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リズ・トーマスのハイキング・アズ・ア・ウーマン#14 / アメリカ人は日本のどこをハイクしたい? <前編>トレイル認知度ランキング

2018.09.12
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文:リズ・トーマス 訳:井上華 構成:根津貴央

今回は、リズの連載初のリサーチ記事です。以前、私たちは『TRAILS research』において『歩いてみたいロングトレイル BEST10』をリサーチしました。実はその記事をリズが読んでいて、親日家の彼女としてはとても興味を抱いたそうです。

そして、同じような記事をアメリカでやってみたい。そう思ったとのこと。毎年のように来日しているリズは、日本に素晴らしいトレイルがあることを知っています。それなのに、なぜ多くのアメリカ人ハイカーは日本を歩きに行かないのか? 以前から不思議に思っていたようです。

そんなリズのリサーチ記事を、前編と後編にわけてお届けします。アメリカ人ハイカーの視点を通じて、私たちが気づいてなかった日本を知ることができるかもしれません。ぜひお楽しみください。

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115人のアメリカ人ハイカーに調査をした理由。


昨年、トレイルカルチャーウェブマガジン『TRAILS』が、『歩いてみたいロングトレイル BEST10 by TRAILS research』と題して、日本人ハイカーにインタビューをしました。そこで気づいたのは、数年前くらいから、パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)やジョン・ミューア・トレイル(JMT)を歩く日本人が増えてきたということです。

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2014年の『PCT Days』で会った日本人ハイカー。

でも一方で、日本をハイキングするアメリカ人は多くありません。私は、アメリカのハイカーたちが日本にあるトレイルをどれくらい知っているか興味ありました【前編にて解説】。また、日本のトレイルのどこに魅力を感じ、なぜハイキングをしに日本に行かないのか知りたかったのです【後編にて解説】。今回、そのリサーチ結果を紹介します。

【回答対象者】 アメリカ人のHIKING LOVERS
1. Thru-hikers n=61
2. Avid backpackers n=17
3. Hiking enthusiasts n=37
【回答者数】 115 人
【調査実施⽇】 2018年8月
【調査⽅法】 インターネット調査(機縁法)

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妹と従姉妹と一緒に男体山へ。無事登頂することができました。


日本は世界中でもっとも歩きたい国。


アメリカ人ハイカーにとって、日本は世界中でもっともハイキングをしたい国です。私は調査の中で、ハイカーたちに、それぞれが思う “ドリームハイキングカントリー” トップ3を挙げてもらいました。具体的には、言語の壁がない状態であるならばという前提条件のもとで聞いています。また、このリストには英語圏の国は含んでいません(英語が常用されているヨーロッパ圏は含みます)。

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アメリカ人が知っている日本のトレイルは?


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■多くのアメリカ人ハイカーが知っているのは、お遍路と熊野古道。
だんとつで、巡礼道(お遍路)が日本でいちばん有名なトレイルでした。多くのアメリカ人が、伝統的な服を身につけた巡礼者が88カ所のお寺を巡り歩くことを知っているのです。

同じように何人かのアメリカ人ハイカーは、巡礼道として熊野古道も知っていました。なぜなら、熊野古道はスペインにある巡礼道「カミーノ・デ・サンティアゴ」の “シスターハイク” (姉妹ハイク)であるからです。カミーノと熊野古道の両方を歩ききったら、 “dual pilgrim”(2つの道の巡礼者)になる。だから、カミーノを歩いたことのあるアメリカ人ハイカーは、いつか熊野古道を歩きたいと願っているんです。

■信越トレイルは知っているが、北根室ランチウェイは知らない。
昨年、TRAILSの『TRAILS research』において、『歩いてみたい日本のロングトレイル BEST10』という調査がありました。1番は信越トレイルで2番は北根室ランチウェイでした。でも驚いたことに、アメリカ人ハイカーは信越トレイルは知っていても、北根室ランチウェイのことは誰も知らなかったのです。日本人ハイカーにとっては有名なトレイルなのに、アメリカ人ハイカーは聞いたことすらない。これはとても興味深い発見でした。

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北根室ランチウェイのたおやかな稜線。

聞けば、アメリカ人ハイカーのなかには、九州自然歩道や中山道、山菜狩りトレイル(※)、鳥取ウォーキングトレイルなど、アンケートの選択肢にはなかった、日本のトレイルの名前を挙げる人もいました。また、日本アルプスについて聞いたことがあったり、写真で見たことがある人はたくさんいるのですが、その山々をロングトレイルが通っていることは知りませんでした。

