TRAIL TALK

#005 BRETWOOD HIGMAN&ERIN MCKITTRICK / ブレッドウッド・ヒグマン&エリン・マキトリック

2014.12.05
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取材/TRAILS 訳/大島竜也・三田正明  写真提供/ブレッドウッド・ヒグマン&エリン・マキトリック

2010年、「A Long Trek Home」という本の存在を知った。この本は、ヒグとエリン夫妻が、シアトルからアリューシャン列島(アメリカのアラスカ半島からロシアのカムチャツカ半島にかけて約1,930キロメートルにわたって延びる列島)まで、ハイキング、パックラフティング、スキーというヒューマンパワーのみで4,000-mileを旅をするという内容だった。僕らも、トレイルズを立ち上げる前から夫婦で旅することが多かったこともあり、彼らの旅のスタイルに刺激をもらったし、参考にさせてもらっていた。

そして、2013年。今度は、幼い子供と一緒に家族で北極を旅をするという内容の「Small Feet,Big Land」という本を新たに出版した。日本では子供が生まれて小さいうちは、アウトドアフィールドから遠ざかってしまうことも少なくないし、僕たちもお手本が少ない中でどのようにトレイルとつき合っていこうか模索していた時期でもあった。またしても彼らがどのように小さな子供を連れて、家族でトレイルでの旅、そして生活を実践しているのかとても興味を持った。

彼らは子供たちを寝かしつけた後の時間で、スカイプ越しのインタビューに答えてくれた。エリンは、少女のような眼差しをしたとても雰囲気がある女性で、ヒグは、インタビュー中ずっと笑顔で答えてくれるナイスガイだった。今回のTRAIL TALKを読んだことがきっかけで、家族で自然の中に入っていく人たちが増えてくれるとうれしい。ぜひ最後までごゆっくりお楽しみください。

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子供たちを抱っこしながら歩く、ヒグとエリン



■アウトドアで色々なことを体感することが重要と考えているわ

――まず今回のインタビューの目的について説明させて下さい。日本でも多くの人がアウトドア・アクティビティを楽しんでいますが、結婚して子供ができるとアウトドアで遊べなくなる人が多いのが現実です。そこで、実際に子供たちと沢山のアウトドア経験を共有しているエリンさんとヒグさんに、どうすれば小さな子供がいてもアウトドア・アクティビティを続けることができるのか、そのヒントとなるようなお話を伺いたいと思っています。まずは日本の読者に向けて自己紹介をお願いします。

ヒグ「OK。エリンと僕は二人とも出身地とは離れたミネソタの大学へ通っていたんだけど、そこで僕は地理学を専攻し、地震や津波の影響について研究していたんだ。そこでエリンと出会って1999年から交際を始め、2001年に初めて二人で長い旅をして、沢山のウィルダネスでの経験をした。8年後の2009年に第一子のカトマイが生まれて、それからエリンと僕はどうやって子供と一緒にウィルダネスを一緒に体験できるかということを真剣に考えるようになったんだ。」

エリン「長男のカトマイはいま5歳で、下のラトウーヤは3歳9ヶ月になるわ。」

――お子さんたちはとてもユニークな名前ですね。

エリン「カトマイはアラスカにある火山の名前から、下のラトウーヤは私たちの住むセルドヴィアの近くにある港の名前から名付けたの。カトマイは自宅でホームスクール(保護者自らが教科書などを使い子供に勉強を教えるアメリカではさかんな制度)をしていて、ラトウーヤは地元の幼稚園に週2~3回通っているわ。私たちはアウトドアで色々なことを体感することが重要と考えているので、勉強以外では毎週金曜日に地元のネイティブ・アメリカン団体と協力して、子供たちを外にハイキングに連れて行くアクティビティを毎週金曜日に行っているの。」

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エリンとラトウーヤ



■自給自足に近い生活をしていている

——どんな場所で、どのように暮らしているのですか?

