GEAR

パックラフト・アディクト | #17 雪の釧路川・ギアレビュー (後編)  4人のインナーアウター・バックパック

2019.01.30
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文:根津貴央 構成・写真:TRAILS

前編、中編と連続でお届けしてきた、TRAILS編集部による雪の釧路川におけるギアレビューですが、ようやく今回が最終回です!

防寒、防水対策をするにあたってもっとも気をつけるべき「頭・手・足」に関しては、ほぼほぼ想定どおりで、チョイスしたギアがおおむねうまく機能しました。

では、今回取り上げるインナーアウターウェアおよびバックパックは、どうだったのでしょうか?

厳冬期ゆえ、普段以上に準備の手間はかかります。方法論が確立していないため、さまざまな条件をもとに手探りでギアを選び、オウンリスクで旅をすることになります。でも、わからないことが多いからこそ、思うように行かないからこそ、旅はより旅らしくなる。僕たちはそう思うのです。

そんな僕たちの『雪の釧路川・ギアレビュー (後編)』、とくとご覧ください!

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4人の 「インナー&アウターウェア」


■佐井聡
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TOPS
[ベースレイヤー] Montane / PRIMINO 220 L/S, [ミドルレイヤー] Teton Bros. / Power Wool Grid L/S, [インサレーション] Patagonia / Micro Puff Storm Jacket
BOTTOMS
[ベースレイヤー] Montane / PRIMINO 140 Long Johns, [インサレーション] Patagonia / Nano Puff Pants
DRY WEAR
[ドライジャケット] Kokatat / Gore-Tex Pullover, [ドライパンツ] Kokatat / Tropos Deluxe Boaters Pant

聡(あきら): “アクティビティが変わっても着替え無しで荷物が少ないマルチユース” というコンセプトはウェアリングも同じで、パックラフティングの時にドライトップを追加する以外はハイキング中と完全に同じ、というチャレンジングなウェアリングを試してみた。

それもあり、今回のウェアは普段の厳冬期ウェアリングにも増して「濡れに強い」素材限定とした。必然的にウールと化繊綿のレイヤリングとなるが、ベースレイヤーは上下とも、発売時から愛用しているMontane(モンテイン)のPRIMINO(プリミノ)シリーズ。

これは、メリノウール50%、PrimaLoft(プリマロフト)25%、ポリエステル25%という独自の混紡率で実現された絶妙な機能バランスで、それをとても信頼している。保温性が落ちない機能特性はそのままに、ポリエステルとPrimaLoftの恩恵として、汗でビチャビチャになる感じが少なく、メリノウール100%のベースレイヤーよりもドライ感がわかりやすく高いというのが個人的な体感値。

細くしなやかな繊維が特徴のPrimaLoftのおかげか、着心地も他のメリノと化繊のハイブリッドより柔らかく、当然ウールならではのチクチク感は無い。

ミドルレイヤーも、ウールと化繊のハイブリッド素材。保温性・着心地の良さが強みのメリノウールを裏地に配置し、吸汗発散性・速乾性・通気性が強みの化繊を表地に採用したPolartec Power Wool(ポーラテック・パワーウール)を利用したTeton Bros.(ティートンブロス)のPower Wool Grid(パワーウール・グリッド)シリーズ。

グリッドにすることで吸汗発散性と通気性が素晴らしく向上することはPatagoniaのR1シリーズが長年証明してくれていた通り。一方、他のメーカーに比べ雪のアクティビティに強いTeton Bros.らしさを強く感じたのが着丈の長さだ。冷えやすい腰まわりをしっかりと包み込んでくれるため、腹巻を別途巻いているような安心感の高さがあった。

インサレーションジャケットは、ダウンの構造を模倣する連続した化繊のインサレーション素材 “プルマフィル・インサレーション” と特許申請中の “縫製技術” でダウン並の暖かさと軽さで、しかも濡れに強いことで話題となっているマイクロパフシリーズから「Micro Puff Storm Jacket」(マイクロパフ・ストーム・ジャケット)。

