TRAILS REPORT

第四回 鎌倉ハイカーズ・ミーティング報告

2015.05.01
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■プレゼンテーション報告2「Hiking Buddy」

読者のなかにもハイキングにはいつも恋人や奥さん、旦那さんと行かれるという方は多いはず。ここではいつもよく夫婦でハイキングに出かけるというTRAILSの佐井聡・和沙夫妻プレゼンツにより、TRAIL MOVIE WORKSとしてTRAILSでもフィルマーとして活躍している小川竜太さん・恭子さん夫妻(ニュージーランドでのハイキング・リポートがTRAILSに掲載中)、これまでに数多くの国内/国外ハイキングを共に歩かれてきた山と道の夏目彰さん・由美子さん夫妻と共に「男女二人でのハイキング」の実例とそのメリットについて語り合った。

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まずは男女二人でハイキングをすることのメリットから。「ひとりだと気後れしてしまうことも、二人だと勢いでできることも多い。逆に危険な場合は一人のときよりもやめる決心をしやすい。」と小川竜太さん。妻の恭子さんは「せっかくなのであまりせかせかするよりもふたりでのんびりコーヒーでも飲んで三十分とか一時間とか休憩してじゃいこっかとか。今日無理せず下でとんかつ食べたいから降りよとか(笑)。そんな感じで豊かに過ごせます。」さらに竜太さんはこう語る。「計画段階から普段の生活のなかで『ここは何日くらいで行けそうだ』とか話あって練り上げていけるので、旅の計画段階から旅の後日談までを共有できます。だからハイキングがふたりの行事になって、ふたりのライフスタイルの一要素として楽しめます。」

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ニュージーランド・ハイキング時の夏目夫妻の装備。

そして山と道の夏目彰さんは荷物を共有できることのメリットを強調する。「まずシェルターは共有としても、食にまつわる道具も全部共有できます。ベースウェイトのほとんどの部分は自分が持てるので、女性は軽く済む。重たければ全部持ってあげられるし、女性はより自由にハイクできるはず。男性陣にはわからない女性が持って行きたいものもありますし、男性陣がほとんど持ってあげて女性は自由にというのが彼女や奥さんをハイキングに誘うよいきっかけになると思います。ニュージーランドでハイキングをしたときも僕が山と道のUL Flame Pack Oneで、由美子がMiniで行ったんですけれど、このときはふたり用の寝袋とか嵩張るけど軽いものを由美子が持って、あとはだいたい僕が持ちましたけど、それで一ヶ月以上のロングハイクができました。」一方、竜太さんは「うちはほとんどふたりで同じウェイトです。恭子が気を使いやすいので、重いものを持たせてると思うだけで負担になるみたいで。」と語り、それぞれの家庭にそれぞれのスタイルがあるものだけれど、まあだいたい世の常として男は重い荷物を背負うものである。ただ、みんなクッカーやコップもひとつしか持っていかずわけあって飲み食いするといっていたのには驚いた。うちは食器は人数分持っていくけどなぁ。

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「ケンカはする?」との問いに、みんな「Yes」の答え。まぁ、そりゃそうだ。その理由としては「すごく速かったり遅かったり、ありえないペースで歩かれるとイラっとする。」と竜太さん。恭子さんは「私はあまり細かいこと考えずに動いてしまうので、たぶんいつもイライラさせていると思います(笑)。でもごはんや休憩どきに気分を落ち着かせて、あまり引きづらないようにしていますね。」夏目家の場合は由美子さんがこう語る。「うちは夏目が調べものが特異で、一生懸命ほぼ全部自分で調べてくれるんですけれど。それでも現地で間違えちゃうことってあるじゃないですか。そこで私がいかに文句をいわずに我慢できるかなんですけど、やっぱり我慢できずにいってしまうんですね(笑)。友達同士では遠慮することも恋人や夫婦だと遠慮がなくなってしまうので、そこがいつも気をつけているポイントです。」これには夏目さんも苦笑していたが、僕もおふたりのことを知るだけにまあ、目に浮かぶ光景ではある。佐井夫妻の場合は「私はすぐ眠くなるけれど、彼は睡眠しなくても平気なタイプ。私は眠いと会話が成り立たなくなるんでそこにイラっとされるています。あと彼はお腹がすくとイライラするんですよ。お腹がすいたときの落ち組み具合がすごいんで、お肉を先に食べてもらうとか、多めにカレーを食べてもらうとかコントロールしています。それでケンカしたときはできるだけ早く謝って、翌日まで持ち越さないよう心掛けています。」と佐井和沙。こういった話を聞いていると、やはり男は女性の掌のうえで転がされてナンボだなと思うのであった。

そして歩くペースについて。小川家は「うちは歩くペースがもともと変わらないです。ただルートや天候にあわせた全体のペース配分とかは僕が考えてますけど。」佐井家は「うちは登りは絶対に奥さんが前ですね。その方が後ろを振り返ったり待ったりとかしないで済むので結局楽。でも下りは僕が前です。奥さんがよく転ぶんですけれど、僕は身体がでかいので止められるんじゃないかと(笑)。」そして夏目家の場合は「夏目は歩くのがすごく速いけれど私はゆっくり歩くのが好きなので、かなり離れて歩くこともありますね。だから槍ヶ岳に双六岳のほうから行く登りで私はまだ下にいたのにこの人はすでに頂上でテント張って待っていたこともあります(笑)。まあ、そのときは急がないとテント張る場所がなくなるからだったんですけど。でも、そういうときは『どうぞ先に行ってください』って感じ。」と由美子さん。一方夏目さんは「由美子がそういうときは自由に歩かせてもらうけど、ちょっとでも問題ありそうなときは極力先に行ってもらいますよ。夫婦とはいえ、相手になるべく配慮しないとうまくいかないなっていつも思っています。『先歩きなよ』っていっても『あなたが先行ってよ!』っていわれるときもありますけど(笑)。でも、よく旦那だけ山へ行くけど家の者は誰もついて来ない家庭の話をよく聞きますけど、そういうふうにはなりたくないですからね。」

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小川竜太さんと恭子さん。

いかがだったであろうか。個人的にはそれぞれの家庭の幸福を祈るばかりである。最後に夏目由美子さんのこんな発言で閉めさせていただきたい。

「男の人ってちょっと冒険したい気持ちがありますよね。きつい所に『大丈夫大丈夫』とかいって連れていかれて、『なんでこんなとこ歩いてんだろう?』って思っていることがよくあります。でも、帰ってきて写真見ると楽しそうだったりしてね(笑)。」

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三田正明

三田正明

1974年東京都国立市出身。2001年に『Title』(文藝春秋)の連載「To The Boy /少年犯罪被害者の旅」でカメラマン/ライターとしての活動を始める。2001年にザンビアで皆既日食を見て以来南アフリカ・ジンバブエ・タイ・インド・オーストラリア・アルゼンチン・ブラジル・メキシコ・トルコ・ネパール・アメリカ・カナダ・モンゴルなどを放浪。これまでに皆既日食を五度、部分日食を二度、皆既月食を一度見ている。次第に旅の途上で出会った大自然の世界に傾倒し、気がつけばヒマラヤや北米大陸や日本各地のトレイルを歩くように。雑誌『スペクテイター』や『マーマーマガジン』を始めとする多くの雑誌にアウトドアにまつわるドキュメンタリーやトラベローグや連載記事を執筆、TRAILSではメインライターとエディターを務める。
masaakimita.web.fc2.com

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