TRAILS REPORT

パックラフト・アディクト | #18 Packrafting WomenのABC(TIPS編)

2019.02.13
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文・写真・構成:TRAILS

ついに、『Packrafting WomenのABC』3部作のラストを迎えました。

前回のギア編からずいぶんと間があいてしまいましたが、前回取り上げることができなかったウェアリングについてや、女性向けのTIPSなどを紹介します。

今回は、これまでとは趣向をかえて、座談会スタイル。女子会みたいにワイワイ楽しみながら、それぞれの本音を語ってもらいました。

これからパックラフトを始めたい人や、まだ始めたばかりの人に役立つ内容をお届けしたい!という思いから、レギュラーメンバーの3人(まみちゃん、ゼニー、カズ)に加えて、去年パックラフトを始めたばかりという高瀬さんも招待。

高瀬さんからの素朴な疑問に、パックラフティング・ウーマンはどんなアドバイスを送るのか。そんなやりとりも楽しんでもらえればと思います。

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今回の座談会メンバー。左から、TRAILS編集部のカズ、ゼニー、高瀬さん、まみちゃん。



そもそもパックラフトの魅力ってどこにあるんだろう?



カズ:そもそも、みんなパックラフトにハマったきっかけってなんですか?

まみ:これまでハイキングばかりだったこともあって、遊びの世界が広がった感じがしたんです。あと、そんなに技術がなくても楽しめる、というのが合ってるのかもしれません。カヤックも体験したことはあるんですけど、体重のかけ方とか、バランスのとり方とか、けっこう難しいなと思って。その点、パックラフトは程よいというか、自分のレベルに合っている気がします。

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まみちゃんは、パックラフティングが自分の能力や体力に合っているアクティビティだと感じて、楽しみ続けている。

ゼニー:私は夫と行った四国お遍路の旅かな。歩いたセクションの一部が、道と並行して川が流れていて。じゃあここをパックラフトでくだってみよう!となったんです。事前に宿にパックラフトを送っておいて、降りたところからまた送り返して。パックラフトって旅の道具なんだ!と思えたのが大きかったですね。

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ゼニーは、四国お遍路で、旅の道具としてのパックラフトの魅力を体感した。

高瀬:私はまだ始めたばかりですが、興味を持ったきっかけは、TRAILSのパックラフトの記事を読んだことで、決め手になったのはご近所さんの小川夫妻(TRAILS編集部の小川)に勧められたことですかね。ちなみに、旅ができるってところにはかなり憧れがあります!

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高瀬さんは、去年、旦那さんと一緒にパックラフティングを始めたばかり。昨年はサニーエモーション(後述)のエントリー者向けツアーに参加。今年は舟も購入し、自分たちだけでのダウンリバーが目標。

カズ:私も、ハイキングとの組み合わせが面白いと思っていて。パックラフティングだけだったら続けていなかったかも。クルマでいけないところにハイキングで行って、さらに歩きでいけないところをパックラフトで行く。そんな旅のロマンがある。

ゼニー:あとは、背負って運べるからカラダとの同化感、一体感があるというか。デスクトップのPCを持っていくんじゃなくてケータイを持っていく、みたいなね。

高瀬:ポータビリティ! 時代に合っているのかもしれませんね。



沈(フリップ)はダメじゃない。むしろしたほうがいい。



カズ:高瀬さんって、ギアの購入で困ったこととかあります?

高瀬:ちょうど、PFD(ライフジャケット)を買おうと思っているところなんですが、フロントがシンプルで再乗艇しやすいモデルがいいのかなと思ったり。再乗艇って難しいですよね?

まみ:再乗艇はPFDにかかわらず難しいです。私も、一緒に行った人に手伝ってもらったりしています。落ちて焦ってる時はなおさらできないので、課題のひとつですね。

カズ:でもまみちゃんは、めったに落ちないよね?