表地はH2Noパフォーマンス・スタンダードを採用した、超軽量の2レイヤーの防水透湿性素材で多少吹雪いてもシェルいらずというのも軽量化にポジティブ。軽さと暖かさに関しては、着れば体感できるほど衝撃的だったが、スノーハイキング、スノーパックラフティングともに活躍してくれた。

Nano Puff Pants(ナノパフ・パンツ)は、水に濡れても95%の保温性を維持するPrimaLoft Gold Insulation Eco(プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコ)を採用している。“寒冷時にウェーダーの下に履くためにデザインされた” だけに、他メーカーのパンツよりもかさばらず、ドライパンツに干渉しないというのが選択の最大の理由。街でも空港でも寝る時もこれ一枚とシームレスで活躍してくれた。

3レイヤーのソックス付きドライパンツ「Kokatat / Tropos Deluxe Boaters Pant」(コーカタット / トロポス・デラックス・ボーターズ・パンツ)は、ソックス付きで3レイヤーということで安心感もありスノーハイキングでも大活躍してくれたが、足上げが多いアクティビティになるとズボンがずれ落ちてくる感覚が時よりあったのと水深が浅い川でも万が一に備えて、今回は準備が間に合わなかった、オーバーオール形状のビブになっていることで、腰回りの耐水性と保温性が向上し、ダブルウエスト仕様となっているため、同じくダブルウエスト仕様のドライトップジャケットと組み合わせることでドライスーツのような機能を発揮してくれる「Kokatat Hydrus3.0 Whirlpool Bib with Relief Zipper」(コーカタット / ハイドラス3.0・ウィリルプール・ビブ・ウィズ・リリーフ・ジッパー)にupdate予定。あわせて、ドライトップもダブルウエスト仕様のものにupdate予定

■佐井和沙
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TOPS
[ベースレイヤー] Montane / PRIMINO 220 L/S, [ミドルレイヤー] Teton Bros. / Power Wool Grid L/S, [インサレーション] Patagonia / Micro Puff Storm Jacket, [その他] montbell / Merinowool Westwarmer
BOTTOMS
[ベースレイヤー] Montane / PRIMINO 140 Long Johns, [インサレーション] Teton Bros. / Hoback Prima Pant
DRY WEAR
[ドライジャケット] BLUE STORM / Hydryte Dry Top, [ドライパンツ] BLUE STORM / Raven Pants

和沙(かずさ):スノーハイキング中、トップスは「Montane / PRIMINO 220 L/S」(モンテイン / プリミノ220 ロングスリーブ)と「Teton Bros. / Power Wool Grid L/S」(ティートンブロス / パワーウール・グリッド・ロングスリーブ)を重ね着し、「Patagonia / Micro Puff Storm Jacket」(パタゴニア / マイクロパフ・ストーム・ジャケット)のレイヤリングで、まったく寒さを感じることが無かった。

冷え対策で「montbell / Merinowool Westwarmer」(モンベル / メリノウール・ウェストウォーマー)を使用したが、スノーハイキング中はMicro Puff Storm Jacketの丈が骨盤の下まであったので無くても充分。

ただ、パックラフト時にはパドリングジャケットが腕の動きで持ち上がるので、Merinowool Westwarmerは必要だと感じた。

今回のウェアでいちばん良かったのは「Patagonia / Micro Puff Storm Jacket」。防風性、保温性をはじめ、さまざまな面で優秀で、迷ったらとにかくこれだけ持って行ってたらなんとかなるような気持ちになった。

ボトムスは「Montane / PRIMINO 140 Long Johns」(モンテイン / プリミノ140 ロング・ジョン)の上に「Teton Bros. / Hoback Prima Pant」(ティートンブロス / ホバック・プリマ・パンツ)の組み合わせ。立体裁断されていて、ミッドレイヤーとしての細身なシルエットながら膝部分の動きを妨げないつくりになっているのと、PrimaLoft Gold Insulation Ecoが特徴。このセットはスノーハイキング、パックラフティング、街、すべてにおいて着用していたが、あらゆるアクティビティ、気温に適応してくれた。

