信越トレイル ハイキング&トレイルメンテナンスツアー | ハイカーのライフワークのカタチ
文・写真・構成:TRAILS
後編:トレイルで遊び続けるために、自分たちができること
「ハイカー」というライフスタイルがあるならば、それはハイキングや旅を愛し、それらを可能にしてくれるトレイルや自然に対して、リスペクトをもって生きている人たちのことを言うのだろう。それはひいては、ハイキングやトレイルを通じて、共に遊ぶ仲間とそれを維持してくれている人の営みに対しても、リスペクトすることに通じる。
僕たちは、そんな生き方に憧れ、トレイルや自然環境の維持について、何かアクションできることはないかと考えている。アクションというと大げさかもしれないが、素晴らしい体験や考えを与えてくれる自然やそれを維持している人々へ、なにがしかの恩返しやサポートをしたいと思っている。
販売利益の25%が信越トレイルの維持に寄付されるPOINT6のソックス
POINT6×信越トレイル。POINT6の本国アメリカのロングトレイル以外では初めてとなるサポートモデルとして、信越トレイルモデルが誕生した。
このニュースが発表されたのは、ちょうどこの記事が掲載される直前だった(2017年8月3日より発売開始)。このソックスは、販売利益の25%が信越トレイルの保護・維持のためにNPO法人信越トレイルクラブに寄付される。ロングトレイルのカルチャーに共感をもっている人にとって、トレイルを守るアクションにも参加できるステキな1足だ。
「POINT6 / 信越トレイル サポートモデル(ST Light Crew)」
デイハイキングからマルチデイハイキング、街での日常使いにも快適な、使用シーンの広いモデル。
素材:ウール 63% / スパンデックス 5% / ナイロン 32%。MADE IN USA。本体価格2,650円(税抜)。
販売店: 弊社サンウエストオンラインストア / [長野県] ビジターセンターなべくら高原・森の家(信越トレイルクラブ事務局)、信越トレイルオフィシャルホームページ / [東京都] Hiker’s Depot・さかいやスポーツ・アークテリクス東京銀座 / [新潟県] WEST各店(新潟・三条・上越)・パーマーク / [宮城県] あしの豆 (2017年7月31日時点。販売店は随時拡大中)
POINT6は、スマートウールの創業者があらたにつくったソックスメーカー(創業者=ピーター・デューク&パティ・デューク夫妻)。POINT6の本国では、すでにアメリカの3大ロングトレイルを冠した同サポートモデルシリーズが存在している。今回、信越トレイルは、アメリカ以外のロングトレイルとしては初めてサポートされることになったが、これは日本でのPOINT6の輸入代理店であるサンウエストさんによる尽力があって実現できたものだ。
アメリカのロングトレイル同様、信越トレイルはボランティアによる整備活動で維持されている。日本では、トレイル整備に限らず、今やさまざまなかたちでボランティアという活動が広がっている。ボランティア、あるいは「やさしさ」とは、相手のためのみならず、広義には自分の住む世界がよりよくなるための行ないであると思う。社会問題の解決だけでなく、アウトドアや遊びの世界にも、多種多様な「ボランティア」が広がってきている。アメリカの場合にはドネーション(寄付)の習慣が根付いており、同じサンウエストさんが扱うハンモックメーカーのENO(イーノ)にも、購入するとその内の一部が「PCTA」や「Leave No Trace」など、アメリカのトレイル管理団体に寄付されるモデルもある。
自分たちの遊び場は自分たちで守ろう
トレイルを維持していくには、なによりそのトレイルを「歩く」ことが大きな貢献になる。それ以外にもトレイルを守っていくアプローチはいろいろある。トレイルの情報提供をしたり、トレイル整備に参加したり、ドネーション(寄付)を送ったり。北根室ランチウェイでは、将来のトレイル維持の費用を募ってクラウドファンディングを実施し、目標金額の300万円を超えるお金が集まった。
当たり前だと思っている今のトレイルも、存続するための営みがなくなれば、次第に荒廃していく道をたどることはまぬがれない。信越トレイルに限らず、「自分たちの遊び場は、自分たちで守ろう」というアクションが広がれば、自然も人との交流も、もっと多様で豊かなトレイルカルチャーが育まれていくのだと思う。
ハイカーズデポ店主の土屋智哉さんも、今回の「信越トレイル ハイキング&メンテナンスツアー」を終えて、こんなことをSNSで発信していた。
「ハイキングも、メンテナンスも、トレイルタウンも、どれもがハイキングカルチャーをカタチづくる大事な要素です。それをみんなで一緒に楽しんだよくばりな2日間でした。
クライマーがリボルトや岩場の清掃活動などのアクセス問題に取り組むように、トレイルランナーが地元のトレイルの清掃活動をするように、サーファーがビーチクリーンに取り組むように、こうしたアクションが義務感ではなく、楽しみを伴うものとして、様々なアウトドアシーンでもっと定着していくともっと楽しいシーンになるはずです。力不足ではあるけれど、うちも今まで通り、これからも毎年毎年、このメンテナンスを心待ちにできるよう、楽しみながら続けていきたいものです」
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