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HAMMOCKS for Hiker | メーカー別リコメンド・ギア 〜ハンモック編〜

2021.05.21
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TRAILSとハイランドデザイン (ハイカーズデポ) が立ち上げたイベント『HAMMOCKS for Hiker』(※)。

直近2回の記事では、このイベントを通じて制作してきた、さまざまなコンテンツを凝縮した『HAMMOCKS for Hiker』の「ダイジェスト版」をお届けした。

ここから2回はギア編だ。今までこのイベントに出展してくれたメーカーから、Hammocks for Hiker的オススメ『ハンモック・ギア』をセレクト。

今年・昨年に出た新製品から、ハンモック・ハイカー的にはこれでしょという定番製品まで、幅広いラインナップが揃った。

ハンモック単体製品、オールインワンモデル、その他ジャンルという順番で紹介していこう。

HAMMOCKS for Hiker:2016年に、TRAILSとハイランドデザイン (ハイカーズデポ) が立ち上げた、ハイカー向けのハンモックイベント。ハイキング向けのハンモックを出すメーカーが集まるイベントとして、国内最大規模。ハイキングと野営を前提としたハンモックにフォーカスしているのが大きな特徴。ハンモックメーカーが一堂に会し、数多くのハンモックを実際に体験することができる。毎年5月に山梨県の『月尾根自然の森キャンプ場』で開催 (2020年はコロナのため中止。2021年は秋開催を検討中)。

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さまざまなメーカーから、個性あふれるハンモックがリリースされている。


COCOON コクーン


■ ハンモック:Ultralight Hammock (ウルトラライト・ハンモック)
・重量 240g
・価格 9,350円 (税込)

■ ツリーストラップ:Hammock Straps Ultralight (ハンモックストラップ・ウルトラライト)
・重量 70g
・価格 4,620円 (税込)
※今回のシステムの総重量:310g

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コクーンは、快適な睡眠をミッションに掲げる、トラベルシーツやスリーピングバッグライナーのブランドで、ハイカーからも支持されている。

そのコクーンから2020年にハンモックが発売された。特徴は、軽量ながらやや大きめのサイズ感。それとリッジラインがあるため、自然と寝心地の良い角度で設営できることだ。

重量は240gという軽さながら、全長が325cmと長く (ほとんどのハイキング用ハンモックは300cm以下)、幅も148cmと少し広めの設計。そのため、生地にゆとりがあり、圧迫感のない極上の寝心地が得られる。リッジラインは、ハンモックを最適な角度に固定してくれるだけでなく、ギアを吊るしておくこともできるので、宿泊時にも重宝する。

組み合わせたストラップは、ハンモックストラップ・ウルトラライト。重量70g (ペア) は、ツリーストラップのなかでも最軽量級の軽さだ (今回紹介したなかでは最軽量)。

またコクーンからのULラインナップとして、蚊帳として上記ハンモックに追加で取り付けられるモスキートネット・ウルトラライト (重量190g・価格6,820円 [税込]) のほか、ウルトラライト・モスキートネット・ハンモック (重量395g・価格11,550円 [税込]) も発売されている。


ENO イーノ(イーグル・ネスト・アウトフィッターズ)


■ ハンモック:Sub6 (サブ・シックス)
・重量 164g
・価格 10,450円 (税込)

■ ツリーストラップ:Helios Ultralight Suspension System (ヘリオス・ウルトラライト・サスペンションシステム)
・重量 110g
・価格 4,950円 (税込)
※今回のシステムの総重量:685g

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※各ギアの重量は、付属品を除く本体のみの実測値。

アメリカのハンモック・シーンを牽引する、ハンモック専門メーカーであるイーノの最軽量モデル (164g)。UL (※) ハイカーが、ハンモック・ハイキングする際の定番モデルといってよい。ミニマムながらも、シルクのようなしなやかさがあり、かつ生地の編み方によりストレッチ性も感じられるので、寝心地も抜群。アメリカのロング・ディスタンス・ハイカーから支持されているのも納得だ。

イーノは、90年代にオンボロなバンで旅をしながら、音楽フェスやイベントでハンモックを売ることからスタートしたメーカー。ブランド誕生の頃からレイドバックなスタイルを重視している。