ヒグ「僕たちの住むセルドヴィアの町の人口は300~400人程で、道も十分整備されてなくて、国道につながっている道もないんだ。この町はアメリカ領になる前はロシア領だったので、その名残でロシア語の名前(=Seldovia)がついている。昔も今も町の主な産業は漁業で、他には建設業や観光で成り立っている。ここでは多くの人が自分で魚を釣ったり狩りをしたり、野菜を自分の畑で育てたりして自給自足に近い生活をしていて、家も自分で建てる人が多いよ。そこで僕たちは『ユルト』と呼ばれるモンゴルの遊牧民が住んでいるような円形のテント式住居に住んでいるんだけど、素材や構造は現代の技術を使っているので、住み心地はまったく問題ないよ。セルドヴィアにユルトを販売している会社があるので、そこでお願いして建てたんだ。」

エリン「私はシアトル出身だけど、母がたまに遊びに来て数週間滞在するので、母用のユルトもあるのよ(笑)。」

――なぜユルトに住もうと思ったんですか?

ヒグ「選んだというより他に選択肢がなかったからなんだ(笑)。アラスカに引っ越したときエリンは妊娠1ヶ月だったし、冬も近づいていたからとにかく家を見つける必要があった。検討をしているとユルトだと通常の家を建てるよりかなり短い工期で建設できるということを知ったんだ。ユルトは遊牧民の住居なので本来は簡単に移動が可能なんだけど、僕たちの家には窓ガラスなどが入っているので簡単には動かせないけどね。」

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ユルトの住居



■二年に一度は家族で六~七ヶ月の旅に出ている

——ライフスタイルについても教えてください。普段の一日のスケジュールは?

エリン「朝起きたら朝ご飯を準備して、朝食後にヒグか私のどちらかが子供たちと遊んだり、カトマイに勉強を教えたりします。手の空いている方がPCを開いて自分の仕事をするというルールにして、お互いの仕事の時間を確保しています。午後になると外へ出かけて短いハイキングに行ったり、ビーチに出かけたり、雪遊びやスキーをしたりして過ごします。夜になると近くに住むヒグのお母さんやお姉さんと一緒に夕食を食べたり、頻繁に友人が遊びに来るので、友人らと一緒に食事をすることもあります。なので、夕食は大人数でわいわいと食べることが多いわね。家族のイベントとしては、ひと月に一度満月の日に一泊二日のキャンプに出かけます。毎月のキャンプ以外も頻繁に家族で外へ出て、テントを張って夜を明かしています。それ以外も夏には一、二週間の旅に出たり、二年に一度の頻度で6~7ヶ月の旅に家族で行きます。」

——お二人はどんな仕事をされているんですか?

ヒグ「普段はセルドヴィアにある環境コンサルティング会社で働いていて、様々な分析や調査をしているんだ。具体的には(アラスカ沖は多くの原油タンカーの航路になっているので)タンカーから漏れた原油の周辺への影響調査を担当している。その他にも分析プログラムを書いたり、実際に海辺へ出て沿岸部の実地調査にも関わっている。それにNPOの代表もしていて、アラスカにおける環境問題の啓蒙活動や、大学時代の専攻を活かして地震や津波の調査にも携わっているよ。」

エリン「 私はライターをしています。たとえばヒグが関わる原油タンカーの問題であったり、アラスカの自然環境についてだったり。記事は地元の新聞向けに書くことが多いけど、他のメディアにも書くこともあります。それ以外では地元の環境整備に関わる友人とトレイルに立てる動物の標識や解説ボードづくりにも関わっています。生活費が多くかからないので、それほどお金は必要じゃないの。でも二人の仕事は専門性が高くてそれなりの収入を得ることができるから、家族で長旅に出ることができるんです。」

——エリンさんはトレイルに立てる標識づくりをされるとの事ですが、トレイルの設計等にも関わったりもされているんですか?

ヒグ「トレイルの設計は実は僕がやっているんだ。セルドヴィアの自治体に国から予算がおりて環境保護や公園整備をする話があったりすると、いつも僕らのNPOに相談があるんだよ。 僕らの専門性や実際に色々なところへ行って多くの自然や町づくりを見て来た経歴を知っているので、その経験を活かしてトレイルのルートづくりやその設計に関わる機会をもらえるんだ。エリンもその流れで標識づくりを担当することになったんだけど、彼女が作っているのはより観光やレジャーで訪れる人を対象にしたものだね。」

——普段はほぼ自給自足の生活をされているとのことですが、ちなみに今晩はどんな夕食メニューだったんですか?

