MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #11

取材・文・写真・構成:TRAILS
『MYOGer Works』では、TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) に集まるMYOGerたちの作品をレポートしていく。
GARAGEでは、どんなMYOGerたちが、どんなギアをMYOGしているのか?
それぞれのMYOGerたちのバックグラウンド(MYOGしたきっかけや動機) と合わせて、各人がMYOGしたギアを紹介する。
今回の#09〜#11では、MYOGer NIGHT #04 (2025年7月開催)に参加した、MYOGerたちによるギアを紹介。イベント当日の様子は、イベントレポートをぜひチェックしてみてほしい。 (記事はコチラ)
MYOGのマテリアル販売、MYOGer向けSCHOOL、MYOGer NIGHTと同様に、この『MYOGer Works』の記事が、MYOGカルチャーの世界観を共有、啓蒙し、新たなUL GARAGE MAKER誕生の健全なブースターとなればと思う。
これからMYOGを始めたい人向けに、GARAGEでは毎月SCHOOLも開催している (詳細はコチラ)。
クッカーセット / JITO
クッカーセット (マテリアル: 0.3ミリのアルミ板、X-Pac®。重量:316g。製作時間:風防1時間、カバー1時間。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
JITO:20年前にプレゼントで頂いたジェットボイルが最近では出番が少なくなってたんですが、もう一度使えるようにしたいなと思って。
せっかくならば軽量化をしたくて、アルコールストーブで使用できるようにと考えました。それで、風防兼ゴトクをアルミ板で作ってみたんです。
ジェットボイルに合わせて作った、アルスト用の風防と、ジェットボイル用のカバー。
—— 工夫したのはどのようなところですか?
JITO:風防をクッカーの中に収納できるように考えました。それと使用するときに、風防とクッカーの隙間をうまく確保するところに苦戦しました。構造的には、上からクッカーを置いたら、風防がクッカーに合わせてうまく固定される仕組みを考えました。
また、もともとのジェットボイルの紫色のカバーがボロボロになってしまっていたので、同じ紫色で、カバー兼トレイになるものを作りました。
MYOGにハマったきっかけ
バックラフトでダウンリバーしながら野営をするのが好き。そのときになかなかギアに合う収納袋がなくて悩んでいたとき、近所の雑貨屋でタイベック生地を売っていて、ちょうど長期連休 (GW) のタイミングでもあったので、そこからMYOGを始めた
フロントバック / YASU
フロントバック (マテリアル: エコパック EPX200、 FIDLOCK / マグネットバックル IF1227。重量:188g。製作時間:10時間。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
YASU:自転車用のフロントバッグなんですけど、FIDLOCK (フィドロック) のマグネットパーツの「カチッ」という感覚が好きで、どうしてもこのパーツを使いたかったんです。
このマグネットパーツは、無駄に何度も開け閉めしたくなるんですよね。二つ折りのガラケーをパカパカしていたのと同じ感じかもしれないです。
ポップな色合いのエコパックで作った、自転車用のフロントバック。
—— 設計はいろいろ試行錯誤しましたか?
YASU:友人にもフィールドテストしてもらいながら、サイズ感や容量、フラップの形状などを変更しながら、現在の形になりました。
出番は少ないですけど、輪行時にはウエストバッグとして使える仕様にしました。
MYOGにハマったきっかけ
最初はGARAGEのSCHOOLでスタッフサックをMYOGしたのがきっかけ。最初は自分のもミシンなく、奥さんのミシンを借りて始める。どんどんハマって、サコッシュ、エコバック、ポーチなどいろいろ作り始めて、クラフトビールのラベルを剥がして、ポーチに付けたりとか、自分なりに遊んでMYOGするように。その後、自分のガレージブランド「yas guess gear」を立ち上げ。
パックラフトのスプレースカート / HIKERBIRDER
パックラフトのスプレースカート (マテリアル: Alpacka Raftのスプレースカート、ジッパー。重量:240g。製作時間:3時間。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
HIKERBIRDER:パックラフト (Alpacka Raft) のスプレーデッキの本体構造を残したまま、簡易にスプレースカート (※パックラフトやカヤックの中に水が入らないようにするカバー) を装着できるようにしたくてMYOGしました。
それで、もともと持っていた古いAlpacka Raftのスプレースカートを切って、ジッパーで開閉できるようにしてみました。ジッパーは、止水ジッパーだと動きが悪いので、するすると動く止水ではないジッパーにしました。
スプレースカートをジッパーで開閉して、簡単に装着できるようにしたMYOG。
—— パックラフト関連のMYOGは、MYOGer NIGHTのなかでも初めてです。
HIKERBIRDER:そうなんですね。ちなみに今回のMYOGでは、スプレースカートの本来の防水性能を、MYOGにより劣化させるのと引き換えにして、装着の面倒くささを解消することを目指しました。
MYOGにハマったきっかけ
昔からギアの改造とかはしていたが、MYOGらしいものとしては、2013年に海外から素材を通販して、自分なりに考えて作るところまでを実践してみたのが最初。作ったのは、ポンチョやキルトとして使えるブランケットで、Primaloft Sport (中綿) とMomentum (シェル) を注文し、友人宅でああでもないこうでもないと話しながら一気に縫い上げた。
パッチワーク・サコッシュ / EMIKO
パッチワーク・サコッシュ (マテリアル: X-Pac®、タイベック® ソフト、シルナイロン。重量:65g。製作時間:1日。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
EMIKO:色や柄の配置はすべて直感で組み合わせ、自分のブランドのe-couleur (エクルレ) らしい彩りを追求しました。
X-Pacのオリジナルの柄や色とりどりの端材を使い、両面すべてをパッチワークで仕上げた一点もののサコッシュです。
さまざまな生地の端材でパッチワークしたサコッシュ。
—— どのようなところに苦労しましたか?
