TRAILS REPORT

LONG DISTANCE HIKERS DAY 2020 イベントレポート② | HIKER’S MEMORIES

2020.02.28
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文・構成:TRAILS 写真: Hikers from LONG DISTANCE HIKERS DAY (Not Yet, Hey!, Haruka, Flyingfish, Pokey, Sunny, Manabu, GNU, Coyote, Time zone, Lost & Found, Nakaji), TRAILS

前回に引きつづき『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2020』のイベントレポート。

今回は『HIKER’S MEMORIES』というテーマで、実際に参加してくれたハイカーたちにインタビュー。3つのグループに分けて、イベントの率直な感想を紹介します。

1つ目のメモリーズでは、昨年、海外のロングトレイルを歩いてきたばかりのハイカー(CLASS OF 2019)から、5人を紹介。

2つ目のメモリーズでは、今年、ロング・ディスタンス・ハイキングの旅に出るハイカー(CLASS OF 2020)の3人。

3つ目のメモリーズでは、このイベントに何度も参加してくれているOB・OGハイカー4人。全12名のリアルハイカーのコメントを紹介します。

それぞれに話を聞いてみると、このイベントでそんなことがあったんだ!? と気づかされること、驚かされることがたくさん。

12人のハイカーの話を聞きながら、ぜひ想像を膨らませてイベントを追体験してみてください。



メモリーズ1(CLASS OF 2019) : 旅から帰ってきたばかりのハイカー



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■ 清田勝 – PCT, AT, CDT
スルーハイカーって、すごい人なわけじゃなくて、ふつうの人なんですよね。
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去年、CDT(コンチネンタル・ディバイド・トレイル)を踏破して、見事トリプルクラウン(AT, PCT, CDTのアメリカ3大トレイル)ハイカーとなった清田勝くん。

「ロングトレイルを歩く前のぼくにとっては、スルーハイカーってカッコよくて強くて逞しくて、というイメージでした。でも、歩き終わるとぜんぜんそんなことないなって思う瞬間ばかりです。

それを、スルーハイカーが集まって赤裸々にトークする『YOUR LIFE AFTER HIKE(※1)』というトークセッションは、まさにこのイベントらしい内容でした。

これから歩きに行く人にも『あぁ、あの人も自分と同じような過去があるんだ』とか『あの人もこんなに弱い部分あるんだな』って、勇気づけられることも多かったと思います」

※1 YOUR LIFE AFTER HIKE:スルーハイカーは長い旅を終えた後、何を考え、どのように暮らしているのか。スルーハイク後のハイカーの生き方を語るトークセッション。

■ 川越翔平 – PCT
トレイルに関わっている人の話を聞いて、日本のトレイルを歩きたくなりました。
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川越翔平くんは、小川はるかさんとカップルでPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)を歩いた。これは、カナダ国境にあるPCT北端のモニュメント。

「『信越トレイル、みちのく、北根室ランチウェイ最新トピック(※2)』で、日本のトレイルの今を知ることができました。関わっている人、歩いている人、町の人、いろんな人の話を聞いて、すごくグッときました。

これまでは歩くならPCT! って思っていましたけど、歩き終えて帰ってきてこのイベントに参加して、日本のトレイルも海外のトレイルもぜんぶ歩きたいって思いました」

※2 信越トレイル、みちのく、北根室ランチウェイ最新トピック:信越トレイルの延伸ルート、みちのく潮風トレイルの現状と魅力、北根室ランチウェイの今後について、いち早く最新情報を共有するコンテンツ。

■ 小川はるか – PCT
小川でも歩けたんだから! って思ってもらえればうれしいです。
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小川はるかさん(右から3番目)は、昨年、川越翔平くん(左端)と一緒にPCTへ。たくさんの人との出会いを楽しんだ。

「2019年組のPCTハイカーに会えてうれしかったです。中村さんと関根さんとは現地でもしゃべりましたが、石丸さんと余語さんはインスタでしか知らなくて。このイベントのおかげで会うことができました!

