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井原知一の100miler DAYS #08 | 食べる生活(Coyote Backbone Trail Ultra)

2021.07.14
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文・写真:井原知一 構成:TRAILS

What’s 100miler DAYS? | 『生涯で100マイルを、100本完走』を掲げる、日本を代表する100マイラー井原知一。トモさんは100マイルを走ることを純粋に楽しんでいる。そして日々、100マイラーとして生きている。そんなトモさんの「日々の生活(DAYS)」にフォーカスし、100マイラーという生き方に迫る連載レポート。

* * *

トモさんの暮らしを「走る生活」「食べる生活」「家族との生活」という、主に3つの側面から捉えていきながら、100マイラーのDAYSを垣間見ていこうというこの連載。

第8回目のテーマは、「食べる生活」です。

今回は、今から遡ること4年前、2017年3月にアメリカで開催された『Coyote Backbone Trail Ultra』(※1) を紹介してくれます。

当時会社員だったトモさんは、海外出張のタイミングにあわせて100マイルレースに出場していました。出張先ではクライアントのアテンドをすることが多く、アメリカンフードを食べまくっていたため、日本食をとれる機会が少なかったそうです。

日本食が大好きなトモさんは、ガマンできずにこっそり、日本から持参した白米とみそ汁を食べていたとのこと。そんなトモさんの、アメリカでのDAYSをご覧ください。

※1 Coyote Backbone Trail Ultra:南カリフォルニアのサンタモニカ山地を走るレース。2013年から不定期で100kmのレースが開催されてきた。トモさんが出場した2017年に初めて100mileのカテゴリーが新設。制限時間は30時間、累積標高は7,400m。


海が見える開放的なトレイルを楽しそうに走るトモさん。


Coyote Backbone Trail Ultra:新設された100マイルの初代チャンピオンになる


当時アメリカ出張が多く、そのタイミングで出場できるレースを探していました。そしたらちょうどCoyote Backbone Trail Ultraが100マイルを新設するということで、これだ!と思ってエントリーしました。

3月に開催されたのですが、鬼のように暑いレースでした。日中は川を見つけるたびに水を浴びたり、着ていたTシャツをビシャビシャに濡らしたりしながら、暑さをしのいでいました。ただ、日中にペースを上げられなかったぶん、夜間はけっこう元気に走ることができました。


日中はとにかく暑かったので、無理をせずマイペース。

終始3番手につけていたのですが、先頭の2名がミスコースをしてしまったため、最終的には僕が1位でゴール。棚からぼたもちのような優勝でした。

ミスコースについては、コースに書かれていた白線の矢印を誰かがイタズラで消してしまったことが理由です。でも自分はこのコースを走ったことがないこともあって、注意深くコースマップをチェックしていたおかげで間違わずにすみました。


1位でゴール! なんと100マイルの初代チャンピオンに。ゴールゲートをくぐったあとに、RD (レースディレクター) のハワードからバックルを渡された。

ちなみにこの大会は、コヨーテという名前の通り、コヨーテが満月に向かって吠えるように満月の日を狙って開催されます。

この日も夜間はめっちゃ大きな満月の明かりのもとで走って、ときどき聞こえるコヨーテの鳴き声がとてもいい感じでした。


100マイルを走るだけでも楽しいのに、さらに優勝してバックルまでもらって最高の気分。


【食べる生活 (その1):レース2〜3週間前】 100マイルではなく自分のライフスタイルを優先


2017年当時は会社員でしたし、100マイルありきではなく自分のライフスタイルを優先していました。

なので食事に関しても、レースがあるからこうしようみたいなものはなかったですね。たとえば、娘のさくらが通っているクライミングジムに行った際に、一緒にラーメン屋さんで食事をしたり。自転車に乗る練習もしていたので、公園で一緒におにぎりを食べたり。


クライミングジムへの送り迎えの際に、ラーメンランチ。

この時はちょうどアメリカ出張でしばらく家を空けることもあり、休みはできるだけ家族との時間を多く取るようにしていました。

晩ごはんは妻の手料理です。自分が食事に気をつかわなくても妻がバランスの良い料理をつくってくれていたので、それにすごく助けられていたと思います。


夕食は、妻の手料理を食べながら家族団らん。


【食べる生活 (その2):レース1週間前】 ステーキ、ハンバーガー、こっそり日本食


ロサンゼルスで開催される展示会の前に、まずはシアトルでお客さんを連れて工場見学をしたりと、いろいろアテンドしていました。

その流れで、お客さんが喜ぶようなステーキ屋さんやハンバーガー屋さんに一緒に行ったりと外食ばかりしていました。シーフードを食べに、シアトルで有名なパイクプレイスマーケットにも行きました。


カリフォルニア生まれのハンバーガーチェーン「イン・アンド・アウト・バーガー」にもよく行った。

ただ僕はいつもそうなのですが、5日もすれば日本食を欲します。それがわかっていたので、レンジでチンするごはんや、即席みそ汁を日本から持参するのは毎度のこと。この出張の際も、ホテルの部屋に戻ってきてから日本食をコソコソ食べていました。


どうしても日本食が食べたくなって、ホテルの部屋に戻るやいなやレンチン!


【食べる生活 (その3):レース直後 】 まずは、アメリカでの定番とも言えるベーコン & パンケーキ


レース直後、ゴール地点でベーコンやパンケーキが提供されていました。焚き火の前で、レースを終えた選手と一緒に食べながら談笑したのは楽しかったですね。


レースで消費したエネルギーを、これでチャージ。

帰国までの2日間は、今回サポートしてくれた友人の美恵子さん & エリック宅 (サンタモニカ) に泊まり、美恵子さんお手製のジャパニーズブレックファースト (白米、みそ汁、目玉焼き、シャケ、納豆) をいただきました。

サポートしてくれたお礼として、自分からは、コリアンタウンに行って、温泉に入って、韓国料理をごちそうさせてもらいました。

レース後はアジアンフードを好んで食べます。特に汁物を欲するので、韓国料理のクッパやベトナム料理のフォーを食べたのですが、カラダにしみましたね。


韓国料理も好物のひとつ。


【食べる生活 (その4):レース1週間後】 上海で中華料理の日々


帰国して2日後には家族と上海にいました。当時、上海に3年間転勤するという話があったので (結果としてはなくなりましたが)、マンションの下見や娘の学校の検討などをしていました。


上海で食べたラーメン。中華料理が中心の食生活だった。

上海では3日間のホテル暮らしだったので、朝はホテルのブレックファーストを食べ、昼と夜は、現地の中華料理をメインに食べていました。


優勝した余韻にひたりつつ、家族で中華料理を楽しんだ。

翌月にレースが控えてはいましたが、そのために食事を制限することはなかったですね。優勝もしましたし、むしろ家族と一緒にワイワイと楽しんでいた感じです。


Coyote Backbone Trail Ultra 100mileの初代チャンピオンとなったトモさん。このバックルはかけがえのない宝物だ。

食事を徹底的に管理するのも、レースに臨む上での1つのアプローチではあるが、トモさんのように無理をしないスタイルというのも、また1つの方法だ。トモさんの場合は、ストレスを溜めないそのやり方が、性に合っているのだろう。

海外慣れしているトモさんのことだから、しばらく日本食がなくても平気なのかと思っていたのだが、まさか5日経つと食べたくてしようがなくなるとは知らなかった。

トモさんにとって日本食は、100マイルを走る上で欠かすことのできない超重要ファクターなのだ。

TRAILS AMBASSADOR / 井原知一
現在の日本における100マイル・シーンにおいてもっともエッジのた立った人物。人生初のレースで1位を目指し、その翌年に全10回のシリーズ戦に挑み、さらには『生涯で100マイルを、100本完走』を目指す。馬鹿正直でまっすぐにコミットするがゆえの「過剰さ(クレイジーさ)」が、TRAILSのステートメントに明記している「過剰さ」と強烈にシンクロした稀有な100マイラーだ。100マイルレーサーではなく100マイラーという人種と呼ぶのが相応しい彼から、100マイルの真髄とカルチャーを学ぶことができるだろう。

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井原知一

井原知一

1977年、長野県生まれ。アメリカの大学を卒業後、仕事を転々とした末、2007年にスポーツ商社に転職。同企業のダイエット企画がきっかけでトレイルランニングに出会う。当時31歳。すぐさま夢中になり、トレイルラン2年目でOSJ (アウトドア・スポーツ・ジャパン) のシリーズ戦全戦を完走。3年目にはSFMT (信越五岳トレイルランニングレース) で8位。初めての100マイルは、2010年に自ら企画した草レースTDT(ツール・ド・トモ)。以降100マイルの魅力にとりつかれ、『生涯で100マイルを、100本完走』を掲げて走るようになる。つねにチャレンジしつづけることをモットーとし、90歳での100マイル完走も目標のひとつ。走ることの素晴らしさを広め、人生を変えるきっかけづくりのために、ポッドキャスト『100miles, 100times.』や、自ら立ち上げた『Tomo's Pit』を通じてコーチングも手がけている。

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