■小川竜太
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TOPS
[ドライレイヤー] Aclima / Woolnet Singlet, [ベースレイヤー] Teton Bros. / Power Wool Grid L/S, [ミッドレイヤー] Aclima / Hotwool Crew Neck, [インサレーション] Trail Bum / Down Jumper, [インサレーション] Houdini / Wisp Jacket, [アウターシェル] Axesquin / フユゾラ
BOTTOMS
[ベースレイヤー] ibex / Woolies 2 Bottom, [ミッドレイヤー] Mountain Hardwear / Right Bank Lined Pant, [インサレーション] Nanga x Highland Designs / Portable UDD Pants, [ニーウォーマー] Houdini / Knee Gaiters
DRY WEAR
[ドライスーツ] Alpacka Raft / Stowaway Tough DrySuit

小川:パックラフティングの際は、スノーハイキング用のアウターシェルが、ドライスーツに代わるだけ、それ以外のレイヤリングは共通装備。

ただし、ドライスーツは密封性が高い分、ムレの心配があったので、上半身はドライレイヤーとして、メッシュのアンダーウェアの「Aclima / Woolnet Singlet」(アクリマ / ウールネット・シングレット)を着用した。これにウェアとの接着面から汗の排出をし、保温効果が下がらないようにケアした。

インサレーションには、濡れや湿気に強い超撥水加工を施してあるダウンである、UDD(ウルトラドライダウン)を選び、上は「Trail Bum / Down Jumper」(トレイルバム / ダウン・ジャンパー)、下は「Nanga x Highland Designs / Portable UDD Pants」(ナンガ x ハイランドデザイン / ポータブル・ウルトラドライダウン・パンツ)を使用。ダウンを選んだことで、軽量化と荷物のコンパクト化にも効果があった。

またパンツは、内側のライナーにフリース生地を採用している、「Mountain Hardwear / Right Bank Lined Pant」(マウンテンハードウェア / ライト・バンク・ラインド・パンツ)は、秋〜冬のパックラフティングに昨シーズンから愛用している。デザインもシンプルで、ハイキングも、電車など交通機関の移動時も、これ一本で済むのもよい。

このパンツを基本に、気温や季節に応じて、これにウールのベースレイヤーを追加したり、今回のようにさらにダウンパンツを重ねたりしている。ハイキングと比べ下半身の運動量が少ない分、今回はパックラフティングのときの下半身の保温には特に注意し、普段は休憩時やキャンプ時にしか使用しないダウンパンツも行動中に着用した。結果、マイナス7度まで気温が落ちても、冷えはまったく感じることがなかった。

■根津貴央
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TOPS
[ベースレイヤー] icebreaker / 200 Oasis Deluxe Raglan LS Crew(STRIDE LAB別注), [インサレーション] Patagonia / Nano-Air Jacket, [インサレーション] Patagonia / Nano Puff Pullover, [アウターシェル] Patagonia / Cloud Ridge Jacket
BOTTOMS
[ベースレイヤー] Mont bell / ジオラインEXP. タイツ, [ミッドレイヤー] EVENRIVER / EX102 GEAR TECH PANTS, [アウターシェル] Patagonia
DRY WEAR
[ドライスーツ] Alpacka Raft / Stowaway Tough DrySuit

根津:普段、冬季の登山であれば防寒用にダウン製品を携行している。しかし今回はスノーハイキング&パックラフティングということで、湿気を帯びる(あるいは濡れる)ことを想定し、ダウンではなく化繊のアイテムをチョイスした。

今回の行程は、トレイルはアップダウンが少なく、川の流れはかなり緩やか。事前に、心拍数もさほど上がらず、大汗をかくこともないことが予想されたので、シンプルなレイヤリングにした。

運動強度を考えると、「Patagonia / Nano-Air Jacket」(パタゴニア / ナノエア・ジャケット)はベストだったと思う。適度な保温性がありながら通気性と透湿性に優れているため、ムレを感じることがなく、ずっと快適だった。

