栃木 茨城・那珂川 コンスタンティン & TRAILS Crewのパックラフティング2DAYS (前編) | パックラフト・アディクト #81

文・構成:TRAILS 写真:TRAILS、コンスタンティン・グリドネフスキー
この旅では、コンスタンティンをTRAILS Crewが通うホームリバーのひとつである那珂川 (なかがわ ※1) へと誘った。
前回、コンスタンティンが来日したのはコロナ前の2019年。その時は岩手の閉伊川をともにパックラフティングした (詳細はコチラ)。今回は実に6年ぶりのパックラフティングのセッションということで、TRAILS Crewも楽しみにしていた。
コンスタンティンを那珂川へ連れてきた目的のひとつは、伝統的な鮎のやな (簗 ※2) を見せたいということもあった。
今回の旅のメンバーは、コンスタンティンと、TRAILS Crewの小川とトニー、そしてパックラフト・アディクトの仲間であるナカザワ君の4人。
運良く気温が少し下った抜群のパックラフティング日和の、真夏の那珂川。さて、どんな旅になったのか。コンスタンティン & TRAILS Crewの旅を前後編でお届けする。
※1 那珂川:関東屈指のツーリングリバーのひとつ。那珂川は那須岳山麓を水源とした川で、栃木から茨城をまたいで流れ、さいごは大洗町で太平洋へと流れ込んでいる。堰堤や人工物が少ないことから「関東最後の清流」とも呼ばれる。
※2 やな:川の流れをせき止めて、木杭や竹でつくった仕掛けなどで、鮎やマスなどの川魚を捕まえる伝統的な漁法。
DAY1は真夏らしい青空の下でのパックラフティングとなった。
来日したコンスタンティンと、 TRAILS Crewのホームリバー那珂川へ。
コンスタンティンと東京駅で6年ぶりの再会。写真左からコンスタンティン、トニー (TRAILS)、ナカザワ君、小川 (TRAILS)
「また今度、日本に行けることになったよ!」と、コンスタンティンからメッセージをもらったのは7月の中頃のことだった。
コロナ後はなかなか機会がなく、彼が来日するのは実に6年ぶり。東京駅で合流した僕らは、再会の嬉しさからがっつりと強いハグをした。
コンスタンティンは、今回で日本に来るのは5回目。親日家のパックラフターだ。日本に来るときはもちろんパックラフトを持ってきて、毎回、日本各地の川を旅してまわる。
那珂川のスタート地点へ向かうべく、宇都宮駅まで到着。
前回来日した2019年には、一緒に岩手の閉伊川を旅した。
今回はTRAILS Crewのホームリバーをコンスタンティンにぜひ堪能してもらいたい、と考えていた。
ワンデイであれば御岳〜青梅の多摩川に誘ったが、マルチデイのパックラフティングをしたいということだったので、今回は僕らが通い続けている最高のツーリングリバーである那珂川を選んだ。1泊2日でゆっくりとパックラフティング & キャンプをするプランだ。
東京駅で待ち合わせをした後は、新幹線に乗って宇都宮駅まで。宇都宮に到着した後は、駅の周辺のスーパーマーケットに立ち寄り、まずは食料調達だ。
日本のスーパーマーケットを楽しみながら、食料調達。
コンスタンティンは、何度も日本に来ていることもあり、簡単な日本語は話すことができる。
「コレ、ナニナニ??」と、スーパーマーケットでは興味を持った食材を手に持っては質問をする。日本の食べ物は基本的に好き嫌いはなく、なんでも食べるのだそうだ。
食材の調達も完了。購入したものを見ると、コンスタンティンは僕らの2倍くらいの量の食料と飲み物を買い込んでいた。「そんなに買うの?」と僕らが言うと、「2倍食べるから、こんだけお腹も出てるんだよ」と笑わせてくれた。
スーパーマーケットを出ると、スタート地点へと向かう。車中では、ヨーロッパの川と日本の川の情報交換をしたりと、出発前から次に行きたい川のリストが膨れ上がる。
毎回スタートに使うのは烏山線の終点駅の烏山駅だが、今回は少し下流にある生井の渡し址地からスタート。大瀬やな付近の河原で1泊 (DAY1は約6km、所要約1時間半)。ゴールは「道の駅かつら」(DAY2は約16km、所要約3時間半)。道の駅の近くに「御前山」バス停があり、約1時間ほどで水戸駅まででることができる。
那珂川のパックラフティングのスタート。
那珂川のスタートポイントの河原へと下りる。
那珂川ではいつもは烏山線の終点駅の烏山駅からスタートをするが、今回はコンスタンティンに鮎のやなをゆっくりと案内したかったので、少し下流からスタートして1日目の行程を短めにした。
今回のスタート地点の「生井の渡し址地」に到着すると、河原までのアプローチの道を歩いていく。ここのところ35℃を超える暑さが続いていたが、この日は少し暑さがおさまった気温だった。抜群のパックラフティング日和だ。
準備が整い、いざ出発!
