It’s a good day! #01 | お姉さんのユー・メイド・マイ・デイ
文・写真:鈴木拓海 構成:TRAILS
What’s “It’s a good day” ? | ロング・ディスタンス・ハイカーであり、バサーであり、スケートボーダーであるトレイルネーム Sunny (サニー) ことスズキタクミ。2021年よりTRAILS Crewにジョインしたタクミくんによる、ピースでイージーでちょっとおバカな気まぐれハイキングエッセイ。
なんとなくハイキング。で、なんとなくアメリカのあの⽇を思い出す。マストアイテムはウェイファーラーとラジオとハンバーガー。あとはULの屋根が切り取った三角窓のあの景色。それさえあれば、Itʼs a good day.
You made my day!
タクミです。今日もどこかのトレイルから、ごきげんよう!
バーガーをトレイルに持ち込んでかじりつけば、アメリカン・ハイキングの風が吹く。
今日は朝マックの時間でした。ソーセージエッグマフィン。月見バーガーも買ったら、ほとんど同じ味……ウマいのでよろしい。
なるべく口をデカく開けて食べるのが作法だ。んがぁ!オーケイ、レッツテイカハイク。
どんなときでもテントをピッチすればそこはホーム・スウィートホーム。
コーヒーを淹れてラジオをつければじゅうぶんだ。自分で来た場所の、自分でつくった三角窓。風がやさしいので、思い切り開けたところにピッチする。バッチリ快晴、遠くに富士まで見える。ヤッホウ!
ラジオはロックンロールを歌ってる。自分の命よりも記憶を大切にしている声。神を信じない人が亡くした人の安寧を祈ってる。オレもいつかそうなれるかな。
ラジオでアメリカのグッディを思い出す。
「You made my day!」という表現がある。
好意に対するお礼的な、最上にステキな表現だ。一度、可愛いおねいさんハイカーにこれを言われた時の話。
秋のワシントン州はMt.レーニアを望むあたりで、前夜はドライキャンプだったのでコーヒーも淹れず歩きはじめ、2時間ほど歩いて水場を見つけてヒャッホイとメシを作ってコーヒーを淹れていた。そのコーヒーを見た後続のそのおねいさんが控えめに「……ひとくちだけくれない?」と言う。
俺はインスタントではなくて街ごとにナイスなコーヒーを豆で買ってリアルドリップをカマしていた。それをナイスな場所で飲むナイスコーヒーが旅のメインの目的でもあるのだ。
もちろん!とおねいさんに差し出すと、子猫を掬うようにコーヒーの温もりを確かめて、ひと口召し上がった。
「これを飲んだら、インスタントコーヒーが泥水に感じるわ、ありがとう。you made my day!!」
「おねいさんさえよければ毎朝make your dayさせてくれませんか?」と言ってやろうかと思ったら、パートナーらしき男性が後ろから追いついてきた。いいんだ。人ひとりの朝をナイスなものに出来たんだから。いいんだ……。
It’s a good day!
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