山口・錦川 錦帯橋を目指すパックラフティング2DAYS | パックラフト・アディクト #83
文:Fumi Sakurai 写真:Packraft Addicted (Fumi Sakurai, Kenji Habara, Takehito Takashiro, Kota Takahashi) 構成:TRAILS
櫻井史彦 a.k.a バダさん (※1) によるパックラフティング・レポート。今回は、西日本に住むパックラフトアディクトたちと合流して、中国地方屈指の清流である錦川 (にしきがわ) の旅をレポートする。錦川は、山口県は岩国にある、錦帯橋で知られている川でもある。
バダさんは、ULハイカーであり、パックラフターであり、鳥見好きであり、そしてTRAILS編集長佐井に負けず劣らずのギアホリック。hikerbirderというSNSアカウント名から、バダさんの愛称で親しまれている。
今までも「パックラフト・アディクト」の連載を中心に、TARILSの記事で何度も登場してもらってきたバダさんによるパックラフティング・レポート。川旅の話がメインではあるものの、ギアホリックのバダさんならではの偏愛ギアや、新たに試してみたマニアックなギアなども紹介してもらう。
※1 バダさん:本名=櫻井史彦。hikerbirderというSNSアカウント名から、バダさんの愛称で親しまれている。2010年代前半の早い時期からパックラフトにはまって、以来、日本各地を漕いでいる。またギアホリックなULハイカーでもあり、そして鳥見好き (Birder) でもある。鳥見では、TRAILSの以下の記事で登場している。「PLAY!出社前に遊ぼう # 08 | TRAILS × Fumi Sakurai(hikerbirder) 鳥見(とりみ)」

今回、旅した4人。左からタカシロさん、バダさん、ケンジくん、ココタくん。
台風を避けて西へ。岩国・錦川。

メロウな流れを旅できる錦川。
初夏に漕いだ和歌山の古座川・小川を、秋におかわりする計画が台風の影響でポシャる……と寂しいので、急遽、影響ない西のほう、岩国の錦川を漕ぐことになった。計画の変更は西日本にいる仲間が考えてくれて、僕はいいね、楽しみね、と言うだけの任せっきりだ。日本海側の川はどうかしらなどと話しているうちに、より西のほうに焦点が移り、岩国の錦川に決まった。和歌山も遠いけれど、山口県はもっと遠いなぁ。

車窓から見た錦帯橋。2日目のゴールはこの橋を目指すのだ。
秋の行楽シーズンなので夜行バスはもう予約できず、かろうじて新幹線のグリーン席に座れた。自由席のような混雑がないグリーン席は快適そのものだった。新幹線の次は友人のキャンピングカーで大移動。
南国に行くはずが、西国に来てしまった。しかも行き先を変えたら参加できる仲間が増えた。台風の影響がない川に来られただけでオッケー、仲間が増えてサイコー。
今回のメンバーは、過去にこのパックラフト・アディクトの記事に出ている、広島のケンジくん、宮崎のタカシロさん、高知で一二のブランドをやっているココタくん、そして東京からは僕という、日本各地から集まった4人。

1日目は海岸沿いのキャンプ場に泊まる。
初日は移動でおしまいで、瀬戸内海を望む海辺のキャンプ場に泊まった。まだ明るいうちに到着して、椅子を並べて海風にあたる。チル、とか恥ずかしい言葉をオッサンが口にしてしまうのがさらに恥ずかしいが、これがチルだと思った。

キャンピングカーで来たココタ君が、料理を作ってふるまってくれた。
夜になると、自分で買ってきた食材を調理せず、ココタくんが作る料理を食べ続ける。しまいには自分の食材も渡して作ってもらった。
今日は電車を降りたら、キャンピングカーに乗せてもらい、ご飯も食べさせてもらい、自分では何もしなかった。

ココタくんのキャンピングカー。
そして、最後はテントを張らずにキャンピングカーで寝かせてもらい、分厚いマットレスで熟睡した。
錦帯橋で有名な錦川を漕ぎ始める。

錦川のスタートポイントにて。
翌朝から錦川を漕いだ。例によって川を遡りながらゴールとスタートを決める。軽く漕げればいいんでしょ?漕げなくてもキャンプできればいいんでしょ?なんて言いながら、その割に要所要所を細かく見ていく。漕ぐのもキャンプするのも大事だよ。ゴールの錦帯橋から距離と時間を逆算し、やる気と実力も加味して、キャンプ地とスタート地点を決めていった。

中国地方屈指の清流である錦川を、錦帯橋を漕ぐ1泊2日のコース。

錦川沿いの風景を楽しみながら進む。
遠くの台風の影響だろうか、この週末は予想外に暑い。河原に下りたら日陰に入って、荷物をパッキングしたり、舟を膨らました。今回は4人の川旅で、Alpacka Raft (アルパカラフト) OryxとForagerのタンデム (二人乗り艇) 2艇に分かれて川を漕いだ。
川の水量は、台風さえ来なければ少なめ時期なので、部活のように頑張って漕ぐことになるかもしれない。でも、タンデム艇に乗るときはずっとバディと話しながら漕ぐことができるので、思ったよりも苦にならなかった。

