TRIP REPORT

SKI HIKING | #09 トニー、サニー、ノブのBCクロカン・トリップ あまとみトレイル2DAYS(計画編)

2024.02.14
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TRAILSの『SKI HIKING』は、「歩くスキー」であるBCクロカンにフォーカスした企画記事。BCクロカンは、滑りながら歩けるその機動力で、雪の世界におけるハイキングの旅を拡張してくれる。

僕たちがBCクロカンに惹かれた理由の詳細は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてほしい (SKI HIKING | #05 BCクロカン2021 Second Season)。

2024年のTRAILSのSKI HIKINGはというと……実は年明け早々に、3人のTRAILS Crewが、冬の遊びを企んでいた。「雪山ハイキングもいいし、雪中キャンプもいいし、冬のパックラフティングも楽しそう!」、そんな話をしている中、最終的に選んだのが、BCクロカンだった。

その3人とは、PCT、CTスルーハイカーのTony (トニー)、JMT、PCT、CDTスルーハイカーのSunny (サニー)、JMTスルーハイカーのNobu (ノブ)。ハイカーとして、雪の中の歩き旅を楽しみたい! そんな彼ららしいチョイスが、BCクロカンだったのだ。

そんな3人のBCクロカンでのトリップレポートを、全5回の記事でお届けする。まず第1回目の今回は、計画編。3人で、いったいどんなプランニングをしたのでしょうか。


TRAILS Crew3人による、1泊2日のSKI HIKING。

BCクロカンで、どこに行こう?


左から、TRAILS CrewのNobu (ノブ)、Tony (トニー)、Sunny (サニー)。

まずは行き先の選定から。

もともと1泊2日のテント泊をしたかった3人は、その観点からいくつもの地図を広げて話し合い始めた。

トニー:「BCクロカンと言えば、やっぱり北八ヶ岳が定番。まずは第一候補として見ておこうか」

サニー:「でもせっかくこの3人で行くなら、ド定番よりはちょっとマニアックなところを攻めてみたい気もするんですよね (笑)」

トニー:「入笠山だったら山小屋のテント泊指定地もあるし良いかも! ただ、ここはスノーシューハイキングの人気エリアでもあるから、人が多いかもしれないなぁ」


クラフトビールを片手に、旅のプランを練る3人。

ノブ:「信越トレイルとかどうなんですか? 斑尾山周辺とか」

サニー:「楽しそうだけど、さすがにアップダウンが多すぎてBCクロカンだとなかなか厳しんじゃないかな……」

トニー:「じゃあ、斑尾山の西側、野尻湖周辺のあまとみトレイルのあたりとか。なだらかだし、BCクロカンに持ってこいかもしれないな」

サニー:「あまとみトレイルは良さそうっすね。あの豪雪地帯を、こんな時期に歩く人なんてぜってーいなそうだし (笑)」


あーだこーだ言いながら、目的地は「あまとみトレイル」に決定!

以前、あまとみトレイルはTRAILSでも特集したが、あくまで無雪期のトリップレポートだった。厳冬期のあまとみトレイルは面白いかもしれない。

野尻湖の湖畔にキャンプ場もあるし、ここを起点にすれば1泊2日の行程でテント泊もできる。

そんなわけで、今回は野尻湖周辺のあまとみトレイルをフィールドに、1泊2日のBCクロカントリップをすることになった。

それぞれ好みのスキー板をチョイス。


TRAILS INNOVATION GARAGEにあるさまざまな板を物色。

行き先が決まったら、次は道具だ。まずは、BCクロカンの板!

TRAILS INNOVATION GARAGEにあるさまざまな種類の板から、自分好みの1本をチョイスする。

トニー:「定番のマズシャスにするか、それとも他のブランドにするか。長さもいろいろあるから、悩むなぁ」

サニー:「オレはもう決めましたよ」

ノブ:「はやっ! どれにしたんですか?」

サニー:「マズシャスのイオン62 165cm。小さい頃からスキーやってたこともあって、歩くだけじゃなくて滑りもやってみたいんだよね。BCクロカンの板でどのくらい滑れるかはわかんないけど (笑)」


それぞれの好みや経験も加味して、自分の使ってみたい板を選ぶ。

トニー:「じゃあ自分は、このカルフの10th マウンテンツアー。かなりクラシックなデザインで、全長がとにかく長い。2mはあるんじゃないかな。

小回りは効きにくそうだけど、今回自分は歩きメインで行こうと思っているから、これにするよ。細くて長いから、かなり直進性には優れていると思うんだよね。これなら、雪の上でもかなりスピーディーに移動できそうな気がする」

サニー:「たしかにめちゃくちゃクラシカルですよね。木目調なのもいい感じっすね。クロスカントリースキー寄りな感じで、使いこなせたら格好良さそう! で、ノブはどうすんの?」


3人の使用する板の仕様をチェック。

ノブ:「僕は、アルタイスキーのホック125cmにします。スキーとスノーシューのハイブリッドな感じで、使いこなせれば機動力よく歩けそうだなと。あと、この板には最初からシールが付いているから、上りも下りも軽快に歩ける気がします」

それぞれの好みで、板をチョイスした3人。フィールドでのイメージもついているようだが、果たして想定通りに行くのだろうか (詳細は次回のトリップレポートにて)。

バックパックに、板をどう取り付けるか?


