LONG DISTANCE HIKERS DAY 2025 イベントレポート③ | HIKER’S MEMORIES

全3回でお届けする『LONG DISTANCE HIKERS DAY (LDHD) 2025』のイベントレポート。
今回の第3回目の最終回は、『HIKER’S MEMORIES』というテーマで、LDHDに登壇したロング・ディスタンス・ハイカーたちにインタビュー。ハイカーたちは、LDHDにどんな思いを持ち、どんな刺激を受けてくれたのでしょうか。
1つ目のメモリーズでは、2024年に海外のロングトレイルを歩いたハイカーたち(CLASS OF 2024)16人。
2つ目のメモリーズでは、このイベントに何度も参加してくれているOB・OGハイカーたち5人。
総勢21人のハイカーのLDHDのメモリーズをお届けします。
『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2025』に登壇したリアルなハイカーの言葉に触れ、次の旅の刺激を探してみてください。
メモリーズ1(CLASS OF 2024) : 旅から帰ってきたばかりのハイカーたち
今回のLDHDに登壇してくれた、昨年2024年に歩いたばかりの16人のハイカーたち。
■ 石丸 隆司 “Ronin” – AT
トレイルを歩いて受け取った、感謝や好意のバトンを次に渡す。
「自分のロングトレイルの旅について話すことで、少しでもこれから歩く旅に思いを巡らせてワクワクしてくれる人がいるのなら、トレイルを歩いて受け取った感謝や好意のバトンを次に渡すことになるのかもと。それは意味のあることだと思い、参加しました。
そして僕自身も、他のハイカーの話を聞いて刺激を受けたり、今年歩きに行くハイカーの不安とワクワクの入り混じった様子を見て、早く次の旅に行きたくなりました。」
■ 中井 康博 “Gazelle” – AT
LDHDはみんなにいっぺんに会える同窓会的な素敵な時間。
「ロング・ディスタンス・ハイキングを通じて繋がった友達と会うのはなかなか大変ですが、LDHDはみんなにいっぺんに会える同窓会的な素敵な時間でした。
価値観の近い人があれだけ集まることはなかなかありません。自分もハイカーたちと話していると、いくら時間があっても足りませんでした。またこれから旅立つ人のキラキラした目は、羨ましくも感じました。」
■ 鳥越 恵 “Tori” – Hexatrek
ハイカーの姿勢を尊重する、心から素敵な話を聴けた。
「悩み事なども含めて、たくさんのハイカーとフランクに情報交換できるのが、LDHDの素晴らしいところです。
コンテンツでは、『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』 (※1) が印象的でした。てっきり私はみんなスルーハイキングの素晴らしさを語るのかと思いきや、スルーハイキングという歩き方もそれ以外の歩き方もあっていいんだ、というすべてのハイカーを尊重する姿勢が感じられて、心から素敵な話を聴けたと思いました。」
※1 『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』:このコンテンツでは、DAY1ではスルーハイキング、DAY2ではセクション・ハイキングについて、それぞれのスタイルで旅するハイカーたちが登壇し、スルーハイキングとセクション・ハイキングのそれぞれの醍醐味を語るコンテンツ。
■ 関根 竜之介 “Dragon” – CDT
自分のテーマである「釣り」がどこまで届くのか心配でした。
「今年は登壇者として参加して、自分のテーマである「釣り」がどこまで届くのか心配でしたが、意外と好評だったようなので安心しました。
『釣りとLDH』のコンテンツでご一緒にした中井さん、鳥村さん。また『HIKER’S TABLE』(※2) の同じCDTのクラスメイトの河野さん。みなさん、自分と違う視点で語られていたものの、その中に自分と共通する部分もたくさんあって驚きました!」
※2 『HIKER’S TABLE』:このイベントの第1回目からつづく、コア・コンテンツのひとつ。それぞれのハイカーが、ロング・ディスタンス・ハイキングで体験したリアルでパーソナルなストーリーを語ってもらうコーナー。
■ 西尾 咲希 “Saki punch” – PCT