エリン「ディナーは畑でとれたビート(甜菜)とジャガイモのスープ、自分で焼いたパンを食べたわ。パンの小麦粉はスーパーから買ってきたものですけど。他にはたとえば畑でとれた野菜や野生のきのこを炒めてごはんと食べたり、川でとれた魚を食べたり。魚はサーモンをよく食べるけど、殆どは地元のマーケットで買っているわ。実は先日も冷凍のサーモンを40匹分買って、冷凍保存用に缶詰め作業をしたところなの。 あと約100リットル分のブルーベリーも頂いたので、それもほとんどジャムにして缶詰にしたわ。ちなみにサーモンはオイル漬け。薫製にして缶詰する人もいるけど、私達はオイル漬けにしています。」

ヒグ「サーモンはよく刺身や寿司にして食べるよ。僕のお気に入りさ。」

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洞窟の中での焚き火



■過去三度の旅はハイキングとパックラフティングの両方で旅をした

——これまでご家族で何度も長期間の旅に出られていますが、過去にどんな場所へ行かれたか教えて頂けますか?

エリン「家族全員で長い期間を旅したのは過去に三回あって、初めて旅をしたのはカトマイが1歳半でラトウーヤがまだお腹の中にいた頃で、そのときは北極の海岸沿いを約一ヶ月間旅しました。二回目はカトマイが2歳半でラトウーヤが1歳のときにマラスピナ氷河へ行き、そこで二ヶ月間キャンプを張って生活しました。三回目はカトマイが4歳でラトウーヤが2歳の時に三ヶ月半をかけてアラスカの西からアンカレッジまでの海岸沿いを旅しました。 次の旅はアラスカ北部に二ヶ月間の旅に出る予定で、そこで犬ぞりをしたり、スキーをしたりする予定です。また、来年の夏はアリューシャン列島のウナラスカ島にあるダッチハーバーという町に行く予定です。」

——それらの旅はどんな手段で旅をされたのですか?

エリン「過去三度の旅はいずれもハイキングとパックラフティングの両方で旅をしました。次回の旅では初めてスキーも取り入れる予定です。」

――パックラフトを旅で使用されるのはどんな理由からですか? また、どんな種類のものを旅で使用されていますか?

エリン「理由は、今まで訪れた旅先は氷上や雪の上を進むことがあるので、より効率的で楽しいから。また子供達と一緒に行動するのにより便利であることも理由です。種類はアルパカラフトのDenali Lama等の一番大きなサイズからAlpakaサイズまで使っています。パックラフトの多くはスポンサーからの支給なので、沢山の種類を今まで使いました。ちなみに次回のアラスカ北部への旅ではスキーもあり荷物が多くなるので、Denali Lamaを二つ持って行く予定です。」

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家族4人でパックラフトで移動する



■MYOG (ギアの自作)をすることもあるわ

――旅の道具はどのような基準で選んでいますか?

エリン「道具選びでいつも課題になってくるのは、どれだけ妥協するかですね。要素としては費用と重量が最も大きくて、耐久性も重要です。他には、数ヶ月間に渡る旅だと様々な状況に出くわすので、多用途性も重要になってきます。費用を安く抑える為や、私たちの目的に沿った軽量な道具を手に入れるためにMYOG (ギアの自作)をすることもありますが、自分でつくるのは時間もかかるし、多くの場合見た目がファニーになってしまいますよね(笑)。子供用のギアは特に難しいです。子供の成長は早いし、子供用のギアの多くは大人用ほどよくはできていませんからね。」

――お気に入りの旅道具とその理由を教えてください。

ヒグ「まずパックラフトは欠かせないね。これまでのすべての旅でその必要を感じてきたし、実際使いまくっているよ。特にアルパカラフトのパックラフトは僕たちの旅の目的を満たすのには充分以上の働きをしてくれている。寒さの厳しいコンディションの時はチタニウム・ゴートのウッドストーブがお気に入りだよ。とても軽くて、テントの中でも使えて、テントをまるで家の様な空間にしてくれる。他にはパタゴニアのパフジャケットとキャノンの一眼レフのRebel(日本名はEos Kiss)もお気に入りだね。」

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氷河の中でのキャンプ



――熊対策はどのようにしていますか?