真夏の青空の下、川の中に足を突っ込むと、ひんやりとた水が最高に気持ちいい。
河原で早速バックパックからパックラフトを取り出して準備。
パックラフトを膨らませ、荷物をパッキングし直してパックラフトに詰みこむ。さすがみんなパックラフト・アディクトなだけあって、手際よくあっという間に準備がおわる。
メロウなツーリングを楽しむ。
コンスタンティンはホワイトウォーター用のパックラフトで、ぐいぐいと進む。
那珂川はゆるやかに見えるが、しっかり流れがあり、気持ちよく漕ぎ進むことができる。まさにツーリングに最適の川だ。
また大きな瀬もなく難易度も高くない。今回のコースには堰堤などの障害物もないので、途中ポーテージ (※3) で上陸もせず、ずっと漕ぎ続けられるのも那珂川の良いところだ。
コンスタンティンもとても気に入ったようで、「スローすぎず、流れの強さもあるし、川幅も広くて、景色も良くて、最高だね」と喜んでくれていた。
メロウな流れながらも、ちょっとした瀬でパドリングも楽しむ。
※3 ポーテージ:舟を担ぎ上げて、陸路を歩いて障害物を越えること。
那珂川にある、日本で一番大きい鮎のやな場「大瀬やな」に到着。
全国でも1位という大きさという鮎のやな場。
スタート地点からゆっくり漕いで1時間半ほどで、鮎 (あゆ) の名所である大瀬やなに到着。やな場の面積日本1位という、竹と木でできた大きな鮎漁の仕掛けが目に入ってくる。
この那珂川は鮭が遡上する川としても有名だが、鮎の名産地でもあり「漁獲量全国1位」「天然遡上全国2位」だという。
コンスタンティンはすでに「あゆ」という日本語を覚えており、「ここで鮎、食べられる?」とすでに前のめり気味。
やな場におりて、漁の仕掛けを興味深そうに見る。
さっそくやな場に下りて、鮎がいるかチェック。
やなに足を入れると、下 (川底) に向けたすごい水圧がかかっており、鮎が流れてくると逃げられずに仕掛けにかかることが体感できる。
しかしすでにこの日の漁がおわった後だったのか、残念ながらこの時はやな場のなかに鮎はいなかった。ちなみに9月下旬~10月末が、このやなで鮎が多く上がる時期なのだそうだ。
コンスタンティンは、よほど仕掛けにかかった鮎を見たかったのか、翌朝に一人でここに戻ってきて、鮎がかかっているかチェックしにきている。が、そのときも鮎は見られなかった。
やなにかかった鮎は見ることができなかったが、大瀬やなでは鮎の塩焼きを買うことができる。
鮎の塩焼きもここで買うことができる。
こんがりと見るからにうまそうな焼き目が付いた鮎が並んでいる。これは食べずにはいられない。
みんなキャンプ地まで持って行って食べるべく、鮎の塩焼きをそれぞれ購入。日本人パックラフターたちはそれぞれ2尾ずつ購入していたところ、コンスタンティンは4尾購入。やはり2倍は食べるようだ。
DAY1のゴールも間近。パックラフトのバウバック (舟の先端に乗せるバッグ) に、鮎の塩焼きを詰め込んで、本日のキャンプ地へ向かった。
本日のキャンプ地へ向けて最後の一漕ぎ。
メロウながらしっかり流れもある那珂川のパックラフティングはもちろん、伝統的な日本の鮎漁のやなも見ることができて、初日から大満足であったコンスタンティン。
後編では、DAY1の夜の河原でのキャンプから、DAY2の内容をレポートするのでお楽しみに。
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