TRAILS REPORT

TODAY’S BEER RUN #15 | ヒマラヤ・テーブル (神田)

2023.11.15
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文:根津貴央 写真・構成:TRAILS

What’s TODAY’S BEER RUN? | 走って、至極の一杯となるクラフトビールを飲む。ただそれだけのきわめてシンプルな企画。ナビゲーターは、TRAILSの仲間で根っからのクラフトビール好きの、ゆうき君。アメリカのトレイルタウンのマイクロブルワリーで、ハイカーやランナーが集まってビールを楽しむみたいに、自分たちの町を走って、ビールを流し込む。だって走った後のクラフトビールは間違いなく最高でしょ? さて今日の一杯は?

* * *

『TODAY’S BEER RUN』の第15回目! 案内役は、毎度おなじみ、ゆうき君 (黒川裕規)。

彼と一緒に走って向かうのは、東京は神田にあるクラフトビールのビアパブ『Himalaya table』(ヒマラヤ・テーブル)。

名前だけ聞くと何屋さんなのかな? と思うかも知れないが、ネパール料理とクラフトビールのお店として、今年10周年を迎えた知る人ぞ知る名店である。ゆうき君と自分も何度か足を運んだことがあり、以前からこの企画で紹介したいと思い続けてきたのだ。

日本では、今でこそネパール料理もクラフトビールも認知度が高まってきたが、オープン時の2013年に、なぜまたこの2つを組み合わせようとしたのか? そんなことも含めて、このマニアックなビアパブを掘り下げるべく、ゆうき君と僕は、走ってお店に向かうことにした。


スタート地点である『TRAILS INNOVATION GARAGE』に集合した、ゆうき君 (右) とTRAILS編集部crewの根津。

NAVIGATOR / ゆうき君 (黒川裕規)
パタゴニアのフード部門『パタゴニア プロビジョンズ』で食品やビールを担当。前職がヤッホーブルーイングということもあり、ビールの知識も豊富。そもそも根っからのビール好きで、10年以上前からクラフトビールを個人的に掘りつづけている。TRAILS編集部crewの根津とは8年来のトレイルラン仲間で、100mileレースをいくつも完走しているタフなトレイルランナーでもある。

『TODAY’S BEER RUN』のルール
①日本橋にある『TRAILS INNOVATION GARAGE』からお店まで走って行く ②『TODAY’S BEER RUN』のオリジナル缶バッジを作る ③ゆうき君おすすめのお店で彼イチオシのクラフトビールを飲む

GARAGE to ヒマラヤ・テーブル

スタート地点は、東京は日本橋にある『TRAILS INNOVATION GARAGE』。

この場のコンセプトである「MAKE YOUR OWN TRIP = 自分の旅をつくる」を体験するべく、まずは恒例の『TODAY’S BEER RUN』オリジナル缶バッジづくりから。

MYOG (Make Your Own Gear) ができる『TRAILS INNOVATION GARAGE』で、オリジナルの缶バッジを作るゆうき君。


オリジナルのバッジが完成! これをキャップに付けて走る。

向かうは『Himalaya table』。ヒマラヤ山脈のあるネパールといえば、雨季が終わり乾季に入ったところ。さまざまなアクティビティのシーズンがスタートし、走るにも持ってこいである。頭の中では乾季に入ったネパールの今をイメージしながら、僕たちは走りはじめた。

『ネパール料理 × クラフトビール』という組み合わせは、いったいどんなマリアージュを見せてくれるのだろう?


