AMBASSADOR'S

井原知一の100miler DAYS #14 | 食べる生活(まちなかトレラン釧路大会)

2022.08.26
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文・写真:井原知一 構成:TRAILS

What’s 100miler DAYS? | 『生涯で100マイルを、100本完走』を掲げる、日本を代表する100マイラー井原知一。トモさんは100マイルを走ることを純粋に楽しんでいる。そして日々、100マイラーとして生きている。そんなトモさんの「日々の生活(DAYS)」にフォーカスし、100マイラーという生き方に迫る連載レポート。

* * *

トモさんの暮らしを「走る生活」「食べる生活」「家族との生活」という、主に3つの側面から捉えていきながら、100マイラーのDAYSを垣間見ていこうというこの連載。

第14回目のテーマは、「食べる生活」です。

今回は、トモさんにとって61本目の100マイル完走となった2022年6月開催の『まちなかトレラン釧路大会』(※1) を紹介してくれます。

1カ月前の5月に『トレニックワールド 100mile in 彩の国』 (詳しくはコチラ) を完走したばかりなので、2カ月連続の100mile。

しかも今回は、選手としてだけではなく大会運営も手伝う立場ということで、いろいろこなしながら、そしてそれも楽しみながらの100mile完走となったようです。

※1 まちなかトレラン釧路大会:北海道釧路市で開催されている耐久レースで、1mileのクロカンコースの周回コースが舞台。今回が2回目で、1回目 (2020年。昨年はコロナ禍で中止) は、8時間耐久レースのみ。今回からトモさん念願の24時間耐久も実施された。上位1〜3位までの選手には、走ったmile分のお米がkgで授与される (たとえば100mile走れば100kgのお米)。


まちなかトレラン釧路大会のスタート&ゴールゲート。

まちなかトレラン釧路大会:大会運営も手伝いながら、1mileの周回コースを101周

前職時代からお付き合いのあるフィットネスクラブを運営する会社さんが、近くの大きなクロカンコースを使って、何か一緒にできないかという相談があったのが、そもそものきっかけです。


レース前の競技説明。

1周400mのクロカンコースがあって、その横にまた別の大きな敷地が広がっていました。この両方を利用すると、ちょうど1.6km (1mile) のコースができる。1mileとなれば、自分が思いつくことはただひとつ、100mile!

2020年に先ずはこの1mileコースを使って8時間耐久レースを行なおうということになり、個人戦やチームのリレー戦で大いに盛り上がりました。2021年はコロナ禍で開催ができなかったのですが、2022年は自分が当初思い描いていた24時間耐久レースを実現することができました。


エイドもかなり充実していて楽しい雰囲気。

周回コースなので、ほとんどの選手が全員の走りを間近で見れて応援できて、とても楽しいレースです。来年は48時間耐久、そしていずれは96時間耐久と過酷で楽しいレースにしていきたいと思っています。

自分はといえば、大会の運営や競技説明など走っている途中でやっていたので、意外に走る時間が削られてケツカッチンな状態でした。でも、なんとか24時間以内に101周走ることができて、自分にとっても過酷でチャレンジングで楽しい100mileとなりました。


楽しく走って100mileを完走!

【食べる生活 (その1):レース2週間前】 月間走行距離は約600kmで、とにかくプロティンを欲していた

今回のレースの2週間前に奥信濃100という100kmのレースを走り、その3週間前には彩の国100mileを走ったばかりでした。

長距離のロングレースが続いていたので、とにかくリカバリーを優先して疲労を抜きながら練習の強度やボリュームを調整していました。


仲間と一緒に高尾で練習した後、自宅の庭で焼肉パーティー!

練習量を落とすと言っても毎週あるLDARC (ANSWER4のランニングクラブ) の練習会やオンラインコーチングのクライアントとの1on1もあり、練習量的には週に12〜15時間は走っていました。

月間走行距離にすると600kmくらいは走っていたので、カラダが無性にプロテイン (たんぱく質) を欲しがっている感じがしていました。

そのため妻には焼肉をお願いすることも多く、仲間と一緒に高尾で練習した後に、うちの家の庭で焼肉を食べたりもしました。

【食べる生活 (その2):レース直前】 現地で、蕎麦とカツ丼、両方とも大盛りに!

レースの1週間前も練習量が多く、LDARCの週末練習 (35km)、コーチングの1on1でのエクストリーム林道 (50km) を走ってからの週末の100mileだったので、この週は結果的に240kmくらい走ることになりました。