去年は聞く側でしたが今年は話す側になって、お客さんが求めていることと私が話したことが合っていたか不安です(苦笑)。でも、小川でも歩けたんだから大丈夫だな! と思ってもらえたらいいなぁと思います」

■ 関口文雄 – AT
このイベントに来るとリアルな話が聞けて、勉強にもなるし、勇気がもらえます。
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昨年、定年退職後にAT(アパラチアン・トレイル)をスルーハイクした関口文雄さん。ロングトレイルは初めてだが、百名山を踏破した経験を持つ。

「実は今年で3回目の参加です。もともと海外トレイルにはハードルの高さを感じていました。英語もできない私が、半年もアメリカだなんて。でも、このイベントで直接聞くと、自分でもできそうな気がしてくるんです。

この人がいけたなら大丈夫かも!と思えたりもしますし、なによりも勇気がもらえる。同じ人間なんだからできないことないなと。あとは、使ったギアとかの体験談を、じかに聞けるのもすごく有効だなと。いろんな人と出会えて、リアルな話聞けてとてもステキなイベントですよね」

■ 余語宏紀 – PCT
ロング・ディスタンス・ハイカー同士をつないでくれる、日本で唯一のコミュニティ。
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PCTを南向き(SOBO / サウスバウンド)でスルーハイクした余語宏紀くん。現在は浅草で人力車の俥夫(しゃふ)として活動中。

「PCTから帰ってきて、初めてこのイベントの存在を知って参加しました。ロング・ディスタンス・ハイキングに興味を持っている人がこんなにもいるんだ! と驚きました。

帰国してからしばらく経つのですが、自分のPCTの話をしたのはこの日が初めてだったんです。ここには同じような経験を持つ人がたくさんいて、共感してもらえる。それがすごく嬉しかったです。ここは、ハイカー同士をつないでくれる、日本で唯一のコミュニティだと思いました」



メモリーズ2(CLASS OF 2020) : 今年、旅に出る予定のハイカー



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■ 鈴木拓海 – FT
フロリダ・トレイルの話を聞き、即決で今年の年末に行くことにしました。
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2016年にPCT、2019年にCDTをスルーハイクした鈴木拓海くん。『LONG DISTANCE HIKERS DAY』は今回が初めての参加。

「HIKER’S TABLE(※3)の『フロリダ・トレイルの旅』こそ、私の収穫と言えます。自分はPCTとCDTを歩いたいわゆるダブルクラウナー(※4)です。他のハイカーからはよく『次はATだな!』と言われていました。でも、私がPCTを歩いた2016年でさえ、歩く人の多さにうんざりしていたので、もっと人の多いATには惹かれず、でも残るはATか……と思っていたところに聞いたTRAILS根津さんのフロリダ・トレイル

何を隠そうフロリダはバスフィッシングの聖地。トレイルもレイク・オキチョビーやキシミー・チェーンなど、メジャートーナメントウォーターのすぐそばを行くのです。知らん人には何のことやら……でしょうが、私は日本にいる間はバスフィッシングばかりしているのです。

というわけで、個人的に特大ホームラン級のトピックをこの男がブチかましてくれたのです。罪深きオトコね、根津さん。トーク終了後に地図を見せてもらい、5分後にはマップアプリを購入。そんな奇跡のようなトレイルを知ってしまい、即決で今年の年末に行くことにしました」

※3 HIKER’S TABLE:ロング・ディスタンス・ハイキングにおいてそれぞれが体験したリアルでパーソナルなストーリーを語ってもらうコンテンツ。
※4 ダブルクラウナー:アメリカ3大トレイル(AT, PCT, CDTのこと。3つあわせてトリプルクラウンと呼ぶ)のいずれか2つをスルーハイクしたハイカーのこと。3つすべて踏破した人はトリプルクラウナーと呼ばれる。

