TOKYO ONSEN HIKING #21 | 岩菅山・丸山鉱泉旅館
取材・写真:利根川 真幸 構成:TRAILS
TRAILS Crewのトニーによる『TOKYO ONSEN HIKING』。
今回は、埼玉県は秩父郡にある『丸山鉱泉旅館』(まるやまこうせん りょかん)。
丸山鉱泉旅館は、西武秩父線の横瀬駅近くにある山あいの温泉だ。
岩菅山 (標高770m) 周辺のトレイルの風景。
TOKYO ONSEN HIKINGのルールはこれ。
① TRAILS編集部 (日本橋) からデイ・ハイキングできる場所
② 試してみたいUL (※1) ギアを持っていく (※2)
③ 温泉は渋めの山あいの温泉宿がメイン (スーパー銭湯に非ず)
目指す山は、岩菅山 (いわすげ・標高770m)。
秩父の武甲山の北東に位置する低山で、二子山と連なる静かな里山だ。
秩父にたたずむ「秩父のお尻 (二子山)」のお隣へ。
秋の気配を感じに秩父あたりに紅葉でも楽しみに行こうか。
秩父の名峰・武甲山あたりの地図を眺めていると、その隣に二子山という山がある。この双耳峰は「秩父のお尻」「ケツ山」などと呼ばれているらしい。
さらに地図を見ると、その二子山と連なる岩菅山へアプローチするルートは、破線ルートになっている。ここは人も少なくしっとりと秋の山を楽しめるかもしれない。今回はこの岩菅山にしよう。
山のふもとには、ちょうど「丸山鉱泉旅館」という山とゆかりがありそうな温泉がある。

スタート地点は西武秩父線の芦ヶ久保駅。駅からそのまま岩菅山にアプローチをする。登りは破船ルートを選び、下りは実線ルートのループのコースだ。コースタイムは、3時間30分。丸山鉱泉旅館には、芦ヶ久保駅から電車で一駅の横瀬駅まで移動し、徒歩約30分。

西武秩父線の芦ヶ久保駅からスタート。
今回のスタート地点は、西武秩父線の芦ヶ久保駅。東京から行くと、西武秩父駅の2つ手前の駅だ。
西部秩父線は、秩父の山に向かうハイカーや、観光目的の人たちで溢れていたが、芦ヶ久保駅で下車したのは自分と数名のハイカーだけだった。

最初は二子山へ向かうルートを登っていく。
駅から近くにある道の駅で軽くリサプライを済ました後、線路の反対側に行くためのトンネルを抜けると、トレイルヘッドだ。
途中までは二子山に続くトレイルと同じルートのため、ハイカーも数名見かけていたのだが、岩菅山への破線ルートに入った途端に、他のハイカーの姿は見なくなった。
一人静かに歩けることにしめしめと思いながら、傾斜が強くなった細尾根を、足元に気をつけながら、のんびり登ることにした。
破線ルートを登り、静かな森でハンモックタイム。

破線ルートを、細尾根沿いに登っていく。
トレイルはところどころ分かりにくくなるものの、破線ルートは細尾根沿いを通っているため、登りやすいルートを見つけながら、しばらく登っていく。
途中、木々から木漏れ日が抜ける箇所もあり、青空と紅葉のコントラストを楽しむ。次第に斜度が強くなってきたが、リラックスしてたんたんと登っていった。
破線ルートを半分以上進んだところで、事前にハンモックができそうだと地図を見ながら目星をつけていた箇所に到着した。

MYOGしたハンモック。使用したのは、GAARGEで取り扱っているHexon 1.0 リップストップ・ナイロン 20Dという軽量なファブリック。
今回、持ってきたのは、MYOG (MAKE YOUR OWN GEAR = ギアの自作) をした重量143gのULハンモック。
TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) で取り扱っているHexon 1.0 リップストップ・ナイロン 20D (詳細はコチラ) という、薄手のハンモック生地を使ってMYOGしたもの。
サイズは、ULハンモックとしてスタンダードな幅120cm × 長さ270cmで設計したもの。安定の寝心地で、思わず長めの昼寝をしたくなるのを我慢しつつハンモックタイムを楽しんだ。

岩菅山の山頂へ向かう。
ハンモックにしばらく揺られていると、山頂へのハイキングに少し腰が重くなってしまったが、そこは山頂までの景色を楽しみにし、改めて山頂に向けて歩き出すことに。
デイ・ハイキング用の、ミニマルな64gのアルスト&クッカーセットで休憩。

岩菅山頂の手前にある展望。秩父の山々を見晴らすことができる。
細尾根沿いに、どんどんと斜度が強くなるトレイルを登りきると、急に展望が開けた。秩父の街を見渡せるほどの展望だ。
しばらく展望を楽しんで、その後、ほどなくして岩菅山の山頂に到着。そこから二子山の沢沿いのトレイルを進み、水を確保しつつ、ランチにすることにした。

クッカーはEVERNEWのApex cup t0.2 (29g)、とストーブはFLAT EARTH EQUIPMENT / Monk’s Stove (11g) 、という超軽量なセット。
今回使用したクッカーは、わずか29gという脅威的な軽さの容量300mlチタンカップ『EVERNEW / Apex cup t0.2』 (エバニュー / エバニュー エイペックスカップ t0.2 ※TRAILS STOREでも説明あり。詳細はコチラ)。
アルコールストーブは、これもわずか11gと超軽量な『FLAT EARTH EQUIPMENT / Monk’s Stove』(フラット・アース・イクイップメント | モンク・ストーブ・セット。※こちらもTRAILS STOREでも説明あり。詳細はコチラ)。
Monk’s Stoveとセットの、五徳、風防と合わせても、64gのセットだ。