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座談会では、まみちゃんのリアルな経験談がすごくためになった。

まみ:それが落ちるんですよ(笑)。むしろ落ちないのは良くないと思っていて。そうなると落ちるのがすっごく怖くなる。定期的に落ちて慣れておいたほうがいいです。

ゼニー:サニエモ(※)にみんな行ってるからわかると思うんですけど、沈するとみんなめっちゃ笑うじゃないですね。「アハハハハーッ、やったねー!」って。それはバカにしてるとかじゃぜんぜんなくて、チャレンジした証だね、というニュアンスで。落ちたり失敗したりするのが当たり前ってことに気づきました。

※サニーエモーション:日本初のパックラフティングのガイドカンパニー。アルパカラフト(ALPACKARAFT)の輸入代理店でもある。少人数制で、未経験者の講習から上級者向けのルートガイドまで、随時ツアーを開催。エントリー層向けのツアーは主に安曇野エリアにて。



女性はチカラがないぶん、早め早めの対応が大事になってくる。



高瀬:パックラフトって、行きたい方向に進むのに時間がかかりませんか? こっちに行きたいのに別の方向に行っちゃったりして。女性は男性に比べてチカラがないぶん、どうカバーすべきなのかなと。

ゼニー:漕ぎ疲れますよね。男性のほうが筋力もあるし、体重もあるから安定性が高い。だから女性は、いかにチカラを使わずに済むかを大事にすべきだと思います。そういう点では、まみちゃんはすごくラクに漕いでますよね。

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「私は、背も高くて腕も長いから、一般的な女性よりもバランスが取りやすいみたいです」とゼニー。

まみ:チカラがないから急な方向転換はできないんですよね。それがわかっているから、早めに向きを変えておこう、早めに漕いでおこうというのは考えてます。今ここでこうしよう、というのは、慣れてくるとわかってくるんですよね。

カズ:たしかに、判断が遅いと失敗しちゃいますよね。

まみ:でも、間に合わなかったーっていうのはぜんぜんありますよ(苦笑)。やってみて、今のはちょっと違ったなとか、行きすぎた、足りなかったとか、その都度振り返ってはいます。その繰り返しですね。



川に行けば行くほどコツがつかめるようになる。



カズ:特に始めたばかりの高瀬さんは知りたいと思うんですけど、ぶっちゃけうまくなるにはどうしたらいい?

ゼニー:私も知りたい(笑)。

まみ:私も知りたいです(笑)。

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パックラフトについて、こうやって女性同士で話し合う機会は少なかっただけに、それぞれいろんな気づきがあったみたい。

ゼニー:ひとつは、フェリーグライド(※)がちゃんとできるようになることじゃないですかね。それができれば、ストリームイン(※)もサーフィン(※)もできるわけで。あとは川に行けばいくほど上達するので、高瀬さん、御岳近いから通ったほうがいいですよ。

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御岳エリアは、まみちゃんやゼニー、カズのホームリバー。

まみ:私も、最初は本当にぜんぜんダメだったんです。でも、負けず嫌いなのもあってか、月1回サニエモに通ってその他の週は御岳をくだりにいく、っていうのをしばらく続けたおかげで楽しめるようになりました。ツアーに参加したほうがどんどんうまくなるのはたしかです。怖さもなくなるし、技術も身につく。

カズ:ツアーに加えて、いろんな仲間と行くのもいいよね。それで、マネできるところはマネてみる。

ゼニー:女性だけのパックラフトもいいですよね。男性も参考にはなるけど、やっぱり女性とは違う部分もあるし。チカラがあるからできるんだな、と思うこともありますからね。

高瀬:練習あるのみですね!

カズ:今度は、みんなで泊まりがけで行きましょう!

