TRAILS REPORT

HIMALAYA MOUNTAIN LIFE | FOOD Reviews #2 – GHTの村で食べたもの

2018.09.07
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文・写真:根津貴央 構成:TRAILS

グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)のフード・レビュー企画。前回の「キャンプで食べたもの」編につづき、今回は「村で食べたもの」編!

キャンプではお米を中心に、時にはカエルやニワトリもさばいたりしていたけど、村ではどうなのか???

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エリアによって建築様式は異なるが、GHTにある村はこんな雰囲気のところが多い。

前回のように山岳エリアや超僻地ではキャンプをするが、そもそもGHTは生活道がメインのトレイル。だから村を訪れてロッジ泊をしたり、民泊をすることも多い。特に民家におじゃましたときは、現地ならではの料理を食すことが楽しみだったりする。

今回は、その現地料理もふくめて村で食べたものを紹介したい。それは果たして美味しいのか、美味しくないのか? はたまた、食べられるものなのか? 僕らのヒマラヤの食探訪、ぜひお楽しみください。

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トゥンバというネパールの地酒を飲もうとするも、カメラを凝視してしまう村人たち。



朝食は、パサパサもさもさしたパン、のようなもの。



まずは、朝食からいってみよう。ネパールといえば、前回紹介したダルバートをひたすら食ってるイメージが強かったので、てっきり朝食もお米料理かと思いきや、実はパン(のようなもの)だった。

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僕は決まってチャパティ with オムレット。価格は、プレーンチャパティで約300円。オムレット付きで約500円。GHTは奥地にあるため、カトマンズよりも3〜4倍の価格になることが多い。

これは、全粒粉をこねて焼いた『チャパティ』と呼ばれるもの。まあ見た目は、薄いパンというか、ナンというか、ホットケーキというか。でも、実際はパサパサ & もさもさ。たとえるなら、麦こがしとか、あるいは僕の出身地の栃木県の銘菓『きぬの清流』の皮の部分というか、そんな感じかな(たとえがわかりにくいか)。

香ばしくて味は悪くないんだけど、いかんせんパサパサ & もさもさなので喉を通りにくい。たまに、キャンプの時みたいな汁もの系がいいなーなんて思うのだが、なぜかいつもネパール人のガイドが「チャパティいいヨォー、いっぱい歩けるヨォー」とやたら勧めてくるので、だまって食べることにしている。

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村人との団らんも楽しみのひとつ。ちなみにチャパティを勧めてくるのは、左から二番目の陽気なガイド、プラカス。



昼食と夕食は、チャーハンか焼きそば、のようなもの。



次に昼食、夕食はというと、ダルバートはド定番! でも、キャンプ飯でもド定番だけに、村に来た時くらいは別のものも食べたいってもの。

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村では、民家もしくはロッジに泊まる。これがロッジで食堂も併設。食堂だけの利用も可能なので、ランチで立ち寄ることも多い。宿代は1泊100円程度と安く、基本的に飲食で儲けるスタイル。

それでよくオーダーするものが2つある。ひとつは、フライドライス。いわばちょっとスパイシーなチャーハンだ。これはありがたいことに、どこで食べてもある一定のクオリティをクリアーしているので(まずく作りようがない?)、いつも安心して食べることができる。

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ハズレることがほぼない、ミックスフライドライス! 量が多いので、ケチャップで味変させることも多い。価格は、約600円。

もうひとつは、チョウメン。どうやら中国の炒麺(チャオメン)からきているらしいが、まあ要は焼きそばだ。もちろんマサラ(香辛料)がふんだんに投入されているので、しょうゆ味でもソース味でもなく、スパイシー!これまた、あまりハズレがないのが嬉しい。

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お米中心の食生活になりがちなので、たまに麺も食べたくなる。そんなときは迷わずチョウメン。価格は、約600円。

そんなことを言いつつも、人間、安定にあぐらをかいているとだんだん飽きてくるので、たまには冒険したくなる。そんな時は、スパゲッティやピザを頼むべし!案の定、見事にハズレるのだが、それも旅の魅力かもしれない。

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まさか!? と思うかもしれないが、これがピザだ! お好み焼きとしか思えない味に誰もが驚くはず。価格は、約600円。



忘れられない思い出の味は、そばがきとギョウザ、のようなもの。



いちばんの思い出の味は? と聞かれたとしたら、僕は迷わずこの2つを挙げる。

ひとつは、デイロ。はじめて見た時は、「なんだこの泥粘土は???」と思ったものの、意外や意外、これが絶品だったのだ。

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家畜用のエサでも作ってるのかなーと思っていたら……

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これが知る人ぞ知る(ネパールでは一般的)デイロだった。ほぼ『そばがき』なので、まずいわけがない。価格は、約500円。

デイロは、主にお米がとれない地域で食されている料理で、そば粉やトウモロコシ粉をお湯で練ったもの。そば粉でつくったものなんかは、日本のそばがきとなんら変わらない味で、そばの香りとねっとりした食感がたまらなかった。

