コロラド・トレイル | #09 トリップ編 その6 DAY23~DAY32 by Tony(class of 2023)
文・写真:Tony 構成:TRAILS
ハイカーが自らのロング・ディスタンス・ハイキングの体験談を綴る、ハイカーによるレポートシリーズ。
2023年にコロラド・トレイル (CT) をスルーハイキングした、TRAILS crewのトレイルネーム (※1) Tony (トニー) によるレポート。
全8回でレポートするトリップ編のその6。今回はCTスルーハイキングのDAY23からDAY32までの旅の内容をレポートする。
※1 トレイルネーム:トレイル上のニックネーム。特にアメリカのトレイルでは、このトレイルネームで呼び合うことが多い。自分でつける場合と、周りの人につけられる場合の2通りある。

コロラド・トレイル (Colorado Trail):コロラド州のデンバーからデュランゴまで、アメリカのロッキー山脈を通る486mile (782km) のトレイル。標高3,000m~4,000mの、厳しくも美しい高山地帯の景色を楽しみながら歩くことができる。
カレッジエイト・ウエストセクションへ。(DAY23〜DAY24)

カレッジエイト・ウエスト・イーストの分岐。
PCT DAYS(※2) からコロラドトレイルへと戻り、しばらく湖畔を歩き続けていくと、カレッジエイト・ウエスト・イーストへの分岐ルートに到着した。
カレッジエイトのウエストセクションはコロラドトレイルのなかでも、難所と言われているセクションだ。サンダーストームも頻繁に遭遇するなかで、標高4,000m近くの峠がいくつも越える。
サンダーストームから隠れる場所もほとんどないため、途中で会ったほとんどのハイカーが、忠告してきた。「もしウエストセクションを歩くつもりなら、天気に十分に注意をしないと危ないよ」と。ちなみにこのウエストセクションは、CDTのルートとも重なる。

徐々にハイカーの気配がしなくなるカレッジエイト・ウエストセクション。
事前に天気も確認しつつ、ウエストセクションを歩こうと決めていたのに、少し心が揺らいだ。念のため、inReach mini(※3) でも天気を確認し、次のトレイルタウンまでは天気が持ちそうなのを改めて確認して、ウエストセクションを進んだ。
今までのコロラドトレイルのルートとは打って変わって、ハイカーの気配がほとんどなかった。

カレッジエイト・ウエストで出会ったライチョウ。
サンダーストームに襲われるかと張りつめたなか、1日に何度も峠越えをした疲れのせいか、シェルターを張った直後に眠りに落ちた。
※2 PCT DAYS: アメリカ3大トレイルの1つPCT (パシフィック・クレスト・トレイル) のフェスティバルで、オレンゴン州のカスケードロックスで毎年8月に開催される。多くのギアメーカーの出展があり、プレゼンテーション、イベント、パーティなどが行なわれる。
※3 inReach mini:GARMIN (ガーミン) が開発・販売している衛星通信デバイス。携帯電話の電波が届かないエリアでも、双方向通信が可能でSOS発信機能も搭載されている。重量は約100g
カレッジエイト・ウエストでの出会い(DAY25〜DAY27)

カロリー消費が激しいアップダウンが多いカレッジエイト・ウエストセクション。
翌日もアップダウンが激しいセクションを歩き続けたため、少し早いが次の水場で早めに休むことにした。
その場所には、1人のハイカーが先にテントを設営をしていたため、挨拶だけして次のテン場を見つけようと思ったが、カレッジエイトに入って初めて会うハイカーだったので、話しかけた。
「近くにテントを張ってもいい?」と聞くと、テントの中から「もちろん!」と言ってくれたので、トレイルを挟んで反対側のスペースにシェルターを設営することにした。
こちらもシェルターを設営し終え、寝床の準備が整ったところで、「一緒にディナーを食べないか?」と声をかけてくれた。

ロング・ディスタンス・ハイカーであり、MYOGerであるRIGHT ON。
彼はRIGHT ONというハイカーで、聞けば、PCT、CDT、テ・アラロラ、グレート・ディバイド・トレイル (GDT) と、毎年のようにロング・ディスタンス・ハイキングをしているハイカーだった。
コロラドトレイルの前にはGDTをハイキングし、コロラドトレイルを終えた後には、そのままHaydukeを歩く予定らしい。タフなハイカーだ。その彼が、僕のMYOG (MAKE YOUR OWN GEAR=ギアの自作) したシェルターを見て、声を挙げた。
「めちゃくちゃイカしたカラーリングじゃないか!日本メーカーのシェルターなの?」
このシェルターは、自分でMYOGしたものだと伝えると、彼のテンションは最高潮となり、「マジか!僕もシェルターをMYOGしたんだ。君もMYOGしたんだね!」と、お互いのMYOGシェルターのこだわりポイントなどで1時間ぐらい盛り上がった。

