TRAILS REPORT

LONG DISTANCE HIKERS DAY 2023 イベントレポート② | HIKER’S MEMORIES

2023.05.10
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構成:TRAILS 写真:TRAILS, LONG DISTANCE HIKERS

前回に引きつづき『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2023』のイベントレポート。

今回は『HIKER’S MEMORIES』というテーマで、実際に参加してくれたロング・ディスタンス・ハイカーたちにインタビュー。このイベントから、どんな刺激を受けたのか、それぞれの視点で語ってもらいました。

1つ目のメモリーズでは、2022年に海外のロングトレイルを歩いたハイカー(CLASS OF 2022)10人。

2つ目のメモリーズでは、このイベントに何度も参加してくれているOB・OGハイカー5人。

総勢15人のハイカーのリアルな想いを紹介します。

15人のハイカーの話を聞きながら、ぜひ『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2023』を追体験してみてください。

メモリーズ1(CLASS OF 2022) : 旅から帰ってきたばかりのハイカー


 
■ 中井康博 – CDT
直接話しかけてくれたお客さんたちの、興味深々なキラキラした目が嬉しかった。

これまでお客さんとして『LONG DISTANCE HIKERS DAY』に参加してきた中井さん。今回は、初めてスピーカーとして参加。

「このイベントは、たくさんのハイカーが面と向かってリアルに情報交換できる貴重な機会だと思います。

これまで自分は、お客さんとして参加したことしかなかったですが、今回、初の登壇者としての参加でした。人前で喋ることを避けて生きてきた自分にとってはチャレンジであり、歩かせてもらった者としての義務感もありました。

ロングトレイルに興味を持ってもらえるように話がしたい。僕ならではの情報を発信したい。言うべきではないこともあるだろう……など、いろいろ自分のなかで整理をして話をさせてもらいました。

伝えたいことが伝わったか不安もありましたが、登壇後、僕の話に共感してくれたお客さんたちが話しかけてくれました。彼らの興味深々なキラキラした目を見てほっとしました」

■ 石井康世 – PCT
ロング・ディスタンス・ハイキングが好きな人たちのお祭り!

今回初参加の石井さん。会場で多くのロング・ディスタンス・ハイカーと話して、また歩きに行きたくなったとのこと。

「今回初めての参加でしたが、会場全体に流れていた『ロング・ディスタンス・ハイキングが好きな人たちのお祭り!』という雰囲気がとても楽しく、心地よかったです。

今回、私は登壇者だったのですが、事前準備を通じて自分の旅を整理することができました。帰国後、自分にとってPCTとはなんだったのか? と整理できずにいたので、非常にありがたいきっかけをいただきました。

実はPCTから帰ってきて、ハイカーシンドローム (※1) に悩み、しばらくロング・ディスタンス・ハイキングはいいかなぁと思っていました。でも、イベントで自分の旅をアウトプットして気持ちの整理がついたのと、こんなにも多様な人や想いを受け止めてくれる一本道のロマンをあらためて感じてしまい、いつかまたどこかに行きたいと思ってしまいました」

※1 ハイカーシンドローム:ハイカーがロング・ディスタンス・ハイキングという長い旅から帰ってくると、その刺激的でディープな毎日が終わってしまうことで、何かしらの喪失感を抱く人が多い。それはまるで熱病にかかったかのようであり、日本では『ハイカーシンドローム』と呼ばれることがある。これはLONG DISTANCE HIKERS DAYのコミュニティで生まれた言葉だ。アメリカでは『Post-Hike Blues』(ハイキング後の喪失感) と称されている。詳しくは、コチラの記事を参照。

■ 飯塚真吾 – AT
「また行けるかな?」という疑問から「また行きたいな!」という希望に変わった。

2022年にATを歩いた飯塚さん。イベントでは、セクションハイキングの魅力をたっぷりと語ってくれた。

「イベントに参加して良かったのは、たくさんのハイカーと話ができたことと、国内外の行ったことのないトレイルに関心を持てたことです。

おかげで、それまでは『また行けるかな?』という疑問を抱きつづけていたのですが、『また行きたいな!』という希望にベクトルを振ることができました。

一番印象に残っているコンテンツは、『トレイルフード』(※2) です。個人的に食事には興味があるし、すべてのハイカーに共通の経験だからです。実際に私もトレイルを歩いている時に、他のハイカーの食事を真似して定着したものも多くありました。ハイカーにとって、とても参考になるコンテンツだと思います」