今回、ハンモック本体と組み合わせたのは、ヘリオス・ウルトラライト・サスペンションシステムとプロフライ・シル・レインタープ。ツリーストラップはヨレにくい厚みがあり、使いやすい。タープは、支点となる木との接続部分がアップデートされ、よりシンプルな構造で、スピーディーな設営が可能になった。


SEA TO SUMMIT シートゥサミット


■ ハンモック:Ultralight Hammock Set Single (ウルトラライトハンモック・セット・シングル)
・重量 220g
 *本体 122g ツリーストラップ 73g スタッフサック 25g
・価格 11,880円 (税込)

■ タープ:Hammock Tarp (ハンモック・タープ)
・重量 297g
・価格 16,060円 (税込)
※今回のシステムの総重量:517g

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本体が122gという今回紹介したなかでもっともULなハンモック (ハンモックとツリーストラップのセットも200gと最軽量)。シースルーの特徴的なルックスもインパクトがあるが、なにより圧倒的な通気性がある。また実際に寝てみるとわかるが、視界を遮らない開放感もハンモックの快適さをブーストしてくれる。

ちなみにこの生地は、釣り糸にも使われるモノフィラメントを使用しており、透けてはいるが強度は高く安心感もある。

シートゥサミットは、タープも個性的だ。片側の頂点は1つで、反対側は2つというアシンメトリーなデザイン。頂点が1つの側は開放感があり、ハンモックに座って食事をしたりくつろいだりするのにも使いやすい。反対側は耐候性を重視した2カ所でペグダウンする構造で、風雨の吹き込みを防いでくれる。ちなみに、今回紹介したなかで最軽量のタープだ。


EXPED エクスペド


■ ハンモック:Travel Hammock Kit (トラベルハンモック・キット)
・重量 395g
 *本体 277g ツリーストラップ 118g
・価格 9,680円 (税込)

■ タープ:Solo Tarp (ソロ・タープ)
・重量 333g
・価格 16,500円 (税込)
※今回のシステムの総重量:728g

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軽さよりも寝心地を重視するならば、このトラベルハンモックはその代表モデルのひとつとなるだろう。

体をホールドしてくれる絶妙な生地がポイントだ。軽量ハンモックの多くが20〜40D (デニール) を採用しているが、トラベルハンモックは70Dというしっかりした生地厚。そして、滑らかな肌ざわり。製品名に「トラベル」という名前を付けているのも、旅における快適な寝心地を追求したモデルだからだろう。

また、ハンモック本体とツリーストラップが一体になっているため、設営、撤収、収納もストレスなくラクにできるのもいい。組み合わせたタープは、同メーカーのソロ・タープ。あらかじめ8カ所にコードロック式ガイラインが付いていて、設営しやすいタープだ。


HENNESSY HAMMOCK ヘネシーハンモック


■ Expedition A-sym Zip (エクスペディション・アシンメトリー・ジップ)
・重量 1,160g
・価格 27,500円 (税込)

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この画像は、ハンモック内部へのエントリー方法が異なる、Expedition A-sym Classic (エクスペディション・アシンメトリー・クラシック)

ヘネシーハンモックは、野営はハンモック以外でしたことがないと豪語するトム・ヘネシーが創業した野営ハンモック界のレジェンドメーカー。「シェルターとしてのハンモック」のシステムを確立したハンモック専門メーカーだ。ヘネシーハンモックの登場によって、ハイカーはハンモックを宿泊道具として使えることに気づかされた。

このエクスペディション・アシンメトリー・ジップは、同ブランドのスタンダードモデル。タープとバグネットがセットになったオールインワンタイプで、いずれもハンモックと連結されているため設営も簡単。タープのサイズもハンモック本体に最適化されている。

ハンモック本体は、寝ると自然と最適なポジションにおさまる独自の非対称構造になっている。これは世界中で特許を取得している設計で、この寝心地の良さはヘネシーハンモックならではだ。


KAMMOK カモック


■ Mantis UL (マンティスUL)
・重量 960g (付属のペグ6本除く)
・価格 43,780円 (税込)

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2010年にアメリカ・テキサス州で誕生したハンモック専門メーカーのカモックは、ハンモック界に新しい風を吹き込む新興メーカー。