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「川のレベルと自分のレベルがぴったりマッチすると、すごく楽しいよね」と語るカズ。

※フェリーグライド:水の力を利用して、流れの中で左右に移動するテクニック。船首(バウ)を斜め上流に向け、ボートの底で流れを受け止めながらパドリングし、水の力を使って効果的に横方向にスライドする技術。
※ストリームイン:エディ(水がとどまり渦巻いている箇所)から出て流れに乗ること。フェリーグライドの要領で上流方向に漕ぎ、ボートの底で流れを受け止めることができれば、速い流れに安定して合流、急加速ができる技術。
※サーフィン:ウェーブに乗り、波をうまくつかんでバランスを取ることによって、その場で停止しつづけること。



パックラフティング・ウーマンたちの春〜夏にかけてのウェアリング。



カズ:これから始める人がまず悩むであろう、春〜夏にかけてのウェアリングについて。高瀬さんはどうでした?

高瀬:最初に買ったのは、ファイントラックのフラッドラッシュタイツ(※)。買ったのはそれだけで、あとはハイキングで使っていたものですね。シューズも、穴が空いちゃって捨てようと思ってたトレランシューズ。誰かに「それパックラフトで使えるよ!」って言われたんです。

あとは、水着必要? って思ったんですよね。というのも、初めてサニエモ行った時に、普通にジャブジャブと川に入ってくじゃないですか。正直ビックリして。じゃあ、水着みたいなのが必要なのかと思って、試しにユニクロでスクール水着みたいなのを買ったら、パックラフトをやってる旦那にすごくビックリされて。「バカじゃねーの?」って(苦笑)。

※フラッドラッシュタイツ:ファイントラックが作っている、ウォータースポーツ用の保温&撥水ウェア。より薄手のラピッドラッシュタイツもあるが、女性は厚手のフラッドラッシュがおすすめ。

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高瀬さんが、誰も想像すらしていなかった水着の失敗談を披露して、場が盛り上がる。

ゼニー:濡れるから乾きにくいのは良くないですけど、基本、ハイキングと変わらないですよ。アンダーに関しては、結局なかに水が入ってくるので濡れるんですよね。だから私の場合は、濡れた下着を持ち帰るのもイヤだし、下はフラッドラッシュタイツのみ。着替えの下着は持っていきますけど。

まみ:たしかに着ないのもありだなと思ってはいたのですが、実際にやっている人がいるとは(笑)。

カズ:ベースレイヤーは濡れても保温性が失われにくいウールの上下と、下着はパタゴニアの速乾性が高いもの。温泉行ったら、2人ともほぼ同じだったよね。

ゼニー:フーディニのワンピは超便利。これが1枚あれば、あとは下に薄手のハイキング用タイツだけあれば済む。かさばらないし、町でもそのまま過ごせるのでラクですよね。

カズ:超便利だよね。私も持ってる!速乾性が高いし、ゆったりしたAラインのデザインで着心地がいい。

<ゼニーのウェアリング>
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【Paddling clothes】
[ベースレイヤー(上)] ibex / Ws OD Heather Crew, [Tシャツ] patagonia / capilene lightweight T-shirt, [パドルジャケット] Kokatat / GORE-TEX Pullover(フードは折りたたんで使用), [パンツ] patagonia / Baggies Shorts, [タイツ] finetrack / FLOODRUSH Tights, [アームカバー] Outdoor Research / spectrum sun sleeves, [サングラス] Float / Hiker’s GAIA 2nd & Urban Galaxy Sunglass
【Extra clothes】
[ワンピース] Houdini / W’s Trail Shirt Dress, [ウインドシェル] Houdini / Come Along Jacket

カズ:ちなみにまみちゃんとかは、ゴールしたあと、どうやって着替えてる?