300~350ml程度のお湯を沸騰させるのに最適化したULアルコールストーブ。
Monk’s Stoveは、300~350ml程度のお湯を沸かすのに最適化した、ULアルコールストーブ。サイズも小さく、15mlの燃料で350mlの水を沸騰させるサイズに設計されている。
このミニマルなアルコールストーブに、容量300mlで29gのチタンカップ『EVERNEW / Apex cup t0.2』はベストマッチではないだろうか。
このApex cup t0.2は、EVERNEWが開発した、世界初となる0.2mmという薄さのチタンクッカーだ。

オーガニック100%のドライフルーツとナッツを選んで作る『MYOM (Make Your Own Mix)』。
ランチの後は、GARAGEのトレイルミックス『MYOM (Make Your Own Mix)』をバックパックから取り出す。
今回は、食後の急激な血糖値の上昇を抑えるために、低GI食品であるマカダミアナッツとクルミを多めに入れてみた。疲労回復効果のあるビタミンB1やミネラルも豊富なので、破線ルートを歩くハードなトレイルにもピッタリだ。
武甲山と両神山に囲まれた、秩父横瀬町の丸山鉱泉旅館へ。

岩菅山を下り、丸山鉱泉旅館へ。
しばらく、沢沿いを下っていくと、西武鉄道の電車の音が聞こえ始め、スタート地点である芦ヶ久保駅に戻ってきた。
芦ヶ久保駅から一駅となりにある横瀬駅へと向かい、駅からは寺坂棚田を横目に30分ほど歩くとお目当ての「丸山鉱泉旅館」に到着する。

日帰り入浴の営業時間は11:30〜20:00(最終受付19:00)※土曜日は短縮営業。11:30〜15:00。定休日は水曜日・木曜日。料金は、【平日】大人800円 / 子供400円(税込)、【土日・祝日】大人900円 / 子供450円(税込)。
丸山鉱泉旅館は、秩父の武甲山や両神山に囲まれた横瀬町にある、創業50年の旅館だ。
自然豊かな丸山から湧き出る、ミネラル豊富な鉱泉を使用した旅館で知られている。

丸山鉱泉旅館は、秩父の森の中にたたずむ創業50年の旅館。
支配人の加藤さんに話を聞いたところ、露天風呂は、自然の眺めをできるだけ長く楽しんでもらいたいという思いから、内湯よりも少し低い温度にしているのだそうだ。
露天風呂から見える武甲山が美しく、春から夏の新緑、秋の紅葉、また冬は雪化粧に包まれる武甲山を楽しみに、何度も訪れるお客さんも多いのだという。
江戸時代に観音巡礼の聖地として賑わった秩父。丸山鉱泉旅館の付近には、その巡礼道の秩父札所の1番〜10番札所かある。そのため秩父の山を歩くハイカーはもちろん、巡礼道を訪れる人たちも、この旅館に立ち寄る。

内湯は、体がしっかり温まる湯温。
丸山鉱泉旅館のお湯は、普通水の約3倍以上のイオン量を含有している鉱泉で、体が芯から温まり、湯冷めしにくいのが特徴。
常連のお客さんからも冷え性や、腰痛、皮膚病などを和らげ、身体の芯から温まるというのが評判なのだそうだ。

紅葉を楽しみながら浸かれる露天風呂。
実際に入ってみると、内湯は体をしっかり温めてくれる熱めの温度。そして露天風呂は支配人が言う通り、長く浸かっていられる、ほどよい温かさだ。
なにより露天風呂から色鮮やかに染まった紅葉と、武甲山の雄大な眺めが最高だ。
お湯はやわらかく、湯ざわりがよい。体が芯まであたたまり、お風呂から上がった後も湯冷めしにくかった。

丸山鉱泉旅館おすすめの猪肉の陶板焼き。
お風呂から上がった後は、せっかくなので丸山鉱泉旅館のお食事もいただくことに。
支配人におすすめしていただいたのは、猪肉の陶板焼き。疲労回復効果が期待できるビタミンB群が豊富な料理で、ハイキングした後の体に嬉しい食事だ。
ハイキングの後に、旅館の温泉とお食事。心も体も満足して、丸山鉱泉旅館を後にした。

丸山鉱泉旅館に向かう途中のルートから見える、武甲山の景色。
岩菅山は、破線ルートである細尾根を登りつつも、人気が少なくのんびりハイキングをするにはとてもおすすめな山だ。
季節毎に武甲山の眺めが変化する丸山鉱泉旅館で、今度は深緑や雪景色に包まれた景色も楽しみたい。
さて、次の『TOKYO ONSEN HIKING』はどこにしよう。
※1 UL:Ultralight (ウルトラライト) の略であり、Ultralight Hiking (ウルトラライトハイキング) のことを指すことも多い。ULは、ロング・ディスタンス・ハイキングから生まれた手法と思想。長い距離、長い時間を旅するための、必要十分でシンプル&超軽量な道具として生まれ、発展してきた。ULの伝説として語られるのが、1955年、アパラチアン・トレイルをスルーハイキングした (女性単独では初)、エマ・ゲイトウッド (エマおばあちゃん) 。1992年、レイ・ジャーディンが出版した『PCT Hiker Handbook』 (のちのBeyond Backpacking) によって、方法論や考え方が確立された。その革新的な方法論と実験精神は、その後、UL黎明期の1990年代〜2000年代に誕生した多くのULガレージメーカーにも多大な影響を与えた。
※2 実は、TRAILS INNOVATION GARAGEのギャラリーには、アルコールストーブをはじめとしたULギアが所狭しとディスプレイされている。そのほとんどが、ULギアホリックの編集長・佐井の私物。「もともと使うためのものなんだし、せっかくだからデイ・ハイキングで使ってきてよ!」という彼のアイディアをきっかけにルール化した。
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