ベースレイヤーは、「icebreaker / 200 Oasis Deluxe Raglan LS Crew(STRIDE LAB別注)」(アイスブレーカー / 200オアシス・デラックス・ラグラン・ロングスリーブ・クルー)。さすがは高品質のメリノウールを使用しているだけあって、汗冷えは一切なし。このストライド・ラボ別注モデルは袖が長くサムホールも付いているため、手首まわりがかなり暖かく、着心地も抜群だった。

ウェアリングの改善点としては、スノーハイキングとパックラフティングで、それぞれ別のアウターを着用していたこと。特にパックラフティングへと移行する際にドライスーツを着るのが面倒だったので、兼用化を追求すべきだった。


4人の「バックパック」


■佐井聡
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ULA / EPIC

聡:バックパックはニュージーランドの旅をはじめパックラフトを伴った旅の相棒「ULA / EPIC」(ULA / エピック)。

激しい気候におけるパックラフト・エクスペディション用にデザインされているだけあり、シンプルな構造ながら、両サイドのコンプレッションベルトを締めたり緩めたりするだけで、あらゆる大きさの荷物に柔軟に対応できるので、荷物がかさばりがちなパックラフトの旅ではとても重宝する。

個人的には少し重たい部類に当たる重量ではあるが、夏でも雪山並みの重量になるパックラフト用であり、しっかりとしたウエストハーネスが重量を腰で支えてくれるので、肩へのいたずらなくい込みもないし、背負い心地の良さを考慮するとむしろポジティブな重量増。

自分は少しでも軽くするためにシチュエーションに応じてドライバッグにしたりパックライナーにしたりと最適化を行なうようにしていて、最近はDurable 1.5 oz SQ/YD Type DCF(通称Cuben)素材で60Lまで対応できるにもかかわらず75gしかない「MOUNTAIN LAUREL DESIGNS / CUBEN DCF PACK LINERS」(マウンテン・ローレル・デザイン / キューベンDCFパックライナー)を愛用している。

■佐井和沙
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Golite / Gust

和沙:極寒の中でパックラフトの撤収作業を楽にさせてくれる大容量であり、軽量かつフレームがないバックパックにしたかったことが選定した理由。

また、鮮やかな赤が個人的に背負っていて元気がでるバックパックが「Golite / Gust」(ゴーライト / ガスト)であり、雪の中で背負いたかった。今回は荷物が多く重量もあるので、胸にスターナムストラップを取り付けてより安定させる工夫をして使用した。

■小川竜太
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Hyperlite Mountain Gear / Porter 3400

小川:Hyperlite Mountain Gear(ハイパーライト・マウンテン・ギア)のラインナップのなかでも、パックラフティングおよびマルチスポーツ・アドベンチャーのために開発されたPorter 3400(ポーター3400)を使用。

生地は、Dyneema Composite Fabrics(ダイニーマ・コンポジット・ファブリック、通称キューベン・ファイバー)を使用しており、防水性と耐久性に優れている。そのままパックラフトの上にくくり付けて載せて、ドライバッグとしても使用することもできる。大きなドライバッグを持っていかなくても済むのは、軽量化にも大きく貢献してくれる。

また、デイジーチェーンを利用して、さまざまなギアの外付けができるユーティリティの自由度も魅力的で、ギアストラップやカラビナを使って、パドル、PFDを外付けして使用している。今回はさらにスノーシューも付けて、スノーハイキングとパックラフティングをこのバックパック1つにつめ込むことがでた。

■根津貴央
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GRANITE GEAR / Vapor Flatbed Barrel Harness

根津:選んだのは、パックラフティングの際にいつも使用している「GRANITE GEAR / Vapor Flatbed Barrel Harness」(グラナイトギア / ヴェイパー・フラットベッド・バレル・ハーネス)。

これはその名のとおり、バレル(樽)を運ぶためのバックパックなのだが、不定形のものをたくさん担ぐことができるのが最大の特徴。60〜70Lのドライバッグに加えて、パックラフトやPFD、パドルなどもいとも簡単に、しかもキレイにパッキングできてしまう。