まみ:濡れているから脱ぎづらいし面倒ですよね。でも着替えないのはイヤなので、トイレがあれば利用するし、なければレインスカートをかぶってその中で着替える感じです。

<まみちゃんのウェアリング>
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【Paddling clothes】
[ベースレイヤー(上)] icebreaker / merino wool 200 half zip, [タンクトップ] Smartwool / merino150 Base Layer Tank, [パドルジャケット] MTI Adventurewear / 不明, [パンツ] prAna / short pants, [ベースレイヤー(下)] ibex / wooles 200 bottom, [ソックス] finetrack / RAPIDRUSH Socks
【Extra clothes】
[ウインドシェル] patagonia / Houdini jacket, [Tシャツ] ibex / OD Heather T, [タンクトップ] ibex, [パンツ] Teaton Bros / Taperd Pants
【Others】
[サングラス] Float / URBAN GARLAXY POLARIZED MIRROR LENS ASTRA GRAY, [日焼け止め] Sinn Purete / Perfect UV Milk Protection

カズ:私は最近、大きめサイズのウェアを着て、その中で下着を脱ぎ着するようになってから、少しラクになったかな。

<カズのウェアリング>
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【Paddling clothes】
[ベースレイヤー(上)] ibex /Odyssey Henley nyron core, [パドルジャケット] LOTUS DESIGNS / Paddle Jacket, [パンツ] patagonia / Baggies Shorts, [タイツ] finetrack / FLOODRUSH Tights, [ソックス] Sealskinz / Mid Weight Mid Length Socks
【Extra clothes】
[ワンピース] Houdini / W’s Trail Shirt Dress, [ベースレイヤー(下)] icebreaker/200 OASIS LEGGINGS
【Others】
[サングラス] Oakley / Frogskins Summit Collection(Limited Edition), [日焼け止め] ナビジョンDR / TAホワイトプロテクトUV

カズ:あと、夏の冷え対策って要らないようで実は必要だったりしますよね。

ゼニー:気温によるんですけど、私はアームカバーを使ってます。ある程度の保温性がありつつも、通気性が高く熱も逃してくれるので涼しさもある。

まみ:濡れると冷えるので、私はパドリングジャケットを必ず着ています。

ゼニー:ソックスは、撥水性に優れたファイントラックのラピッドラッシュソックス。夏の気温が高いときでも、素足でシューズを履いていると足から冷えてしまうんですよね。薄手のソックスでも、肌にダイレクトに水が触れるのと比べて冷えを抑えられます。

まみ:私はサンダルを履くことも多いんですが、ソックスは足の保護にも役立ちます。



女性ならではの日焼け対策



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まみちゃんの『Sinn Purete / Perfect UV Milk Protection』(左)とカズの『ナビジョンDR / TAホワイトプロテクトUV』。

カズ:日焼け止めって、なに使ってる?

まみ:日焼け止めって2種類あるじゃないですか。紫外線を吸収して分解するタイプと、ブロックするタイプ。前者はそれがきっかけで肌荒れする人もいるらしいっていうのを化粧品屋さんに聞いて、私も変えてみたんですが割と調子がいいんですよね。

あと日焼け対策として、サムホール付きのウェアを着て、手の甲をカバーするようにしたりしています。グローブのほうが隠せるのですが、パドルを握りにくくなるのが私はイヤでグローブは使っていないんです。

カズ:私も吸収剤が入ってないもの。それに加えて、飲むタイプの日焼け止め(サプリ)も飲んでいます。

ゼニー:私は、スタティックブルームの『森で、日やけ止め』。パックラフティングの時って、日焼け止めがどんどん川に流れるじゃないですか。魚さんたちに申し訳ないなと。それでノンケミカルで環境に優しいこの商品を使うようになりました。

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多摩川を悠々とくだっていく、まみちゃんとゼニー、カズの、パックラフティング・ウーマンの3人。いったい次は、どの川を旅しにいくのでしょうか。

3回にわたってお届けした『Packrafting WomenのABC』、これにて完結です。

パックラフトは男女問わず楽しめるアクティビティです。そして、あなたのアウトドアライフの世界を広げくれる、新たな旅のツールでもあります。

この記事を通じて少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひパックラフティング・ウーマンの第一歩を踏み出してみてください。Go Packrafting!

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パックラフト・アディクト | #12 Packrafting WomenのABC(ダウンリバー編)


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トレイルズ

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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