TRIP REPORT

SKI HIKING | #12 トニー、サニー、ノブのBCクロカン・トリップ あまとみトレイル2DAYS(ギア編・その1)

2024.03.06
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TRAILSの『SKI HIKING』は、「歩くスキー」であるBCクロカンにフォーカスした企画記事。BCクロカンは、滑りながら歩けるその機動力で、雪の世界におけるハイキングの旅を拡張してくれる。

今回、BCクロカンで1泊2日の旅をしたのはTRAIL Crewの3人。PCT、CTスルーハイカーのTony (トニー)、JMT、PCT、CDTスルーハイカーのSunny (サニー)、JMTスルーハイカーのNobu (ノブ) だ。

計画編、トリップ編につづいて、今回はギア編。3人それぞれが使用したギアのギアレビューをお届けする。


TRAILS Crew3人でのBCクロカン・トリップ。左から、サニー、トニー、ノブ。

ギアレビュー① バックパック


バックパックは、TRAILSのオリジナルULバックパック『LONG DISTNCE HIKER』と『ULTRALIGHT HIKER』。

<トニー>


トニーが使用したのは、容量30Lで重量268g、肩荷重モデルの『ULTRALIGHT HIKER』。

トニー:TRAILSのULバックパック『LONG DISTANCE HIKER』と『ULTRALIGHT HIKER』は、果たしてスキーハイキングでも使えるのだろうか? 一度試してみたいと思って使うことにした。

『ULTRALIGHT HIKER』にした理由は、スノーキャンプ1泊2日分の荷物を30Lサイズに収めるシンプル (必要十分) なULハイキングを実践したかったから。またこのミニマムなバックパックの拡張性がどのくらいあるのかを知りたかったから。今回は冬装備もあるし、スキーも持っていく。このバックパックの可能性をどこまで引き出せるか、楽しみでもあった。

今回は雪が想定以上に多かったこともあって、スキー板をバックパックに取り付けて歩く時間帯がかなり長かった。でも、重さもそこまで感じなかったし、肩荷重でもまったく問題がなかった。

板の取り付け方法としては、Aフレームで、下部はスキーストラップ、上部はバックパック付属のバンジーコードを使用。一見大丈夫そうだったが、帰る頃にチェックしたらバンジーコードが板のエッジで摩耗して毛羽立っていた。今回の1泊2日なら大丈夫だが、長期の場合はバンジーコードではないほうが良さそうだ。

トップクロージャーの部分には、アウターのレインジャケットを挟んで、出し入れすることが多かった。Y字ストラップでホールド力もあり、これは便利だった。また、フロント下部には、オプションのアックスループを使ってアックスを取り付けていたが、これもすごく安定していた。おかげで、かなりの拡張性を試すことができた。

<サニー>


サニーが使用したのは、容量55Lで重量500g、腰荷重モデルの『LONG DISTNCE HIKER』。

サニー:今回は冬装備もあるし、宴会用の食材もあるし、遊び用のアルパカラフトのアドレナリン・ソリもあるし、スキー板を担ぐこともあるから、腰荷重の『LONG DISTANCE HIKER』を使うことにした。

今回、天気予報では−12℃くらいまで冷え込む予報だったから、防寒対策でエアマットにプラスして、薄手のクローズドセルマットも携行した。それでも、この55Lの容量は余裕があった。

板の取り付け方法はトニー君と同じくAフレーム。上部はバックパックに付属しているバンジーコード、下部はスキーストラップでしっかり固定。特に問題はなかったものの、バンジーを2mmのガイラインに交換したほうが、より固定力が高まると思った。

ULTRA 200のファブリックのバックパックを初めて雪山で使用したけど、軽量性、耐久性ともに申し分なかった。ただ1日目の夜の時点でバキバキに凍っていた。でもそれは大抵のバックパックでそうなるだろうし、ほうっておけば溶ける。自分は、ULのシンプル (必要十分) をわかっているので何の問題もなかった。

