TRAILS REPORT

TRAIL FOOD #09 | ULハイキング × トレイルフード by 佐井和沙

2024.05.22
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話・写真:佐井和沙 構成:TRAILS

What’s TRAIL FOOD? | 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) が知りたくて立ち上げた、トレイルフードを紹介する記事シリーズ。ULハイキングをはじめ、ロング・ディスタンス・ハイキングやハンモック・ハイキング、パックラフティング、さらにはフライフィッシングやテンカラなど、それぞれの遊びに没頭している人たちに、普段どんなトレイルフードを食べているかを紹介してもらう。トレイル上のリアルに触れることが、きっと新たな気づきや刺激になるはずだ。

* * *

ここに登場するのは、世の中でよく紹介されるような「山でこんなに美味しいものが食べられる!」というフードがかならずしもメインではない。それぞれの遊び方やスタイルのなかで、時には質素に見えるかもしれないが、みんなが実際に食べているリアルなトレイルフードだ。

そこには、旅を楽しむための大事なエッセンスや、アクティビティをする上での実践的なTIPSが詰め込まれているはず。そんなリアルなトレイルフードが知りたくて、この連載記事を立ち上げた。

第9回目の今回は、ULハイキングのスタイルで、小さい子どもと海外トレイルを旅する「FAMILY HIKING」 (詳細はコチラ) を実践してる、TRAILS編集部Crewの佐井和沙。彼女がトレイルで実験と検証を繰り返してきた、子どものためのトレイルフードを紹介する。

ULハイキング × トレイルフード


今回は、TRAILS編集部Crewの佐井和沙が、子どものためのトレイルフードを紹介する。

今回トレイルフードを紹介するのは、TRAILS編集部Crewの佐井和沙。編集長の佐井聡とともに、ULハイキングのスタイルで、小さい子どもを連れて大自然のなかを旅する「FAMILY HIKING」を実践している。今回はFAMILY HIKINGにおける、子どものトレイルフードを紹介する。

小さい子どもを連れる旅では、子どものギアやウェア、また年齢によってオムツやミルクなど荷物が多くなる。だからこそFAMILY HIKINGには、ULのギアと知恵が必須になる。

子どものフードについては、基本的に大人と同様、お湯で戻して食べるタイプの軽量なトレイルフードをベースにする。それに加え、子どもがきちんと食べてくれる工夫がポイントになる。

佐井ファミリーが子どもを連れて、初めて海外トレイルに行ったのは、長男が4歳0ヶ月のとき。このときに行ったニュージーランドを皮切りに、その後アメリカ、カナダ、ラップランドなどのトレイルでFAMILY HIKINGをしてきた。次男は0歳4ヶ月で海外のトレイルに連れて行き、ミルクをトレイル上で飲ませる方法も実践してきた。

そんな佐井和沙は、ULハイキングで、子どもにどんなトレイルフードを食べさせていたのだろう? 下記2つの視点で紹介してもらった。

・「食べる頻度の高い」トレイルフードベスト3
・「記憶に残る」トレイルフード

第1位:おにぎり


日本でなじみのトレイルフードを海外で食べさせるために考えた、おにぎりシステム。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

子どもが普段好んで食べるおにぎりを、トレイル上で作ってあげるにはどうしたらいいか。そう思って、長男を初めて海外トレイルに連れていく前に、北根室ランチウェイでテストして、その後、海外トレイルの旅でも定番化したのが、このおにぎりシステム。

おにぎりシステムは、アルファ米、ふりかけ (のりたまやしゃけなど子どもが好きな味)、それに海苔 (のり) を巻いてラップに包んだものを、おにぎり1個がちょうど入るケース(100円均一)に入れて持ち運べるセット。バックパックのポケットに入れておいて、食べたい時に食べられるようにしておく。ちなみに海苔は、韓国海苔や塩味が付いているおにぎり用の海苔を好んで食べる。

食べる時に手が汚れずに便利だったのが、100円均一で購入したおにぎり用のフィルム。ラップでも代用可能 (海外製のラップよりも日本製のラップの方がしっかりと包める)。

最初は長男と行ったニュージーランドで実践投入したが、その後、アメリカ、カナダ、ラップランドでも定番化し、次男もこれでよくトレイルでおにぎりをほおばっている。

■ 作り方

お湯をアルファ米を戻し、ごはんにのりたまを混ぜ、最後に海苔を巻くだけ。

第2位:ミルク (粉ミルク+哺乳瓶の洗浄セット)