※2 ロング・ディスタンス・ハイカーは、トレイル上でなにを食べているのか。現地の定番トレイルフードから、軽量化のTIPS、長距離を歩くための栄養術まで、ハイカーがそれぞれの食生活を語るセッション。

■ 宮崎正紀 – PCT
ロング・ディスタンス・ハイキングのリアルタイムの情報が聞ける唯一のイベント。

宮崎さんは、今回スピーカーとして2022年に歩いたPCTの最新エピソードを紹介してくれた。

「これから行く人と、行った人との交流会。交流が1番の楽しみのイベントでした。情報があふれ、多くの人がロング・ディスタンス・ハイキングへ行きやすくなりました。このイベントもその情報の1つではありますが、リアルタイムの情報が聞ける唯一のイベントだと感じました。

個人的には、コンテンツの中でも北欧のLaplandとネパールのGHTの『HIKER’S TABLE』(※3) が面白かったです。

正直なところ、PCTを経験してアメリカのトレイルへ行くことへの抵抗はほとんどなくなりました。しかし、英語圏以外のトレイルはより冒険感がある印象があります。

LaplandとネパールのGHTへ行きたいとは思っているので、英語圏以外のトレイル情報はありがたかったです。現地の旅の生活を感じるような食事や出来事を、写真を交えながら紹介していたのも参考になりました」

※3 HIKER’S TABLE:このイベントの第1回目からつづく、コア・コンテンツのひとつ。それぞれのハイカーが、ロング・ディスタンス・ハイキングで体験したリアルでパーソナルなストーリーを語ってもらうコーナー。

■ 石丸隆司 – CDT
ロング・ディスタンス・ハイキングのシーンが、大きくなっていることを実感。

2019年にPCT、2022年にCDTをスルーハイキングした石丸さんは、次のロング・ディスタンス・ハイキングでは、釣りをするとのこと。

「今年のLONG DISTANCE HIKERS DAYは取り上げるトレイルも多様でしたが、お客さんも北海道から参加してくれた方や、すでにみちのく潮風トレイルやPCTをセクションハイキングしている方がいたり、ロング・ディスタンス・ハイキングのシーンが大きくなっていることを実感しました。

ロング・ディスタンス・ハイキングのシーンやカルチャーを伝え広めようと真剣に考え活動している人たちや、自分が知らないだけで面白いトレイルを歩いている人、楽しそうな遊びをしている人に会えたこと、そして彼らの熱量に触れられて大きな刺激を受けました。

また、コンテンツの中では『釣りとロング・ディスタンス・ハイキング』(※4) が良かったです。次のロング・ディスタンス・ハイキングでは釣りをしようと思っていたので、とてもためになりました。

特に、瀧川朋彦さんがJMTを歩いている時にネイティブインディアンのハイカーから受け取った言葉が刺さりました。だから僕も、その言葉を受け取って釣りをしたいと思いました」

※4 釣りとロング・ディスタンス・ハイキング:「ロング・ディスタンス・ハイキング」 × 「釣り」。旅をしながら釣りをする、というスタイルを実践しているハイカーに、これが最高の組み合わせであることを、存分に語ってもらうトークセッション。

■ 川野直哉 – PCT
お客さんだったハイカーが、翌年には登壇者として参加する。このターンオーバーこそが最大の魅力。

川野さんは、『HIKE YOUR OWN HIKE』のコンテンツで語ってくれた自らの旅は、多くの人からの共感を得た。

「ロング・ディスタンス・ハイキングの『憧れ』と『実現』の間には、大きな隔たりがあります。そんな時、ハイキングに憧れるお客さんが、無名ハイカーの体験談に後押しされ、『あの人が行けたなら私だって行ける』と……。こうした連鎖に私も参加でき、何かをどなたかに受け渡せたのなら光栄に思います。

一番印象に残っているのは、スペシャルトーク『HIKE YOUR OWN HIKE (DAY1:自分の旅の続け方)』(※5) です。私がPCTでリタイアを決めた時、自分を敗者と表現したら、ハイカーに勝者も敗者もないと諭された経験があります。

同じトレイルでも、10人歩けば10通りのハイキングが生まれる。自分の体験は誰かと比較するより、誰かと分かち合ったほうがより輝くのだと、このトークセッションが教えてくれました」

