TRAIL FOOD #01 | ULハイキング × トレイルフード by 尾崎光輝
話・写真:尾崎光輝 構成:TRAILS
What’s TRAIL FOOD? | 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) が知りたくて立ち上げた、トレイルフードを紹介する記事シリーズ。ULハイキングをはじめ、ロング・ディスタンス・ハイキングやハンモック・ハイキング、パックラフティング、さらにはフライフィッシングやテンカラなど、それぞれの遊びに没頭している人たちに、普段どんなトレイルフードを食べているかを紹介してもらう。トレイル上のリアルに触れることが、きっと新たな気づきや刺激になるはずだ。
* * *
前回の記事では、この記事シリーズのコンセプトを紹介した (詳しくはコチラ)。
ここに登場するのは、世の中でよく紹介されるような「山でこんなに美味しいものが食べられる!」というフードがかならずしもメインではない。それぞれの遊び方やスタイルのなかで、時には質素に見えるかもしれないが、みんなが実際に食べているリアルなトレイルフードだ。
そこには、旅を楽しむための大事なエッセンスや、アクティビティをする上での実践的なTIPSが詰め込まれているはず。そんなリアルなトレイルフードが知りたくて、この連載記事を立ち上げた。
いよいよ今回から、実際にフィールドで遊んでいる人のリアルなトレイルフードを紹介していく。
ULハイキング × トレイルフード
今回、紹介してくれるのは、ジャキさんこと尾崎光輝 (おざき みつてる) さん。ジャキさんは、2010年頃からULハイキングに傾倒しはじめ、「Hike, Bike, Fish & Life」がテーマのガレージブランド『Jindaiji Mountain Works (ジンダイジ・マウンテン・ワークス)』を立ち上げた。
ブランド立ち上げ前から長くMYOG (MAKE YOR OWN GEAR) を手がけてきたこともあって、トレイルフードも含めて自分なりの創意工夫、試行錯誤が好きなクラフトマンシップあふれるULハイカーでもある。
そんなジャキさんは実際のところ、ULハイキングで何を食べているのだろう? 下記2つの視点で紹介してもらった。
・「食べる頻度の高い」トレイルフードベスト3
・「記憶に残る」トレイルフード
第1位:ペミカンうどん
■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
こと厳冬期の雪山においては、温かく高カロリーな食事によって、体の中からの発熱を促進するようなものが好ましい。
ペミカン (炒めたお肉や野菜をラードやバターなどで固めた保存食 ※) のように調理済みのベース食材は、調理時間の短縮だけではなく、火器燃料の消費を抑えてくれる。さらに、ラードなどの動物性油脂を摂取することで体温を維持し、体内から寒さに備えることができる。いわゆる、食べる防寒。
つまり、ペミカンは装備の軽量化に寄与するかもしれない。ドライフードと比べると重量は増すが、実はロジカルなULフードであると考えている。
■ 作り方
まず事前に自宅で、豚肉、根菜をたっぷりのラードで炒めて冷凍したもの (ペミカン) を作っておく。トレイルでこのペミカンを温め、味噌やカレー粉を溶いてうどんを投入。
味付けは自由。味噌でも醤油でもカレールウでもクリームシチューでも。うどんではなく、米や餅、パスタと合わせても良い。
第2位:早ゆでサラダスパゲティ&コーンスープ
■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
まずスパゲティ自体が早ゆで用なので、少ない燃料で済む。その上、クージーを使用して保温調理するため、普通の調理方法のようにお湯を沸かしつづける必要がなく (煮炊き不要)、燃料をはじめとしたエネルギーの節約になる。余った茹で汁でコーンスープを作れば、水の節約にもなる。
こういった重量だけではないエネルギーや水の節約は、材料の重さだけではなく調理まで含めたULフードの範疇である。
■ 作り方
お湯が沸いたら早ゆでサラダスパゲティを投入し、火から下ろしてクージーの中で保温調理。3分程度の保温でちょうどいい固さになるので、あとは好みのソースを絡めるだけ。
第3位:日清カップヌードル
■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
お湯を沸かすだけで作れる食事。縦型のカップ麺はホールドしやすく、腰を落とせない状態でもいともたやすく温かい食事がとれる。
カップヌードルは、分包された粉末スープや香味オイルなどもないので、ゴミも最小限だ。軽量だ、ULだ、という問題より、器も要らないから、器の掃除すら要らない。
立ったまま食べられるホットフードのなかでは、最速最軽量フードである。ちなみに、カップヌードルはパッケージのデザインがお洒落なのもポイントが高い。
■ 作り方
お湯を沸かし、注いで3分待つ。
記憶に残るトレイルフード:岩魚汁
■ 記憶に残る理由とお気に入りのポイント
源流フィッシングでは定番の料理。刺身や内臓炒めと一緒に、白米と岩魚汁。源流の定食であり、もし岩魚が釣れなければ山菜やキノコでも作れる。
味噌と米しか持参しない釣りの師匠たちから学んだ、現地調達した食材で作る野味あふれる源流汁。
食材を持っていかないというリアルなゼロカロリー理論。もっともプリミティブなUL料理である。
■ 作り方
岩魚のアラ (アタマ、骨、皮など) を野菜と煮込む。焚き火で大沸騰させ、何度も吹きこぼしながらアクを落としたら、味噌もしくは醤油で味を整える。
ジャキさんのULハイカーならではの工夫が散りばめられたトレイルフードはいかがだっただろうか?
ULハイキングのトレイルフードといえば、まずはフリーズドライのように食材を軽量化することを思い浮かべる。
今回ジャキさんが紹介してくれたのは、燃料をなるべく使わないもの (燃料の軽量化) や、すぐにそのまま食べられるシンプルなフード (持ち運ぶものも最小限) など、食材自体の軽量化だけではない、ULハイキングのトレイルフードのTIPSが詰まっていた。
また次回の『トレイルフード』もお楽しみに!
TAGS: