MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #10

取材・文・写真・構成:TRAILS
『MYOGer Works』では、TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) に集まるMYOGerたちの作品をレポートしていく。
GARAGEでは、どんなMYOGerたちが、どんなギアをMYOGしているのか?
それぞれのMYOGerたちのバックグラウンド(MYOGしたきっかけや動機) と合わせて、各人がMYOGしたギアを紹介する。
今回の#09〜#11では、MYOGer NIGHT #04 (2025年7月開催)に参加した、MYOGerたちによるギアを紹介。イベント当日の様子は、イベントレポートをぜひチェックしてみてほしい。 (記事はコチラ)
MYOGのマテリアル販売、MYOGer向けSCHOOL、MYOGer NIGHTと同様に、この『MYOGer Works』の記事が、MYOGカルチャーの世界観を共有、啓蒙し、新たなUL GARAGE MAKER誕生の健全なブースターとなればと思う。
これからMYOGを始めたい人向けに、GARAGEでは毎月SCHOOLも開催している (詳細はコチラ)。
JAPANEASEうちわ / MASA
JAPANEASEうちわ (マテリアル: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック。重量28g。製作時間:2時間。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
MASA:DCF (ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック) の切れ端を捨てるのがもったいなく、切れ端のストックを1年以上していたらかなりの量になっていたんですね。それで、パッチワークでテディベア作ろうかなと思ってました。
ちなみに、テディベアのアイディアは、僕が次回のMYOGer NIGHTに持っていくかもしれないので、真似しないでくださいね (笑)。
MYOGしたときの端材として出たDCFで作ったうちわ。
—— 最終的にテディベアでなく、うちわにしたのはなぜ?
MASA:こないだ山へ行ったときに、うちわを持っていったのですが、そのときに豪雨に降られボロボロになってしまったんです。和紙とはいえ豪雨には勝てず‥。
ボロボロになったうちわの骨組みを見てて、「あ、DCFの端切れでうちわ作ったらええやん」と思ったのが、これを作ったきっかけです。
細かい端切れを選んで、ちまちまと縫い合わせる作業がなかなか手間がかかって苦労しました。
MYOGにハマったきっかけ
初めてMYOGしたのは、ボディはタイベックで、ポケットは100均で買ったメッシュ生地を使ったバックパック。しかしこれは使って1日でショルダー部分から裂けて壊れてしまう。その後に、レイウェイのバックパックを作って基礎から学んで、「これ楽しいわっ!」と、どんどんとミシンを踏むことにハマる。失敗も楽しみながらMYOGしている。
アルコールストーブ / SHIGE
アルコールストーブ (マテリアル: クリーム缶、ヘアピン。重量:13g。構想期間:3年)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
SHIGE:妻がアルコールストーブ作りワークショップに参加して、その夜、妻から作り方を教わりました。そのときに作った、五徳兼用で無駄のないシンプルな構造と、空き缶を再利用するアイデアに惹かれたんですよね。
シンプルなアルコールストーブが好きで、「もっと自分らしく、どこまでシンプルにできるかな?」と思い、MYOGしてみることにしました。
五徳にヘアピンを使った、シンプルでユニークなアルコールストーブ。
—— どのようなところでシンプルさを追求したのですか?
SHIGE:構造はとっても簡単で、真ん中にアルコールを注ぐと、ぽっと炎が灯るシングルウォールの非加圧式です。
工業製品みたいじゃつまらないから、五徳には遊び心でヘアピンを使いました。高さは燃焼実験を重ねて、五徳の高さはクッカーの底面と炎の距離をミリ単位で調整しました。まだまだ完成品ではないので、四季を通して燃焼実験と改良を重ねています。
MYOGにハマったきっかけ
アルコールストーブからMYOGを始める。Sanpos’ Fun Lite Gearの、五徳兼用で無駄のないシンプルな構造と、空き缶を再利用するアルコールストーブのアイディアに惹かれて、自分なりにシンプルにしたものを作ったみようと思ったのがMYOGのきっかけ。
バックパック / KEISUKE
バックパック (マテリアル: X-Pac®、シルナイロン1.1oz、パワーストレッチメッシュ、重量:211g。製作時間:4~5日)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
KEISUKE:デイハイキングに最適なサイズで、今の自分に必要な機能を備えたバックパックが欲しくなってMYOGしたのがこのバックパックです。
バックパックの前面・背面と側面を縫い付けるとき、その曲線部分をうまく縫うのに苦戦しました。何度も縫い直しましたが、皺は完全には解消できませんでした‥。
自分にあった使い勝手を追求した、デイハイキング用のバックパック。
—— どのようなところを工夫しましたか?