ヒグ「熊に襲われることはしばしば起こることだし、実際に起きたとしたら本当に大きなリスクだよね。でも、多くの人が思うほど熊は危険な動物じゃないんだ。僕たちはこれまで多くの熊と出くわしてきたけれど、問題が起きたことは一度もない。多くの場合は熊のほうから逃げていったね。でも危険であることに変わりはないので、子供たちと行動するときはいつも以上に気をつけているよ。キャンプの時は各自が熊対策用のペッパースプレーと手持ちたいまつを携帯し、テントの周りにはウルトラライトな電気フェンスを設置し、食料は防臭バッグに入れて熊が臭いを嗅ぎ付けないようにしている。バッグに入れた食料はテントの中に置いているけど。このシステムは今のところうまく機能しているけれど、大人だけでキャンプするときにははちょっとやり過ぎかもしれないね(笑)。」

――道具選択の失敗や怪我や病気、急な悪天候など、失敗談を教えていただけますか?

ヒグ「ギアでは数えきれないほどの失敗をしてきたよ。靴がバラバラになったりテントが壊れたり、電化製品がまったく動かなくなったり。こういったケースの対策として、常に修理ができるよう準備をしている。過去に熊にキャンプをめちゃめちゃにされたこともあるけれど、その時は90cmもテントを縫って修理した。スリーピングバッドやパックラフト、他にも様々なものを修理したよ。今までで最悪の失敗は凍った入り江を横断する際に氷の状況を見誤ったことだね。詳しくはエリンの一冊目の本に書いてあるんだけれど、地平線の向こうの氷の状況が想像つかなかったせいで、みぞれに吹かれながら氷山に囲まれた場所で立ち往生して、命の危険すらある状況に足を踏み入れてしまった。もしもあんなことが起こると知っていたら、絶対に行かなかっただろう。」

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テント内での食事



■ウィルダネスで過ごす方が自由だし、もっとシンプルなの

—— 日頃から自然の中で生活しているのに、なぜまた自然を旅したいと思うのでしょうか?

ヒグ「それもそうだね(笑)。でも、それは多くの自然を見れば見るほどより多くのことを学べるからだと思うよ。自然での経験は子供たちによっても良いと思うからね。また、普段から自然の中で生活をしているとは言え、そこには日常があるのでパソコンや電化製品があり必要なものは手に入りやすい便利な生活なので、自然にいることで本当に自由な時間を家族と一緒に過ごすことが大事だと思うからかな。」

――小さな子供たちを抱えてウィルダネスを行くことは苦労も多いと思いますが。

ヒグ「たしかに、小さな子供たちは日常生活でも手に負えないのに、アウトドアではもっと大変だと思うよね。でも、実際に子供たちと一緒にウィルダネスで過ごすことで僕たちはまったく大変な経験はしていなくて、むしろよりシンプルになっているんだ。」

エリン「そうなの。日常生活では色々なルールや壁があるから子供たちがいると大変なことも多いけど、ウィルダネスだったら自由だし、もっとシンプルなの。誰も仕事に行かなくていいし、予定も入ってないし、学校もイベントごともない…みんな一緒にいられて、お話や遊びや冒険をする時間が沢山あるわ。」

――おむつはどのようにしていました? 使い捨ての紙おむつも使うのですか?

エリン「ありがたいことに今は二人の子供たちにおむつをはかせる必要はないけど、まだ二人の子供達が両方おむつだった時に旅先で二ヶ月間外にいてオムツの替えも充分でなく、水へのアクセスもないときは、G-Diapers(G―おむつ)というシステムを使っていたの。布製の生地が一番外側でその内側にゴム製のライナーがあって、さらに使い捨てパッドが入った三層構造になっているんだけど、私たちは沢山の替え用のパッドを持ち歩いて、他のパーツは数点しか替えを持っていませんでした。パットを替える他は二週間ごとにオムツの外側をお湯で手洗いしたけれど、あまり楽しいことではなかったわね(笑)。使ったパットは大人の排泄物と一緒に土に埋めていたわ。」

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ウィルダネスの中で、おむつを替える



――旅の間、赤ちゃんにはどのようなものを食べさせていたのですか?

エリン「子供たちは2歳半までおっぱいを飲んでいましたけど、生後6ヶ月からは普通の食事も食べさせていたの。だから子供たちは私たちと同じものを食べることを学ぶ時間が充分にあって、そのやり方はうまくいったの。結局、子供達に離乳食のような乳児用の食べものをつくることはなかったわ。」

――お子さんの背負子にはどんなものを使っていましたか?

