TRAILS REPORT

第四回 鎌倉ハイカーズ・ミーティング報告

2015.05.01
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■ワークショップ報告3「山と体 マウンテン・ファーストエイド」

ハイカーやトレイルランナーに人気のアルトラやルナサンダルの日本代理店ロータスからは、スカイハイ・マウンテンワークスの北野拓也さん率いるランニング・チームMt. Rokko Hardcoreの一員としても知られ、もと看護士という経歴を持つ高木義宣さんがファーストエイド講座を行ってくれた。

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ハイキングやランニング中の怪我として、いちばん多いのはやはり擦過傷(スリ傷)だろう。傷を負ったときはまず消毒、と考えがちだけれど、実は消毒は必要ないという。消毒液は細菌と共に患部を再生するための組織も壊してしまうので、原則的にしないほうが良いというのだ(衝撃的な事実!)。 細菌は異物に触れたときに初めて傷を化膿させるので、まず大切なことは患部をきれいに洗い流すこと。具体的には患部に付着した異物を小石や木片や小枝など異物や血の固まり等の壊死組織を取り除くことが何より大事だという。そのためにはまず水で洗い流す。真水がいちばんよいが、やむをえない場合はジュースやお茶でもよい。とにかく異物を患部から取り除くことが大事。このとき汗以外のものは傷口にふれるとすべて感染源になってしまうので、高木さんはファーストエイドキットには必ず薄手のビニール手袋を入れているという。また異物の除去には綿棒も非常に使いやすいとか。

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へモスタパッドを手にする高木義宣さん。

次に患部の止血をする。止血に関しては近年登場してきた「へモスタパッド」を高木さんは強く推薦していた。これはアルギン酸カルシウム塩というものを使用した吸収パッドで、圧倒的な止血効果があり傷にも固着しないのだとか。そして患部を被うのだが、こちらでも「ハイドロコロイド包帯」というものを高木さんはリコメンド。非常に薄く通気性もあり、関節に張っても剥がれにくく、これ単品でもキズパワーパットと同じような効果を発揮するという。へモスタパッドやハイドロコロイド包帯を傷のサイズにあわせて切り出すために、小さなハサミもファーストエイドキットには必要だ。傷には消毒液と絆創膏と包帯があればなんとかなると思っていたけれど、まったく間違っていた。さっそくファーストエイドを入れ替えよう。

■ワークショップ報告4「MYOG  自作アルコールストーブを作ろう」

ULの象徴といえば、なんといっても空き缶で作られたアルコールストーブではないだろうか。市販品よりも軽く、安く、さらに自作できるとまさしくULマインドの塊のようなアイテムだ。知らない人には単なるゴミに見える点も何ともULらしい。今回はSanpos’ Fun Light Gearとしてカーボンフェルトや固形燃料のオリジナル・ストーブ制作を行っているサンポさんこと佐藤淳さんによる、空き缶を利用したゴトク不要のサイドバーナー・ストーブ作りのワークショップが行われた。

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空き缶を再利用したストーブとはいえ作るのは難しいと思われるかもしれないが、作り方も非常に簡単。必要な工具もハサミ、缶切り(カッターで代用も可)、画びょう、ホッチキスなどどの家庭にもありそうなものばかりだ(実は缶はハサミでザクザク切れるのです)。ここでは詳しい作り方は解説しないが、寺澤英明さんの『ウルトラライトハイキングギア』(山と渓谷社)にここで作ったサイドバーナー・ストーブの詳しい作り方が写真付きで解説されているし、ネットでも「アルコールストーブ 作り方」などと検索すれば様々なタイプの作り方がたくさん見つかるので、ぜひ挑戦してみてほしい。冒頭で記したように空き缶ストーブはULマインドの象徴だし、MYOG (ギア自作)の入り口としても最適だ。何よりも自分で作った道具は多少イビツでもとても可愛い。

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ともあれ、細かな穴の開け方や設計の違いで火力や燃え方の変わるアルコールストーブの世界はシンプルながら非常に奥が深く、はまりこむと底なし沼なので気をつけてほしい。その後どうなっても当方は責任持てません!

■ワークショップ報告5「シルクスクリーン・ワークショップ」

シルクスクリーン・プリンティングはDIY大国アメリカでも代表的なDIY手法のひとつに数えられている。金のないバンドやショップも3ドルで買ったTシャツにクールなプリントを施せば30ドルで売れるのだから、やらない手はないのだ。機械で大量にプリントすることもできるけれど、やはり手刷りのシルクスクリーンには独特の魅力がある。「鎌倉ハイカーズ・ミーティング」でもHariyama ProductionsとしてULギアの制作を行っている三浦卓也さんによるシルクスクリーン・ワークショップが行われた。さらに用意されたシルクスクリーン判はULハイカーでもある人気イラストレーター/デザイナーのジェリー鵜飼さんによるデザインだったので、常に長蛇の列ができて三浦さんは額に汗してプリントをし続けていた。

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「ワークショップ」とはいえ、実態は参加者が持ち寄ったTシャツやトートバッグなどに三浦さんが次々とプリントしていく大おみやげ制作大会であったのだけれど、安易に会場限定Tシャツなどを販売するよりもずっとダウン・トゥ・アースでハイキング・カルチャーらしいやり方だったと思う。僕も当日朝に慌ててコンビニで買ってきた500円のTシャツが4000円はしそうな代物に化けて大満足だった。

シルクスクリーン自体も太陽精機の「Tシャツくん」シリーズを使ったり(今回のワークショップでも使用されていた)、もっと安い方法でDIYする方法もたくさんある(ググれ!)。紙やコットン製品以外にも、ナイロンや皮など平面ならば何にでもプリントできる。ぜひみなさんも500円で買ったTシャツを4000円にしてメイクマネーしてほしい。

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三田正明

三田正明

1974年東京都国立市出身。2001年に『Title』(文藝春秋)の連載「To The Boy /少年犯罪被害者の旅」でカメラマン/ライターとしての活動を始める。2001年にザンビアで皆既日食を見て以来南アフリカ・ジンバブエ・タイ・インド・オーストラリア・アルゼンチン・ブラジル・メキシコ・トルコ・ネパール・アメリカ・カナダ・モンゴルなどを放浪。これまでに皆既日食を五度、部分日食を二度、皆既月食を一度見ている。次第に旅の途上で出会った大自然の世界に傾倒し、気がつけばヒマラヤや北米大陸や日本各地のトレイルを歩くように。雑誌『スペクテイター』や『マーマーマガジン』を始めとする多くの雑誌にアウトドアにまつわるドキュメンタリーやトラベローグや連載記事を執筆、TRAILSではメインライターとエディターを務める。
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