※編集部注:アメリカなどの英語圏では、あまり詳細な調査をせずに、日本の長距離自然歩道をロングトレイルとして紹介していることが多々ある。しかしその実態はというと、ロングトレイルというコンセプトを十分に備えてないものや、整備が継続されいていないトレイルも多い。これも海外のハイカーに、日本でロングハイクを楽しんでもらうための課題だ。
※山菜狩りトレイル:英語のサイトでは、日本の山で山菜を採る行為を、山のアクティビティとして紹介しているページもあるため、トレイルとして認識している人もいる。


富士山一周に興味を持っているアメリカ人は多い。


私が知る限り、富士山一周はロングトレイルとは呼ばれていなかったので、今回の調査の対象には含めませんでした。でも、多くのアメリカ人はこのトレイルを知っていて、歩きたいと思っています。おそらくそれは、トレイルランニングレースのUTMF(ウルトラ・トレイル・マウント・フジ)の影響だと思います。

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いくつかのアメリカのトレイルは火山の周りにあります。これはその一例、ティンバーライン・トレイル。Photo:Kate Hoch

また多くのアメリカ人ハイカーは、富士山に登りたいと思っています。でもなかには、登るのではなく長いバックパッキングの旅に方向転換する人もいます。そういう人たちにとって、富士山一周はぴったりのトレイルになるでしょう。それは言ってみれば、アメリカにある有名なトレイル、たとえば火山を一周するワンダーランド・トレイル(レーニア山一周)とティンバーライン・トレイル(フッド山一周)のようなもの。これは注目すべきことだと私は思っています。

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日本に来た時にはさまざまな山やトレイルに行きます。後ろに見えるのは男体山。

今回、リズのリサーチを通じて、アメリカ人ハイカーが日本に行ってみたいけど、日本のロングトレイルをあまり知らないことがわかりました。

では、具体的にアメリカ人ハイカーは日本のどこに魅力を感じているのでしょうか。そして、なぜ日本に歩きに来ないのでしょうか。そのリサーチを、後編で紹介します。

TRAILS AMBASSADOR / リズ・トーマス
リズ・トーマスは、ロング・ディスタンス・ハイキングにおいて世界トップクラスの経験を持ち、さまざまなメディアを通じてトレイルカルチャーを発信しているハイカー。2011年には、当時のアパラチアン・トレイルにおける女性のセルフサポーティッド(サポートスタッフなし)による最速踏破記録(FKT)を更新。トリプルクラウナー(アメリカ3大トレイルAT, PCT, CDTを踏破)でもあり、これまで1万5,000マイル以上の距離をハイキングしている。ハイカーとしての実績もさることながら、ハイキングの魅力やカルチャーの普及に尽力しているのも彼女ならでは。2017年に出版した『LONG TRAILS』は、ナショナル・アウトドア・ブック・アワード(NOBA)において最優秀入門書を受賞。さらにメディアへの寄稿や、オンラインコーチングなども行なっている。豊富な経験と実績に裏打ちされたノウハウは、日本のハイキングやトレイルカルチャーの醸成にもかならず役立つはずだ。

English follows after this page.
(英語の原文は次ページに掲載しています)

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WRITER
Liz Thomas

Liz Thomas

2011年にアパラチアン・トレイルを女性の最速タイムで踏破した記録(当時)を持っていることで知られている。彼女はトリプルクラウンを達成しただけでなく、米国に15以上あるトレイルでのスルーハイクを経験し、今まで15,000マイル以上ものトレイルを歩いてきた。また、彼女はその経験をロング・ディスタンス・ハイキングのコミュ二ティに還元することにも熱心で、American Long Distance Hiking Assosication-West(ALDHA-West)のバイスプレジデンドも務めている。彼女がハイキングを本格的に始める前は、イエ-ル大学の森林環境学部で環境科学の修士課程を修了し、彼女が手がけた、ロング・ディスタンス・ハイキング・トレイルとその保護およびコミュニティに関するリサーチは、名誉あるDoris Duke Conservation Fellowshipの賞を受けた。スポンサーはAltra, Gossamer Gear, Probar, Vermont Darn Tough socks, Mountain Laurel Designs, Sawyer filters, Montbellで、アンバサダーとして活躍している。
http://www.eathomas.com/

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