ヒグ「僕たちは背負子ではなく、ラップ式のものを使っていたんだ。ベイビー・ラップはすごくいいよ。親の身体によくフィットするから赤ちゃんと身体の暖かさをシェアできるし、より体の近くで固定できるので赤ちゃんの顔が外に飛び出して危険にさらされるようなこともないんだ。ラップは綿を編んだものが一般的だけど、僕たちは少しでも軽く、乾きやすくするためにナイロン製のものを使っていた。時にはバックパックを背負いながら前にラップで赤ちゃんを運ぶこともあったけど、荷物の重いときはちょっとキツかったね(笑)。でもすごく役立った。」

■自由のある生活をしたいと思っている

――おふたりが目指している目標や価値観はありますか?

ヒグ「特に壮大な目標はないよ。僕らにしてみたら、ただ毎日の生活をより良く効率的にするためにできることをひとつづつやっているだけなんだ。たとえば、最近だったらシャワーを浴びるときに安定的に水が出るように井戸を掘ったり、自家農園用の畑をつくったり。僕にとってアラスカで暮らすことの良さは、多くのを自分の力で自給自足しなくてはならないところなんだ。ここには工夫を凝らして自然のなかで暮らしている人が沢山いて参考になる生活の知恵を実践しているので、本当に沢山のことを学ぶ機会に恵まれているよ。」

――生活や人生において、大切にしている理念はありますか?

エリン「自由のある生活をしたいと思っています。二~三ヶ月働かなくてもやっていけるようなるべくコストをかけずに生活をしたいし、仕事の時間よりも家族の時間がとれるライフスタイルを目指しています。ただ一つあるのは、“Impact of beyond our life style”という考えね。簡単に言うと、自然と共存するライフスタイルを実践すれば、自然はそこから得られる価値以上のものをもたらしてくれるということ。そして、そこで得られた多くの学びによって周りの人にも良い影響を与えて、後世にとってより良い世界にしていけたら嬉しいわね。」

——その理念に至った背景には、やはりお子さんを持ったことが影響していますか?

ヒグ「僕らがもともと考えていた部分と勉強の積み重ねで行き着いたことだと思う。僕は大学で地理学を専攻して今まで多くのリサーチを重ねてきたし、仕事でも専門家に会って実際に話を聞いたり、沿岸部の環境破壊の現場に出たりして、論文や本に書いていることを実際に自分の目で見てきた。また定期的に色々な土地へ旅に出ることで多くのことを見て、いろいろな方に話を聞いて、より深く考えるようにもなった。でも、子供を持つことで考えがより具体的になったかもしれないね。」

――家族で長期旅行をすることの魅力はどんなところにあるのでしょう?

エリン「家族みんなが一つの方向に向かって進むことね。旅の間は字の如くまさに一つの方向に歩き、感情的にもチームとして協力して一つのゴールを目指すでしょ? もちろんいろいろ大変なこともあるけど、その間も家族同士なのでリラックスしていることができる。私たちはウィルダネスが好きで、そこから学ぶことも大好きで、子供たちにもそうあって欲しいと願っているの。彼らには強く、自信を持ち、どんな場所でも生きていける人になってほしいから、壁に囲まれた場所でなく、自然の中で多くの時間をもち、沢山のことを学んでいって欲しいわ。」

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北極の旅


WRITER
三田正明

三田正明

1974年東京都国立市出身。2001年に『Title』(文藝春秋)の連載「To The Boy /少年犯罪被害者の旅」でカメラマン/ライターとしての活動を始める。2001年にザンビアで皆既日食を見て以来南アフリカ・ジンバブエ・タイ・インド・オーストラリア・アルゼンチン・ブラジル・メキシコ・トルコ・ネパール・アメリカ・カナダ・モンゴルなどを放浪。これまでに皆既日食を五度、部分日食を二度、皆既月食を一度見ている。次第に旅の途上で出会った大自然の世界に傾倒し、気がつけばヒマラヤや北米大陸や日本各地のトレイルを歩くように。雑誌『スペクテイター』や『マーマーマガジン』を始めとする多くの雑誌にアウトドアにまつわるドキュメンタリーやトラベローグや連載記事を執筆、TRAILSではメインライターとエディターを務める。
masaakimita.web.fc2.com

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