TRAILS REPORT

HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2024 #01 注目のハンモック10ブランド (前編)

2024.06.19
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取材・文・構成:TRAILS

『HAMMOCKS for Hiker』は、2016年から開催している「ハイカーのためのハンモックの旅」を提案するイベント。今回で7回目の開催となった。

このイベントでは、野営ギアとしてのハンモックを中心に、ハイキングの旅を拡張してくれるギアとしてハンモックを紹介している。

ハイキングで使える軽量でコンパクトなハンモックを中心に、タープやキルト、ストーブなどハンモック関連ギアも勢揃い。これだけの数のハイキング向けハンモックを、実際に触って、座って、寝て、試せるイベントは『HAMMOCKS for Hiker』だけ、といっても過言ではない。

前売りチケットは、キャンプ泊 (ハンモック泊) 券は即日ソールドアウトし、当日も大勢のハンモックハイカーたちが集まった。

今年も多くのハンモックブランドが出展し、新製品の展示やワークショップなどもあり、まさにハンモックの祭典らしい盛り上がりを見せていた。

そんな『HAMMOCKS for Hiker 2024』を振り返るべく、今回から4回にわたって『ハンモックギア2024』と題して特集記事をお届けしたい。

今年注目のハンモックや、個性あふれるさまざまな周辺ギア、ユーザーの声など、面白くて役に立つ情報満載のコンテンツを紹介していくので、たっぷりとお楽しみください。

まず第1回目の今回は、注目のハンモック10ブランドの前編。主にウルトラライトとライトウェイトのハンモックを、新製品と定番製品を合わせて紹介したい。


7回目の開催となった『HAMMOCKS for Hiker』。今年も大勢のハンモックハイカーでにぎわった。

SEA TO SUMMIT (シートゥサミット)

■ Ultralight Hammock Set Single (ウルトラライトハンモック・セット・シングル)


【重量】220g (本体143g、ツリーストラップ77g) / 【価格 (税込)】13,090円

大海原から高峰まで、さまざまな標高で繰り広げられる冒険の数々に影響を受け、それを支えるギアを創り続けてきたSEA TO SUMMIT。

2017年にリリースしたこのハンモックは、近年、他のメーカーでも採用されている、軽量なメッシュ生地を使用した超軽量ハンモックの草分け。本体重量143gはいまも最軽量級の軽さ。またツリーストラップ+バックル込みの重量も220gと、最軽量級の軽さだ。


こだわりがつまったバックル。初代のものから改良を加えて、より使いやすく進化している。

ハンモックとツリーストラップとの接続方法は、アルミ合金のバックルをカチャっと留めるだけのシンプルな構造。このバックルも初期モデルから改良し、フックが追加されて固定力がアップしている。このようなオリジナル仕様の、細かなパーツのアップデートにもブランドのこだわりを感じる。

メッシュ生地を採用した先駆性、ツリーストラップやバックルの軽量性と耐荷重を兼ね備えた独自仕様は、今も固有の存在のプロダクトとなっている。

LELEKA HAMMOCK レレカハンモック

■ Elfy Hammock + Eco-Straps with G-hook [Mサイズ] (エルフィ ハンモック + エコ・ストラップ ウィズ ジーフック [Mサイズ])


【重量】約270g (本体135〜155g*、収納袋12g) / 【価格 (税込)】21,780円
*本体の重量:135g (オレンジ、ダークオリーブ、ダークグリーン)/155g (その他カラー)

LELEKA HAMMOCKは「軽量性」「コンパクト性」「利便性」の3原則に基づいた高品質な製品を提供するウクライナのハンモックブランド。

Elfy Hammock + Eco-Straps with G-hook [Mサイズ]は、本体が135gと現時点で世界最軽量のハンモック (オレンジ、ダークオリーブ、ダークグリーンのモデルが最軽量。カラーにより多少重量差あり)。イベントの会場でも好評だった新カラーのオレンジは、6月中旬から販売開始したばかり。

軽さの理由は、20Dリップストップナイロンモノライトメッシュ素材を使用していること、幅120cmというサイズ、そしてツリーストラップと連結するハンモックの末端のラインを短くするなどパーツをミニマムにしているため。


