MYOGer NIGHT & MARKET #04 イベントレポート ~ ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT ~ (前編)

文・構成:TRAILS、写真:TRAILS, WAKATAKE
2025年7月。TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) にて、「MYOGer NIGHT & MARKET」が開催された。
MYOGer NIGHTは第4回目の開催、MYOGerによるフリーマーケット「MYOGer MARKET」は今回が初開催となる。MYOGer MARKETに出店したのは、今までGARAGEに通ってくれている個性的なMYOGerたち。みな今までのMYOGer NIGHTにも参加してくれている面々だ。
また「MSR & THERM A REST」のPOP-UP STOREも、同じ週末に同時開催された。
MYOGのギアから、大手メーカーによるプロダクトまで、さまざまなイベントコンテンツが同時並行で開催される、フェスのような会場となった。
今回の記事では、この2日間に開催された、MYOGer NIGHT、MYOGer MARKET、MSR & THERM A REST POP-UPの様子を前編・後編の2回にわたってレポート。
前編ではMYOGer MARKETとMSR & THERM A REST POP-UP、後編ではMYOGer NIGHT#04のそれぞれ詳細なレポートをお届けする。
ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT
「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT」のブースターのひとつであるMYOGer NIGHT。
TRAILSでは、ウェブマガジンだけにとどまらず、オリジナルULプロダクト「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ (※1)」や、GARAGEでのMYOGマテリアルの販売、SCHOOLやMYOGer NIGHTなど、さまざまな形で「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT」の刺激となるブースターを提供してきた。
その根底にあるのは、僕たちが熱狂した実験的でイノベイティブなウルトラライト (UL)というカルチャーだ。
それは2000年代以降に起きた、トレイルカルチャーにおける「メーカームーブメント (MAKER MOVEMENT) 」であり、そこから生まれた極限を探求したギアは、トレイルライフにおいて、自然を読む力や、それに応じたギアの使い方も求め、ハイカーに新たな知恵やスキルも与えてくれた。
新たに「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT」を合言葉に、シーンを盛り上げていくことができればと思う。
トレイルズのオリジナル「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」のバックパック (写真中央)
※1 ULTRALIGHT CLASSICシリーズ: 『Simple × Classic × Super Ultralight』をコンセプトにしたTRAILSのオリジナルの超軽量プロダクトシリーズ。https://thetrailsmag.com/store/archives/67155
※2 メイカーズ・ムーブメント: クリス・アンダーソン (元・WIRED誌の編集長) が『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』のなかでは21世紀の製造業のパラダイムシフトが、ウェブの世界で起こったツールの民主化により起こったことを捉え、それを「メイカーズ・ムーブメント」と名付け、その潮流に大きな影響を与えた。。
※3 ガレージメーカー:英語ではCottage manufactures (コテージ・マニュファクチュアラー) とも呼ばれる。
同時開催のPOP-UP STORE「MSR & THERM A REST」で賑わう会場。
MYOGer NIGHTの週末に同時開催したPOP-UP STORE「MSR & THERM A REST」。
MYOGer NIGHT#04 & MYOGer MARKETが開かれた週末の土日に、「MSR & THERM A REST」のPOP-UP STOREも同時開催された。
会場のTRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) は、MYOGerを始め、GARAGEに通うハイカーや、MSRやTHERM A RESTのファンなどで、会場は賑わった。
POP-UP STORE「MSR & THERM A REST」の展示風景。
会場では、MSRのリニューアルした定番テント「ハバハバLT」や、THERM A RESTのスリーピングマットのラインナップなどが所狭しと展示され、メーカーの展示会のような贅沢な空間となった。
来場したハイカーたちは、展示されたテントを、中に入ってその広さを体感したり、細かな仕様まで触って確かめたり、普段はなかなか設営された状態でチェックすることができないテントをじっくりと見ていた。
メーカースタッフから普段はなかなか聞けないプロダクトの説明を聞ける。
またTHERM A RESTの豊富なスリーピングマットのラインナップもずらっと並び、それぞれのスリーピングマットの違いを、実際に寝転がって比較してチェックできるのも、GARAGEのPOP-UP STOREならではの醍醐味。ごろごろと寝転がる人が頻出した。
またプロダクトを知り尽くしたメーカーPRの西脇さんとリペアも担当している砂川さんが、テントやスリーピングマットの説明やレクチャーをしてくれることも、訪れた人が満足したポイントだったようだ。
スリーピングマットを実際に寝転がって比較するハイカー。
記念すべき第1回のMYOGer MARKETも2日間にわたって開催!