ハイカーたちの濃厚な自然に対する考え方を聴けて、ぞくぞくした。
「LDHDの一番の魅力はトレイルの最新情報を、実際に歩いたハイカーの言葉で聴けるところです。会場にいいバイブスが流れてるところも大好きです。
SPECIAL TALKの『HIKING IN WILDERNESS』(※2) は、4人のハイカーたちの濃厚な自然に対する考え方を聴けて、とにかく面白かったです。自然の中に入る危険性とそれに比例するワクワク感。「正しい知識を身につけ、自然の中で存分に遊ぶ」ということを、実践してるハイカーたちの言葉にぞくぞくしました。」
※3 『HIKING IN WILDERNESS 〜大自然に入るということ〜』:ロング・ディスタンス・ハイキングの旅だからこそ、長く、深く体験する『大自然に入るということ』をテーマに、「人と自然」について、改めてハイカーの目線から語るコンテンツ。ウィルダネスには圧倒的な景色や野生動物との遭遇があれば、一方で、ときには命の危険もある不条理なまでの厳しさに晒されることもある。その両面からウィルダネスでの体験を語った。
■ 清田 勝 “Not Yet” – Iceland
GDTを歩いた二人の旅は、すこし羨ましさすら感じました。
「LDHDでは、ロング・ディスタンス・ハイキングという狭い世界の遊びに、これだけの人が関心を持っていることにいつも驚かされます。
コンテンツでは、GDT (グレート・ディバイト・トレイル) を歩いた、樋口さんと山内さんのお話がとてもよかったです。GDTというみんながあまり選ばないトレイルを歩いただけでなく、学生時代からの二人の関係性のまま旅をしている姿と、軽やかに旅を乗りこなしていく二人の旅の経験は、すこし羨ましさすら感じました。」
■ もりた べんぞー “Psycho” – Colorado Trail
「THRU-HIKING」と「SECTION HIKING」のそれぞれの良さから、ヒントをもらえた。
「今回のLDHDは登壇者として参加させていただいたこともあり、これまで以上に多くの方と交流することができ、とても楽しかったです。
SPECIAL TALKの『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』では、旅への没入感とロマンがあるスルーハイキング、自由さとじっくり自然と向き合えるセクションハイキング、それぞれに良さがあり、これからの旅のヒントをもらえた気がします。」
■ 河西 祐史 “Wonderer” – Sierra
経験のあるハイカー同士が「次」を考えるヒントを求める情報交換の場でもある。
※写真左がWonderer。
「LDHDは、これから海外トレイルを歩くハイカーへの情報提供もそうですが、経験のあるハイカー同士が「次」を考えるヒントを求めて情報交換の場にもしているのではないかと感じました。自分もそうです。
コンテンツでは『HIKER’S TABLE』の樋口さんと山内さんによるGDT (グレート・ディバイト・トレイル) のレポートを拝見しました。トレイル自体に個人的に興味があったのですが、心情が伝わってきて面白かったです。」
■ 山内 奏子 “Kanako” – GDT
自分の楽しみを追求した人が、みんないい顔をしていたのが印象的でした。
「今回は、LDHD初登壇者で、いろいろなハイカーとも話すことができ、楽しかったです。
SPECIAL TALKの『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』では、自分は1ヶ月程度のハイキングが多いので、半年ほど歩いていると季節が移り変わっていく、というのを聞いてそういうのを歩いてみたい、と思いました。それと同時にセクション・ハイキングの「その場所の一番いい時期を選んで歩ける」というのも、確かにと思わされました。でも結局、自分の楽しみを追求した人が、みんないい顔をしていたのが印象的でした。」
■ 樋口 彩花 “Pigu” – GDT
帰ってきたからのそれぞれのハイカーの生き方を聴き、まだ旅は続くと感じました。
※写真左がPigu。
「今回は登壇に際し、自分たちの旅を2人で振り返る時間を改めてつくり、そこに第三者の目が入ってくれることで、より今回の旅が豊かになったと感じました。