使用するバックパックは、TRAILSの『ULTRALIGHT CLASSICシリーズ』のULバックパック。

あとは、バックパックへの板の取り付けテスト。

スキーバッグを用意するのが一番簡単だろうが、3人のハイカーたちは、わざわざスキーバッグを買うつもりはなかった。ハイキングの延長としてのスキーハイキングなので、ここはやっぱり、普段使用しているハイキング用バックパックを使いたいと思ったのだ。

というわけで、トニーはTRAILSの『ULTRALIGHT HIKER』、サニーとノブは、TRAILSの『LONG DISTANCE HIKER』を背負うことにした。

トニー:「さて、『ULTRALIGHT HIKER』に板をどう取り付けようかなぁ。ダイアゴナル (対角線) にするのか、Aフレームにするのか。まあ、とりあえずどっちも試してみようか」


まずは、『ULTRALIGHT HIKER』にダイアゴナルで取り付けてみる。

トニー:「うーん、ダイアゴナルはちょっと安定性に欠けるね。止める部分が2点だけだとホールド力も足りなさそうだし、難しそうだね」

サニー:「そうっすねー。Aフレームにすれば両サイドに1本ずつなので負荷分散もされるから良いかも」


つづいて、Aフレームで取り付けてみる。

トニー:「おぉ、Aフレームはしっくりくるね。容量55Lの『LONG DISTANCE HIKER』に比べて、30Lの『ULTRALIGHT HIKER』はかなり小さいからホールド力が心配だったんだよね。でも、これならまったく問題なさそうだね」

ノブ:「自分の『LONG DISTANCE HIKER』でも試させてもらってもいいですか?」

トニー:「もちろん! ノブが使うアルタイスキーを付けてみよう」


ノブが使用する『LONG DISTANCE HIKER』に、Aフレームと同じ取り付け方で。

サニー:「これはぜんぜん余裕だね。アルタイスキーは125cmと短いし、かなり安定しているよ」

トニー:「たしかに。これなら付けたままガシガシ歩いても、ブレもなさそうだし、なんの心配もないね」

さあ、これで準備万端! あとは、トリップ当日にフィールドで試すだけ! かと思いきや、ちょっとした思いつきから、もう少し実験が行なわれることになった。

番外編! 悪ふざけで、板以外もいろいろ取り付けてみた。

最低限のテストは終わり、あとは出発日を待つだけという感じだったが、サニーが悪ふざけを思いついてしまったようだ。

サニー:「トニーさん、そういや今回のテント泊、3人で鍋やるんですよね? 鍋も外付けしてみましょうよ (笑)」

トニー:「おい、マジかよ! (苦笑) まあでも、ベアキャニスターの取り付けも想定して作ったバックパックだから、できなくはないか」

サニー:「ですです! やってみましょう」


上部に鍋をセット。まるでこの鍋に合わせたかのようなシンデレラフィット。

サニー:「あれ、見事にジャストフィットっすよ (笑)。ベアキャニスターじゃなくて、このトランギアの鍋を想定して作ったんじゃないかって思うくらい。ついでに、スノーショベルも入れてみましょうか」


フロントポケットに、スノーショベルも入れられる。

サニー:「これもぜんぜんイケますね。フロントポケットにジャストで入る。あ、そうだ、鍋にはビールが欠かせないですから、クラフトビールのボトルも入れましょう」

さらにフロントポケットにクラフトビールのボトルも……。

ノブ:「あははは、めちゃくちゃふざけてていいっすね!」

サニー:「ただ、スノーショベルも入れているから、ここにさらにボトルを入れるのは無理があるな。入りきらないや。これはちとやり過ぎだった (笑)」

トニー:「でも意外と拡張性があることがわかって良かったよ。あとは現地で考えば大丈夫だね。とりあえず、行き先もそれぞれのギアも決まって、BCクロカントリップのイメージがわいたね」

サニー:「じゃあ、準備オッケー祝いということで、これから3人で打ち上げに行きますか!」

ノブ:「トリップがまだ始まってもいないのに、もう打ち上げですか (笑)」

トニー:「まあ、とりあえず打ち上げに行こう!」


準備万端! いよいよ、1泊2日のBCクロカントリップへ。

SKI HIKINGの行き先は、あまとみトレイルに決定! そして、TRAILS Crewの3人のハイカーが使用するギアも決まった。

次回から2回にわたって、この3人のハイカーによるSKI HIKINGのトリップレポートをお届けする。一体どんな珍道中になるのか、お楽しみに!

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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