薄手のメッシュ生地を使った超軽量なハンモック。

本体の生地は、滑りにくく適度に伸びるため、身体にしっかりフィットする。ツリーストラップとのセット販売で、1つのスタッフサックにハンモックとストラップをまとめて収納できるのも便利である。

SHINOGI 凌

■ ゲッカビジン 二重織り


【重量】234g / 【価格 (税込)】15,950円 ※7月初旬発売予定

四季のある日本の低山、つまり森林限界以下の山を歩く「シノギング」という独自の遊び方を提案している「凌」 (しのぎ)が、満を持してローンチするハンモック。

最大の特徴は、他のハンモックにはない、座った時に生地の「縁が立ち上がらない」革新的な構造。通常のハンモックは座ったときに、脚の裏に生地の縁が突っ張ってあたるが、それを驚くほどに感じない。何より山でハンモックで過ごすときは、寝るだけでなく、座って過ごす時間も長い。座り心地を着眼点にしたところにこそ、山でのハンモック・ハイキングの実践に長けた「凌」の特徴が表れている。


素材・サイズ違いの2種類展開。自然な風合いで表面が滑りにくい「二重織り」と、軽くてシルクのような光沢の「平織り」。

またこだわりの生地は、「伸びすぎない適度な伸縮性」「通気性のよさ」「肌触りのよさ」の観点から選び抜いたものを採用。表面にこまやかな凸凹のある生地は、肌あたりがやさしく、また滑りにくく体がズレづらい。幅140cmで234gという重量は、快適性を担保しながら、無駄なものを削った軽さを実現している。

ENO イーノ(イーグルズ・ネスト・アウトフィッターズ)

■ SuperSub™ Ultralight Hammock (スーパーサブ・ウルトラライト・ハンモック)


【重量】278g / 【価格 (税込)】13,750円

アメリカのハンモックシーンをリードする『ENO』。SuperSub™は、軽量な生地を使いながら超ワイドな設計にした、軽量さと快適さを両立したENO定番ハンモックのひとつ。

本体生地は、ULハイカーからの支持も厚い同ブランドの最軽量モデルSub6™ (164g) と同じ軽量素材の30Dリップストップナイロンを採用し、幅は190cmと超ワイド。重量200g台の同等重量の他のハンモックは幅140cm~150cmのものが多いなか、幅190cmは突出した広さだ。


ライトウェイトハンモックのなかで、突出した幅の広さ。それにより快適な寝心地を提供してくれる。

ENOスタッフによると、アメリカのハイカーたちの間でも、ULを重視するハイカーはSub6™、一方ゆったりした寝心地を重視するハイカーはSuperSub™と、人気は二分されているという。ビールを飲みながらでも、ハンモックから落ちて転ばないようにしたいハイカーは幅広のSuperSub™を選ぶ?みたいな笑い話も。

TICKET TO THE MOON チケットトゥザムーン

■ Lightest Hammock (ライテストハンモック)


【重量】228g / 【価格 (税込)】10,340円

TICKET TO THE MOONは、1996年からインドネシアのバリ島に拠点を置く、老舗ハンモックブランド。

快適でかつ軽い。TICKET TO THE MOONが、そのバランスを追求した到達点がこのLightest Hammock。同ブランドの快適性を重視したCompact Hammockと比べ、より軽量さを追求。しかし軽量さだけを追い求めず、同ブランドが考える快適さを守り抜いたのがこのLightest Hammockだ。

軽量ハンモックのなかでは、やや長めの300cmというゆったり寝られる大きめのサイジングながら、228g (カラビナ2個 14g含む) と軽量さも実現している。


トレードマークの月の形をした収納袋。ハンモックの設置も簡単で機能的な構造でもある。

また特徴的な快適さを生み出しているのは、生地に使用しているクリンクルナイロン。高温での加熱加工により強度を向上させており、シワが入った独特の風合いや、肌触りのよさも兼ね備えている。また伸びすぎずハリ感のある生地は、体を心地よくホールドしてくれる。


会場には至るところにたくさんのハンモックが張られ、熱気に包まれていた。

次回は、『HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2024 #02 注目のハンモック10ブランド (後編)』。今回とは異なる5ブランドのハンモックを紹介するので、お楽しみに。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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