RIGHT ONのMYOGシェルター。
翌日からはRIGHT ONと一緒に歩くことにした。彼は食事の際に、いつも「モア・エナジー!」と言ってトレイルフードにたっぷりとオイルをかける。今までのトレイルの経験から、カロリーを効率的に取る手段や、トレイルを歩く上でのカロリー消費が少ない歩き方など、たくさんのTIPSを教えてくれた。
歩くペースや、1日の歩く距離、休憩のタイミングなど、トレイル上での生活のリズムがほとんど一緒だった彼とのハイキングは、とても心地よい時間だった。

MYOGシェルターで過ごすRIGHT ON。
そんな日々を数日過ごすと、背負った食料は残り少なくなってきたので、補給をするために町に降りることにした。RIGHT ONはまだ食料に余裕があったため、町に降りることなく、そのまま進むということだったので、またトレイル上で再会することを約束し、それぞれ別の道に進んだ。
サライダの町でゼロデイ(DAY28)

ようやく止まってくれたジェフのオンボロのダッジのバン。
RIGHT ONと別れた後、サライダの町までヒッチハイクをすることにした、
ただ、カレッジエイトのウエストルートは町から離れているだけでなく、標高が高いため、歩いているハイカーも少なく、ヒッチハイクが難しいと言われている。おまけにサライダの町までは35kmと距離も長いのだ。
1時間、2時間と時間はどんどんと過ぎていく。
一度、中断してランチでも食べようかと思った瞬間、ようやく一台の車が止まってくれた。このヒッチハイクで止まってくれたのがコロラドに住むジェフという初老の男性だった (※彼とのエピソードの記事は、パタゴニアのページで「コロラド・ポリシー」というタイトルで掲載されている。詳細はコチラ)。
そしてジェフに町まで乗せてもらい、ヒッチハイクから3時間後にようやくサライダの町に到着することができた。

トレイルタウン、サライダの町並み。
サライダの町はSafewayやWalmartなどの大型スーパーマーケットもあり、リサプライには特におすすめだ。町の北側には、パックラフトやSAP、カヤックも楽しめるアーカンソー川が流れている。
宿泊予定のホステルに到着すると、コロラドトレイルを歩いているハイカーが多く宿泊していた。シャワー、洗濯、食料の補給など、町に降りた時の一通りのルーティンを終え、ホステルに戻ると後ろから声を掛かけられた。
声をかけた人は、なんとコロラドトレイルで最初に立ち寄ったトレイルタウン、ベイリーからトレイルに戻る際に、トレイルヘッドまで送り届けてくれたロスだった。実に3週間ぶりの再会に、二人でビールを飲んで盛り上がった。

最初のトレイルタウン以来の再会となったロス。
翌日の朝、チェックアウトをしようとホステルのオーナーのところに行くと、オーナーから宿泊代が返金された。どういうこと?と聞くと、なんと前日にロスがトレイルマジックで、宿泊代を出してくれたそうだ。
先に出発したロスにすぐに電話をして、精一杯のお礼を伝えた。コロラドに来てから、本当に助けてもらってばかりだ。
初めてのムース(DAY29〜DAY32)

迫りくるサンダーストーム。
トレイルに戻り、程なくしてカレッジエイト・ウエストセクションを歩き終えた。アップダウンや危険箇所も多かったが、その分だけ、大自然が溢れる素晴らしいセクションだった。
難所を終えて少し気が緩んだのか、油断をしてしまった。いつもであれば定期的に休憩をとり、靴擦れをしないように靴を脱いで、足やソックスを乾かしているところ、この日は昼以降、後ろから追ってくるサンダーストームから逃れようと、一度も休憩を取らずに、ハイペースで歩き続けていた。
足に違和感を感じ始めた頃、予定していたテント場にようやく到着し、なんとかサンダーストームは凌ぐことができた。

足を乾かさずに歩き続けた代償。
靴を脱ぐと、前足部にしっかりとした靴擦れができていた。最低限の応急処置はしたが、次のトレイルタウンまでは、まだ3日ほどかかるため、しばらくはこの痛みに耐えながら歩かなければならない。
日に日に増していく痛みを堪えつつ、2日ほど歩いた頃に、コロラド出身のハイカーであるマットにテント場で再会した。
靴擦れの事をマットに伝えると、マットは「靴擦れの処置には慣れているから、足を見せてみな」と言い、手持ちのテーピングなどで手際よく処置をしてくれた。
マットにお礼を伝えていると、ひとりのハイカーがテント場を通りかかった。そのハイカーは、カレッジエイト・ウエストセクションを一緒に歩いたRIGHT ONだった。どうやら彼はは2mile先のテント場にいたそうだが、日本人ハイカーが近くにいるという話を他のハイカーから聞いて、わざわざ戻ってきたそうだ。
RIGHT ONと再会を喜んでいると、いつの間にかテント場には10人ものコロラドトレイルハイカーが集まっていた。せっかくだから、みんなで焚き火をしようと準備に取り掛かっていると、森からムースが現れた。僕にとっては初めてのムースだった。
ハイカー全員でムースを鑑賞しながら夕食を食べる。隣りにいるRIGHT ONを見ると、いつも通りにトレイルフードにオイルをかけていた。

ハイカー全員でムースを鑑賞しながら夕食。
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