リズ・トーマスのハイキング・アズ・ア・ウーマン#25 / 冬の時期でも歩けるおすすめトレイル
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文:リズ・トーマス 写真:リズ・トーマス、ナオミ・フデッツ、ロートン・グリンター、シレーナ・デフォルト 訳:中村真奈 構成:TRAILS
今回、リズが紹介してくれるのは、冬の時期でも歩ける世界のロング・ディスタンス・トレイルです。
北半球では、冬は多くのエリアが雪に閉ざされてしまいますが、雪がない・少ないトレイルもたくさんあります。
夏だけでなく冬だって長い旅をしたいというハイカーもたくさんいるはずです。今回の記事には、そんな人にとって、とても貴重なトレイルの情報が、がっつり詰まっています。
冬でも歩けるPCTのセクションをはじめ、カリフォルニアの海岸エリアのトレイル、ハワイのトレイル、南半球のオセアニアのトレイル、そしてアーバン・スルーハイキングなど、それぞれ個性的なトレイルばかりです。
リズおすすめの冬のトレイルをお楽しみください。
カリフォルニアの海岸に広がるビッグ・サーからのオーシャンビュー。
はじめに
冬だからといって、ロング・ディスタンス・ハイカーが歩けないわけではありません。多くのハイカーは、10〜3月のあいだであっても1週間以上の旅ができるような、雪のない (または雪が少ない) トレイルを探しています。
少し工夫は必要ですが、スキーやスノーシューを使わなくてもよい冬のトレイルはあります。今回の記事では、主にアメリカにおける冬のスルーハイキングの旅についてお話しします。
また南半球の有名なトレイルも2つ紹介します。北半球が冬の季節に、南半球では夏のハイキングができます。
そして最後にアーバン・スルーハイクについてお話しします。アーバン・スルーハイクであれば、世界中のほとんどの場所で冬でもハイキングができます。
私は、冬もロング・ディスタンス・ハイキングを楽しんでいます。
まずはアメリカのカリフォルニアから。私はカリフォルニア在住のハイカーとして、ここに住んでいて一番好きなことのひとつが、冬にハイキングできる場所がたくさんあることです。もちろんシエラは雪に覆われていますが、冬も歩ける山や丘、渓谷、砂漠がたくさんあります。
南カリフォルニアの山が、どこでも晴れて暖かいわけではありません。気温が氷点下になることがあり、雪、あられ、みぞれ、雨などが降る可能性もあります。しかし10〜3月の例年の気候であったら、しっかり準備をすれば、以下に紹介するようなトレイルを旅することができます。ここに紹介するのは、カリフォルニアの私のハイキングスポットです。
私はスルーハイカーとして、つねにパシフィック・クレスト・トレイル (PCT) に惹かれています。PCTには、スルーハイカーが戻ってくるたびに得られる特別な興奮があります。 幸いなことに、PCTの南カリフォルニア部分の大部分は、冬でも雪が降っていないことが多く、歩きやすいフィールドです。
1. PCT Campo (Mile 0) to Paradise Café (Mile 151.8):151.8miles (244km)
カリフォルニア州にあるソーミル山近くのPCTを、1月に歩きました。
メキシコ国境のカンポ(0mile地点)〜 パラダイス・カフェ(175mile地点 ※)までは、冬の間ほとんど雪が降りません。しかし、まれににわか雪が降ったり、巨大な暴風雨が発生したりすることがあります。
ラグナ山のあたりは雪が積もることもありますが、それはたいてい短期間です。むしろ一般的なノースバウンド (北向き) のスルーハイカーが経験できないような、暑すぎず穏やかな気温のなかを歩くことができます。
パラダイス・カフェを過ぎると、PCTは、サン・ジャシント山に近づくにつれて、かなり標高が上がります。ピークでは標高11,000ft (約3,300m) にもなり、目まぐるしく天候が変わります。
サン・ジャシントは冬には非常に危険な場合があります。実際にスルーハイク・シーズンの前半の時期には、何人かのハイカーが命を落としています。そのため少なくとも冬の間は、パラダイス・カフェで旅を終えるのがいいでしょう。
※ PCTをはじめとしたアメリカのロング・ディスタンス・トレイルでは、場所を起点からの距離 (mile数)で示すのが一般的。
2. PCT Acton (Mile 444.5) to Highway 58 (Mile 566.4):121.9miles (196km)
砂漠地帯であれば、たとえ雪が降ったとしてもまったく問題ありません。