タンデム艇でバディと一緒に楽しみがら漕ぐ。
舟を漕いでいると、時折、落ち鮎漁の簗(やな※2)が行く手を塞いだ。よく見ると、簗の中心部に丈の長い笹が挿してあり、その間を舟が通過できる印になっている。秋の清流の風物詩でもある簗を初めて見る仲間は恐る恐る通過していた。

川の途中にある簗。
簗の通路は基本的には漕いで通過できるが、水量が少ないときには笹の節等でパックラフトを傷つける可能性があるので要注意。今回は2箇所ほど舟を下りて通過した。
※2 簗 (やな):川の流れをせき止めて、木杭や竹でつくった仕掛けなどで、鮎やマスなどの川魚を捕まえる伝統的な漁法。
野営地になる河原に到着。

キャンプ地に到着。
残暑のような陽気のなか、水量が少なくあまり変化のない川を部活のように頑張って漕いだ。話しながら楽しく漕いだ。そして、漕ぎ疲れた頃にキャンプ地の河原に到着した。上陸したらテキパキと幕営の準備や薪拾いをするところだけれど、今日はみんなそのまま水辺に立っている。疲れた顔して立っている。けっこう漕いだもんね……そして、そのまま乾杯。

焚き火しながらご飯を食べ始める。
ひと息ついてから、ようやく薪拾いやキャンプの準備が始まった。まだ明るいうちに焚き火を起こして、ゴロゴロして、ご飯を食べようか何をしようかと考えながら、ゴロゴロ。夜は長いから、時間を気にせずのんびりと過ごし、よく話した。
遠く離れて住んでいて、しょっちゅう顔を合わせるわけではないので、それぞれにため込んだ話題を放出して、夜遅くまで話した。そして、いよいよ眠くなってきたら、ビビィにくるまって寝た。誰もタープを張らずに寝ちゃったなぁ。

みんなで夜遅くまで話をした。
2日目、錦帯橋を目指して漕ぎ始める。

2日目のパックラフティングの開始。沈下橋の景色の中を漕ぐ。
翌朝は、夜露に濡れたビビィなどを乾かしながら、ゆっくりと朝食をとった。時間に余裕はないはずなのに緊張感がない。またゆっくりと支度して、再び川に漕ぎ出した。今日のゴールは錦帯橋だ。

AlpackaraftのForagerを漕ぐ、ココタくん (右)、タカシロさん (左)。
昨日と同じような景色が続くが、錦帯橋のある下流に近づくにつれて川幅が広くなり、流れもよりゆっくりとしたものになる。今日も部活のように頑張って漕ぐのだ。疲れてくると、何故だか地図を確認する回数が増える。確認したところで距離が縮まるわけもなく、ただ減速するだけだが、それでも何度も地図を見てしまった。

ゴールの錦帯橋が見えてきた。
正午過ぎ、こんもりとした山に合わせて蛇行する川から山頂を見上げると、小さく岩国城が見えてきた。お城が見えたら、もう少しでゴールの錦帯橋だ。
遠目に見ても特徴的な形の橋が近づいてきた。より一層ゆるくなった流れのなかで、最後は写真を撮りあいながら錦帯橋をくぐってゴールした。

岩国の名所・錦帯橋の下をパックラフトをくぐる。
僕のお気に入りの道具
『LuxuryLite / Ultralight Cot (改)』(ラグジュアリーライト・ウルトラライト・コット)
ウルトラライトと言いつつ1.2kgもあるコットを切り詰めて800gになった。
おじさん世代のULハイカーがちょっと贅沢したいと思ったときに、一度は手にしたことがある(かもしれない)ギアの1つに、LuxuryLite Ultralight Cotがある。実際に手にしてみると、1.2kgもあるし、組み立てるのに苦労するしで、積極利用している人は少なかったと思う。後にTherm A Rest (サーマレスト) が権利を買い、Therm-A-Rest / LuxuryLite UltraLite Cotとして販売されたが、現在は廃盤になっている。
わが家にも使わなくなったLuxuryLiteコットが2つ、箪笥の肥やしになっていた。これを再び使うために解決すべきは、1.2kgもある重さだ。UL界に、単品で1kgを超えるギアは存在してはいけないので、何とかして軽量化するのだ。ということで、切った。単純な構造なので切るしかなかった。
かつてLuxuryLite本家に存在した子供用を参考にして、長さは4分の3程度とし、実寸は折りたたみの本数を減らしたポールの長さに合わせた。ポールに合わせて生地も切り詰め、使用する脚の組合せ次第で800gまで軽量化することができた。
短く切ったコットの寝心地は、思いのほか良い。膝から下の支えがなくなり段差が気になると思っていたが、大腿部の重さで生地がたわみ、上手いことなだらかにしてくれている。マットやリュックを敷けば問題ない程度になった。
軽量化して800gになっても、まだ800gもあるので、ハイキングのお供にはしにくいが、川旅のお供になら持ち出せる。石がゴロゴロした河原でも快適に寝られる、ちょっと軽めのコットを作ることができた。
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