東京のネパールに向かって、日本橋の『TRAILS INNOVATION GARAGE』を出発。

今回のルート

『Himalaya table』までは、距離にして2km足らず。美味しいクラフトビールをさらに美味しく飲むために走るのに、さすがにこの距離では短すぎる。

回り道を検討してみたものの、ちょっと距離が伸びるくらいで、たかが知れている。ならば! と考えたのが、坂である。

神田のヒマラヤに行く前に登りの練習でもしておこう、ということで、神田明神の東側にある通称『男坂』に向かうことにした。

神田を通り過ぎて、男坂に立ち寄ってからゴールへ。全長約4.5km。

たかが階段だと安易に考えていたのだが、いざ対面してみるとなかなかの勾配と段数。

でもこれをこなすことで、美味しいクラフトビールが飲めるんだと言い聞かせて登ることにした。

男坂を3往復。思った以上にしんどいが、これも美味しいクラフトビールを飲むため。

最初は10往復くらいやってやるかと意気込んでいたものの、1往復でそこそこの満足度。なんとか3往復までやって、もうこのくらいでいいだろうとなった。息もあがり、汗もあふれ、もう十分に極上のクラフトビールが飲めそうだ。

神田駅西口、オフィスビルや雑居ビルが立ち並ぶエリアにある『Himalaya table』。

ビルの2階にあるエントランス。

神田駅周辺といえば、飲食店があふれるほどある繁華街としても有名だ。しかし『Himalaya table』は、駅から徒歩2分と近いにもかかわらず、あたりは少し落ち着いた街並みという印象だ。

お店を構えるのは、雑居ビルの2F。路上からではいったいどんなお店なのか、雰囲気を察することが難しい。『ネパール料理 × クラフトビール』というマニアックなお店だけにちょっと躊躇する人もいるかもしれないが、そんな心配はまったく必要ない。店内はこんな感じだ。

シンプルで清潔感あふれる店内。

清潔感のある店内には、カウンター (写っていないが写真の左側にある) とテーブル席があり、ネパール料理のやさしいスパイスの香りが漂っている。実際に入ってみるとわかるのだが、なんとも落ち着く空間である。

『ネパール料理 × クラフトビール』という、唯一無二のコンセプト。

『Himalaya table』のオーナーである久保田秀樹さん。優しく感じの良い接客をしてくれる方で、ひとりでも安心して入ることができる。

笑顔で出迎えてくれたのは、『Himalaya table』のオーナーである久保田秀樹さん。

旅行代理店勤務を経て、インドレストランで店長を数年勤めたのち、2013年3月に、ネパール料理とクラフトビールのお店『Himalaya table』をオープン。

『ネパール料理 × クラフトビール』という珍しい組み合わせながら、当時からその魅力に取り憑かれる人が多く、今なお根強い人気を誇っている。しかも今年2023年は、10周年のアニバーサリーイヤーである。

『ネパール料理 × クラフトビール』というコンセプトは、大のクラフトビール好きであり、そして旅行代理店時代にネパールに頻繁に通っていた久保田さんならではの発想だ。

久保田さん:「とにかくネパール料理が好きなんですよ。お店を立ち上げる際には他の料理も考えたりはしたのですが、長くやり続けることを考えたら、一番好きで一番知っているジャンルがいいなと。何より、スパイスの使い方が優しいネパール料理は、クラフトビールとの相性がすごく良いんです」

カウンター席。久保田さんとの会話を楽しむのもおすすめ。

クラフトビールに関しては、セレクトがマニアック。全て国内のブルワリーで、他ではあまり見かけないようなタップも提供している。

久保田さん:「ヘイジーもないですし、ハイアルコールも置かないですし、新しいブルワリーも繋がない。自分の好みなんですけどね。ただお客さんが、これは知ってる! という銘柄を1、2つは入れるようにしています。

自分も飲みに行って、たとえば10タップのうちに、よく知られたアンパイと思えるビールがあるとさすがだなって思うんですよね。ビールが値上がりしているこのご時世で、アンパイがないのはギャンブルじゃないですか。お客さんのためにも、そういうセレクトにはしています。

あとは、2019年に神田の老舗ビアバーの『蔵くら』さんが閉店してしまって。『蔵くら』さんが出していたような王道のクラフトビールを置くことで、同じ神田のビアバーとして、『蔵くら』さんに通っていたお客さんも安心して飲めるお店でありたい、という思いもあります」

