TRAILS REPORT

第四回 鎌倉ハイカーズ・ミーティング報告

2015.05.01
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■プレゼンテーション報告1「ハイキング・フード座談会 by HBM」

「隣の晩ごはん」よろしく、他のハイカーが山で何を食べているのかは気になるところ。「第三回鎌倉ハイカーズ・ミーティング」でもクッカーについて語り合ったハイキング・ブロガーからなるHBM(Hiker & Blogger Meeting)に勝俣隆さん、山と道の夏目彰さんも加わった7名により、ハイキング・フードをテーマにした座談会が行われた。1泊2日のショートトリップから数ヶ月に及ぶロングディスタンス・ハイキングまで、山の上や下でみんな何を食べているのか、気の置けない仲間同士によるリラックスしたプレゼンテーションはなかなか楽しかった。

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まずトップバッターは人気イラストレーターのOson Jun(ブログ:EASY HIKING)さん。実は食にそれほど興味がないというOsonさんは、たいてい鍋か炒め物かカレーという三大人気トレイル・メニューをローテーションしているのだとか。Osonさんのおすすめは味の素の「鍋キューブ」。これは小さく、軽く、一人分(180cc)でも調理できるまったくハイカー・フレンドリーな鍋スープの素で、白鶏やキムチ味など種類も豊富にあり、山の手前のコンビニなどでも入手できるので、お世話になっている人も多いのではないだろうか。カレーでは無印良品のレトルトカレーがサイズ小さめで持ち運びしやすく気に入っているとか。

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続いてはRIDGEというブログを行いつつ同名でハイキング・ギア制作も行っているKuroさん。山であまり米を食べないというKuroさんは、最近憶えたという鍋ひとつで作るワンポッド・パスタを紹介してくれた。山でパスタを作る際、気になるのは山でゆで汁を捨てていいのかという問題。パスタと具材を一緒に茹でるワンポッド・パスタならば簡単なうえにゆで汁を捨てる必要もない。基本的に水の量を少なめで茹で、少なくなったら水を足しながら作っていくが、多めの水ならばスープパスタにもなるという。さすがにアルデンテに作るのは難しいというが、たしかに山では大いに参考になる手法である。「ワンポッド・パスタ」で検索すると大量のレシピが出てくるので、僕も実践してみようと思う。

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続いてブログ「登ったり、漕いだり。」のTakemichiさんの楽しみは、下山後のビール。とくに地ビールが好きだが瓶ビールなことが多いので、いつもサコッシュには栓抜きを付けているのだとか。さらにハイキング中の食べ物よりも下山後においしい店を探すことに時間を割いているというTakemichiさんは「下山後までがハイキング・フード」という独自の定義で、北陸新幹線開通で注目のあつまる富山のおすすめ居酒屋を紹介してくれた。立山連峰の帰り道にはぜひ寄りたいものだ。

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左:『居酒屋百名山』の太田和彦氏も富山一の名店という「親爺」。右:富山産のクラフトビールが飲める「バルバンコ」。ロティサリーチキンが名物だとか。

そしてブログ「dub clear mountain」のBooさんは、酒好きなのでつまみになるものを作ることが多いという。なかでもHBMで一番の人気メニューが、ジップロックのスクリューロックにクリームチーズとアボカドとコンビーフを入れて混ぜたもの。コンビーフに味がついているので味付けはいらないし、パンを添えれば朝食にもなるというが、みんなにも振る舞うしおいしすぎるので大抵翌朝までには全部なくなっているとか。これもぜひ真似してみたい。

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ユニークなパーソナリティでコアなハイキングシーンの名物キャラとして知られるブログ「blues after hours」のJackie boy slimこと尾崎光秀さんは、現在はローカスギアに勤務している。そんなジャッキーさんのおすすめはカルディなどで100円くらいで売っている生パスタ。湯で時間も5分くらいでOKで、乾麺と違って折り曲げられるのでハイカーがよく使う450ccほどの小さなクッカーでもパスタが茹でられるところが良いという。茹で汁はポタージュ・スープの素などを入れて再利用すれば鍋も汚れないし食後もすぐにコーヒーなどをいれやすいとか。