KEISUKE:またバックパックをを下ろさず歩き続けられるように、ショルダーハーネスに2段のポケットを、またボトムにメッシュポケットを付けて、行動しながら物を出し入れできる収納を配置しました。他にも、コード類を交換可能にしたり、手に入らない部材は自作して、ショルダーハーネスの幅や固定角度にも工夫しました。
MYOGにハマったきっかけ
最初のMYOGはTRAILSのMYOG kitで作ったスタッフサック。鉄工や木工などものづくりやデザイン関連の仕事をしていたのもあって、欲しいものは自分でつくる習慣はある。2023年に歩いたジョン・ミューア・トレイルでは、自分でMYOGしたファニーパックとグランドシートを持って行き、MYOGしたギアで山を歩く楽しみを知った。
傘ホルダー / YAN
傘ホルダー (マテリアル: ナイロンベルト、ベルクロ。重量:63g。製作時間:30分。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
YAN:これは、正式名称は「ジャパニーズ傘ホルダー」というものです。
これを作った理由は、山において「ジャパニーズ・マウンテン・ロウニン・スタイル」を確立するためです (笑)。
独自の世界観が漂う、「帯刀」しているような傘ホルダー。
—— どんなところにこだわりましたか?
YAN:美しく帯刀しているような姿になるように、角度に気を付けましたね。
前回のMYOGer NIGHTで、今回の「傘ホルダー」を含めて三点セットでスタイルとして紹介したかったのですが、とっちらかったので、今回はこの「傘ホルダー」を単品で発表しました。
ちなみにMYOGer NIGHTでの発表のときは、「抜刀」を期待した声を頂きましたが、ホルダーなのでしっかりロックしてるので簡単には抜けません (笑)。
MYOGにハマったきっかけ
最初はスタッフサックを作ってみて、自分でできるじゃん!と思った。その後にストレッチナイロンの生地を買って、ベースレイヤーのTシャツも作ったりしはじめた。他にも既製品のカスタマイズなんかもちょこちょこやっている。
バックパック / FUMI
バックパック (マテリアル: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.43oz、ダイニーマ®︎ グリッドストップ 210D。重量:149g。製作時間:2日。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
FUMI:自分がアタックザックとして使用していたバックパックが200g台だったのですが、もう少し軽くして、かつ「雨具、飲み物、行動食は持って行ける容量にしたい」、「飲み物を直ぐに取り出せるように外にポケットは欲しい」「必要に応じて背面パッドも入れられるようにしたい」という、自分の要望を満たすバックパックが欲しくてMYOGしました。
DCFをメインに使った、シンプルで軽量なアタックザック。
—— 軽くするために工夫した点はどんなところですか?
FUMI:軽さと強度を考慮して、背面部分はダイニーマグリッドストップ、背面以外はDCF1.43ozを選びました。
あと、ほつれ防止のため、テープなどの余分な素材を使用しないで、少しでも軽くするために袋縫いをして処理をしました。
MYOGにハマったきっかけ
もともと既製品のギアの気に入らない部分を少し改良して使用するなど、作ることに興味はあったのですが、自作は難しそうだなと思っていて、素材をどこで入手できるかもわからなかったが、GARAGEのSCHOOLに参加して意外と作れるかもと思ったことがきっかけでMYOGを始めた。
Kibi Porch / YU-ICHI
ポーチ (マテリアル: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 0.8oz。重量:22g。製作時間:1ヶ月。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
YU-ICHI:山ですれ違ったハイカーに声をかける、ちょっとしたきっかけになればと思い、この「Kibi Porch」をつくりました。名前は、桃太郎がきびだんごを渡して仲間をつくっていく姿に由来して付けました。
カラビナを付けて、腰やバックパックに装着できるようにしたポーチです。肩掛け用のストラップも付けて、街歩きや山小屋での貴重品入れにも使えるようにしました。夜はヘッドライトを入れれば、ランタンとしても活躍してくれます。僕にとっては小さな相棒って感じですね。
一見シンプルながらも、ざまざまな趣向が盛り込まれたポーチ。
—— 製作したときに苦労したところはありましたか?
YU-ICHI:最初はソフトタイベックで試作したんですが、サイズ感が決まらずに「あれ?こんなに小さくて大丈夫?」とか、「いや、大きすぎて邪魔だ!」と何度も自問自答しました。ちょうどいい大きさを探すための試作が、約1ヶ月続きました。まさに絶妙なサイズ感との格闘の日々でした (笑)。
MYOGにハマったきっかけ
最初に作ったのはペグケース。シンプルな巾着ではなく、スナップボタンで開け閉めする仕様に。ミシン使ったこともなかったので縫い目はグズグズだが、今もそれが妙に惹かれていて大事に使っている。その後、MYOGにハマり、自分のブランド「sasurafu」も立ち上げ。
次回のMYOGer Works#11では、引き続きMYOGer NIGHT #04 (2025年7月開催)に参加した他のMYOGerたちの作品を紹介。次回もお楽しみに。
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