2020年に発売したマンティスULは、ヘネシーハンモックと同様の、ハンモック本体、ツリーストラップ、タープ、バグネットがセットになったオールインワンモデル。最大の特徴は、タープもバグネットも取り外しができる自由度の高さだ。

ハンモック本体だけでも持っていくことができるし、バグネットだけを外して持っていくこともできる。シチュエーションに合わせて、組み合わせを自由に変えられるのだ。ハンモック・キャンプのエントリーモデルとして安心感があるだけなく、スタイルに応じて変化させていける点も優れている。

細かなところで、にくいギミックも施されている。バグネットには、テントのメッシュ部分によくあるトグル&ループが付属しているため、半開にして開放感を味わうことも可能だ。


AXESQUIN アクシーズクイン


■ ハンモック:UKIGUMO (ウキグモ)
・重量 1,054g
・価格 71,280円 (税込)

■ ツリーストラップ:Hammock Suspension Kit (ハンモック・サスペンション・キット)
・重量 118g
・価格 4,400円 (税込)
※今回のシステムの総重量:1,172g

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ダウンキルト一体型ハンモックという斬新なハンモックが、このウキグモ。ハンモックで寝泊まりする際、天敵である「背面の冷え」の対策は欠かせない。従来であれば、スリーピングバッグ&マット、キルトなどを別途携行するのが常識だったが、それを覆すハンモックだ。

ハンモック本体に沿うようにダウンキルトが一体となっており、トップキルトも付属している。そのため、ハンモック・キャンプの防寒・保温に関して、基本的にこれ以外の寝具は必要ない。しかもトップキルトは取り外し可能で、ダウンポンチョとして使用することも可能。つまりダウンジャケットも要らないということだ。

重量1kg超ゆえ、一見ヘビーウェイトに思うかもしれないが、寝具や防寒着込みで考えると、かなり軽量と言えるだろう。


まとめ:ハンモックスペック調査 2021


最後にまとめとして、ハンモックの主要モデルのスペックを比較したグラフを紹介したい。

図1では、ハンモック単体で発売されている製品7つを、縦軸を「重量」、横軸を「幅」にしてプロットした。


[図1]

図2では、ハンモック単体のものだけではなく、他のギアとのセットで発売されている製品も含めて、スペック一覧を作成した。


 

[図2] ※「Ultralight」「Light Weight」の重量は、ハンモック本体の実測値。

ここ数年で、さまざまなメーカーからハンモックがリリースされたが、ハンモックの傾向として、大きく下記3つに分類されることが見てとれる。

① 徹底的に “UL化” する
② 軽さと寝心地の両方に力点を置き “バランス” をとる
③ “野営” に効果的な機能の追求

このグラフを参考にして、軽量性と快適性のバランスを考えながら、自分好みのハンモック選びに役立ててもらえればと思う。

もちろん、ハンモック・ハイキングをする上では、ハンモック本体だけではなく、周辺ギアも含めたシステム全体を考える必要がある。どんなツリーストラップやタープと組み合わせるのか、自分の目指すスタイルにあわせて、楽しみながら選んでほしい。

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ハンモックのシリーズ記事の第3回目の今回は、「ハンモック・ギア」というテーマで、ハイキングの宿泊道具としておすすめのハンモックを紹介した。

次回は、この4回シリーズ記事の最終回。ハンモックと合わせて使用したい、アンダーキルトやウッドストーブなどの周辺ギアをレコメンドする。

※ UL:Ultralight (ウルトラライト:超軽量) の略であり、Ultralight Hiking (ウルトラライトハイキング) のことを指すことも多い。ウルトラライトハイキングとは、数百km〜数千kmにおよぶロングトレイルをスルーハイク (ワンシーズンで一気に踏破すること) するハイカーによって、培われてきたスタイルであり手段。1954年、アパラチアン・トレイルをスルーハイクした (女性単独では初)、エマ・ゲイトウッド (エマおばあちゃん) がパイオニアとして知られる。そして1992年、レイ・ジャーディンが出版した『PCT Hiker Handbook』 (のちのBeyond Backpacking) によって、スタイルおよび方法論が確立され、大きなムーヴメントとなっていった。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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