釧路には前日の金曜日に乗り込んで、大会の準備やコースチェックなど行ない、昼と夜はしっかりと現地の美味しいものをいただきました。


釧路のお蕎麦屋さんで、蕎麦とカツ丼両方大盛りをオーダー。

お昼はお蕎麦屋さんに行ったのですが、ただでさえ量が多いお店なのですが、蕎麦とカツ丼両方大盛りにして店員さんにびっくりされました。

たしかに量はかなり多く、その後の睡魔がやばかったですが、しっかりと完食しました。夜は美味しい海産物をいただきました。

食べる生活 (その3):レース直後】 アフターパーティーで飲んで食べての大盛りあがり

レース直後は出走選手でアフターパーティーがあったので、今回大会中に豚汁を提供してくださった方のお店でお疲れ様会をしました。

ここでは今回24時間走に出走したレジェンド月岡さん (※2) からも「90歳から本気を出す!」というビッグニュースが発表され、大いに盛り上がりました。

※2 月岡金男:1937年長野県生まれ。御年84歳 (今年85歳を迎える) のトレイルランナーで、今もなお100mileを走るレジェンド。


アフターパーティーでは、飲んで食べてみんなと盛り上がった。

自分はその後、まだまだ飲み足りていない100milerになった選手や100km走った選手と一緒に、大会中に焼き鳥を提供してくださった方のお店に行って、さらに盛り上がりました。

自分から帰ると言わないと朝まで飲みそうなくらいの勢いだったので、あらためてウルトラランナーは走りもすごいけど、内臓はもちろん、長時間起き続けることも人並みはずれていると感じた夜でした。


釧路の夜。

【食べる生活 (その4):レース1週間後】 栄養バランスの良い食事がウルトラには欠かせない

レース2週間後には野沢4100D (野沢温泉で開催されているレース) も練習レースとして入れていたので、翌週はしっかりと休んで疲労を抜いて、その次の週からは練習を通常運行で再開しました。

彩の国の約2カ月前からここまでケガなくしっかりと練習を継続できているのは、体のメンテナンスをしてもらっているTREAT (聖蹟桜ヶ丘にあるパーソナルトレーニングジム) や、しっかりと栄養バランスの取れた食事をしていること、毎日8時間は睡眠をとっていることの総合的な理由だと思います。今この記事を書いている8月の時点でもケガなく走れています。

ケガをしないとパフォーマンスは上がります。自分も歳を重ねていくごとに加齢をしていくわけですが、自分を客観的に見ながらも、コーチングさせて頂いている60歳代の方々を見ながら、加齢をすればするほど、練習よりもメンテナンス、食事、睡眠のほうが重要だと感じます。


久しぶりに長野の実家で食べた母の手料理。バランスの良い食事がカラダづくりには欠かせない。

練習量が減るからといって睡眠時間を減らしたり、食事をおろそかにしてしまうと、瞬間的なパフォーマンスアップはできるかもしれないけど、ウルトラのように長期戦になった場合、いずれはボロが出るような気がしています。

自分の食べるものやすることが自分自身に跳ね返ってくると思っているので、これからも、走ること以上に自分の体に対することをおろそかにせずにやっていきたいと思っています。

まちなかトレラン釧路大会を終えて、野沢4100Dを走るために、久しぶりに長野の実家に帰りました。そこで食べた母親の手料理は懐かしく、久しぶりに見た両親は老けていました。

もう少し実家に帰る機会、両親との時間も増やして、一緒にいる時間や話す時間を増やしてあげられればと思いました。


まちなかトレラン釧路大会の周回コース。来年も楽しみだ。

2カ月連続の100mileも終え、トモさんもようやく一息といったところだろうか。

今回のまちなかトレラン釧路大会は、今年から24時間耐久のカテゴリーが新設され、完成形となったのかと思いきや、トモさんは「来年は48時間耐久、そしていずれは96時間耐久を目指す」と言っていて、そのクレイジーさに驚かされた。

次のレースは、9月の信越五岳トレイルランニングレースとのこと。ケガもなく絶好調のトモさんの走りに期待したい。

TRAILS AMBASSADOR / 井原知一
現在の日本における100マイル・シーンにおいてもっともエッジのた立った人物。人生初のレースで1位を目指し、その翌年に全10回のシリーズ戦に挑み、さらには『生涯で100マイルを、100本完走』を目指す。馬鹿正直でまっすぐにコミットするがゆえの「過剰さ(クレイジーさ)」が、TRAILSのステートメントに明記している「過剰さ」と強烈にシンクロした稀有な100マイラーだ。100マイルレーサーではなく100マイラーという人種と呼ぶのが相応しい彼から、100マイルの真髄とカルチャーを学ぶことができるだろう。

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井原知一

井原知一

1977年、長野県生まれ。アメリカの大学を卒業後、仕事を転々とした末、2007年にスポーツ商社に転職。同企業のダイエット企画がきっかけでトレイルランニングに出会う。当時31歳。すぐさま夢中になり、トレイルラン2年目でOSJ (アウトドア・スポーツ・ジャパン) のシリーズ戦全戦を完走。3年目にはSFMT (信越五岳トレイルランニングレース) で8位。初めての100マイルは、2010年に自ら企画した草レースTDT(ツール・ド・トモ)。以降100マイルの魅力にとりつかれ、『生涯で100マイルを、100本完走』を掲げて走るようになる。つねにチャレンジしつづけることをモットーとし、90歳での100マイル完走も目標のひとつ。走ることの素晴らしさを広め、人生を変えるきっかけづくりのために、ポッドキャスト『100miles, 100times.』や、自ら立ち上げた『Tomo's Pit』を通じてコーチングも手がけている。

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