PLAY!出社前に遊ぼう # 03 | TRAILS × ドミンゴ(ULTRA LUNCH) ヴィーガン朝食
文:根津貴央 取材・構成・写真:TRAILS
What’s “PLAY!”. / 平日にトレイルで遊ぶオトナをもっと増やすための連載企画。オトナになると、仕事が忙くて遊ぶ時間がない、とついつい言ってしまいがち。でも工夫次第で時間はつくれるもの。いつか仕事が落ち着いたら遊ぼう、なんて思っていたら、いつまでたっても遊べない。遊ぶなら今。『PLAY!』のスローガンは、『Now or Never.』。今がチャンス!今しかない!今でしょ!だ。
この連載では、毎回、平日出社前(ときどき退社後)にTRAILS crewがその時遊びたい人に、その時遊びたいことをオーダーして、ただただ一緒に遊ぶ模様をお届けします。一番大事なルールは遅刻せずに出勤すること。
* * *
第3回目のゲストは、この人。
ヴィーガン(完全菜食)フードブランド『ULTRA LUNCH』のドミンゴさんこと、近田耕一郎さん。
ヴィーガンフードの製造やケータリングを行なっているドミさんなのだが、山をやる人からすると、ビバークレーションの人!と言ったほうがピンとくるかもしれない。
あるいは、トレイルランニングチーム『トレイル鳥羽ちゃん』の船長(オーガナイザー)として知っている人も多いだろう。
ビバークレーションは、1パック約80gという軽さで、大きさも12x18cmとかさばらない。お肉や魚はもちろん乳製品、卵も含まないヴィーガン(完全菜食)フード。
実は僕が毎年、旅しているGHT(Great Himalaya Trail)projectでも、今年はビバークレーションをチームの食事として使うことを決めた。軽さ、コンパクトさに加え、水も200mlで済み、2分でできあがる、というライト&ファストなところが、ロングトリップの食事としても魅力だったからだ。
そんな経緯もあり、GHTに行く前にドミさんと遊ぼうということになった(この記事が掲載される頃にはGHTを歩いていると思うが)。
ドミさんと朝メシでビバークレーションを食べるのもいいけど、どうせならば、いけてる手料理を作ってもらおうじゃないか、と。意外と知られてないのだが、ドミさんの手料理はむちゃくちゃおいしいのだ。
そんなことでドミさんに、「山でも作れるヴィーガン朝食が食べたいです!」とお願いしてみた。
ドミさんが用意してくれてきたのはこれだ!なんだかうまそうが具材がたくさん!
今回の朝食の具材のセット。もちろんヴィーガン仕様。(右下から時計回り)
①トルティーヤ
②アボガド
③粉ふきいも
④ココア仕立てのチリ(4種類の豆、高野豆腐などなどをトマトとスパイス、ココアで煮込んだチリソース)
⑤いろいろきのこのソテー(しめじ、なめこ、しいたけ、エリンギをオリーブオイルでソテー)
⑥豆腐と酵母の “チーズ” ソース(豆腐と酵母、スパイスで作ったULTRA LUNCH名物の謎ソース)
さて、これで何を作るのかな?ラップサンド的なものかな?これなんて料理ですか? ドミさんと聞くと、
『グッドモーニング・ブリトー!!!』と勢いよく、食い気味に答えてくれた。
このPLAY!のために、ULTRA LUNCH名物のアップヒル・ブリトーの特別バージョンを用意してくれたのだという。アップヒル・ブリトーの名前の由来も、ドミさんは嬉しそうに話してくれた。
ウルトラランナーのスコット・ジュレクが、ドミさんのところを訪れたときのこと。スコットがこのブリトーを食べたときに、「このブリトーならトレイルの登りでも食べたい!」と言ったことから、「アップヒル・ブリトー」と命名したらしい。
今回はそのアップヒル・ブリトーをアレンジして、誰でも山で作れるようなバージョンを用意してくれた、というわけだ。
こちらはカトラリー。お皿がわりのフリスビーに、ブリトーを巻くアルミホイル。ナイフ&カッティングボード。それにマテ茶を入れるための道具一式を準備。
グッドモーニング・ブリトーの作り方。まずはドミさんにお手本を見せてもらおう。
アボカドのカットから。
てっきり皮をむいてサイコロ状にカットするのかと思いきや、皮をむかずに切り込みを入れるドミさん。あとはスプーンですくえば、いい感じのざく切り感になるのだという。「おぉー!」と驚くTRAILS編集部クルー。ドミさん、顔に似合わずオシャレな技もってるじゃん!