出店したMYOGerたち。写真は2日開催の1日目の出店者。2日間通して以下の出店者が出てくれた。Backpack Researcher / Bad Storage / far glide / FARINE MOUNTAIN CLUB / FIVE BY EIGHT / JITO / sasurafu / tkyma / YAH MAN TRAILS GEAR™️ / yas guess gear。
MYOGer NIGHTに合わせて、週末の土日の2日間でMYOGer MARKETを初開催した。MYOGerたちがハンドメイドしたギアを、作った本人たちから買える、MYOGerによるフリーマーケットだ。
MYOGer MARKETに出店したのは、今までGARAGEに通ってくれている個性的なMYOGerたち。みな今までのMYOGer NIGHTにも参加してくれている面々だ。ブランドを持っていないMYOGerから、自分のガレージブランドを立ち上げたMYOGerまで、MYOGカルチャーのグラスルーツのうねりをつくっているバラエティ豊かな出店者が集った。
MYOGカルチャーの新たなうねりを感じていた僕たちは、ULの道具を自作するMYOGerやULガレージメーカーが生まれるエコシステムがあったら、間違いなくULシーンがもっとワクワクしたものになる、という確信があった。このMYOGer MARKETもまさに「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT」のブースターとなれば、という思いから立ち上げたイベントだ。
TRAILS INNOVATION GARAGEで開催された、MYOGer MARKETの風景。
MYOGer MARKETは、MYOGerたちにとっては、ユーザーに直接、作ったものを販売し、知ってもらうことができる場であり、ユーザーにとってはMYOGerによるハンドメイドのオンリーワンのギアと出会い、作り手本人たちの思いも聞けることができる場だ。
何より「今までに見たことない!」と新たな発見をくれるギアや、個性や偏愛の詰まったワクワクさせてくれるギアを生み出すMYOGerたちの熱量が、会場のボルテージを上げてくれていた。
記念すべき初回MYOGer MARKETの様子を感じてもらうべく、それぞれのMYOGerたちのブースを簡単に紹介してみたい。
■ yas guess gear
2019年に開催した第1回のMYOG SCHOOLの参加してくれた、まさにGARAGEのSCHOOLの「第一期生」であるYASくんが、このときのSCHOOLをきっかけにMYOGを始め、その後立ち上げたyas guess gear。
今回のMYOGer MARKETでは、普段のギア製作で出る端材を使って作った、ECOPAKの蝶ネクタイ (HIKERS BOW TIE) やカードケースなど、yasくんらしいポップなセンスの溢れるギアで出店していた。
■ Bad Storage
パックラフトの相談などでGARAGEに来てくれたJIROさんが、その後SCHOOLなどを通してMYOGにハマり、ついにもともとの仕事を辞めて、ガレージメーカーとしての独立を決意。まさに生まれたてのガレージブランドBad Stroage。
このMYOGer MARKETがガレージメーカー独立して記念すべき初の出店!フレームバックやサコッシュなど、自転車関連ギアを中心に展開を始めている。
■ far glide
GARAGEのSCHOOLにも参加し、MYOGer NIGHT#02でも発表をてくれたWAKATAKEさんによるガレージブランドfar glide。ミシン教室にも通ったりもしながら、スキルを磨いてきたMYOGer。、
MYOGer MARKETでは、カラフルで、サイズ展開も豊富なポーチを出品。丁寧な接客でギアの特徴を説明している姿も印象的であった。
■ YAH MAN TRAILS GEAR™️
第1回から毎回MYOGer NIGHTに参加しくれている、このイベントのムードメーカーの一人でもあるMASAさん。そのMASAさんが立ち上げた「レゲエ好きが贈るガレージブランド」と謳うYAH MAN TRAILS GEAR™️。