海外トレイルでミルクを飲ませるために考えたセット。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

次男がまだ乳幼児のときに、トレイルでどのようにミルクを飲ませるかと考えて、自分なりに考えたミルクシステム。

哺乳瓶2つを、飲んで、洗浄して、というサイクルで回していくセットになっている。ミルクの入った哺乳瓶を飲み終わったら、哺乳瓶は消毒液で洗って、その後に洗浄剤を溶かした水を入れたケースに浸けておく。洗浄剤は24時間毎に入れ替える仕組みになっている。粉ミルクは1回分づつ使い捨ての小分け袋に入れて持ち運ぶ。

写真の哺乳瓶を収納するケースは改良前のもので、その後は改良版としてフタがしっかり閉まり液体漏れの心配がないプロテインシェイカーに変更した。また保温ボトルは、軽量化のためTHERMOSチタンボトルも試したが、保温力が高い山専ボトルがオススメ。朝に沸かして入れたお湯を、冷めずに1日中保つことができる。

実際にこのミルクセットを使って、次男はバンフやラップランドのトレイル上でミルクを飲んだ。

■ 作り方

作り方は粉ミルクにお湯を混ぜるだけ。ミルクセットの内容は、粉ミルク、お湯を入れた保温ボトル、哺乳瓶2つ、哺乳瓶を入れるケース、哺乳瓶の洗浄剤 (錠剤)、哺乳瓶用の洗剤 (液体)。

第3位:ラーメン


ラーメンは、子どもにとって定番のトレイルフード。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

どこの国でもたいがいインスタントラーメンは手に入る。子どもたちも大好きなので、定番のトレイルフードのひとつになっている。味はチキン味がお気に入り。

長男の初めての海外トレイルのときは、普段日本で食べ慣れたものしか食べないんじゃないか、という不安があった。でも、大人がラーメンを食べているのを見たら、真似して食べはじめた。これならどこでも補給ができるので安心だと思った記憶が懐かしい。

長男の最初の海外トレイルだったニュージーランドでは、黄色いパッケージの「yumyum(ヤムヤム)」という銘柄のチキン味を気に入って食べていた。アメリカでは、NISSIN (日清) が海外向けに出している「Top Ramen」にチキン味があったので、それを買うと、喜んで食べていた。

大人も子どもインスタントラーメンは、トレイルフードの定番。

■ 作り方

お湯を沸かして注ぎ、3~5分待つ。スパイスなどが入った粉末は除いて、子どもにはなるべく薄味にして食べさせている。

記憶に残るトレイルフード:TRAIL CAKE


佐井和沙オリジナルの行動食「TRAIL CAKE」。

■ 記憶に残る理由とお気に入りのポイント

海外で買うエナジーバーに満足できなくなったため、自分で作ってみたらうまくいったのが、このTRAIL CAKE (トレイルケーキ)。最高に自分好みに味に仕上がり、思い入れが詰まったトレイルフード。

使う材料は、ナッツの中でも少量で高カロリーなクルミ、ピーカンナッツ、アーモンド、疲労回復効果があるオレンジピール、食物繊維とミネラルが豊富なドライイチジク等、味が好みのものであることはもちろん、自分の身体に必要な栄養素を含む材料をセレクトしている。

通常は行動食として食べるが、天気が悪いときやご飯を作るのがめんどくさいほどヘトヘトのときには、ご飯がわりにも食べる。調理なしで食べられるし、腹持ちもよい。タスマニアのトレイルでは雨でびちゃびちゃのなか、このTRAIL CAKEを食べて、その瞬間に体も心もリカバリーした感触があったのが思い出深い。

ただこのTRAIL CAKEはお酒も多めに使っているので、まだ子どもは食べられない。そのため子どもが食べられるタイプのTRAIL CAKEを作れないか現在、検討中。

■ 作り方

バター、シュガー 、卵、薄力粉、粉末アーモンド、ベーキングパウダーに、ドライフルーツやナッツなどを入れて、パウンドケーキの型に入れてオーブンで焼く。


初めての海外トレイルであるニュージーランドのトレイルでおにぎりを食べる長男。

佐井和沙による、ULハイキングでの、子どものためのトレイルフードはいかがだっただろうか?

FAMILY HIKINGをやってみたい家族にとって、今回紹介したTIPSのなかに、実践的なヒントになるものが少しでもあればと思う。

また次回の『トレイルフード』もお楽しみに!

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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