SKI HIKING | #08 BCクロカンおすすめ日帰りルート 長野県・栂池自然園
話・写真:石田啓介 構成:TRAILS
『SKI HIKING』は、「歩くスキー」であるBCクロカンにフォーカスした企画記事だ。BCクロカンは、滑りながら歩けるその機動力で、雪の世界におけるハイキングの旅を拡張してくれる。
TRAILSがBCクロカンに惹かれた理由の詳細は、ぜひこちらの記事をご覧になっていただきたい (SKI HIKING | #05 BCクロカン2021 Second Season)。
今回の「BCクロカンのおすすめ日帰りルート」の第3回目 (最終回) は、栂池 (つがいけ) 自然園だ。
北アルプスの白馬連峰を望むことができる、抜けのいい絶景が広がる栂池自然園。ここは過去2回で紹介したエリアとは異なり、決まったルートもなく、そのためBCクロカンのすいすいと自由に歩き回れる開放感がたまらないフィールドである。
標高約1,900mにある栂池自然園の広大な雪原を歩いていく。
おすすめルートを紹介してくれるのは、これまでと同じく、ケースケさん (石田啓介さん)。以前、僕らと一緒に信越トレイルをBCクロカンで旅した、名古屋のアウトドアショップ「MOOSE (ムース)」のオーナーだ。
石田啓介 Keisuke Ishida名古屋のアウトドアショップ『MOOSE (ムース)』代表。1978年、愛知県生まれ。先代が創業当時から山でのクロスカントリースキーツアーを開催。その後、約30年前から道具の進化とともに、テレマークスキーへと徐々に移行し今に至る。現在、冬の雪遊びをする人を増やすために、スキー経験が無くても楽しめるBCクロカンの魅力を広めるべく奮闘中。石田啓介 Keisuke Ishida名古屋のアウトドアショップ『MOOSE』代表。先代が創業当時から山でのクロスカントリースキーツアーを開催。現在、雪遊びをする人を増やすため、BCクロカンの魅力を広めるべく奮闘中。
今回のおすすめルート:長野県・栂池自然園。雪の山岳エリアを歩く。
まずはゴンドラ (約20分) とロープウェイ (約5分) を乗り継いで、スタート地点へ。ビジターセンターを過ぎると、雪でおおわれた山岳エリアへと入っていく。上記ルートはあくまで参考。定められたルートはないので、どこを経由して戻ってきても良い。ロープウェイは運行期間が限られているため、事前に要確認。
ケースケさん:「今回のルートは、高層湿原で有名な栂池自然園です。グリーンシーズンは、木道を歩きながら湿原や高山植物を楽しめますが、冬季は雪でおおわれ、広大な雪原のなかを歩くことができるのです。
目の前の白馬連峰の絶景を眺めながら、楠川を越えたあたりまで行って、そこから戻ってくるのが、時間的にもちょうどいいと思います。ただ、ルートがあるわけではないので、どこに行ってもOKです。
注意点としては、時期や場所によって雪崩のリスクがあることですね。厳冬期や雪が降った直後は行かないほうがいいでしょう。また、天狗原 (てんぐっぱら) の急斜面には近づかないようにしてください」
長野県・栂池自然園のレコメンド・ポイント。
[1] 歩きメインもよし。ステップアップしたい人は斜面で滑りの練習も。
バリエーション豊かな地形も大きな特徴。歩き、登り、滑り、BCクロカンの特性をぜんぶ発揮できる。
ケースケさん:「栂池は平坦なところがメインですが、山岳エリアなので、緩斜面、急斜面など、いろんな斜度の斜面もあります。だから、歩きメインの人も、滑りメインの人も、その両方の人も、みんなが満足できるフィールドなんですよ。
たとえば、BCクロカンのレベルが1〜10まであるとすれば、全レベルの人が楽しめるほど、バリエーションが豊かなんです。特に初心者の人は、ステップアップに向けてちょうどいい場所ですね」
[2] 決まったルートがなく、自由に歩き回れる開放感がある。
定められたルートがないので、自分が行きたいルートを進むことができる。
ケースケさん:「夏場は木道が整備されていてその上を歩くのですが、冬場は一面雪なので、道はもちろん道標もいっさいありません。
トレースがあることも多いですが、それを選んでも選ばなくてもOK。自分の判断で進むことになるので力量が問われますが、自由にルートを描くおもしろさを味わうことができます」
[3] 北アルプスの白馬連峰の絶景。
前方には白馬連峰。山岳エリアの魅力を存分に味わえる。
ケースケさん:「このエリアは、白馬連峰をはじめ山々が連なる山岳地帯です。これまで紹介した戸隠、北八ヶ岳とは比べものにならないくらいの絶景が広がっています。
そんなエリアを、BCクロカンで軽快に進んでいると、雪山を旅している感覚がより実感できるはずですよ」
TRAILS編集部の『SKI HIKING』の観点から、栂池自然園のルートのおもしろさを紹介する。栂池の魅力は、何といっても開放感抜群の北アルプスの山並みを眺めながら、決められたコースのないエリアを、自由にスキーで歩き回れるところだろう。
しかも、平坦なエリアも多く初心者でも十分楽しめるフィールドでありながら、滑りをがっつり楽しみたい人にうってつけの斜面もある。
危険なところに行かないように、地図読みやGPSでの現在地確認には注意する必要はあるが、BCクロカンの機動力と自由度を、ばっちりと体感できるはずだ。
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