TRAILS REPORT

SKI HIKING | #04 BCクロカンで旅する、春の信越トレイル

2019.05.08
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文:根津貴央 写真・構成:TRAILS

BCクロカンならば、春もSKI HIKINGを楽しめる! ということで、今シーズンTRAILS編集部crewは、ギリギリまで雪山を楽しんできました。

いつもは初夏か秋に訪れている信越トレイルを、雪景色の中でハイキングしてみたい。今回、ずっと思っていたそのトリップ・プランを実行。そんな信越トレイルのBCクロカンによるトリップ・レポートをお届けします。

今回の旅のメンバーは、TRAILSの小川と根津、そしてBCクロカンでガンガン遊んでいる、名古屋のアウトドアショップ『MOOSE』のケースケさん(石田啓介さん)の3人。

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左から、TRAILSの根津、MOOSEのケースケさん、TRAILSの小川。

ちなみにケースケさんと僕(根津)の付き合いは長く、そもそも彼が主催している講習会をきっかけに、僕はBCクロカンにハマったのです。

4月初旬、TRAILSメンバーとケースケさんの3人は信越トレイルの起点である斑尾に集合。BCクロカンで1泊2日のハイキング&キャンプに出発しました。

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信越トレイルの斑尾のトレイルヘッドで、クルマからギアを取り出して、さあ出発!



BCクロカンなら、春の信越トレイルも楽しめる!



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今回のルートは「まだらお高原 山の家」を起点としたループコース。距離は約10km。希望湖(のぞみこ)で信越トレイルに入り赤池まで行く予定だったが、赤池周辺はアップダウンが多く想定より時間がかかりそうだったので、沼の原湿原を通って戻ることに。

BCクロカンは、基本的に雪上を歩くためのギア。冬に比べて春は気温が高くなるので、雪が湿って緩んでくる。冬のカチカチの雪よりもグリップが効いて歩きやすく、かつ冬よりも少しザラメ状になるので板の操作がしやすく滑りも最高! そんなわけで、春はBCクロカンにはもってこいのシーズンというわけ。

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春は雪が適度に緩んでいるので、スムーズに歩くことができる。スノーシューよりもはるかにすいすい進む。

しかも、豪雪地域にある信越トレイルは、冬はアプローチすることすら難しい。それが春になると雪もほどよく解けてきてトレイルに入りやすくなる。

それで今回、僕たちは春の信越トレイルを歩くことにしたのだ。とはいえ、TRAILS編集部の小川も根津も、BCクロカンは初心者。

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MOOSEのケースケさんは、テレマークスキー、アルペンスキーの経験も豊富なだけに、BCクロカンもお手のもの。

ちょっと不安だったこともあり、以前から根津とプライベートでも付き合いのある、『MOOSE』のケースケさんを誘ってみた。ケースケさんは、以前このあたりをBCクロカンで旅したことがあるということで、今回のリーダー的存在だ。



雪があるからこそ通れるルートを探して進んでいく。



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夏は通れないようなルートも、雪があるからこそ歩くことができる。

この時期は雪があるので、当然ながらトレイルは埋まっていて、トレースしていくのは難しい。でもだからこそ、トレイルに縛られずに自由に、自分なりのルートを描くことができる。

BCクロカンで行きやすいところを探しながら、ケースケさんを先頭に僕たちは樹林帯を縫うように進んでいく。トレイルが見えないぶん、ちょっとした冒険気分が味わえるのがおもしろい。

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落葉し、雪に覆われた斑尾高原エリアは、これまで何度も訪れた場所とは思えないような新鮮さがあった。

しかも、登山靴やスノーシューと違って、BCクロカンだと、緩やかなくだりに入ると自然とスピードが上がる。その感覚に慣れていない僕と小川は、ずっとドキドキワクワクしっぱなしだった。

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アルペンスキー経験を持つ小川も、いい意味でBCクロカンに苦戦していた。

自由に歩けるぶん、どこが信越トレイルなのかはわかりにくい。でも、たまに顔を出す道標を見つけると、宝探しをしている気分でいつになくとても嬉しくなるものだ。

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ほとんどの道標は雪に埋もれているが、いくつかはこのように見えたりする。