ハイカーたちは、帰ってきてすぐ元の仕事に戻っている人、次のロング・ディスタンス・ハイキングのために働いている人、はたまた今後どのように生きていくのかを悩んでいた人がいたり。それぞれのハイカーが、まだ旅は続くんだなと感じさせられました。」
■ 遠藤 篤史 “Clyde ” – PCT
クラスメイトとの再会、今年歩きに行く人たちとの出会い。
「LDHDでは、なかなか会えない同じ年に歩いたクラスメイトとの再会や、今年歩きに行く人たちとの出会いがあり、それらが会話の楽しさや新鮮なエネルギーを与えてくれました。
特に印象的だったトークセッションは『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』です。歩くスタイルにはいろいろあり、それぞれに合った方法で楽しめばよいという視点と、今後の旅へのヒントを得ることができました。」
■ 鳥村 達郎 “Tatsuro” – JMT
どのハイカーも個性豊か。いろんな方と話すのが本当に楽しかった。
「LDHDでは、どのハイカーも個性豊かだなと感じました。それぞれが自分の楽しみ方でハイキングを楽しんでいるのが伝わってきて、自分だったらどんな旅がしたいかなと考えました。登壇者、参加者問わず、みなさんが語るストーリーが面白くて、いろんな方と話すのが本当に楽しかったです。
登壇者として自分の旅を伝える側になると、改めて自分の経験を振り返ることになり、「あ!自分はこんなこと感じてたんだ!」と気づく瞬間が生まれ、楽しかったです。」
■ 椎葉 貴博 “Taki” – Te Araroa
自然には命の危険もあるが、だからこそ本気で向き合うことができると再認識した。
「ロング・ディスタンス・ハイキングという旅の在り方について、同じ情熱を持って話せる人がたくさん集まるイベントという印象でした。
SPECIAL TALKの『HIKING IN WILDERNESS』では、山に入るということ、自然で遊ぶということが、命の危険もありながらも、だからこそ本気で向き合うことができ、ロング・ディスタンス・ハイキングでしか味わうことのできない何かがあるのだと思いました。」
■ 梨本 愛 “Ai” – JMT
仕事を数ヵ月休まないといけないと思って諦めてる人にも!
「今回は『HIKER’S TABLE』で自分のJMTの話をさせていただき、その準備のなかで自分の旅を整理することができました。
また 『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』では、セクション・ハイキングの話をさせてもらいました。去年、私はPCTのセクションとも言えるJMTを約3週間歩きましたが、とても良い旅になったと感じています。仕事を数ヵ月休まないといけないと思って諦めてる人がいたら、それぞれの状況のなかでも歩ける方法を探してみて欲しいと思いました。」
■ 河野 太二 “Sprite” – CDT
十人十色の感性や思想、信念や誇りが忖度なしに混ざり合う。
「LDHDは、普段はなかなか交わることのない「本物」のハイカーに会えるのが魅力だと思います。ネットの情報にはないパッションを肌で感じることができるイベントだと感じました。
登壇させてもらったSPECIAL TALKの『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』は、それぞれの価値観があり正解も不正解もなく、十人十色の感性や思想、信念や誇りが忖度なしに混ざり合ういい時間でした。それぞれ思うことが違うのに、共通していたのは、みんないい顔してる、ということでした。」
■ 堀田 響志郎 “Samurai” – PCT
今年歩きに行くハイカーに、去年の自分の姿を重ねた。
※写真右がSamurai。
「LDHDでは、登壇者として参加させてもらい、今年歩きに行くハイカーに、去年の自分の姿を重ねて見ることがありました。同じような不安を抱えて旅に行くハイカーたち。自分の旅をわがまま、且つただひたすら楽しんできて欲しいと思います。
コンテンツでは、『THRU-HIKINGとSECTION HIKING』のSEPCIAL TALKで、ロング・ディスタンス・ハイカーたちが、それぞれが考えるスタイルについて熱量高く話されていたのが、もの凄く面白かったです!」
メモリーズ2(OB・OG HIKERS) : イベントに何回も参加しているハイカーたち
過去に何度もLDHDに登壇・参加してくれた、5人のハイカーたち。