PCTのなかでも低い標高にある砂漠地帯であれば、ハイカーは雪のない100mileのハイキングが楽しめるチャンスがあります。444.5mile地点にあるアクトンKOA (キャンプグラウンド) からテハチャピ / モハベのトレイルタウン近くのハイウェイ58までは、わずかな雪しかなく、歩くのに支障はありません。
私は最近このエリアをハイキングして、シエラ・ペロナ山脈のあたりに雪があるのを見ました。このエリアでもっとも標高が高い、尾根の分岐にあるコンクリートタンクの標高が5,296ft (1,600m) です。そこであっても多少の雪はありますが、危険を感じるほどではありませんでした。
PCTのトレイルは、リエブル山のあたりで標高5,700ft (1,700m) くらいまで登ります。PCTのスルーハイクで春にここを通ったときは、私の記憶ではこのあたりは非常に暑く、乾燥していました。水もほとんどありませんでした。しかし冬に歩いたときには、雪があって、気温も穏やかであり、それはとても不思議な感覚でした。そしてPCTハイカーが歩いていない時期であるため、キャンプ場もとてもすいていました。
3. San Diego Trans County Trail:140miles (225km)
砂丘と岩柱の景色は、サンディエゴ・トランス・カウンティ・トレイルの特徴のひとつ。
サンディエゴ・トランス・カウンティ・トレイルは、ソルトン湖から始まって、太平洋にあるラ・ホヤ・ビーチまで通っています。ハイカーは、砂漠の荒野、PCT、郊外のトレイル、ラグーン(浅い海)、そしてビーチなどさまざまな景色を味わうことができます。
このトレイルは、パーム・スプリングスや音楽フェスのコーチェラの会場近くにある、アンザ・ボレゴ砂漠の端に位置するアルカリ湖が起点になります。
最初のセクションでは、アンザ・ボレゴ砂漠州立公園にある峡谷や岩柱のなかを歩きます。このルートを歩いていくと、アートのようにヤシの木でいっぱいのボレゴ・スプリングスの町にたどり着きます。この町は、国際ダーク・スカイ協会(※)に認定された町で、世界最高の天体観測場所のひとつでもあります。そのためプロアマ問わず多くの天文学者・愛好家に人気がある町です。
※ ダーク・スカイ・コミュニティ:国際ダークスカイ協会が認定している星空保護区のこと。
アンザ・ボレゴ砂漠州立公園の岩柱を縫うように歩いていきます。
ボレゴ・スプリングスの先も、素晴らしいトレイルが続きます。砂漠の山々を抜けてPCTの64mile地点にところまでは、砂漠のなかの山々を通っていきます。その先はジュリアン(人気のあるPCT沿いの町)の近くにある、カヤマカ州立公園の高山帯を歩いていきます。そしてマツの木々のなかや、湖、高原地帯をとおって、カヤマカ山を登っていきます。この辺りで一番山頂の標高が高い山です。
高山帯から降りていくと、サンディエゴでとても人気のある滝があります。そのあとは、このエリアで人気のあるデイハイキング・コースであるケイジョン・ピークを横断していきます。そして舗装路やトレイルをつなぎながら歩いていくと、世界最大の都市公園のひとつであるロス・ペナスキートス・キャニオンへたどり着きます。最後はラグーン(浅い海)のトレイルを歩いて、太平洋の海にたどり着き、壮大なゴールとなります。
サンディエゴ・トランス・カウンティ・トレイルではパーミット (許可証) は必要ありませんが、トレイルが舗装路とクロスする3つのポイントがあるので、そこにあらかじめ水をデポしておくことが重要なポイントです。
Facebookグループもあり、そこでこのエリアに住んでいないハイカーでも、地元の人とつながることができます。地元の人々のなかには、トレイルヘッドまで車で送ってくれたり、水を置いておいてくれたりする人もいるでしょう。
4. Hot Springs Trail:2,421mile (3896km)
ホット・スプリングス・トレイルは、アリア・ゾナーがつくった2,421mileのルートで、南カリフォルニアからアイダホ州のカナダ国境まで、100の天然&人口温泉をつないだトレイルです。
ルートには4つのセクションがあります。最初のセクションである320mileのコースト・コネクト・トレイルは、太平洋のサンタ・バーバラからシエラネバダ山脈までつづいています。このセクションは、秋、冬、春先の期間、歩くことができます。ただし、雨量によっては、川を渡ることが困難または危険な場合があります。
ホット・スプリングス・トレイルは、ナビゲーションスキルと忍耐を要するワイルドなルートです。しかし人が少ないことと、たくさんの温泉を訪れることできるのが、大きな魅力であるトレイルです。