■ 地現葉子 – PCT
日本を歩く!っていうのが、すごくおもしろく、新鮮なことに思えました。
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2016〜2017年にかけてニュージーランドのテ・アラロアを歩いた地現葉子さん。昨年は、みちのく潮風トレイルも踏破。イベントでは、今年もWOMEN’S HIKING TIPS(※5)に参加。

「1日目のラストのコンテンツ『NIPPON TRAIL「房総・クジラの道」を語る』(※6)が印象に残っています。TRAILSの『徹底的に調べて歩く』スタイルが、おもしろくて、次どうくるんだろう? というのが毎回楽しみです。

今回は房総半島の『クジラの道』がテーマでしたが、とても興味深く、日本を歩くというのは、こんなに新鮮に思えることなんだなと。歩くこと自体はふつうにできそうですが、ここまで突っ込んでやるということに、すごく魅力を感じました」

※5 WOMEN’S HIKING TIPS:男性とは異なる、女性のロング・ディスタンス・ハイカーならではの考え方、歩き方、トレイル上の生活術。トレイル上での体調管理や食生活は?日焼け対策は?トイレの問題は? リアルな女性ロング・ディスタンス・ハイカーを迎え、女性ハイカーだけのクローズドな環境で、普段メディアでは扱いにくいリアルな情報提供をすべく語ってもらうこのイベントの定番コンテンツ。
※6 NIPPON TRAIL「房総・クジラの道」を語る:TRAILSのNIPPON TRAIL「房総・クジラの道」(房総半島横断のロングハイキング)を題材に、TRAILSとHiker’s Depotが日本でのロング・ディスタンス・ハイキングの可能性を語り合うコンテンツ。

■ 板谷学 – PCT
ハイカーはみんな、歩いているなかで人のやさしさに触れ、それを誰かに返そうとしている気がします。
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昨年、みちのく潮風トレイルをスルーハイクした板谷学さん。今年は、人生初の海外トレイルに挑戦。

「今回で2回目の参加なんですが、昨年はいろんなハイカーを目の当たりにして、すごく刺激を受けました。そこで、みちのく潮風トレイルを知って、これは歩くしかないな! と思ってスルーハイクしました。

今回、ハイカーとして参加して思ったのは、みんな歩いているなかで人のやさしさに触れて、それを誰かに返そうと思っていること。私も実際、みちのくを歩いてたくさんのやさしさをもらったので、その気持ちはすごくわかります。

今年はPCTを歩きにいきます。英語もしゃべれず不安も大きいですが、いろんなハイカーの体験談を聞いて、覚悟が決まりました」



メモリーズ3(OB・OG HIKERS) : イベントに何回も参加しているハイカー



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■ 長沼商史 – PCT, TA
2日目しか参加できなかったのが悔やまれる……。1日目も来たかった!
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2012年にPCT、2013〜2014年にかけてテ・アラロアをスルーハイクした長沼商史さん。またロング・ディスタンス・ハイキングがしたくてウズウズしているようだ。

「ハイカーのみんなに会えるのは楽しいし、やっぱり長いトレイルを長い期間歩くのはいいなぁ。毎回参加してるけど、来てくれるお客さんハイカーも年々増えてるし、なんか確実に好きな人は好きになっていってる感がいいよね。お客さんと登壇者とが、もっとしゃべりあえる機会があったらいいかなぁと思ったり。イベントとしては、もはや次のステージに入ったのかなと。

ちなみに個人的には、喫煙ルームに行くと、かならず顔をあわせていたハイカーたちが、すごく良かった。たぶん、山で全裸になったことある(オレ含む)んだろうなーっていう感じがね(笑)」

■ 本間馨 – PCT
このイベントは、僕にとってはトレイルを歩く前よりも、歩いて帰って来たときに最高の場所。
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2017年、2018年とPCTを歩いた本間馨くん。すでに、みちのく潮風トレイルも踏破している。