こちらは、トウモロコシ粉バージョン。付け合わせは、シシヌ(イラクサ)をペーストにしたソース。これが香り高く、さわやかなほうれん草のような味わいで絶品だった。

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トウモロコシ粉でつくったデイロ。これまたトウモロコシの風味がたっぷりで、めちゃくちゃおいしい。民家でご馳走になったので価格は不明。

もうひとつは、モモ。これはほぼほぼギョウザで、具とタレがネパールオリジナル、という感じの料理。

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バフ(水牛)、チキン、マトン、ベジなど、モモの種類はさまざま。店ごとにつけダレが違うが、僕はシャバシャバ系が好み。価格は、約500円。

具はいくつか種類があるのだが、なかでもいちばん好きだったのはバフ(水牛)モモ。ちょっとケモノっぽい感じのクセがあって、肉も硬めなのがお気に入り。僕は「柔らかい=おいしい」否定論者なので、肉に限らずすべてにおいて噛みごたえ重視!(カチンカチンは嫌だけどね)

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ロッジの食堂はこんな感じ。長テーブルがおいてあって、そこで飲食をする。



バターのお茶に、温かいビールに、自家製蒸留酒。



最後にGHTの飲みもの事情を紹介しよう。一般的なのは、砂糖をたくさん入れたブラックティー(紅茶)や、チャイあたりだが、僕らがGHTで印象に残っているものが3つある。いずれも、最初は「ん???」となったが、もう今では大好物!

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村には小さな売店があったりする。ここではスナック菓子やジュースなど、ちょっとしたものを買うことができる。

まずは、バター茶。その名の通りバター入りのお茶である。チベットの代表的な飲みもので、お茶にヤクや羊のバターと塩を入れて攪拌したもの。チベット寄りの村に行くと飲むことができる。

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疲れてる時に飲みたいのが、このバター茶。絶品!ってわけじゃないんだけど、飲んでるとクセになってくるから不思議だ。これは民家でいただいたので価格は不明。

なにせバターが入っているわけだから、濃厚でまろやかな味わいなのかなーなんて思っていたのだが、ひと口飲んでみると、しょっぱっ!!!となる(笑)。そう、味は全くもってお茶じゃない。塩入りバタースープと言ったほうがしっくりくる。

でも、脂肪分とタンパク質を摂取できるので、疲れてる時なんかは、エネルギーがカラダにしみわたる感じがするのだ。

つづいて、温かいビール。もはやその響きからしてマズそうなのだが、いわゆるチベタンビールと呼ばれるお酒だ。現地ではトゥンバという。粟(あわ)などの穀物を発酵させてつくるもので、ストローで飲むのが特徴。

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トゥンバのフタを開けると、中には穀物がぎっしり!一見、飲みものとは思えない。アルコール度数は不明だが、僕の見立てだと10%前後かと。

味は、ビールとはかけ離れていて、ちょっとした酸味とほのかな甘みがある焼酎の水割り、あるいはにごり酒という感じ(あくまで僕の主観)。まあとにかく飲みやすくて、これ日本で出したら女性ウケいいんじゃないなかなーという感じ。

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お湯をつぎたすと、薄まることなくまた同じ味が再現。無限に飲めるんじゃないかと思ってしまうが、僕は2〜3杯目で寝てしまう。価格は、約200円。

しかもこれ、お湯をつぎたしながらずっと(永遠ではないがかなり長時間)飲みつづけることができるのだ。なんてお得なんだ!日本ではなかなか飲めないのでネパールに行った際には、ぜひ試してほしい。

ラストは、ロキシーと呼ばれる地酒。粟(あわ)などの穀物が原料で、味はほぼ日本の焼酎。

僕たちは、これをほぼ毎日のように飲んでいた。安くて飲みやすいっていうのがいちばんの理由。村でも飲むし、村で購入してキャンプ地でも飲んでいた。

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ほぼ焼酎と同じ味のロキシー(アルコール度数は家ごとに異なるが、だいたい20〜30%)。これをネパール人と酌み交わせば、たいがい仲良くなれる。価格は、約100円。

興味深いのは、これが醸造所とかではなくネパールの各家庭でつくられていること。家ごとに味が異なるので、飽きることがない。これを目当てに村を巡っている、といったら言い過ぎだが、毎回楽しみにしているお酒なのだ。

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GHTの村々を巡るのは本当に楽しい。次の村ではどんな食に出会えるのか? それを期待しながら旅している。

以上、フード・レビューはこれにて完結。次回からはギア編を2回にわたってお届けする予定。いったいGHTではどんなギアを使用したのか? 日本の登山やハイキングで使うものとなんら変わらないのか。それともヒマラヤ用の特殊なものを持って行くのか。

いくつかピックアップして紹介したいと思うので、ぜひお楽しみに。

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。2018年4月、TRAILSに正式加入。著書に『ロングトレイルはじめました』(誠文堂新光社)がある。

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