5. Big Sur
カリフォルニア海岸にあるビッグ・サーは、世界のなかでももっとも生物多様性の豊かなハイキング・エリアのひとつです。複数のウィルダネスエリア、7つの州立公園、2つの州立保護区を含み、さらにビッグ・サーと接続する数百mileのトレイルがあります。
ベンタナ・ウィルダネス協会のWEBサイトに最新の情報が載っているので、それを利用して自分なりのルートを計画することができます。
歩く時には、その時点でよいコンディションのトレイルをつなぎながら、自分のハイキング・トリップをつくることをおすすめします。このエリアではトレイルの一面に草木が茂ると、ほとんど歩くことができなくなります。そのためトレイルをふさぐ倒木を処理したりするために、小型のノコギリを携行したほうがよいです。ビッグ・サーでのハイキングにパーミット(許可)や予約は必要ありません。ルートは自分が好きな距離で設定することができます。
たくさんの動植物がいるのも大きな特徴。これはバナナ・ナメクジ。
ほとんどのルートはビーチから始まり、ユッカ (青年の木とも呼ばれる植物) が生えた砂漠のようなエリアを通り、コケに覆われたオークの森、巨大なセコイアと温帯雨林を経て、絶滅危惧種のカリフォルニアコンドルが住むシャパラル山群まで通っています。
一部のロング・ディスタンス・ハイカーは、ビッグ・サーとコンドル・トレイル(ロス・パドレス・ナショナル・フォレスト)を通る、新しいルートを歩こうとしています。411mileの距離のルートです。高度なナビゲーション、藪漕ぎ、雪や洪水、数多くの渡渉に対応できるスキルが必要なトレイルでもあります。
コンドル・トレイルでは険しい荒野を旅するため、道に迷いやすいです。私自身、このルートのいくつかの部分をハイキングしてみたのですが、これまででもっとも困難なハイキングのひとつでした。しかしスキルのあるハイカーにとっては、一生に一度の冒険ができる可能性があるトレイルです。
6. The Kalalau Trail:22miles (35km)
カララウ・トレイルのWEBサイトより(https://www.kalalautrail.com)
ハワイにあるカララウ・トレイルはロング・ディスタンス・トレイルではありませんが、景色が美しく、トレイルは起伏に富み、強く印象に残るトレイルです。
このトレイルは、険しく切り立った崖の上にあるナ・パリ海岸へアクセスできる唯一のルートとなっています。このナ・パリ海岸のなかにある5つの渓谷、海岸に屹立する崖、滝などの景色のなかをトレイルが通っています。また潮の満ち干きの時間に合わせて、旅を計画する必要があります。私が聞いたところによると、経験豊富なハイカーでさえ、満潮時に崖のあいだで立ち往生してしまうこともあるそうです。
カララウ・トレイルでは、ハイキングのためのパーミットと、2つのキャンプ場に泊まるためのパーミットが必要となります。キャンプは指定されたエリアでのみ許可されています。短い距離にもかかわらず、世界でもっとも記憶に残るユニークなトレイルのひとつなのです。しかもハワイは一年中暖かいので、他では寒くて歩けない時期でもハイキングすることができます。
7. Ouachita Trail:222miles (357km)
全長222mileのワチタ・トレイルは、アーカンソー州とオクラホマ州にある、人の少ない山々を通っているトレイルです。リトルロック空港 (ビル アンド ヒラリー クリントン ナショナル空港 [LIT]) を利用するのが便利です。また、トレイルヘッドにつながるバイク・トレイル (自転車専用トレイル) もあります。
ワチタ・トレイル自体は道標もしっかりあり、歩きやすいトレイルです。シェルターもたくさんあるので、そこで雨を凌いだり、さまざまな環境から身を守ったりすることもできます。このエリアは、夏はとても暑くなりますが、2月と3月は訪れるには絶好の季節です。
このトレイルは、ワインディング・ステア山脈と、リッチ山を通ります。ワチタ・トレイルが、アメリカや世界の多くのロング・ディスタンス・トレイルと異なる点のひとつが、東西に延びるハイキングトレイルだということです。
トレイルの大部分はマツの森のなかを通りますが、途中には大きな渓谷や、地表に露出した岩、史跡などの風景もあります。気候に関しては、スキルのあるハイカーにとっては問題ありません。しかし2〜3月に訪れる場合は、雨が降ったり、また氷点下の気温になることもあるので注意してください。年間を通じて水は豊富なので、その点については心配する必要はありません。