今回提供していたタップ。常時置いているものはなくタップは随時変わるので、詳細は『Himalaya table』のSNSをチェック。

ゆうき君のイチオシの「TODAY’S BEER」

走ったあとに最高のピルスナーをチョイス。

ゆうき君の今日のイチオシはこれ。

『のぼりべつ地ビール 鬼伝説 / 青鬼ピルスナー』

ゆうき:「クラフトビールの世界で『青鬼』と言えば、この鬼伝説のピルスナー (※1) か長野の某ブルワリーのIPAか、というくらいの定番の名作ビール。

ザーツを中心に2種類のホップを使った、ちょい苦のすっきりした軽めのピルスナー。今日はそんなに走ってないけど湿度がすごいから、1杯目にグイグイ飲める青鬼は最高 (笑)。

Himalaya tableは創業当時から定番タップとして鬼伝説を扱っていて、毎年、鬼伝説のブルワーの柴田さんを招いてタップテイクオーバーイベントをやってるんだ! 今年は10/7に開催してすごく盛り上がったから、来年も楽しみだね」

※1 ピルスナー:19世紀にチェコのピルゼンで生まれたビール。淡色の下面発酵ビールで、美しい黄金色が特徴。ラガービールを代表するビールでもあり、世界で広く飲まれているビアスタイル。

ホップの苦味と香りも楽しめ、見た目も美しい青鬼ピルスナー。

ゆうき君の言うとおり、本当にグイグイ飲めてしまうピルスナーだ。ホップの香りもしっかりあって、単に飲みやすいだけではなく、味わい深さも兼ね備えている。

これはネパール料理とのペアリングを楽しむには持ってこいだと思い、『Himalaya table』の人気メニューでもある、モモ (ネパール餃子) とマトンカセウリ (マトンのスパイス炒め) をオーダーした。

人気メニューのモモ。

マトンカセウリは、優しいスパイスの風味が最高。

この2品がまた絶品。聞けば、シェフがサンサール (※2) 出身ということで、その腕前は折り紙つきなのだ。それは美味しいに決まっている。

久保田さん:「もともとサンサールの大ファンで、よく通っていたんです。サンサールの社長とも親しくしていて、それでお店を立ち上げる前に相談したんです。

最初は自分が料理を作るつもりで、半年くらい週2でサンサール新宿店で働いていたんです。でも、安定した味を長く提供するのは難しいと思って、手伝ってくれるシェフはいないか相談したら、当時サンサールで働いていたネパール人を紹介してくれたんです」

しかも、『Himalaya table』のフードメニューは、サンサールのレシピに基づいているとのこと。

クオリティの高いネパール料理と、厳選したクラフトビール。ネパール料理好きの人が行けばクラフトビールの魅力に取りつかれ、そしてクラフトビール好きの人が行けばネパール料理の虜になる。そんな唯一無二のビアパブだ。

※2 サンサール:ネパール家庭料理を提供するレストランとして、ネパール料理店界隈では有名。現在、関東に3店舗 (小岩・新宿・本八幡) を構えている。

走って汗をかいたあと、極上のクラフトビールで乾杯!

今回も、走ったあとのクラフトビールは最高!
ネパール料理とクラフトビールのペアリングを楽しんでいる人は、まだまだ少ないと思う。でも想像以上にマッチするので、未体験の人はぜひとも味わってほしい。

さて、次はどこのクラフトビールを飲みにいこうかな。

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WRITER
根津 貴央

根津 貴央

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。幼少期から宇宙に興味を抱き、大学では物理学を専攻。卒業後、紆余曲折を経て広告業界に入り、12年弱コピーライター職に従事する。2012年に独立し、かねてより憧れていたアメリカのロングトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT/総延長4,265km)」のスルーハイクのために渡米。約5カ月間歩きつづける。2014年には「アパラチアン・トレイル(AT/総延長3,500km)」の有名なイベント「Trail Days」に参加し、約260kmのセクションを歩く。同年より、グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)を踏査する日本初のプロジェクト『GHT Project(www.facebook.com/ghtproject)』を仲間と共に推進中。2018年4月、TRAILSに正式加入。著書に『ロングトレイルはじめました。』(誠文堂新光社)、『TRAIL ANGEL』(TRAILS) がある。

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