TRAILS REPORT

HIMALAYA MOUNTAIN LIFE | FOOD Reviews #1 – GHTのキャンプで食べたもの

2018.08.29
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文・写真:根津貴央 構成:TRAILS

ヒマラヤのロングトレイル『グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)』を踏査するプロジェクト『GHT Project』。

これまでTRAILSでもムービーを中心に連載をつづけてきたし、イベントなどでも旅の模様を話したりしてきた。徐々にではあるけど、GHTの認知度も上がり、ヒマラヤのトレイルに興味を抱く人も増えてきたように思う。

ただ、「ヒマラヤでなに食べてるの?」「ヒマラヤでどんなギア使ってるの?」と、よく聞かれる。そう、食と道具は、みんな気になるのだ。

というわけで、今回から数回にわたって、GHTにおけるフード・レビューとギア・レビューをしてみようと思う。

GHTってそんな感じなのか!とおもしろがって読んでくれたら嬉しい。

まず今回は、フード・レビューの「キャンプで食べたもの」編から。トレイル上での食事を紹介します。

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2017年、第4弾の旅で歩いたランタンエリア。後方に見えるのがランタン・リルン(標高7,234m)。



食料は現地調達が基本!



よく緻密な食料計画を立てて、日本から厳選したものを持っていってると思われがちなんだけど、実はそうではない。

もちろん、なんにも考えていないわけではない。ちょっとした理由があるのだ。ひとつは、GHTは村々をつなぐ生活道がメインなので、高所登山とは異なり極端な軽量化が必要ないこと。もうひとつは、僕たちの目的は、GHTの踏破ではなく踏査であること。歩ききることは二の次で、GHTの魅力やヒマラヤの文化、人々の暮らしに触れて、それを日本に紹介することに主眼を置いている。

だから、食料は現地調達!が基本スタンス。ネパールのローカルフードを味わうこともプロジェクトにとって欠かせない要素。日本から持ち込むのはちょっとした行動食くらいなのだ。

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エリアによって異なるが、だいたい旅の1/3〜1/2はテント泊。その他は、村での民泊かロッジ泊。



主食はお米。昼と夜はダルバート風の料理。



僕たちはとにかくお米を食べる。調達しやすいのもあるが、行動を共にしているネパール人のガイドとポーターが大のお米好き、というのもあると思う。

もちろん、オーダーすればなんでも作ってくれるのだろうが、ガイドもポーターも同じチームでありファミリーだ!というのが僕らのスタンスなので、いつだって同じ釜の飯を食うことにしてる。

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自炊風景。焚き火で調理することもあれば、バーナーで調理することもある。時短と効率化のために圧力鍋がマストアイテム。

昼と夜は、ダルバート風の料理。ダルバートはネパールの国民食で、マサラ風味のぶっかけごはんとでも言おうか。ダルは豆のことだが、標高の高い村では豆はなかなか手に入らないので、基本的に豆はない。野菜スープのぶっかけごはんがデフォルトだ。

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肉はないものの野菜が多く、これはリッチなほう。ちなみにお皿になっているのは僕の遊び道具のフリスビー。

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プアな時はこんな感じ。てんこ盛りの米が特徴的。一人二合ほど食べる。

トレイル上で、たまに放牧地の牛小屋のご主人が、とれたての牛乳やヨーグルトをおすそ分けしてくれたりする。そんな時は、ダヒバート(ダヒとはヨーグルトのこと)、つまりヨーグルトぶっかけご飯になる。これがまたうまいのだ!(あくまで個人の感想です)

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時には、牛小屋のご主人が牛乳やヨーグルトをふるまってくれることもある。

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新鮮なヨーグルトを使ったダヒバート。僕は大好きだが、他の二人のメンバーからは大不評だった。どちらを信じるかはあなた次第!



タンパク源は、カエルとニワトリ !?



炭水化物ばかり? タンパク質は?と思う人もいるだろう。ぶっちゃけ炭水化物メインなのだが、さすがに長旅においてそれだけだとカラダが持たない。

そこで僕たちがタンパク源として食べるのが、カエルとニワトリだ!