※5 HIKE YOUR OWN HIKE (DAY1:自分の旅の続け方):スルーハイキングを目指して出発しても、途中でケガや山火事などでスルーハイキングをやめる選択をするハイカーも多くいる。そのハイカーはどんな思いや決断で、ハイキングを中断したのか。そして、そこで旅を終わらせるのか、またいつか続きを歩くのか。ハイカーそれぞれの選択について語ってもらうトークセッション。

■ 兵庫伸幸 – JMT
まさに、ハイカーが作る、ハイカーのためのイベント。

人生初のロング・ディスタンス・ハイキングで、JMTをスルーハイキングした兵庫さん。

「みんな、ロング・ディスタンス・ハイキングという行為の中でしか出会えない感情を持っていて、その感情を共有できる仲間たちと、ビールを飲みながら盛り上がる。そんな姿を見ていたら、このイベントはハイカーが作る、ハイカーのためのイベントであり、なんて価値のある場だろうと思いました。

自分はJMTの旅でめちゃくちゃ感動しましたが、さらにそれをはるかに上回る長さ、期間を歩くPCTやAT、CDTなどを歩いたハイカーたちの話を聞いて、一体どんな境地なんだろうとワクワクしました。

アメリカ3大トレイルは働きながらだと難しいよなぁ……と思っていたけど、仕事を辞めずにSECTION HIKINGを楽しむハイカーや、仕事を引退してから旅するハイカーの話を聞いて、自分にとって遠い存在だったものが少し近づきました」

■ 田安仁 – PCT
歩いてきた人、これから歩く人たちのエネルギーをダイレクトに感じることができる。

トレイルでハイカーと意気投合し、ずっと一緒に歩いた田安さん。仲間と歩いたPCTの旅の話をしてくれた。

「会場のいたるところで、行ってらっしゃい! お帰りなさい! とこれから歩きに行く人、歩き終えて帰ってきた人、そして興味がある人たちの距離感が近く、とても楽しかったです。

これまではいちお客さんでしたが、今年は登壇者としての参加でした。話すのは緊張しましたが、自分が歩いてきた道のりをもう一度考え直す良い機会になりました。

特に、過去にPCTを歩いた方々との会話はすごく印象的でした。歩いた人同士じゃないとわからない話、その時感じたものなどを共有することができて良かったです。

正直、2022年にPCTをスルーハイキングし、まだ歩き足りない気がしていました。今回のイベントで、歩いてきた人、これから歩く人たちのエネルギーをダイレクトに感じ、今年ニュージーランドのテ・アラロアに行くことを決めました」

■ 新井篤史&美帆 – PNT
あたかもトレイルタウンにいるかのような雰囲気があった。

夫婦でPNTをスルーハイキングした新井篤史&美帆さん。今回はスピーカーとしてPNTの魅力を伝えてくれた。

「このイベントには、あたかもトレイルタウンにいるかのような雰囲気があります。ロング・ディスタンス・ハイキングから帰ってきたハイカーたちが、トレイルやギアの自慢、他愛のない話を、ビール片手に陽気に話している。どこかトレイルの懐かしい感じを思い出しました。

でも違うところは、これから旅に出る、出たいハイカーが同じ場所にいることです。僕たちも去年は希望に目を輝かせたこれから旅に出る側のハイカーだったけど、今年はその希望に情熱を注ぐ側になっていました。トレイルで受け取った多くのバトンを、少しだけ渡すことができたと思います。

一番グッときたコンテンツは、『HIKE YOUR OWN HIKE (DAY1:自分の旅の続け方)』(※5) です。『スルーハイキング』という呪縛から解放された、本当に心も自由になれた方たちの話は胸を打つものがありました。

自らの意思で終わらせた旅と思いを、表舞台で語ることはきっと穏やかではないと思います。しかし、スピーカーの方々が当時の喜怒哀楽をリアルに伝えてくれて、ロング・ディスタンス・ハイキングの楽しみ方は自由で自分次第、というメッセージを送ってくれたように思いました。

そして、これから歩きに行くハイカーには背中を無理に押さずに、歩く意味をもう一度思い出させてくれる言葉がたくさんあったと思います」

■ 板谷学 – PCT
このイベントがきっかけで、「ハイカー」というアイデンティティに目覚めることができた。

長年PCTに憧れ、60歳にして念願叶ってスルーハイキングをした板谷さん。

「3年振りの参加でとても楽しみにしていましたが、期待以上に楽しい2日間になりました。

参加者から話しかけてもらうことも多く、話せる機会が多かったのも嬉しかったです。また、参加者の方同士で会話が盛り上がっている場面も多く見られたのが、今年は印象的でした。SNSの普及により、繋がってはいるけど直接顔を合わせるのはこのイベントが初めて、という場面もあったのではないでしょうか。

