MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #09

取材・文・写真・構成:TRAILS
『MYOGer Works』では、TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) に集まるMYOGerたちの作品をレポートしていく。
GARAGEでは、どんなMYOGerたちが、どんなギアをMYOGしているのか?
それぞれのMYOGerたちのバックグラウンド(MYOGしたきっかけや動機) と合わせて、各人がMYOGしたギアを紹介する。
今回の#09〜#11では、MYOGer NIGHT #04 (2025年7月開催)に参加した、MYOGerたちによるギアを紹介。イベント当日の様子は、イベントレポートをぜひチェックしてみてほしい。 (記事はコチラ)
MYOGのマテリアル販売、MYOGer向けSCHOOL、MYOGer NIGHTと同様に、この『MYOGer Works』の記事が、MYOGカルチャーの世界観を共有、啓蒙し、新たなUL GARAGE MAKER誕生の健全なブースターとなればと思う。
これからMYOGを始めたい人向けに、GARAGEでは毎月SCHOOLも開催している (詳細はコチラ)。
スポーク / BENJII
スポーク (素材: アクリル。重量5g。製作時間:1ヶ月。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
BENJII:山で飯を食べる時にカトラリーを忘れてしまって、カップラーメンを”飲んで”食べたことがあったんです (笑)。スタッキングしてるときに、ついついカトラリーを忘れてしまうんですよ‥。
それで作ってみようと思ったが、OD缶の底に収まるこのスポーク。サブ (予備) のカトラリーとして忍ばしておけるサイズにしました。
アクリルを手で曲げて作った重量5gのスポーク。
—— これはどのような工程で作ったんですか?
BEJII:最初にアクリルをレーザーカットをして型を作って、その後にアクリルを温めて、その後に曲げていくんです。それでスポーンやフォークの曲線を作っていきます。一つずつ手作りでやってます。
実際に使ってみて、かなり小さなサイズなので、食べづらさはあるので、サブの護身用ってことにしてます (笑)。
MYOGにハマったきっかけ
テントの出入口に不便を感じていた軍物テントに、ジッパーを付けたのMYOGのきっかけ。その後、TRAILSのGARAGEに通うようになり、MYOGを続けている。
バックパック / DAYLIGHT
バックパック (ボディ: X-Pac®。重量:504g。製作時間:2週間。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
DAYLIGHT:2022年にAT (アパラチアン・トレイル) を歩いたのですが、実はこの時は、最初はPCT (パシフィック・クレスト・トレイル) に行く予定だったんです。それで、ベアキャニスターが横に入るサイズのバックパックを作ろうと思ったんです。
ロング・ディスタンス・ハイキング用に、両脇のサイドポケットには2Lのペットボトルが入るサイズにしました。
アメリカでのロング・ディスタンス・ハイキングで使用するためにMYOGしたバックパック。
—— カラーリングも個性的でよいですね。
DAYLIGHT:素材を探して見つけるのが楽しかったですね。構想や素材探しは半年くらいかかりました。
他にも工夫した点としては、フロントポケットは、濡れたツエルトを入れられるように、メッシュの生地で作りました。あとバックパックの中身のボリュームアップに耐えられるように、エクステンション (吹き流し) で容量を拡張できるようにしています。
MYOGにハマったきっかけ
もともと作ることが好き (木工、電子工作等) なので、延長線上に布製品の製作があっただけ。軽量化というよりも、自分の必要と思う機能だけのギアが欲しかった。自分で作る方が安上がりだし、ギアを作る楽しみと合わせて一石二鳥。他の人が持っていない個性的なものが出来上がり、それを使う (見る、見せる) ことも快感。
虫除けオニヤンマ / WAKATAKE
虫除けオニヤンマ (ボディ:トラロープ、ビーズ、熱収縮チューブ、細引き。重量:1g。構想・施策:1~2ヶ月)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
WAKATAKE:農家さんの間で「短く切ったトラロープを身につけていると虫除けになる」というTIPSがあると聞いて、ちょっと工夫すれば面白いものが出来そうと思ったのが製作のきっかけです。
慣れると簡単に作れるのですが、試行錯誤は数か月ほどかかりました。
バックパックに付けて虫除けとして使う。
—— 市販の「おにやんま君」をMYOGバージョンですね。
WAKATAKE:長さは実物のオニヤンマに合わせて11cmにして、トンボの目の色に合わせたビーズを付けることで、「おにやんま君」にも負けないリアルさになったと思います。
シンプルなので耐久性は問題なし。バックパックに付けっぱなしにしてます。
MYOGにハマったきっかけ
自分で欲しい!と思える登山用の小物類を作りたくなり、試作品を作っては周囲の人に譲ってたら、段々と受け取ってくれる人が少なくなり、捨てるのがもったいないので試しにフリマに出したら予想以上に買って頂けた。それで売り物に恥じない品質を目指しミシン教室に通い始め、気づいたらガレージブランドfar glideを立ち上げていた。
ポーチ / TAKASHI
ポーチ (ボディ: X-Pac®。重量:42g。製作時間:1時間半。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
TAKASHI:MYOGを始めて2年くらいなのですが、バックパックから始めて、タープ、シュラフ、ビヴィや、その他にも小物などいろんなものをMYOGするようになりました。
このポーチは、バックパックを作った後に出た端材で何か作ろうと思ってMYOGしたものです。
バックパックのMYOGの端材で作ったブックポーチ。
—— どんな使い方をしているのですか?