今回ふと気づいたのは、ウエストポケットのキーループの便利さ。家の鍵とかをかけていたが、これがポーチやサコッシュだと何か取り出す際に落としてしまうリスクがあるし、入れ物ごと失くしてしまう可能性もある。そういう心配がいっさいなく、2日間まるまる気にかけずに旅ができるのが最高だった。

<ノブ>


ノブが使用したのは、容量55Lで重量500g、腰荷重モデルの『LONG DISTNCE HIKER』。

ノブ:自分はスキー板に加えて、宴会用の大型鍋、宴会用テントを担ぐことになったので、迷わず腰荷重の『LONG DISTANCE HIKER』を選んだ。

まずパッキングの時点で良さを実感した。リッジレストをバックパックの内側に筒状に入れてから荷物を詰めたら、大型の鍋がジャストサイズだった。さらにフロントポケットにはスノーショベルも余裕で入れることができ、思った以上に収納性が高かった。

旅がスタートしてからは、最初からしばらくスキー板を背負って歩くことになったけど、腰荷重のおかげで荷重が分散できて快適だった。

あとこれは自分が不慣れだったせいもあるが、バックパックの両サイドに取り付けていたスキー板がずれ落ちそうになることが何回かあった。スキーストラップを複数個使用するなどして、もう少し固定力を上げるべきだったと思う。

いろいろ試してみて良いところや改善点が見えたけど、なかでも、このバックパックがオールシーズン使えるということがわかったのが、一番の収穫だった。

ギアレビュー② スキー板


上から、「KARHU / 10th Mountain Tour」「MADSHUS / EON 62 165cm」「Altai Skis / The HOK 125cm」。

<トニー>


トニーが使用したのは、「KARHU / 10th Mountain Tour」。

トニー:僕が選んだカルフの10th マウンテンツアーは、まず見た目とデザインに惚れてしまって。この木目調のクラシックなデザインが、とにかく格好いい。

もちろん見た目だけの板ではなく、機能も優れている。全長は2m超と長く、幅は約6cmと細いのが特徴で、他のモデルより浮力があって直進性が高い。今回は大雪の予報だったこともあって、これだったらより歩きやすいんじゃないかと。

実際履いてみて、想像通り直進性が高くて歩きやすかった。新雪でラッセルに近い感じもあったけど、滑りながら歩くBCクロカンらしさを十分味わえた。他の2人に比べたらぜんぜんラクで僕が先頭を歩くことが多かった。

ただ、板がひときわ長いこともあって、背負った際には人に当たらないよう配慮したり、バランスを取るのに気をつけたりしなくちゃいけなかったのは、唯一のウィークポイントだった。

<サニー>


サニーが使用したのは、「MADSHUS / EON 62 165cm」。/span>

サニー:板の長さも幅も含めて、BCクロカンのベーシックなモデル、マズシャスのイオン62 165cmをチョイス。トニー君のは歩きメインのモデルだけど、自分は滑りもやりたくて選んだ。

自分は小さい頃からずっとスキーだったから、BCクロカンのようなヒールフリーは不安定な印象を持っていて。でも実際はそんなことはなく、平地は歩きやすく、斜面は登りやすく、しかも滑りもできてしまうから、いろんなシーンでかなり楽しめた。

でも今回は新雪でバフバフな感じだったから、テレマークターンで滑るような場面はぜんぜんなくて。轍があるところまっすぐ滑るのがメインだった。

あと、このサイズ感の板だと、行き帰りの電車でもあまりジャマにならず、扱いやすいっていうのも、結構おすすめのポイントかもしれない。

<ノブ>


ノブが使用したのは、「Altai Skis / The HOK 125cm」。

ノブ:自分は、短くて歩きやすく小回りが効きそうだと思って、アルタイスキーのホック125cmを選んだ。今もスノーボードが趣味で、アルタイスキーはスノボと同じタイプのビンディングを使っているのもポイント。違和感なく扱えそうだなと。