滑れるようになると、遊べるフィールドがもっと広がる。



BCクロカンは、雪上を歩くことも登ることもできるけど、忘れてはならないのは滑るという機能だ。

もちろん、無理に滑る必要はないが、個人的には滑った時の気持ち良さが大好きだ。しかも、最初はできないのがまたおもしろい。ハイキングは歩きなので誰でもできるが、BCクロカンで滑るとなると、コツがいる。

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ケースケさんが見事なテレマークターンを見せてくれるも、なかなかマネすることができない。

できないことができるようになっていく快感は、初めて自転車に乗った時の感覚と似ている気がする。

今回のルートも、ちょくちょく滑るにもってこいの斜面が現れた。最初にケースケさんが、颯爽と滑り、僕と小川がそれに続く。

お手本を見たあとだけにイメトレはバッチリで、もう滑れる気まんまん! でも、当然ながら途中で転ぶことになる。

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ダイナミックに転ぶ根津。でも、なぜか笑みがこぼれる。

でも、不思議と転んでも楽しい。これがゲレンデだったら圧雪されているため苦痛で仕方ないのだろう。でも、こういう自然のなかだと、転んでも痛くないし、雪遊びの一環みたいな感じでむしろ楽しいのだ。

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今回使用したテントは、TRAILSはMLD(Mountain Laurel Designs)のMondoMid(5人用)、ケースケさんはNEMOのAPOLLO 3P。

キャンプ地に到着し、みんなでテントの中でご飯を食べている時、ケースケさんはこう言っていた。「僕がBCクロカンを好きなのは、歩くだけじゃなくて滑りもできるからなんです。滑れるようになると、行ける山域も増えて、遊べるフィールドがグンと広がりますから」と。

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5人用のテントだけに室内は広々。のんびりくつろぐ小川と根津。

キャンプでは、名古屋にお店をかまえるケースケさんが味噌煮込みうどんや、どて煮を持参してきてくれた。しかも、別途追加で持ってきた味噌を合わせたり、なめこ、ネギ、七味を加えてアレンジしてくれた名古屋メシは、春とはいえかなり冷え込んだスノーキャンプの夜に、最高のディナーとなった。

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夕食は、名古屋出身のケースケさん特製、なめこ入り味噌煮込みうどん。



なんの変哲もない林道がすごく気持ちいい。



今回のルートの後半、希望湖(のぞみこ)から沼の原湿原の区間は、林道が多かった。無雪期のハイキングだと、林道は歩きやすさはあるものの景色の変化にとぼしく、正直、面白みに欠けがち。

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緩やかな傾斜のある林道は、やみつきになるほどの心地よさ。

それがBCクロカンになると、この林道がすごく気持ちいいのだ。なんの変哲もない道なのに、滑るように歩いてるだけで楽しい。

BCクロカンは緩斜面がメインの比較的フラットなエリアが適している。そのため、一般の雪山ハイキングではルートになりづらい林道も、BCクロカンの旅においては絶好のフィールド。そうやって、遊べる場所を自分たちで見つけていくこともBCクロカンの楽しみのひとつでもある。

終盤は、斑尾高原のスキー場のゲレンデを逆走して、のぼり切ってゴール!

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空気がピンと張りつめた雪の世界に浸る3人。

3人とも、充実感、やり切った感でいっぱいだった。ログをチェックしてみると、2日間で約10kmしか行動していない。にもかかわらず、こんなに満足度が高いとは。

きっとこれこそが、歩いて、登って、滑れるBCクロカンのなせるわざなのだろう。

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BCクロカンがあれば、残雪のトレイルをもっともっと楽しむことができる。さて、次はどこに行こう。

これにて、SKI HIKINGのBCクロカン4部作は完結。今シーズンはこれで一区切りです。

とはいえ、TRAILSとしては、今後もSKI HIKINGをさらに深掘りして楽しんでいくつもりです。今年の冬にまたSKI HIKINGの記事を掲載しますので、ご期待ください。

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。2018年4月、TRAILSに正式加入。著書に『ロングトレイルはじめました』(誠文堂新光社)がある。

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