TRAILS REPORT

TRAIL FOOD #01 | ULハイキング × トレイルフード by 尾崎光輝

2022.12.14
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話・写真:尾崎光輝 構成:TRAILS

What’s TRAIL FOOD? | 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) が知りたくて立ち上げた、トレイルフードを紹介する記事シリーズ。ULハイキングをはじめ、ロング・ディスタンス・ハイキングやハンモック・ハイキング、パックラフティング、さらにはフライフィッシングやテンカラなど、それぞれの遊びに没頭している人たちに、普段どんなトレイルフードを食べているかを紹介してもらう。トレイル上のリアルに触れることが、きっと新たな気づきや刺激になるはずだ。

* * *

前回の記事では、この記事シリーズのコンセプトを紹介した (詳しくはコチラ)。

ここに登場するのは、世の中でよく紹介されるような「山でこんなに美味しいものが食べられる!」というフードがかならずしもメインではない。それぞれの遊び方やスタイルのなかで、時には質素に見えるかもしれないが、みんなが実際に食べているリアルなトレイルフードだ。

そこには、旅を楽しむための大事なエッセンスや、アクティビティをする上での実践的なTIPSが詰め込まれているはず。そんなリアルなトレイルフードが知りたくて、この連載記事を立ち上げた。

いよいよ今回から、実際にフィールドで遊んでいる人のリアルなトレイルフードを紹介していく。

ULハイキング × トレイルフード


今回は、尾崎光輝さん (ジャキさん) が、ULハイキングにおけるトレイルフードを紹介してくれる。

今回、紹介してくれるのは、ジャキさんこと尾崎光輝 (おざき みつてる) さん。ジャキさんは、2010年頃からULハイキングに傾倒しはじめ、「Hike, Bike, Fish & Life」がテーマのガレージブランド『Jindaiji Mountain Works (ジンダイジ・マウンテン・ワークス)』を立ち上げた。

ブランド立ち上げ前から長くMYOG (MAKE YOR OWN GEAR) を手がけてきたこともあって、トレイルフードも含めて自分なりの創意工夫、試行錯誤が好きなクラフトマンシップあふれるULハイカーでもある。

そんなジャキさんは実際のところ、ULハイキングで何を食べているのだろう? 下記2つの視点で紹介してもらった。

・「食べる頻度の高い」トレイルフードベスト3
・「記憶に残る」トレイルフード

第1位:ペミカンうどん


材料は、ペミカン用の豚肉、根菜、ラードの他、鶏ガラスープの素、うどん。この四角い塊が自作のペミカン。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

こと厳冬期の雪山においては、温かく高カロリーな食事によって、体の中からの発熱を促進するようなものが好ましい。

ペミカン (炒めたお肉や野菜をラードやバターなどで固めた保存食 ※) のように調理済みのベース食材は、調理時間の短縮だけではなく、火器燃料の消費を抑えてくれる。さらに、ラードなどの動物性油脂を摂取することで体温を維持し、体内から寒さに備えることができる。いわゆる、食べる防寒。

つまり、ペミカンは装備の軽量化に寄与するかもしれない。ドライフードと比べると重量は増すが、実はロジカルなULフードであると考えている。

■ 作り方

まず事前に自宅で、豚肉、根菜をたっぷりのラードで炒めて冷凍したもの (ペミカン) を作っておく。トレイルでこのペミカンを温め、味噌やカレー粉を溶いてうどんを投入。

味付けは自由。味噌でも醤油でもカレールウでもクリームシチューでも。うどんではなく、米や餅、パスタと合わせても良い。

※ ペミカン:炒めた肉や野菜、干し肉、ドライフルーツなどを、ラードやバターなどの動物性脂肪で固めた、携帯性に優れた保存食。もともとは北米の先住民の伝統的な食品であり携帯保存食。日本では、山岳会や山岳部の冬山用山食としておなじみ。

第2位:早ゆでサラダスパゲティ&コーンスープ


材料は、早ゆでサラダスパゲティ (乾麺) と好みのシーズニング、コーンスープの素。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

まずスパゲティ自体が早ゆで用なので、少ない燃料で済む。その上、クージーを使用して保温調理するため、普通の調理方法のようにお湯を沸かしつづける必要がなく (煮炊き不要)、燃料をはじめとしたエネルギーの節約になる。余った茹で汁でコーンスープを作れば、水の節約にもなる。

こういった重量だけではないエネルギーや水の節約は、材料の重さだけではなく調理まで含めたULフードの範疇である。

■ 作り方

お湯が沸いたら早ゆでサラダスパゲティを投入し、火から下ろしてクージーの中で保温調理。3分程度の保温でちょうどいい固さになるので、あとは好みのソースを絡めるだけ。

第3位:日清カップヌードル


材料は、日清のカップヌードルとお湯のみ。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

お湯を沸かすだけで作れる食事。縦型のカップ麺はホールドしやすく、腰を落とせない状態でもいともたやすく温かい食事がとれる。

カップヌードルは、分包された粉末スープや香味オイルなどもないので、ゴミも最小限だ。軽量だ、ULだ、という問題より、器も要らないから、器の掃除すら要らない。

立ったまま食べられるホットフードのなかでは、最速最軽量フードである。ちなみに、カップヌードルはパッケージのデザインがお洒落なのもポイントが高い。

■ 作り方

お湯を沸かし、注いで3分待つ。

記憶に残るトレイルフード:岩魚汁


材料は、釣った魚と味噌。

■ 記憶に残る理由とお気に入りのポイント

源流フィッシングでは定番の料理。刺身や内臓炒めと一緒に、白米と岩魚汁。源流の定食であり、もし岩魚が釣れなければ山菜やキノコでも作れる。

味噌と米しか持参しない釣りの師匠たちから学んだ、現地調達した食材で作る野味あふれる源流汁。

食材を持っていかないというリアルなゼロカロリー理論。もっともプリミティブなUL料理である。

■ 作り方

岩魚のアラ (アタマ、骨、皮など) を野菜と煮込む。焚き火で大沸騰させ、何度も吹きこぼしながらアクを落としたら、味噌もしくは醤油で味を整える。


さすがはジャキさん。一年通して、トレイルフードにおいてもULを探求している。

ジャキさんのULハイカーならではの工夫が散りばめられたトレイルフードはいかがだっただろうか?

ULハイキングのトレイルフードといえば、まずはフリーズドライのように食材を軽量化することを思い浮かべる。

今回ジャキさんが紹介してくれたのは、燃料をなるべく使わないもの (燃料の軽量化) や、すぐにそのまま食べられるシンプルなフード (持ち運ぶものも最小限) など、食材自体の軽量化だけではない、ULハイキングのトレイルフードのTIPSが詰まっていた。

また次回の『トレイルフード』もお楽しみに!

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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