TRAILS REPORT

HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2022 #06 TRAILS research(中編)ハンモックユーザーレビュー

2022.06.15
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取材・文・構成:TRAILS

『HAMMOCKS for Hiker 2022』のアフターレポートとして、全7回でお届けする特集記事『ハンモックギア2022』。今回の第6回は「ユーザーレビュー」。参加者のリアルなハンモックスタイルを、インタビューを通じてリサーチした。

3年ぶり5回目の開催となった『HAMMOCKS for Hiker』は、2016年から開催している「ハンモックを使った、ハイキングの旅」を提案するイベント。


イベント会場は、個性あふれるハンモックで埋め尽くされる。

ハイキングで使える軽量でコンパクトなハンモックを中心に、ウッドストーブなどハンモック関連ギアも勢揃い。これだけの数のハイキング向けハンモックを、実際に触って、座って、寝て、試せるイベントは『HAMMOCKS for Hiker』だけ、といっても過言ではない。

では、第6回のTRAILS researchによるハンモックのユーザーレビューをお楽しみください。

ハンモックハイカーたちの愛用ギア

■タイベックのビビィなら、マット不要、冷えずに安眠


 
使用ギア:[ハンモック] COCOON / Ultralight Hammock, [タープ] ZEROGRAM / Minimalist Hexa Tarp, [ビビィ] AXESQUIN / Hammock Bivy Tyvek

アラヤマさん:僕が愛用しているのは、アクシーズクインのハンモックビビィタイベックです。ハンモック泊は、背中が冷えるじゃないですか。それでマットを試したんですが、寝心地がイマイチなのと、どうしてもマットがズレてしまうなと。

だったら、このビビィで囲っちゃえばマットなしで済むと思ったんです。ダウンの寝袋だけだと濡れが気になったりしますが、これならまったく問題ないですし、くるまれている感じも心地良くてお気に入りです。

ちなみに僕はもともとロードバイクに乗っていたのですが、コロナをきっかけにバイクキャンプをやるようになったんです。テントはかさばるので、ハンモックはちょうどいいなと。それからはハンモック泊にハマっています。

■ヘネシーハンモックの張った時のスタイルが好き


 
使用ギア:[ハンモック] HENNESSY HAMMOCK / 4Season Expedition Zip, [タープ] HENNESSY HAMMOCK / Hex Rainfly 70D

ヤマモトさん:僕はヘネシーハンモックをずっと愛用しています。寝心地はもちろんですが、なんと言っても、張った時の格好良さが素晴らしいんですよね。

もともとヘネシーハンモックのエクスペディションを持っていたんです。冬も使いたくて、マット内蔵のスーパーシェルターも購入して。

でも、この時期であればあまり寒くないので、今回は4シーズン・エクスペディションを選びました。このモデルは、ボトム部分がダブルレイヤーの構造で一体化しているので、機能的にもより美しいので購入しました。

ちなみに雨予報だったので、付属のものより大きめのタープを組み合わせました。このイベントに参加するのは今回で3回目で、毎回楽しませてもらっています。

■ピークハント志向から、ハンモックでのんびり山を楽しむスタイルへ


 
使用ギア:[ハンモック] EXPED / Travel Hammock, [タープ] EXPED / Solo Tarp, [スリーピングバッグ] AXESQUIN / Mogu 350

ウエダさん:いくつかハンモックは持っていますが、このエクスペドのトラベルハンモックの寝心地が一番好きです。柔らかさがあって、適度に沈み込む感じがいいんですよね。今ではすっかりハンモックにハマって、月1くらいでハンモック泊をしています。

もともと20年前くらいにワンゲル部に入っていてテント泊をしていました。ながらくブランクがあって、久しぶりに野営の世界に戻って来たら、ヘビーデューティからウルトラライトに世界が変わっていて、しかもハンモックが台頭していてビックリしました。

昔は、いかにピークハントするか、いかにコースタイムを削れるか、みたいな楽しみ方でした。でも今は、ハンモックでのんびり山そのものを遊ぶスタイルになりました。

虫対策でバグネット付きハンモックをチョイス

■ブヨに刺された経験から、バグネット付きハンモックを探していた


 
使用ギア:[ハンモック&タープ] KAMMOK / Mantis UL

ヤナイさん:以前、ハンモックで寝ていてブヨに刺されたことがあって、それでバグネット付きのモデルを探していたんです。今回たまたま知り合いからこのカモックのマンティスULを借りることができて、1泊してみました。

まず設営のしやすさに驚きました。説明書がなくても、感覚的に迷わず張ることができるのがいいですね。スタッフサックにペグが付属しているので、これなら忘れることもないし、失くすこともない!