トリップがスタートして思ったのは、今回は僕の目論見がドンピシャだったなと。BCクロカンでは滑るのは難しい新雪だったので、歩きやすくて小回りが効くこの板は便利だった。全長が短いから方向転換も、言ってみればスノーシューみたいな感じで容易にできて。

あと今回は板を背負って移動するシーンが多くて、そういう面でも、この短い板は扱いやすかった。頭上に枝とかが茂っている場所でも、引っかかることなく余裕で歩けたし、遠心力でバランスを崩すようなこともなかった。

ただ、次に締まった雪の時にBCクロカン・トリップに行くとしたら、自分も滑りにも挑戦してみたいなと。なので次回は、トニーさんのみたいなクラシックな長い板を使ってみたい。

ギアレビュー③ シェルター


左から、「Tarptent / Rainbow」「GoLite / Shangri-La 5」「LOCUS GEAR / Khufu Sil」。

<トニー>


トニーが使用したのは、「Tarptent / Rainbow」。

トニー:コロラドトレイルで使用したMYOGシェルターも検討したけど、さすがに大雪の予報だったこともあって、タープテントのレインボーにした。自立式にしたのは、設営時に風雪があっても張りやすいというのと、安心感と耐候性を考慮して。

このテントはトレッキングポールをフレーム代わりにすることで自立させるんだけど、今回は強度のあるスキーポールを持参することもあって、ちょうどいいなとも思った。

特に夕方以降は本当に吹雪だったので、このチョイスは正解だった。吹雪の中でも迷うことなく比較的ラクに設営することができた。

バスタブもあるから雪が入ってくることもなく、寝ている時も安心感もあった。1ポールのシェルターだったら寝ている時に雪が積もってかなりたわんでしまいそうだけど、それもなかったから居住性を損なわずに朝を迎えられた。

<サニー>


サニーが使用したのは、「LOCUS GEAR / Khufu Sil」。

サニー:自分が普段よく使用しているシェルターの中から、今回は雪上でも安心なローカスギアのクフ・シルを持ってきた。重量は約460gと軽量で、居住性も高いし、何よりJMTのスルーハイキングでも使ってるから扱い慣れている。

フロアレスシェルターではあるものの、地面との隙間は雪で埋めたから、かなり密閉性も高く、夜も寒さを感じることなく熟睡できた。

あと特に今回のような大雪のシチュエーションだと、装備も増えるので、室内が広いのはすごくメリットがある。スノーギアはもちろん、濡れたギアとかも雑に置いておいてもジャマにならなかったのは良かった。

ちなみに今回はワンポールで設営したけど、アタッチメントを使えば (今回は持ってこなかった) 2本のポールを使用してA型フレームにすることもできる。これをやれば、もっと居住性が高まって快適だったと思う。

<ノブ>


ノブが使用したのは、「GoLite / Shangri-La 5」。

ノブ:3人でプランニングをしている時に、自分が宴会用シェルターを使用することになって、ゴーライトのシャングリラ5を持って行った。自分は183cmと一番身長も高いこともあって、個人的にも大きいシェルターがいいなとは思っていた。

とはいえ1人で使用するには広すぎることもあって、夜、少し寒いと感じることもあった。ただ、夜は雪が結構積もって、幕が押されて通常より空間が狭くなったので、そういう意味ではこの大きさがあって良かったとも思った。

このシェルターは高さ (頂点は約180cm) もあるので、特に朝方とかは、朝食を作るにしても、何か準備するにしても、中腰になっても幕に体が触れることがなく、ストレスフリーですごく快適だった。

夜は共同装備も結構僕のシェルターに入れておいたので、パーティーで旅をする際にも便利だなと思った。


晴天に恵まれたトリップ2日目、野尻湖の湖畔の斜面を軽快に滑る。

今回の「ギア編・その1」では、『バックパック』『スキー板』『シェルター』にフォーカスして、ギアレビューをお届けした。
次回は、『トニー、サニー、ノブのBCクロカン・トリップ あまとみトレイル2DAYS』の最終回。「ギア編・その2」として、ギアリストを紹介するのでお楽しみに。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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