8. Lone Star Trail:96〜129miles (154〜207km)
ローン・スター・トレイルが紹介されているUSDA (United States Department of Agriculture) のWEBサイトより (https://www.fs.usda.gov/recarea/texas/recreation/hiking/recarea/?recid=71074&actid=51)
ローン・スター・トレイルは、テキサス州の中心部を東西に走る全長129mileのトレイルです。ここはオフシーズンの冬にハイキングできるだけではなく、早春または晩秋にも最適なトレイルです。東西96mileのトレイルですが、アディショナルで32mileのループ状のトレイルと接続しているので、さらに長く歩くこともできます。
トレイルは比較的フラットですが、トレイル沿いに自然に湧いている水はあまりありません。ただ地元でこのエリアの管理をしている人が、小川が流れているかどうかを教えてくれると思います。
またこのトレイルを歩いたことがる私の知り合いのハイカーが、トレイルヘッドまでクルマの送迎サービスをはじめてくれました。
9. Te Araroa:3,000 km
ニュージーランドのテ・アラロア (TA) は、北半球のハイカーが冬に挑戦するためのトレイルとして人気が高まっています。テ・アラロアとは「長い小道」を意味する言葉で、北島の北端ケープ・レインガから南島の南端ブラフまで、その距離は3,000kmあります。
TAは、トレイル(ニュージーランドではトラックと呼ばれる)とロードを組み合わせたルートです。トレイルに沿って、シンプルな山小屋(ハット)がいくつもあります。カヤックで下らなければならない、川のセクションもあります。許可証と手数料が必要なのは、南島のクイーン・シャーロット・トラックのみです。ほとんどのハイカーは6カ月間有効なハット・パスを買って、トレイル沿いのハットで寝泊まりします。
川の渡渉は、TAのもっとも大変な要素のひとつです。しかし天気の悪さもまたスルーハイカーにとってやっかいな要素です。さらに、PCTのようなトレイルに慣れている多くのハイカーにとって、精神的にもチャレンジングな箇所があります。というのも、多くのハイカーはTAのロードウォーキング・セクションを嫌うのです。多くのハイカーは、山のなかで過ごすことを望んでいるのです。
それでもなお、TAは世界中のハイカーを魅了しています。TAを歩く人なのかで、ウルトラライトハイカーはごく一部です。多くのハイカー、特にニュージーランド、オーストラリア、ヨーロッパ出身のハイカーは、トラディショナルな大型のバックパックを背負っている傾向があります。多くのスルーハイカーは、「TAの最大の魅力は、世界中に住んでいるたくさんのハイカーと友だちになれることだ」と言います。
10. Bibbulmun Track:1,003 km
ビブルマン・トラックのWEBサイトより (https://www.bibbulmuntrack.org.au)
オーストラリアでもっとも有名なロング・ディスタンス・トレイルといえば、1,003kmのビブルマン・トラックが挙げられるでしょう。このトレイルは、カラムンダ〜アルバニーまでのダーリング山地を縦断しています。ハイカーのみが利用できるトレイルなので、自転車などの心配をする必要もありません。
このトレイルを歩くハイカーは、毎日、町のなかあるいはシェルターなど、指定されたキャンプサイトに泊まる必要があります (もっともキャンプサイトには水のタンクと簡易トイレがあるため、ハイカーたちには好都合でもあるのですが)。
ビブルマン・トラックは、ジャラの森、カリーの森を抜け、海岸線までつながっています。最後は海岸線沿いの森や砂浜を通って歩きます。9〜11月はハイキングのメインシーズンです。野生の花が咲くシーズンでもあります。
ビブルマン・トラックは、オーストラリア西部において、主要な観光スポットとしても位置づけられており、インターナショナルなトレイルとしての意義もあるトレイルとなっています。しかしこのトレイルは、水場が少なかったり、ヘビが出たり、長年にわたる山火事で広い範囲が焼けてまったセクションがあったり、日差しが強かったり、さまざまなチャレンジが求められるトレイルでもあります。
11. Urban Trails:世界中どこでもどんな距離でも
世界のどこにいようとも、アーバン・スルーハイキングは、冬に何mileものハイキングを楽しめるユニークな方法です。市や町を通る、独自のルートを設定することで、自分にとって重要または興味のあるエリアを渡り歩くことができます。