バグネットは、ファスナーがハンモックの両側にあって、どっちからも出入りできるのが便利でした。あと、スライダーが片側に2個ずつあって、中央で拝み合わせになっているのが地味に使いやすい。これが1個だと噛みやすいんですよね。

■バグネット付きは、ハンモック泊に便利


 
使用ギア:[ハンモック] COCOON / Ultralight Mosquito Net Hammock, [タープ] jindaiji mountain works / PB Tarp

シマタニさん:ハンモック・キャンプをするにあたって、虫に煩わされるのがイヤで、バグネット付きのものを探していました。それでこのコクーンのウルトラライト・モスキートネット・ハンモックを買いました。コクーンは生地の肌ざわりが良いのと、リッジライン付きでハンギングできるところが、気に入っています。

ちなみにこのイベントには、友だちに誘われて今回初めて参加しました。もともと、数年前にキャンプでハンモックを張っている人がいて、それを見て興味を抱いたのがハンモック泊のきっかけです。

ハンモック体験のインプレッション

■シルクっぽい質感で、まるでシーツみたいなのがお気に入り


 
使用ギア:[ハンモック] TICKET TO THE MOON / Lightest Hammock

モンちゃん:このイベントで、各メーカーのブースを回ってハンモックを試しまくりました。そのなかでも、このチケットトゥザムーンのライテストハンモックの生地感が、一番良かったです。シルクっぽい質感で、しっとり感もあって、まるでシーツみたいで落ち着きました。

私は、ゆったりしているのが好きなんですよね。特にこれは幅も140cmとやや広めなので、上を覆うこともできます。女性の場合、寝ている時にあまり見られたくないっていうのもあるんですよね。そういう面でもこれはいいですね。

イベント1日目の夜は、どのハンモックを購入するか夜中まで作戦会議。10年前くらいにULハイキングにハマっていて、しばらくご無沙汰してたのですが、ハンモックを通じて再燃しそうです。

■全長335cm、幅152cmと大きめだからこその寝心地の良さ


 
使用ギア:[ハンモック] GRAND TRUNK / Trunktech Single Hammock

イケっち:このグランドトランクのトランクテックシングルハンモックは、全長335cm、幅152cmと大きめですが、それもあってか僕みたいに体格の大きい人にとっては、すごく寝やすいですね。斜めに寝たときの姿勢がすごくちゃんと決まる感じがしました。

このモデルよりも全長と幅がそれぞれ10cm短いハンモックも試してみたんですが、ちょっと体がくの字になる感じもあってしっくりこなかったんです。でも、このハンモックは、フラットに寝ることができました。全長と幅のバランスがいいんでしょうね。

もともとULにどっぷり浸かっていて、かなりのギアジャンキーだったんです。ここ10年くらい離れていましたけど、ハンモックは面白いですね。散財の予感がしています (笑)。

■初めてのハンモック泊は、最高に気持ち良かった


 
使用ギア:[ハンモック] ENO / Super Sub, [タープ] ENO / ProFly Sil Rain Tarp

コマエさん:実は、このスーパーサブ自体は1年前くらいに買って、1回も使っていなかったんです。買ってはみたものの、じゃあどこで張れるんだろう? ってずっと思っていて。それで、ちょうどこのイベントがあったので、チャンスだと思って参加しました。

ハンモックを張ることはもちろん、ハンモック泊も今回が初めてです。感想としては、意外にも初めてでもこんなに簡単に設営できるんだ! と思いました。

あと、ハンモック泊するにあたって、体への負荷とかどうなのか心配だったのですが、実際やってみたらまったく問題なくて。それが分かったのがすごく良かったですね。

ハンモックの周辺ギアのレビュー

■寝袋とマットが一体化していて、肩や側面もすごく暖かい


 
使用ギア:[ハンモック] ENO / Sub6, [タープ] HYPERLITE MOUNTAIN GEAR / Flat Tarp, [スリーピングバッグ] THERM-A-REST / Corus 0℃, [スリーピングマット] THERM-A-REST / NeoAir XLite

ミカミさん:今回、サーマレストのスリーピングバッグ「コーラス 0℃」とマットを借りるチャンスを得たので、試してみました。以前、ハンモックにマットを敷いて寝たこともあるんですけど、かさが高くなるので、小さいハンモックだと、包まれる感がなくなってしまうんですよね。あと、どうしても両サイドに冷えを感じやすい。

でも、このサーマレストのセットであれば、寝袋とマットが一体化しているので、ちゃんとセットすれば肩や側面もぬくぬくしていてすごく暖かいですね。しかもマットのおかげでフラットになるので寝やすさもある。

ただ今回の僕のハンモックは、サブ6というULモデルで、もうワンサイズ大きいハンモックのほうが、このサーマレストとジャストフィットするような気がしました。

■薪割りもできるし、フェザースティックも作れて、使い勝手がいい


 
使用ギア:[鉈 (なた)] TEPPA / 角田

ノリさん:この角田は、重心が手元にあるので持つと軽く感じました。小さな薪、小枝を使うコンパクトなウッドストーブにぴったりなサイズ感がいいですね。

実際に薪割りを試してみたけど、この軽さのわりには刃の入りがいいです。苦手なフェザー作りもできたので、遊び心にも対応できる鉈だと思います。


『HAMMOCKS for Hiker 2022』の会場では、ハンモックハイカーたちが、思い思いのハンモックスタイルで楽しんでいた。

ハンモックユーザーのリアルなレビューは、とても実践的な内容で、これからのハンモックライフに参考になるものばかりだった。

次回は、最終回『HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2022 #07 TRAILS research (後編) ユーザー実態調査』。イベント参加者に回答してもらった、ハンモックの遊び方や選び方についての、アンケート結果を発表します。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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