パックラフト・アディクト | #49 タンデム艇のABC 〜番外編・ULキャンプ〜
文・構成・写真:TRAILS
この夏のTRAILSの特集記事としてスタートした、パックラフトのタンデム艇 (2人艇) をフィーチャーした企画。全7回の総力特集だ。
第4回目の今回は、番外編として、タンデム艇のフィールドテストをしつつ、ついでに湖畔で楽しんだUL (ウルトラライト) キャンプの模様をお届けしたい。
これまで僕たちは、パックラフトのタンデム艇で遊んできたものの、実はALPACKA RAFTのForager (フォレジャー) というモデルは所有しておらず、未体験だった。それでForagerを試すべく湖へと向かったのだ。
ちょうど、ロング・ディスタンス・ハイカーであり、パックラフト・アディクトでもあるトニー (利根川真幸) も、タンデムで釣りをしたいということで、急遽参戦が決定。
パックラフト・アディクトたちによる湖畔での1泊2日のキャンプ。いつも通り、みんなタープ & ビビィでのULキャンプになった。そんな、個性豊かな野営スタイルもお楽しみください。
湖で、ALPACKA RAFTのタンデム艇『Forager』を漕いでみた。
タンデム艇のForagerを漕ぐ、TRAILS編集部crewのカズ (前) と小川。
Foragerのスペック紹介やレビューについては、この『タンデム艇のABC』(全7回) の後半戦の記事で紹介するとして、今回はとりあえず、見て、触って、漕いでみた。
実はこのForagerは、パックラフト・アディクトの高代 (タカシロ) くんのものだ。彼は、まわりの仲間たちがタンデム艇のOryx (オリックス) を購入するなか、それを横目に人知れずForagerを手に入れていた。ちょうど僕たちも気になっていたこともあり、今回貸してもらったのだ。
詳しいことはさておき、湖でメロウに漕ぐForagerはとにかく気持ち良かったし、Explorer 42やOryxとも違いもなるほどと思いおもしろかった。
霧がかった湖をゆったりと漕いでいる姿は、どこか旅に向かっているかのよう。
トニーはというと、タックルボックスやらソフトクーラーを詰め込んで、さながら長期の旅にも出かけるかのようなスタイル。同じく釣り好きの佐井と2人で、いろんなセッティングを試しては、妄想を広げて盛り上がっていた。
パックラフトからキャスティングしているだけでも楽しいのに、タンデム艇でのフィッシング・トリップの具体的なイメージもわいてきたみたいで、終始ハイテンション。ちなみに今回、なにが釣れたかは内緒にしておこう。
すっかりタンデム艇が気に入って、欲しくなってしまったトニー。
焚き火を囲んでのULキャンプは、いつもの川旅スタイル。
焚き火を中心に、半円状に寝床をセッティング。タープ & ビビィのシンプルなスタイルだ。左から、小川、根津、佐井、カズ、トニー。
今回は湖畔でのキャンプだが、パックラフトで川を下りながら旅している時と同じように、基本スタイルは、シンプルでUL(ウルトラライト)なタープ & ビビィ。
タープは、パドルを2本使用して片側を立ち上げ、反対側はペグダウンするだけ。普段、河原だと石だらけなのでパックラフトをベッド代わりに使うが、今回はどっちでも良し。
■ 佐井聡
[タープ] Mountain Laurel Designs / DCF GROUND CLOTH DUO (128 x 228 cm, 100g) [ビビィ] Mountain Laurel Designs (MLD) / Superlight Solo Bivy (floor:DCF, 160g) [スリーピングバッグ] Nunatak / Super UL Nano Blanket (380g)
ちなみに佐井 & カズは、家にあるはずのお目当てのMLDのMONKタープが見つからず、DCF製のグラウンドシートをタープとして使うという荒技。タープより長辺が50cm短く、雨が降ったら吹き込むこと間違いなしのカリカリのUL。それでもビビィとの併用なので、普段のカウボーイキャンプよりは雨に強い。
■ 佐井和沙
[タープ] Mountain Laurel Designs / DCF GROUND CLOTH DUO (128 x 228 cm, 100g) [ビビィ] As Tucas / Millaris Bivy Sack (165g) [スリーピングバッグ] Hammock Gear / Economy Phoenix Custom (325g)
