TRAILS REPORT

New Zealand Long Trail Trip / ニュージーランド、ロングトレイルトリップ

2015.02.27
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ニュージーランドのロングディスタンスハイキング、21日間280kmを綴ったMovieが、TRAILSでもFilmerとして活躍している二人から届きました。ただただ楽しい旅をしたい、というバイブに満ちたハイキング・トリップのMovieです。ロングディスタンスハイキングはフィジカルエリートだけのものでも、普通に働く人にとって縁遠いものでもなく、誰もが手に入れられる最高の旅の形のひとつであることが伝わってきます。南半球のニュージーランドは、クリスマス&ニューイヤーの時期がちょうどハイキングのハイシーズンにあたります。まさにワーキングパーソンにとっても、現実的な選択肢となるハイキング・パラダイスです。

[MOVIE]


■南半球のハイキング・パラダイスに到着

2014年12月14日。ニュージーランド、クイーンズタウンの空港。検閲を通過したテント、ハイキングシューズ、バックパッカーズ・フードなどの荷物を受け取り、僕たちはようやく空港の建物の外へ出ることができた。そして、目一杯に旅の始まりの空気を吸い込んだ。クイーンズタウンの中心部まで移動すると、クリスマスシーズンを迎えた街はトラベラーで賑わい、湖沿いにあるビーチでは上半身裸の若者たちが集まり、街全体が少し浮き足立っていた。

21日間280kmのハイキング・トリップ。4つのトレイルを渡り歩いた。

21日間280kmのハイキング・トリップ。4つのトレイルを渡り歩いた。

ルートバーン・トラックの山岳風景

ルートバーン・トラックの山岳風景


■21日間のロング・ディスタンス・ハイキングの計画書

21日間280km。これが今回の僕たちの旅の日数と、歩いた距離。21日間のうち、移動日やゼロ・デイを除き、実際に歩いたのは16日間。280kmという距離のイメージは、JMT(ジョン・ミューア・トレイル)が約340kmなので、それと比べるとやや少ないものの、ほぼ同等のスケールの旅と想像してもらえばよいのではないだろうか。歩いたエリアは、ニュージーランド南島の南西部にある、オタゴ地方とサウスランド地方の内陸部。このエリアには、ニュージーランドに9つあるグレート・ウォークのうち3つがあり、日本でも有名なミルフォード・トラック、ルートバーン・トラックもここに含まれる。

今回のトランピング・トリップのために作成した旅の計画表

今回のトランピング・トリップのために作成した旅の計画表


■4つのトレイルを渡り歩く旅の始まり

クイーンズタウンからバスで3時間ほど移動し、テ・アナウの街に到着。クイーンズタウンと並んでテ・アナウは、この周辺にあるトレイルの基点となる街となっている。バスを降りると街の中では大きなザックを背負ったトランパーを多く見かける。ちなみにニュージーランドでは、ハイキングをトランピングといい、ハイカーをトランパーという。僕たちはこのテ・アナウから徐々に北上しながら、4つのトレイルを渡り歩くトランピング・トリップを計画した。このエリアでは、基点の街からトレイルヘッドまでは、ほぼすべてがバスでアクセスができるので、トレイルから降りてきたら、そのまま街で食糧の補給をし、夜はモーテルなどに泊まる。そして翌朝にまた次のトレイルへ、というようにして、トレイルからトレイルへと渡り歩いた。ヒッチハイクもトランパーの足として一般的で、僕たちも一部バスが運休したところは、ヒッチハイクをした。

テ・アナウの街から直接歩いてアクセスできるケプラー・トラック。ここからトランピング・トリップが始まった。

テ・アナウの街から直接歩いてアクセスできるケプラー・トラック。ここからトランピング・トリップが始まった。

豊かな苔の世界。ニュージーランドらしい植生の景色。

豊かな苔の世界。ニュージーランドらしい植生の景色。


■長旅でしか得られない、繰り返しの恍惚

一日に30km以上歩いた日は数日しかなく、だいたいは一日20kmくらいのペースで心身の余裕がある状態で歩いていた。時にはその日のうちに歩きとおせてしまうトレイルでも、トレイル・エンドの手前10kmのところにあるハット(山小屋)で、もう一日を余計に過ごしたりもした。ただそこにいる時間を大切にし、トレイル上で寝泊まりをしながら歩き、また次のトレイルをめざし、次の街におり、新たな風景に出会い、それぞれ街の営みに触れ、さまざまな旅人たちと会話をして日々を過ごす。そんなふうに、ひとつひとつの旅の時間を丁寧に扱かっていたように思う。

シングルトラックが延々と続く。無心になって歩いていれば、どこかへ辿り着くだろいうという不思議な感覚にさせてくれる。

シングルトラックが延々と続く。無心になって歩いていれば、どこかへ辿り着くだろいうという不思議な感覚にさせてくれる。


■ニュージーランドのハット(山小屋)・カルチャー

ニュージーランドはハットと呼ばれる山小屋がかなり充実しており、だいたい15~20kmおきにハットが建てられている。ハットは、日本の避難小屋にベッドと調理場が完備されているもの、とイメージするとよいと思う。ハットはニュージーランドのハイキング・カルチャーの特徴づけるものでもあるので、僕らもハットの利用を積極的に旅程に組みこんだ。また僕らはわりと余裕をもって歩いていたので、ハットで過ごす時間も長く、そこで流れている、ゆったりとした時間の感覚や、そこで出会ったハイカーたちとの会話や彼・彼女たちの人柄は、旅の思い出を彩る大事なパーツとなった。

今回の旅で最も印象に残ったMavora。だだっ広い広野の中にぽつんと建つハットでの一夜も、日常から切り離された特別な旅の情感があった。

今回の旅で最も印象に残ったMavora。だだっ広い広野の中にぽつんと建つハットでの一夜も、日常から切り離された特別な旅の情感があった。

ハットでの時間の過ごし方も上手なトランパーたち。ゆっくりと先を急がない旅をしている人が多い。

ハットでの時間の過ごし方も上手なトランパーたち。ゆっくりと先を急がない旅をしている人が多い。


■See you on the trail!

ニュージーランドでは、旅上手で豊かな旅をしている人たちにもたくさん出会った。キャンピングカーでニュージーランドの北から南まで3週間で縦断し、ハイキングをしたり、釣りをして一日を過ごしたり、バックパッカーホテルで3日間くらい逗留し、ローカルな畑の野菜や魚でバーベキューをして過ごしたりというご夫婦。MTBを車に4台積んで旅しているファミリー。60歳になる誕生日を、ソロハイクの道中で迎えたご婦人。トレーラーハウスで湖のキャンプ場に寝泊まりし、キャンプとカヤックの楽しんでいる若者たち。こうした旅人たちと出会っていくと、また違う方法で、自分たちなりのやり方で、再びニュージーランドを旅するイメージで頭がいっぱいになっていた。

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WRITER
トレイルズ

トレイルズ

佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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