「ロング・ディスタンス・ハイキングをしたい人が増えているのを見て、裾野が広がってきているなと思いました。そして、ロングトレイルの情報よりも、ハイカーとの出会いや、この場の楽しい雰囲気を求めている人も多い気がしました。

自分は2017年のPCTハイカーですが、今年歩きにいくハイカーと話したりすると、あの当時の自分の気持ちを思い出すんです。だんだんと埋もれていきそうに感じる体験を掘り起こしてくれるというか。そこに光を当てて、栄養を与えてくれる気がして、今の自分と照らし合わせるいい機会になっています。やっぱり、いろんなハイカーと会って話すのは楽しいですね」

■ 丹生茂義 – PCT, AT
1年ぶりに再会したハイカーばかりなのに、まるで1週間ぶりに再会したかのよう。
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2017年にPCT、2018年にATをスルーハイクした丹生茂義くん。これはATでのひとコマ。仲良しハイカーの清田勝くんと一緒に。

「『YOUR LIFE AFTER HIKE』での、ロングハイカーのその後というテーマは自分の状況とも被るのとても興味深かったです。ロングハイキングがもたらす負の側面と言うか副作用がリアルに聞けて面白かった。哲学的でありスピリチュアル的でもあり最終的に答えが出ないところがリアルでした。

会場では、1年ぶりに再会した方がほとんどだったのですが、まるで1週間ぶりに再会したかのような不思議な感じでした。イベント自体は自由でリラックスした空気が漂っていてとても心地よかったです。これも、あくまでハイカー中心で作られたイベントだからこそ出せる雰囲気ですよね」

■ 佐藤有希子 – AT
参加するハイカーがどんどん増えて、毎年、新しい人との出会いがとても楽しい。
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2018年にATをスルーハイクした佐藤有希子さん。元々はイベントのお客さんだったが、今は登壇者として活躍。

「4回目の参加ですが、いい意味ですごく普通のお客さんが増えたなと。最初の頃は、自分含め『私ハイカーです!』って感じの人が多かったけど、いまは本当にいろんな人が来るようになって、そんな人たちとの出会いがとても新鮮だし、ロング・ディスタンス・ハイキングに興味を持ってくれる人が増えていくのがうれしいです。

登壇するハイカーもさまざまで、すごくバリエーションが豊かになったと感じました。だから、きっと誰かしら自分にフィットするハイカーがいるだろうなと。トレイルを頑張って歩くタイプもいれば気楽に楽しむタイプもいる。自分ができなかった経験をしている人もいっぱいいる。

そういう人の話を聞いて、私も、次に歩きに行くときはコレ試してみよう!と思ったり。そんな化学反応も楽しいですね」

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今年、登壇&運営側としてイベントを盛り上げてくれた、ロング・ディスタンス・ハイカーたち。

イベント終了後『LONG DISTANCE HIKERS DAY』初参加の鈴木拓海くんは、こう言った。

「断言します。ハイカー、絶対に全員いいやつです。そしてちょっぴりポンコツです。なので、気になったことがあればこんなくだらないこと……なんて思わないでください。バックパック何使ったの? テント何使ったの? ヒッチ最長何時間? 担いだ水は何リッター? 何州が好き? シューズ何足つかった? などなど、どんなことでも、みんな嬉しそうに話してくれるはずです」

いや、まさしくその通り。このイベントに垣根はありません。どんな人でもウェルカムだし、とにかく来た人全員に楽しんでほしい。

今年参加してくれた人は来年もぜひお越しください。そして今年参加できなかった人は来年こそぜひ遊びにきてください。

1年後、LONG DISTANCE HIKERS DAY』でたくさんのハイカーと会えることを、いまから楽しみにしています。

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『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2020』開催! – 2月15日(土) /2月16(日)


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トレイルズ

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

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