■ 筧 啓一 “SeekerU” – PCT, Colorado Trail
たとえ多くの言葉を交わさなくても、仲間なんだという感覚を覚える。
「第1回目のLDHDから、何らかの形で会場に足を運ばせていただきましたが、この場でしか顔を合わせることがない、多くのハイカーたちとの再会は毎回の楽しみです。たとえ多くの言葉を交わさなくても、同じ時期に、同じトレイルを歩いたハイカーではなくても、このイベント会場に一緒に居るというだけで、皆同様な体験をしてきた仲間なんだ、という感覚を覚えます。
また登壇者の体験談、特にセクション・ハイキングなど、自分にとってよりアプローチしやすいトレイルの話には、おおいに刺激を受けますし、今後のロング・ディスタンス・ハイキングに対してのモチベーションが上がります。」
■ 松浦 一磨 “Zoey” – PNT
ハイカーの話に、自分が同じ気持ちを追体験しているように引き込まれる。
※写真右がZoey。
「LDHDは、日常の仕事や生活から一旦離れて、ハイキングが好きな人同士の雰囲気・空気感が混ざり合う濃密な空間です。個人的にはビールもたくさんあり、いろいろな種類を飲めるからより楽しいです。
コンテンツでは、『HIKER’S TABLE』での鳥越さんのヘキサトレックのトークがよかったです。歩かれている時の気持ちのアップダウンをありのままに話されており、特に歩き終える直前の葛藤を聴いて、自分が同じ気持ちを追体験しているように引き込まれてしまいました。」
■ 飯塚 真吾 “Daylight” – AT
ATのハリケーンからの復旧状況など、いつも最新の情報を聴ける。
「LDHDは、経験を問わず、歩きたい気持ちを高めてくれるイベントです。
自分は、ATを歩いたハイカーとして、『2025 TRAIL TOPICS』 (※4) で話された、ATのハリケーンからの復旧状況が気になりました。ATは、すでにほぼ歩ける状態になっていることに、にボランティア活動の凄さを感じました。中井、石丸両氏のATのレポートも興味深く聴きました。」
※4 「TRAIL TOPICS」:国内外のロング・ディスタンス・トレイルにおける、トレイル環境の最新情報やルール変更を、ハイカーのリアルで最新の情報や、現地のトレイル団体の情報をもとに共有するセッション。
■ 丹生 茂義 “Time Zone” – PCT, AT, CDT
LDHDは、日本全国からいろんなハイカーが集合するのが最大の魅力。
「毎年のことですが、やはり歩いてきたばかりのハイカーには刺激を受けます。あの雰囲気は会場でなければ感じ取ることができないと思います。LDHDは、日本全国からいろんなハイカーが集合するのが最大の魅力だと思います。
『TRAIL ANGEL / TARIL MAGIC』は毎年の定番コンテンツですが、それぞれにエピソードがあり、毎回感動します。今年はと特に遠藤さんの話がとても興味深く、自分自身考えさせられました。」
■ 長沼商史 “GNU” – PCT, CDT, TA
「ウィルダネスで遊ぶとは?」みたいな話は、やっぱり大事。
「このイベントで、歩いてきた人や、来週、来月、来年出発するんです!なんて実際にやる人、やった人に会うことが増えた。いいよね、何千キロ歩くとか、頭のネジの外れた奴がやるアホな遊びを本気でカッコいいと思い、それを自分も!つって、やっちゃうっていうね。やっぱり「やる」人は好きだわぁ俺。能書きだけの奴らとは違うもん何もかも。
自分が出ておいてあれだけども、『HIKING IN WILDERNESS』での「ウィルダネスで遊ぶとは?」みたいな話は、やっぱり大事だよなぁと思った。ギアや技術が進歩しようがそんなん構わず自然は人を殺しにくるもんね。今、必要な話だとも思う。」
今年、イベントを盛り上げてくれたロング・ディスタンス・ハイカーたち。
3回にわたってお届けした『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2025』のイベントレポート。
来年の『LONG DISTANCE HIKERS DAY』では、今トレイル上を旅しているCLASS OF 2025のハイカーたちが登壇してくれます。どんな旅のエピソードを語ってくれるのか。今から楽しみです。
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