EMIKO:構成から裁断・縫製まで約1日で作ったのですが、厚みや質感の異なる素材をつなぐのに苦労しました。
でも、良い意味で「裏切る」色の組み合わせの、「世界に一つ」のギアができたと満足しています。
MYOGにハマったきっかけ
もともと山もミシンも好きで、市販のギアにない、軽量でかわいいものが欲しいと思ったのがきっかけで、手探りでMYOGを始める。現在は、色とりどりのアウトドアギアをMYOGで作る自身のブランド「e-couleur (エクルレ)」の主宰。
サコッシュ / NENTA
サコッシュ (マテリアル: X-Pac® VX21、グリッドストップ 210D、9.3oz Stretch Mesh Nylon 6.6 with Dyneema、スライド・ロック。重量:99g。製作時間:1日。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
NENTA:体にフィットするように自動でバランス調節する、ショルダーパッドの機構を試すために制作しました。
これはショルダーパッドの表面に配したループ状のコードが、自動で釣り合いの取れる位置まで動いて、縁を押さえて肩にフィットしてくれる機構なんです。カメラのストラップ等にも応用可能な構造です。
体にフィットするように自動でバランス調節する、ショルダーパッドの機構を付けたサコッシュ。
—— 本体はどんなことを考えて設計したのですか?
NENTA:本体はストレッチメッシュでマチを折り畳み、すっきりした見た目でありながら、物が入ると必要量だけ拡張するデザインにしました。600mlのペットボトルが横に2本、すっぽり入るサイズです。
MYOGにハマったきっかけ
大学でバックパックの研究、現在は製品のエンジニアリングに関連したことに従事しており、レイウェイのバックパックを見た時に、ここに技術が加わればフィッティングなども向上するはずと思い、自分の人間工学のスキルを活かしてバックパックのMYOGを始めた。
3WAYバック / KANEYAN
3WAYバック (マテリアル: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック・ハイブリッド、ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.0oz。重量:184g。製作時間:3日。)
—— このギアをMYOGしたポイントは?
KANEYAN:状況に応じて3通りの使い方ができる、チェストバッグ、アタックザック、そしてヒップベルト装着によりファニーパックとしても使えるギアを作りました。
チェストバッグ、アタックザック、ファニーパックの3WAYバック。
—— MYOGer NIGHT#01でも、変身するマルチユースなギアを作ってましたね。
KANEYAN:今回のアタックザックへの変形方式は、初回のMYOGer NIGHTで発表した、サコッシュからアタックザックへの変形する方式を流用しています。
いかに少ない手順と少ない部品で、3通りの使い方を実現可能することに苦労しました。
MYOGにハマったきっかけ
小さい頃から、ものをつくるのは好きだった。最初のMYOGは、自分は体が大きいので、自分の体に合ったビヴィを作ろうと思ったのがきっかけ。その後、GARAGEを訪れて、いろいろと相談に乗ってもらって、バックパック、ハンモック用のアンダーキルトなど、いろいろとMYOGをするようになった。
今回で、MYOGer NIGHT #04 (2025年7月開催)に参加した他のMYOGerたちの作品レポートは完結。また次回、MYOGer Worksをお楽しみに。
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