カズ曰く、枕はシルナイロンNG。DCFのシワシワが頭が滑らず寝心地がいいらしい。ということで、枕はDCF製ドライバッグで、荷物置きで敷いているのもDCF製レインスカート。シンプルな道具は兼用しやすく、まさにUL。
■ 小川竜太
[タープ] EQUINOX / Globe Skimmer Ultralite Tarps (244 × 305 cm, 397g) [ビビィ] Mountain Laurel Designs (MLD) / Superlight Solo Bivy (M size, floor:DCF, 155g) [スリーピングバッグ] Highland Designs / Flap Wrap II (339g)
小川は、パックラフティングで使い倒しているいつものEQUINOXタープ。パックラフトを敷いて寝ても、少し余裕のある大きすぎず小さすぎずな絶妙なサイズ。天候悪化の際には仲間の避難所にもなるという、優しさまで兼ね備えたスタイル。
■ 根津貴央
[タープ] FREELIGHT / Shelterp microgravity (146 × 260 cm, 168g) [ビビィ] SOL / Escape Lite Bivvy (146g) [スリーピングバッグ] Highland Designs / Minimo Quilt II (240g)
根津は、ロング・ディスタンス・ハイキングで使い慣れている背面なしのキルトをチョイス。タープは、FREELIGHTの最もミニマムなモデルで、シェルターとしてはかなり攻めたサイジングだが、より自然との一体感を味わうにはうってつけ。暖かい季節でのタープ泊はこれ一択っしょ! ということで迷わず持ってきた。
■ 利根川真幸
[タープ] Highland Designs / CT Tarp (200 x 280 cm, 320g) [スリーピングバッグ] Highland Designs / Minimo Quilt UDD (270g ※Old model)
黄色、水色、赤とHappyなカラーリングが最高なトニーの寝床。ハイキングにも、ハンモッキングにも、パックラフティングにも調子がいい愛用のCTタープ。あらゆるシチュエーションで使いやすいアイテムを愛用するのは、いかにもロング・ディスタンス・ハイカー的。
火を熾し、ビールをあおり、米を炊く。
サワー、セゾン、ヘイジーIPAと、それぞれ思い思いのクラフトビールを持ち寄った。
夜は、直火で焚き火。これが河原でのいつものスタイルなので外すわけにはいかない。なので、直火OKのキャンプ場を選んだのだ。
火を熾したら、みんな待ってましたとばかりにプシュッ! 今回の唯一の贅沢、持ち寄ったクラフトビールをグビグビ飲みはじめる。
アルポットの上に重しとなる石を置いて米を炊く。焼いた魚は、北海道の東側に生息するコマイ。今回のメンバーは全員、道東にある摩周・屈斜路トレイル (MKT) を旅していて、その地を思い出しながら食した。
パックラフティングの川旅において、焚き火をするとなれば、グリルのパーセルトレンチと、クッカーのアルポットが僕らの定番アイテムだ。
今回は米を炊くだけではなく、みんな北海道の摩周・屈斜路トレイル (MKT) で食べたコマイも焼いた。コマイはMKTのソウルフードだ (と僕らは勝手に思っている)。
見事なまでに艶やかに炊き上がった白米! おかずが無くても何杯でもいけそう。
アルポットを持ってくると、なぜかお米を炊いて食べたくなるから不思議だ。もちろん今回も、焚き火で炊いたアツアツのご飯をみんなで食いまくった。とにかく最高の夜だった。
TRAILS編集部とトニーによるULキャンプは、夜更けまでつづいた。次は、みんなで川旅をしよう。
今回の「タンデム艇のABC」4回目では、「番外編 ・ULキャンプ」として、パックラフトでの川旅のキャンプスタイルを紹介した。
タープ & ビビィの開放感、そしてみんなで焚き火を囲んで一夜を過ごす楽しさを、あらためて実感した。
次回の記事は、8/27 (金) に公開予定。「タンデム艇のABC」の後半戦として、3回連続でパックラフト・タンデムのギア紹介記事をお届けしたい。
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