そんな光景を喜ばしく拝見しつつ、ハイカーという言葉、アイデンティティがファッション的な存在にとどまらず、ロング・ディスタンス・ハイカーの骨太な精神的部分が感じられるのが、この『LONG DISTANCE HIKERS DAY』なのかな、という気があらためてしました。『ハイカー』というアイデンティティに目覚めたのがこのイベントで、僕は本当に幸せです。

コンテンツにおいては、海外トレイルのセクションハイキングで、距離は長くても短くても自分で決めて歩けばいい、という提案がとても新鮮に感じました。その手があったな、という気づきでした。加藤則芳さんが生前望まれていたように、日本のハイカーがどんどん海外トレイルを歩きに行く時代になることの、大きなきっかけになると思いました」

メモリーズ2(OB・OG HIKERS) : イベントに何回も参加しているハイカー


 
■ 本間馨 – PCT
イベントの最後「今年、歩きに行く人はいますか?」の声で手のあがった客席を見ると、いつも胸が熱くなる。

お客さんとしても、登壇者としても、何度も参加してくれているPCTハイカーの本間さん。

「登壇者としても何度か参加させていただいていますが、やはり、これから実際に長いハイキングへ旅立つハイカーの期待の高まりを感じられるのが好きです。イベントの最後、『今年、歩きに行く人はいますか?』の声で手のあがった客席を見ると、いつも胸が熱くなります。

個人的に興味深かったコンテンツは、『トレイルフード』(※2) 。ハイカーたちの経験や創意工夫、トレイルでの生活感がにじみ出る内容で、興味が尽きなかったです。はじめてのロング・ディスタンス・ハイキングに行く前も食事内容はとても気になっていたことだったし、ハイキング中もいろいろメニューを試すのが楽しく、永遠のテーマだと思います。

PCTのハイキングから約6年がたち、あのハイキングの体験の延長線上にこの自分があるということを、このイベントを通じてあらためて感じました。自分はいまは長く歩く旅をしていませんが、トレイルの体験やそこで得た感覚が、いまにつながっていることを再認識できたことがすごく嬉しかったです。歩いているときも、いないときも、トレイルから続く道のうえにいるという気がします」

■ 緑川千寿子 – JMT
ネットや本だけでは不安なので、直接質問できたり体験談が聞ける機会は本当に助かる。

緑川さんは、イベントを通じて、自分にとってのハイキングは食がメインだな、とあらためて自分の軸を気付かされたとのこと。

「今ヨーロッパのトレイルのことをいろいろ調べているんですが、聞ける人がほぼいなくて困っていました。ネットや本で調べるだけで不安があるので、このイベントのように直接質問できたり体験談が聞ける機会って本当に助かるな、としみじみ思いました。

一番惹かれたコンテンツは『HIKE YOUR OWN HIKE (DAY2:SECTION HIKINGという選択)』(※6) です。なかでも中野裕樹&歩夫妻の旅の仕方や考え方に共感しました。仕事を辞めずにお休みをうまく使って行く、というお二人のライフスタイルに合った選択は良いなと思いました。あらためて、そんな旅の楽しみ方があったのか! みたいな気持ちになりました。

あと、会場には来れなかったけど紹介された増田純子さん。毎年旦那さんとCDTのセクションを歩いて最終的に繋げていくというエピソード。毎年の恒例行事になっているのが、ご夫婦の日常とハイキングが共存してて素敵だなと思いました。

※6 HIKE YOUR OWN HIKE (DAY2:SECTION HIKINGという選択):セクションハイキングでは、歩く区間をどれだけ長くするか短くするかはハイカー次第。好きなセクションだけを歩くハイカー。毎年セクションを歩いて、何年かにわたってトレイル全体を歩くハイカーなど、さまざまなタイプのセクションハイキングの魅力を紹介。

■ 清田勝 – PCT, CDT, AT, AZT
これだけロングトレイルの世界観を見せられると、つい数日前までいたトレイルに帰りたくなってしまう。

今年アリゾナ・トレイル (AZT) をスルーハイキングし、帰国後すぐに駆けつけてくれた清田さん。雪のAZTにて。

「今までは歩きに行く前に参加していましたが、今回はアリゾナ・トレイルを歩き終えてすぐの参加でした。歩き終えた僕と、これから歩きに行くハイカー。「楽しんできてね!」と同時に「いいな〜」という羨ましさみたいな感情が湧き上がってきました。

今回で5回目の参加となりますが、年々実際に歩きに行くハイカーが多くなっているような気がしています。歩く人が増えるっていいですね!