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さらに「いままでのハイキングフードは煮るか炒めるかだったが、そこに第三のまったく新しい概念、蒸すを提唱したい」とジャッキーさん。ストーブ用風防の端切れを再利用したという自作の「U.L. Vortex Steamer 蒸し丸くん」を取り出して、山で食べる蒸かしたての肉まんのおいしさについて熱弁をふるった。たしかに蒸し料理ならば水も少量で済むし鍋も汚れない。シュウマイも蒸かせるというが、にんじんやブロッコリーなどを蒸かしてもおいしそうだ。「U.L. Vortex Steamer 蒸し丸くん」は見るからに簡単に作れそうだけれど、アルミホイルでは強度が足りないとか。詳しい作り方が知りたい人はぜひジャッキーさんに問い合わせてみてほしい。

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続いて山と道の夏目さんは、火器を使わないで食べれるものをプレゼン。夏目さんのおすすめは由布食品の「玄米やき米」。玄米を釜で二度焼きする日本古来からある保存食で、普通の玄米よりも栄養価が高いという。朝ジップロックに入れたやき米に水を注いでサコッシュにいれておくと、行動中に体温で人肌に暖まりおいしく食べられるという。その日の気分で味付けを変え、歩きながらスプーンで食べるのだとか。僕も行動食はおにぎり派なので、これはぜひ試してみたい。行動食をスプーンで食べるというのも、いままでありそうでなかったアイデアかもしれない。

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そして夏目さんのおすすめもうひとつは富山県産のホタルイカの一夜干し。これをライターで炙って食べるのだ。実は僕も夏目さんとハイキングに行った際に何度かいただいたことがあるのだけれど、干物らしい塩気とイカ味噌の風味が相まって実にうまい(ライターで炙ってもガス臭くはならない)。勝俣さんによるとイカは筋肉疲労を回復させるタンパク質が牛肉並みに豊富で、とくに干したものは90%近くがタンパク質なので、疲れた身体にはとてもよいのだとか。まさにキング・オブ・山キャンプの酒のつまみである。

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ほとんどがアメリカの平均的スーパーで手に入るもの、これで3〜4日分の食料だとか。

大トリに登場の勝俣さんは、昨年スルーハイクを達成されたアパラチアン・トレイルで食べていたハイキング・フードの紹介。ロングディスタンス・ハイカーの食料計画は補給に寄った田舎町のスーパーで手に入るものでなんとかするのが基本。そんなアメリカのハイカーの定番といえばMac&Cheeseというマカロニとチーズをミックスしたものをお湯で戻して食べるインスタント食品。アメリカの国民食と呼ばれるほどのド定番らしいが、勝俣さんは口に合わずよく友達にあげていたとか。さらにRice SidesとPasta Sidesというインスタント食品も定番で、日本でいえば尾西のアルファ米やサタケのマジックパスタをさらに安っぽくしたようなものだろうか。Rice Sidesはライスといいつつよく見るとそうめんのような細い麺が半分くらい入っているよくわからない食べ物らしい。 そしてマルちゃんのインスタントラーメンも定番なのだが、ラーメンにオートミールを入れてケチャップとマスタードとチリソースとマヨネーズをかけて食べてるハイカーと会ったときには味覚の違いを感じたとか。

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三田正明

三田正明

1974年東京都国立市出身。2001年に『Title』(文藝春秋)の連載「To The Boy /少年犯罪被害者の旅」でカメラマン/ライターとしての活動を始める。2001年にザンビアで皆既日食を見て以来南アフリカ・ジンバブエ・タイ・インド・オーストラリア・アルゼンチン・ブラジル・メキシコ・トルコ・ネパール・アメリカ・カナダ・モンゴルなどを放浪。これまでに皆既日食を五度、部分日食を二度、皆既月食を一度見ている。次第に旅の途上で出会った大自然の世界に傾倒し、気がつけばヒマラヤや北米大陸や日本各地のトレイルを歩くように。雑誌『スペクテイター』や『マーマーマガジン』を始めとする多くの雑誌にアウトドアにまつわるドキュメンタリーやトラベローグや連載記事を執筆、TRAILSではメインライターとエディターを務める。
masaakimita.web.fc2.com

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