TRAILS REPORT

LONG DISTANCE HIKERS DAY / AFTER REPORT#2

2016.03.11
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ロング・ディスタンス・ハイキング、あるいはそのカルチャーが、僕たち・わたしたちに教えてくれたことって何だろう?それを考えると、このイベントはロング・ディスタンス・ハイキングの持っているカルチャーとしての「広がり」も伝えられる場にしたい。そう考えるようになっていた。

このLONG DISTANCE HIKERS DAYの第二弾レポートでは、これからもロング・ディスタンス・ハイキングのカルチャーが息づいていくための、その広がりや懐の深さを感じられるような、そんなトピックをギャザリングした内容となっている(第一弾レポートの記事はこちら)。

4歳になったばかりのその小さな男の子にとって、初めての海外ロング・ディスタンス・ハイキングとなった、家族とその仲間でゆくニュージーランドでの長い歩き旅。女性ハイカーが必ず直面するロング・ディスタンス・ハイキングで出会う、女性特有の生理のことや、異性からの身の守り方。僕らの旅路をつくってくれている、トレイル整備のこと。日本で自分で選んだ道をつないでゆく、セルフメイドのロング・ディスタンス・ハイキングの可能性。

そうロング・ディスタンス・ハイキングは、最高の遊びであり、最高の旅の手段のひとつである。これからのハイキング・カルチャーをより面白いものにしていくために、その小さなヒントやきっかけをこのレポートから持ち帰ってもらえたら嬉しい。前回に引き続き、根津さんによるレポートをお楽しみください。

イベントレポート第二弾!第一弾レポートがロング・ディスタンス・ハイキングの「今(NOW)」のリアリティや最新情報を伝える内容となっていたのに対し、この第二弾レポートは、ロング・ディスタンス・ハイキング(以下LDH)の「これから(FUTURE)」をみんなでつくっていくための内容、というような構成になっている。

1回目で「NOW」を、2回目で「FUTURE」をという仕立てなのだが、これはレポートするために分類したというよりは、そもそもイベント自体が、この2つの内容をあらかじめミックスした構成となっていたことによるものである。

僕は、海外のTRAIL DAYSのようなイベントや国内のアウトドア系のイベントなどをいろいろ見てきたなかで、この点がイベントの良し悪しを左右する大事なファクターだと感じている。だからレポートを始める前に少し書いておきたい。

イベントというものは難しく、たとえばエンターテインメント系のものであれば、その場の楽しさがより重要になり、ハウツー系のものであれば、終わってからも使える知識やスキルを得られることがより重要になってくる。今回のイベントは、そのどちらもがキーファクターとなるイベントである。まだまだLDHのファンが多くない現状を考えると、その場の楽しさ重視になると内輪受けで終わってしまう。かといって、ハウツーに寄り過ぎても、そもそもLDHという行為やその魅力すら認知されていないのだから、理解できずに終わってしまうことにもなりかねない。それだとLDHのカルチャーは醸成されず、一部の変わり者のマニアックな遊び、ぐらいで留まってしまうだろう。

だから、いかに楽しませて、そしていかに持ち帰ってアクションにつなげてもらえるか。振り返ってみれば、この両方をうまく組み合わせることがこのイベントの至上命題であったと感じる。

その視点から改めてイベントを見てみると、とてもよいバランスであったと思う。この2回目で取り上げる4つのコンテンツは、まさに「これから」のハイカーのアクションによって、このカルチャーが多くの人たちにとってさらに面白く、深い経験ができるものへとなっていくだろう、と思わせられるものであった。
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■ HIKING BUDDY – New Zealand Long Trip-

「子どもができたら、家族で山に行こうぜ!旅に出ようぜ!ということをやりたかったんです」

この発表の冒頭で話されたこの言葉に、このトピックのエッセンスがすべて表現されている。それは4歳になったばかりの男の子にとっての、初めてのロング・ディスタンス・ハイキングだった。この旅のクルーは、TRAILSの佐井夫妻と4歳になった息子、それにTRAIL MOVIE WORKSの小川夫妻の総勢5人。_B1A4043_TRAILS_NZre

HIKING BUDDYとは仲間とのハイキングという意味だが、このクルーにおいてHIKING BUDDYとは、配偶者としてのパートナーでもあり、親友でもあり、そして子どもも含めた旅の仲間ということを指している。そんなHIKING BUDDYとの3週間のニュージーランド・トリップの模様を、写真やムービー、それと実際に使ったギアなどを用いて紹介した。

日本では、子どもが小さいうちはアウトドア・フィールドから遠ざかってしまうことも少なくない。さらに海外でのロング・トリップとなると参考情報も極端に少ない。でもちょっとした意識の持ち方と、小さなチャレンジの積み重ねさえあれば、最高のファミリー・アドベンチャーが待っていることをこのクルーは教えてくれた。

この旅の詳細は、後日このウェブマガジンでも公開されるとのことなので、そちらを楽しみに待ちたい。

■ WOMEN’S HIKING TIPS -女性ハイカー限定座談会-

二つ目は、その名の通り女性だけの座談会。「修学旅行の女子部屋みたいな感じ。」このコンテンツの企画者のひとりである、TRAILSの佐井和沙さんはそう言った。会場の一角に大型テントが用意され、女性だけがその中に集まって、それはさながら「女子部屋」のような空間であった。もちろん僕はなかをうかがい知ることはできず、取材者の特権で入れてもらおうと試みたが、にべもなく門前払いされた。

ということで、佐井和沙さんに後日伺った概要をもとに、このレポートを構成した。この座談会で話されたのは、長期間の旅において必ず遭遇する「生理」のこと。男性スタッフが多いアウトドアショップでは聞きづらい「下着」のこと。本当にリアルな話が聞きたいという声が多かったトレイル上での異性からの「身の守り方」のことなど。

佐井和沙「実は、女性ってこういう話をする機会ってなかなかないんです。アウトドアショップの店員さんは男性が多いし、たとえ女性だったとしても話せる雰囲気じゃなかったりして。困っているハイカーはたくさんいます。だから、あえてクローズドな空間を設けて、ぶっちゃけ話ができる場をつくりたかったんです」

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座談会のスタート直前風景。テントに入りきれないくらいの人が集まり、その関心度の高さがうかがえた。

ゲストには、増田純子さん(JMT&PCTハイカー)、深町和代さん(JMT&PCTハイカー)、丸山景子さん(JMTハイカー)など、実際に長期間・長距離を歩いたハイカーも招かれた。彼女たちのリアルな経験や実践的な知識などを聞きつつ、ときには実物を見せながらという進行。参加者には、当日に事前アンケートで不安に思うことや知りたいことを書いてもらい、それに関する話も織り交ぜたため、場はとても盛り上がり話は尽きなかったようである。

従来のハイキングイベントでは見たことのない画期的なコンテンツ。実際、この時間帯には、会場にいたほぼすべての女性が座談会に参加していた。来年は、きっと今年以上に人が押し寄せることだろう。

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。2018年4月、TRAILSに正式加入。著書に『ロングトレイルはじめました。』(誠文堂新光社)、『TRAIL ANGEL』(TRAILS) がある。

>その他の記事を見る 

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