ルートは長くても短くても、自分の好きなだけで構いません。寒くなったり天気が悪くなったりしたら、いつでもカフェに行って暖まることができます。歩道は通常、冬の間は氷が張らないように保たれているため、冬のハイキングに使うような登山靴やアイスアックスは必要ありません。
私の場合、毎晩、友だちの家やホステル、AirBnBに滞在するルートを計画します。そのため、私のルートは毎日新しいエリアに訪れることになり、途切れることもなければ (スキップする必要もなければ)、後戻りしたりする必要もありません。
私はこれまで、自分の街のすべての公園、すべての公共の階段、すべてのパブリックアートを結ぶルートを歩いてきました。この世界は探検する場所なのです。そして創造性と事前に計画する能力こそが、もっとも重要なスキルです。
2月のオレゴン州・ベンド。雪がありましたが問題ないレベルでした。
私は、10〜11月、2〜3月に自分のアーバン・スルーハイキングをコンプリートしました。この時期は山には雪がたくさんあって、山で長期間のハイキングをするのは難しい季節です。
でも私は毎晩、屋内で寝ていたため4シーズン用テントを持ち運ぶ必要もなければ、雪や雨で目を覚ますこともありませんでした (この2つは、冬のハイキングにおいてもっとも頭を悩ますことでもあります)。しかもアーバン・スルーハイキングでは、1日の終わりに濡れたギアを乾かし、お風呂で暖めることさえ簡単です。
アーバン・スルーハイキングでは自然のエリアを歩くことはできませんが、町のトレイルであってもハイカーは驚くほど安らぎを得ることができます。毎日多くの時間をかけて目的に向かって行動することは、心を浄化することにも役立ちます。
欠点を挙げるとすれば、それはハイキングを遅れさせる誘惑がたくさんあることです。一日中たくさんのカフェやレストランに出会うため、立ち止まって楽しみたくなるのです。この理由で、アーバン・ハイキングは費用がかさみがちです。
でも、アーバン・スルーハイキングの最大の魅力の1つは、トレイルヘッドまでのアクセスが容易であることです。旅のスタートとゴールは、いずれも公共交通機関でアクセスできる場所を選ぶことができます。もしくは、スタートとゴールを自分の家の玄関に設定することも可能です。
毎年、私は多くのスルーハイカーと会いますが、みんな、冬にロング・ディスタンス・ハイキングができないことを残念がっています。でも、ちょっとした創造性と柔軟性があれば、どこだってロングトレイルになるし、バックパッキングもできるし、探検することもできます。あなたがすべきことは、計画を立て、準備し、ギアを集めて、そして歩きはじめることです。
アーバン・ハイキングの場合、ロードには雪がないケースが多いので難なく歩くことができます。
リズによる冬のロング・ディスタンス・ハイキングのおすすめは、いかがでしたでしょう。世界中でいろんなトレイルについてアンテナを張ると、こんなにも冬のロング・ディスタンス・ハイキングのバリエーションが広がるのかと、リズが持っている情報のリッチさに、僕たちも驚きました。
まだ雪解けまでは少し時間がありますし、また年間のハイキング・スケジュールをプランニングする際などに、今回の情報を活用してもらえると嬉しいです。
TRAILS AMBASSADOR / リズ・トーマス
リズ・トーマスは、ロング・ディスタンス・ハイキングにおいて世界トップクラスの経験を持ち、さまざまなメディアを通じてトレイルカルチャーを発信しているハイカー。2011年には、当時のアパラチアン・トレイルにおける女性のセルフサポーティッド(サポートスタッフなし)による最速踏破記録(FKT)を更新。トリプルクラウナー(アメリカ3大トレイルAT,PCT,CDTを踏破)でもあり、これまで1万5,000マイル以上の距離をハイキングしている。ハイカーとしての実績もさることながら、ハイキングの魅力やカルチャーの普及に尽力しているのも彼女ならでは。2017年に出版した『LONG TRAILS』は、ナショナル・アウトドア・ブック・アワード(NOBA)において最優秀入門書を受賞。さらにメディアへの寄稿や、オンラインコーチングなども行なっている。豊富な経験と実績に裏打ちされたノウハウは、日本のハイキングやトレイルカルチャーの醸成にもかならず役立つはずだ。
(English follows after this page)
(英語の原文は次ページに掲載しています)
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