現在はさまざまなイベントへも精力的に出店しており、すでにファンもつき始めている。まだ立ち上げ間もないものの、バックパックから小物まで、幅広いギアを製作している。
■ JITO
第2回MYOGer NIGHTで、「ULTRALIGHT CLASSIC」のAWARDをゲットしたJITOさん。第3回のMYOGer NIGHTでも、リサイクルショップで見つけたアルミカップから、カルデラコーンのような風貌とクッカーのシステムをMYOGするなど、独自のセンスが光るものをつくるMYOGer。
今回は、ULセモタレの出品だけでなく、その場で風貌をオリジナルのサイズでカットして、製作してくれるサービスなどを出品していた。
■ FIVE BY EIGHT
前回のMYOGer NIGHTでは、MYOG歴3ヶ月とは思えないほど、きれいに作られたショルダーバックを披露してくれたGOYAくんが立ち上げたFIVE BY EIGHT。
今回出品してくれたものは、DCFにペイントを入れたポーチなど。実は本職のインクの専門知識などを活かしたペイントとなっているなど、自身の強みを取り入れたものをMYOGしている。
■ FARINE MOUNTAIN CLUB
MYOGer NIGHT #03では、メッシュハンモックをMYOGしたもので発表してくれたBENJIIくんによるガレージブランド・FARINE MOUNTAIN CLUB。
出品していたのは、今回のMYOGer NIGHTでも発表した重さたった4g (個体差あり) のスポーク。OD缶の裏にも収まる小ささ。ただ「小さすぎて食いづらさはあるので、サブの護身用」とのこと。
■ Backpack Researcher
大学でバックパックの研究をしていたエンジニアのNENTAさんによるBackpack Researcher。自身の人間工学の知識を活かしたMYOGをしている。NENTAさんも、第1回から毎回MYOGGer NIGHTに参加してくれているMYOGer。
今回のMYOGre MARKETでは、使う人の肩の形状に合う背面形状の原寸型を計測して、それを型紙にするサービスで出品。
■ tkyma
初開催のMYOGer NIGHTでは、Gossamer GearのRiksakをベースにしたバックパックで「ULTRALIGHT CLASSIC」のAWARDをゲットしたKEISUKEくんによるtkyma。
KEISUKEくんの特徴のひとつは、ビビッドなカラーを採用したギア。今回出品したのもカラフルな色づかいの小型ポーチ。ポーチのデッドスペースをなくすべく、ジッパーをギリギリまで上に付ける工夫などが施されている。
■ sasurafu
MYOGer NIGHT#02から連続して参加してくれているYU-ICHIさんが立ち上げたガレージブランド「sasurafu」。
MYOGer NIGHTの度に新しいギアをつくり、それにアップデートを加えてものを製品として出しているYU-ICHIさん。写真右下に写っているのは、今回のMYOGer MARKETに合わせて製作したKibi Porch。ポケットじゃちょっと足りないというときにちょうどよいサイズの、腰にぶら下げたり、肩がけできるポーチ。
2日目に出店したMYOGerとTRAILS Crew。
POP-UP STORE「MSR & THERM A REST」に、初開催のMYOGer MARKETと、MYOGer NIGHTとともに、この2日間を盛り上げてくれたイベントであった。
MYOGer MARKETでは、今までのMYOGer NIGHTに参加してくれたMYOGerたちが出店し、個性と偏愛溢れるMYOGでワクワクさせてくれた。
後編では、いよいよMYOGer NIGHT #04の詳細をレポート。今回のAWARDをゲットしたMYOGや、特別ゲストが登場した会場の様子などをお届けする。
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