今回、自分はスノーシューの代わりにBCXC(BCクロカン)を使用したこともあり、途中でスキー板を担ぐシチュエーションもあったのだが、両サイドのストラップでしっかり固定することができた。


番外編:課題や反省点について


■グローブの組み合わせ
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聡:根津が使っていた「montbell(モンベル) / ネオプレン パドリンググローブ」は、指の部分が立体裁断で屈曲しているのだが、果たしてそれが有効なのか気になっていた。

旅を終えてからテストしてみたのだが、想像以上にパドルが握りやすくて驚いた。このグローブはネオプレーンの厚さが手のひら側が2mm、甲側が3mmなのだが、この厚さだと通常のグローブであれば握る際にかなりの抵抗を感じるもの。自分が今回厚さ1mmのものを使用したのも、厚さによる締め付けを回避するため。でも、このモンベルのグローブは窮屈感がまったくない。

これと、自分が使用していた「SURF8 / Gripper Glove For Paddler」(サーフ8 / グリッパー・グローブ・フォオ・パドラー)の組み合わせが、グローブシステムの最適解かもしれない。このシステムであれば、ポギーすら必要なさそうだ。

和沙:今回、私のグローブのレイヤリングの反省点としては、「SURF8 / Gripper Glove For Paddler」が覆っていない手のひら部分が寒かったこと。また後半、冷えでパドルを握る握力がなくなってしまいパドリングが辛かった。

そこでこの「montbell / ネオプレン パドリンググローブ」を試したところ、形状が最初からパドルを握っている形になっていて、かなり握りやすかった。しかも私が使った1mmネオプレーンの「Kokatat / Kozee Glove」(コーカタット / コジー・グローブ)より素材が厚く、安心感があった。

女性は男性以上に寒さ対策が必要な点を考えると、「montbell / ネオプレン パドリンググローブ」「SURF8 / Gripper Glove For Paddler」「Kokatat / Neo Kayak Mitt」の組み合わせがベストなのではないか。

■テスト不足だった長靴
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根津:もしパックラフティングでフリップ(沈)していたとしたら、果たして今回のシステムで対応できたのだろうか。少し疑念を抱いたので、長靴「Atom / GREEEN MASTER」(アトム / グリーンマスター)」を再テストしてみることにした。

自宅の浴槽に水をためて、ヒザまで(長靴の開口部の上まで)浸す。圧迫感があるため、浸水しているかどうかはわからない。

30秒後に引き上げて脱いでみると……ご覧のとおり足が濡れていた。開口部を付属のベルクロできつめに絞ってはいたものの、完全防水ではなかったのだ。やはり、佐井たちが使っていたような、ソックス付きのドライウェアを着るのがベストなのだろう。

■想像以上に凍てついたギア
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小川:パックラフティング中、水しぶきがすぐさま凍り、片付けの際にパックラフトが氷まみれになってとてもたたみにくかった。しかもパドルの接続部まで凍るとは思っていなかった。水筒に入れておいた温かいお茶があったので、それで氷を溶かし、なんとか外すことができた。

また、スマートフォン用に持ってきたタッチペンは、序盤は問題なく使えていたが、次第にペン先が凍ってきて、反応がわるくなってきた。

次回以降、厳冬期のパックラフティングにおいては、凍結対策がマストだと言えるだろう。

* * *

厳冬期・釧路川におけるギアレビュー3連発、これにて完結です。記事を通じて、まだまだ世の中に情報の少ない、厳冬期におけるパックラフティングのヒントをお届けしたつもりです。

今回、僕たちはトラブルなく無事に旅をすることができました。もちろん、そのために事前準備をしっかりしたわけですが、当日の天候や環境が安定していたことも一因です。場合によっては、撤退の可能性もあったと思います。

当然ながら厳冬期は他のシーズンに比べてリスクがある。でも、だから行かない、というジャッジはしません。なぜなら、さまざまなことを想定した上で、オウンリスクで自然を楽しむことこそ、アウトドアをフィールドにした旅の醍醐味だと考えるからです。

TRAILS編集部は、これからもこのスタンスを貫いて、旅をしつづけます。

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トレイルズ

トレイルズ

佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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