣りにおけるトレイルフードだ。

今回トレイルフードを紹介してくれるのは、河野辺元康 (かわのべ もとやす) さん。河野辺さんは、フライフィッシャーであり、源流野営釣行をテーマとしたギアを作るメーカー「RSR (RiverSideRambler)」の主宰兼デザイナー。

2013年にガレージメーカーとして独立し、RSRを立ち上げ。トルネード燃焼の高火力アルコールストーブ「RSRストーブ」や、UL (ウルトラライト) 焚き火台「RSRネイチャーストーブ30」など、日本のUL黎明期のガレージメーカーのなかでも、金物関連のギアを中心とする独自の存在として活動し続けている。

そんな河野辺さんはフライフィッシングの源流釣り (※1) で何を食べているのだろう? 下記2つの視点で紹介してもらった。

・「食べる頻度の高い」トレイルフードベスト3
・「記憶に残る」トレイルフード

※1 源流釣り:川の上流から下流へ向かう順序、源流、渓流、本流と区別される。源流は最上流域で、自然が深く、足場が悪いところが多い。源流には入るには、一定以上の沢歩き、沢登り、野営などのスキルが求められる。渓流は源流より下流で、源流よりは足場が良く、落ち込みや淵があり釣りやすい場所も多い。水温の低い源流・渓流には、主にイワナ、ヤマメ、アマゴが生息している。本流は、それよりさらに下流の川幅が広がった場所を指す。本流には水温によってはヤマメやアマゴ、またアユ、サクラマスなどが生息する。

第1位:カレーメシ


ご飯ものでも短時間で作れる「カレーメシ」(日清)。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
軽量なドライフードは渓食 (釣行中の渓流沿いでの食事) に適しています。

なかでも日清の「カレーメシ」はご飯ものにもかかわらず短時間 (5分) で作れるので、釣りの時間を犠牲にしない画期的な食材だと思います。自分は日帰り釣行の昼食でよく食べているのが、この「カレーメシ」です。

源流釣行の時は、あらかじめ市販のカップから内容物を取り出して、フリーザーバックに入れ替えて持参しています。ちなみに中身がわかるように、また湯量を間違えないように、カレーメシの蓋もフリーザーパックの中に一緒に入れておきます。

調理は、RSRストーブ (アルコールストーブ) とチタンカップという、最小限の湯沸かしセットで行ないます。


「カレーメシ」を市販のカップから中身をフリーザーパックに入れ替えて持参。

■ 作り方
例)熱湯を規定量注ぎ蓋をして5分待ち、その後30秒かき混ぜれば完成。

第2位:塩こぶスルメご飯


塩こぶとスルメを入れて炊くだけの、塩こぶスルメご飯。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
源流釣行での渓泊時によく作る簡単メニューが、この塩こぶスルメご飯です。

味付けは塩こぶのみ。こぶとスルメからダシ (うま味) が出て、炊きこみご飯として高得点なメニューだと思います。

これと適当な山菜の味噌汁があれば野営地の夜は何とかなります。山菜は、現地で採ったものを入れたりするんですけど、タラの芽、コシアブラ、ハリギリ、ミズ、ミヤマイラクサなどをよく採ります。

塩こぶとスルメはどちらも乾燥しているので、重さも軽く日持ちがしますし、嵩張らないので渓に持って行くには適した食材です。

そのまま食べても良い酒のアテになるのでマルチユース食材とも言えます。

■ 作り方
小さく切って少量のお酒に漬けてもどしたスルメと、塩こぶを入れてご飯を炊けば出来上がり。

第3位:ちょっとぞうすい


ヒガシマルの「ちょっとぞうすい」。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
これは渓泊の翌朝に作る簡単メニューです。

釣行の夜、渓友と盛り上がって酒が進むと、翌朝は二日酔になることも多いです。

そんな時、サラサラっと食べれる雑炊は大変助かります。

いつも使っているのは、ヒガシマルの「ちょっとぞうすい」という雑炊の素です。作るのもいたって簡単です。

山菜やキノコの季節は、現地で採取したものを、追加具材としてアレンジするのも楽しいです。山菜はさきほど炊き込みごはんのところで言ったようなものを採り、キノコは毒の間違いがないわかりやすいもので、タマゴタケ、ヌメリスギタケモドキ、ウスヒラタケなどを使うことが多いですね。

また雑炊にすることでメスティンにこびりついた米が、きれいに取れて片付けが楽になる利点もあります。

■ 作り方
残り物のご飯にお湯を注ぎ、雑炊の素を入れて軽く煮込めば完成。

記憶に残るトレイルフード:パンチコーラ


「パンチコーラ」で作ったコークハイ。

■ 記憶に残る理由とお気に入りのポイント
渓に入って夢中で釣りをした後に、無性に炭酸飲料が飲みたくなることはないでしょうか?

同じくビールが飲みたくなるのも、実はあのシュワシュワ感を身体が欲しているのではないかと思っています。しかし、ビールや炭酸飲料は重いので渓に大量に持ち運ぶのが難しい。

そこで思いついたのが子供の頃に駄菓子屋で買った「パンチコーラ」 (松山製菓) でした。冷たい湧き水で溶かして飲むとコーラ風味のチープな味わいも案外良いものです。

渓友と行くときは、ちょっと多めに持って行って配ったりするのですが、仲間内でも結構好評です (笑)。空いたボトルに、この「パンチコーラ」と水を混ぜて、みんな楽しそうに飲んでくれます。

ウイスキーを入れれば、コークハイの完成です。

■ 作り方
タブレットを水に溶かすだけ。


河野辺さんが源流で愛用するのは、もちろん「RSRストーブ」(アルコールストーブ)。

釣りの時間を犠牲にしないために、すぐに食べれるご飯もの「カレーメシ」。

源流での野営の晩に、焚き火で作る簡単炊き込みごはん。そして、野営の二日酔いの朝に最適な雑炊。

河野辺さんが選ぶトレイルフードは、どれでも源流釣りに合ったトレイルフードばかりだ。

また次回の『トレイルフード』もお楽しみに!

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