「グッドモーニング・ブリトー」の作り方を教えてくれるドミさん。
あとは、それぞれの具材を好きなだけのせればオッケー。
包み方にもコツがあるらしい。1日に何百本というブリトーを包んだことがあるというドミさんに、そのコツを教えてもらった。
最後に、アルミホイルでラップすれば、ドミンゴ特製グッドモーニング・ブリトーのできあがりだ。
得意げなドミさんの笑顔。TRAILS編集部は、早く自分で作りたくてもじもじ。
つづいて、TRAILS 編集部クルーも、マイ・グッドモーニング・ブリトーを作ってみる。おし、チャレンジ!
なんだか手巻き寿司みたいでたのしい!と言いながら、ひとつずつ、具材を盛っていく。
ジャーン!!!
つづいて、「グッドモーニング・ブリトーには、マテ茶が合うんだよ!」というので、マテ茶を淹れることに。
シンプルな料理にはシンプルな道具! ということで、アルコールストーブでのんびりお湯を沸かす。アルコールストーブのなにがいいって、燃焼音がいっさいないこと。
緑豊かな自然のなかで美味しい朝食をいただく。こんな幸せなひとときに、ゴォーーーっていう燃焼音は似つかわしくないってもの。
マテ茶もできたので、いざ、実食!
うーん!チリソースはコクがあるし、きのこの食感も合わさって、食べ応えもある。う、うまい!!ヴィーガン食は、ともすると質素で淡泊な味というイメージもあるが、がっつりした味があって、大満足!
朝から喜んでいる僕らを見て、ドミさんはこんなふうに言っていた。「えー!?これ肉入ってないの?って言われることも多いんですよ。そうやって楽しんでもらえるのもいいな、と思っていて。肉がなかったらがっつりしなのか、といったら、そんなことはないんですよね。」
普段、SNSで見るドミさんは、酔っ払ってたり、胴上げされてたり(通称「ドミあげ」)することが多いだけに、ただの面白いおじさん?という印象をもっている人もいるかもしれないが、ヴィーガン料理に対しては人一倍真剣に、そして真摯に向き合っている。
ドミさんが、ヴィーガンフードに特化した、『ULTRA LUNCH』を立ち上げたのは2013年。その前年の2012年に、ドミさんは『八ヶ岳スーパートレイル100マイルレース』というトレランレースで、100マイル(160キロ)を完走している。その頃、長距離レースにおける補給について、いろいろ試行錯誤していたのが、ひとつのきっかけになったという。
「当時の補給はジェルが中心。エリート選手でも補給で失敗する時代だったんです。食に関心のあった僕は、その大会でジェルとサプリメントは一切とらず、トレイルミックスや昆布などで走りきる実験をしてみました。」
それで実際に100マイルを走りきることができたことに周りが驚き、いろんな選手から補給についての質問のメールが来るようになったらしい。
「じゃあ、勉強会じゃないけど、ランチパーティーでもしながら、あーでもないこーでもないと、補給の話をしてみようか、と。それで僕が昼めし作って、みんなで食事をして、お酒も飲んで、って集まりを企画したんです。これが全5回で毎回50人が満員になって、これは面白いな、と。もともとは、このランチパーティに、『ULTRA LUNCH』という名前つけていたんですよ。そのときは菜食中心だったけれども、ヴィーガンではなかったです。この後くらいから、面白さを感じてヴィーガンに特化して、やっていくようになりましたね。」
いやあ、まさか朝からドミさんに、こんな真面目な話を聞くとは思わなかった。早起きは三文の徳、とはよく言ったものだ。
まあとにかく、ドミさんが作る『グッドモーニング・ブリトー』は最高だった。普段山に行くとなると、あまり考えもせずにドライフードやアルファ米、カップ麺とかをチョイスしてしまいがち。でも、山域と季節を選べば、今回のグッドモーニング・ブリトーに必要な材料くらい持っていけるはず。
ぜひ山でグッドモーニング・ブリトーを試してみてはいかがだろうか?
朝から美味しいものを食べて、今日はめちゃくちゃ仕事がはかどりそうだ。さあ、出勤、出勤!
【さて、次はだれとどこでなにをするのか? 次回のPLAY!もお楽しみに】
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