正直なところ、アメリカから帰国した翌日で、日本に帰ってきてホッとしていたところでした。でもこのイベントで、あれだけロングトレイルの世界観を見せられると、つい数日前までいた場所に帰りたくなってしまいました。もう何かに取り憑かれてますね (笑)。

アメリカ3大トレイルに歩きに行くハイカーが増えていくなか、もっと深く深くマイナーなトレイルを旅したいな、と危ない思考になってしまっています。まだまだ僕の旅は続きそうです」

■ 丹生茂義 – PCT, CDT, AT
このイベントの価値は、ハイカー同士のリアルな交流。これに尽きる。

丹生さんは、このイベント初登場のトレイル『Wonderland Trail』を紹介してくれた。

「いまやロングトレイルやロング・ディスタンス・ハイキングの情報は、メディアを通して入手できますし、SNS等でハイカー同士の交流もできます。

でも実際のところ、それだけでは補えないものがまだまだあることを、このイベントで再認識しました。このイベントの価値は、ハイカー同士のリアルな交流。これに尽きると思います。

個人的には、コロナが落ち着いたことで飲食ブースが復活したことが嬉しかったです。ビール片手にフラフラできて楽しかったですし、アメリカでのトレイルライフを思い出しました。

そして、会場にあふれかえっていたたくさんのハイカーに刺激を受け、また旅に出たいと強く思いました。『ハイカー=自由』だと思っているので、やはり自分はずっとハイカーでいたいですね」

■ 長沼商史 – PCT, CDT, Te Araroa
「あぁ、やっぱハイキング最高じゃん」って、思い出させてもらった。

イベントで、ロング・ディスタンス・ハイキングの素晴らしさを再確認したという長沼さん。

「海外トレイルってどんな感じなの? って人もいれば、今年歩きに行くって人もいるし、毎年のように見かける人たちも、ハイカーたちの話を聞きに来てくれていた。このアホみたいな最高の遊びをわかってくれる人が増えてるのはなんか嬉しいな、と。

一番良かったコンテンツは、『2023 TRAIL TOPICS』(※7)。とにかく今年のアメリカに関しては雪がヤバイので、この辺りの情報とかはすげぇ大事。面白いというよりは大事だし、良かった。

トレイルは変わらずそこにあるし、人は自然には勝てないので最悪今年は諦めるってのもひとつの選択肢。行くのならば、最善の準備と心構えと工夫と情報収集と引き返す勇気を持って欲しい。生きて帰ればそのアウトドアは成功。『これ、行けるのか? 行けないのか? いや、行けるか行けないかじゃない! 行くんだよ!!』ってなった時には、一服して他の方法も考えて欲しい。

自分は、去年から山の中 (里山) の古民家にいることが多く、常に自然を感じていて生活とアウトドアの境目がなくなり、ハイキングしようなんてまったく思わなくなっていた。

だけど今回イベント前に高島トレイルを歩いて、イベントに参加して高島トレイルの話をして、「あぁ、やっぱハイキング最高じゃん」って思い出させてもらった。釣り竿持って歩きに行きたくなった。もろもろ落ち着くのがいつかわからないけど、落ち着いたらウインズ (ウィンド・リバー・レンジ) 行きたいなぁ……」

※7 2023 TRAIL TOPICS:国内外のロング・ディスタンス・トレイルにおける、トレイル環境の最新情報やルール変更を、ハイカーのリアルで最新の情報や、現地のトレイル団体の情報をもとに共有するセッション。


今年、登壇&運営側としてイベントを盛り上げてくれた、ロング・ディスタンス・ハイカーたち。photo by Rockhopper

次回は、『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2023』イベントレポートの最終回。

今年、海外トレイルを歩きに行く (歩きに行っている) ハイカーが登場します。

今回のイベント (事前の準備ワークショップ&相談会も含む) の感想、およびスルーハイクに向けた意気込みを語ってもらったので、お楽しみに。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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