ただ断っておくと、カエルはまったくもって意図的ではない。仲間のネパール人が現地の川で魚を獲ろうとして失敗し(いつもそうだ!)、その代わりにカエルを持ち帰ってくるのだ。

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カエルは香ばしく焼いてから調理する。食感や味は鳥肉のようで悪くないが、難点はちょっと(かなり?)臭みがあること。

ニワトリは、まれに村で売っていることがある。そんな時は、すかさず購入し、キャンプ地でさばいて食す。さっきまで民家の軒先をかけめぐっていた新鮮なニワトリは、本当にうまい!

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仲間のネパール人にとって、ニワトリをさばくのはお手のもの。まずは火であぶって羽根と毛を抜く。



朝食は、食べやすさ重視でおかゆか麺類。



朝は、たいがい前日の疲れが残っていたりするので、そこまでガッツリ食べることはできない。そのため、食べやすいものが多くなる。

ひとつは、おかゆ。どっちかというと、おじやとか雑炊に近い。夜にめちゃくちゃご飯を炊くので、余ってしまうことが多く、それを活かす感じである。

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朝食のおかゆの味付けはさまざま。この時は、たまたま日本から持参していたお茶漬けのもとを投入!

もうひとつは、麺類。特に即席めん(袋めん)はたいていの村で手に入るので、これを食べることも多い。日本でも食べ慣れた味なので(風味はぜんぜん違うけど)、これまた普通においしい。

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こちらがマサラ味が特徴の即席めん。調理せずに行動食としてそのまま食べることもある。



行動食は、おのおの好きなものをチョイス。



不思議とネパール人は行動食を食べない。いや、もしかしたら僕らの仲間だけなのかもしれないが……。行動食をとらない代わりに、朝、昼、晩と三食とも驚くほどガッツリご飯を食べる。そういうスタイルなのだ。

なので、結果的に僕たちもそうなっていることが多い。ただ、特に昼と晩はほぼ同じ料理だし、それが毎日つづくわけだから、だんだん飽きて箸が進まないときもある。

そんな時にのために、僕が日本から持っていっている食料が二つある。TRAILS的にはローカルへのこだわりに加えて、日本の仲間が作ったギアやフードを旅の相棒にするのがいつものこと。かけがえのない仲間と一緒に旅をしている気分がして心強いのだ。

ひとつは、ビバークレーション。これは、お湯を加えてたった2分で食べられるリゾット。1食80グラムで400キロカロリー以上あるため、かなり頼りになる。

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GHTでのビバークレーションの食べ方。左上から時計回りに、開封して味が偏らないよう揉みほぐし→保温カバーに入れてお湯を加え→サコッシュに入れて携行し→お腹が空いた時に食べる。

もうひとつは、トレイルバター。良質な脂質が含まれているので、主に有酸素運動の僕らにとってピッタリのエネルギー源。補給食という感じではなく、おやつ的な感覚でおいしく楽しく食べられるのも嬉しい。

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この時は標高4,000mオーバーで寒かったが、ウェアの胸ポケットに入れておいたら固まることなくすぐに食べられた。

GHTでのキャンプ飯、いかがだっただろうか?

プロジェクトが始まる前は、僕自身、ネパール食にまったく期待していなかったのだが、行ってみると想像以上に美味しくてビックリした。日本食なんてぜんぜん恋しくならない、と言ったらウソになるが、毎年この旅のキャンプ飯が恋しくなるのも事実である。

次回は、GHTに点在する村落で食したローカルフードをレビューしたい。きっと、見たことも食べたこともない料理やお酒が出てくるはずなので、こちらもお楽しみに!

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2017年の旅の終盤。大きな峠を越えて、安堵感に浸りながら焚き火を囲むプロジェクトメンバーと、毎年旅をともにしているポーターのジバン。

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。2018年4月、TRAILSに正式加入。著書に『ロングトレイルはじめました』(誠文堂新光社)がある。

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