TAKASHI:これは日頃から主にブックケースとして使っています。工夫したのは、超分厚い文庫本も、A5版の本も入るサイズにしたことです。
タグのイラストは、彼女がタイベックに油性ペンで描いてくれました。手作り感があって気に入っています。
MYOGにハマったきっかけ
山歩きを始めて1年弱くらい経った頃に、ULとMYOGを知る。既製品を買い足していくか、ミシンを買うか迷った結果、後者を選びMYOGの道へ。もともと手先を動かすのも好きだった。最初にバックパックのMYOGキットから始めて、その後、タープ、シュラフも作ったりと、楽しいMYOGの沼に浸かっている。
バックパック / KISSY
バックパック (ボディ: コードゼロ。重量:460g。製作時間:2ヶ月。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
KISSY:セイル (帆) をリメイクするワークショップに参加して、その時の発表したのたにMYOGしたのが、このバックパックです。
「先人達の模写」というテーマで、パターンはRay-Wayキットを使いました。ちなみにRay-Wayキットでバックパックをつくるのは、今回はで2回目です。
Ray-Wayパックパックのキットのパターンをもとに製作。
—— こだわったポイントはどんなところですか?
KISSY:生地は船のセイル (帆) として実際に使われていたコードゼロという生地で、X-Pacを作る生地メーカーが、X-Pacの前に開発されたという生地です。
完成までは、アウトドアショップの方に、実用に適した仕様についてアドバイスをいただき、手を加えていきました。
MYOGにハマったきっかけ
ジョン・ミューア・トレイルに自作のバックパックで挑戦している方を知り、自分でも自作をしてみたくなりRay-WayキットのバックパックからMYOGを始めた。
腹巻き / NARI
腹巻き (ボディ: (前面) アルパカ混合ウール、(後面) 抗菌PVAスポンジ。重量:124g。製作時間:6時間。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
NARI:ハイキングではバックパックが接する背中側と、お腹側では、汗の状態が変わりますよね。
市販のハイキング用の腹巻きは腹面と背中面が同じ素材のものが多かったので、それなら自分で作ろう!ということでMYOGしたものです。
背中側の記事は、吸水素材で分離して、シェルターの結露を拭くのにも使用できるようにというマルチユース仕様。
—— それで前と後ろで生地を変えたのですね。
NARI:腹側はアルパカ混合ウールを使って保温を。
背中側は汗を乾かすのではなく「吸い取る」のを重視してPVAスポンジを使ってみました。ジッパーで分離することができるようにしたので、マルチユース仕様で、背中側のPVAスポンジはテントの結露を拭くのにも使えるんです。
分離できる仕様なので、今後は素材を変えて、もっと良いものができないか試してみたいと思っています。
MYOGにハマったきっかけ
自分が持つ必要なものを、最小のパッキングサイズで持ち歩きたかったのですが、市販品にはちょうどいいものがないので自分で作ってみることにしたのがきっかけ。当初、作ろうにも勝手がわからず躊躇していたところ、TRAILSのSCHOOLに参加して、基礎を学べたことで、以後さまざまな製作にチャレンジできるようになった。
次回はMYOGer Works#10では、MYOGer NIGHT #04 (2025年7月開催)に参加した他のMYOGerたちの作品を紹介。次回もお楽しみに。
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