HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2023 #04 ハンモックの周辺ギア(後編)
取材・文・構成:TRAILS
『HAMMOCKS for Hiker 2023』のアフターレポートとして、全4回でお届けする特集記事『ハンモックギア2023』。第4回の今回は「ハンモックの周辺ギア (後編)」。
ハンモック・ハイキングに使えるストーブやクッカー、ハンギングギア、浄水器、ナイフなどを紹介する。
ハンモックがより楽しくなるギアばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
VARGO / TITANIUM BOT 700 (バーゴ / チタニウムボット700)
創業者であるブライアン・バーゴが、アパラチアン・トレイルをスルーハイキングした経験をベースに誕生したVARGO。このボトルとポットを組み合わせた『ボット』は、まさにスルーハイカーらしい発想のギアだ。
丈夫で軽く、腐食性に強く錆びないチタニウム製のゆえ、ウッドストーブとの相性も良く、ハンモックハイキングにも最適。
野営地で起き抜けにBOTを火にかけて調理をし、蓋をしてバックパックに入れて歩き始め、トレイルの途中で朝食なり昼食なりを取る。朝のスタートが早いハイカーや、昼食も朝に用意してしまいたいハイカーにはとても便利なギアである。サイズは1Lと700mlの2種類あるが、この700mlは1人用にはちょうどいいサイズ。
VARGO / TITANIUM HEXAGON WOOD STOVE(バーゴ / チタニウム ヘキサゴンウッドストーブ)
軽量&タフなだけではなく、構造のシンプルさも追求した、VARGOならではのチタン製ウッドストーブ。背景にあるのは、さまざまなデザインや機能を加えて複雑化することによって故障しやすくなることを避けたいという思い。無駄を排除することで強度も高めているのだ。
下部から開口部に向かって狭くなる形状および底部に設けられた空気孔によって、上昇気流が生まれる。つまりこの煙突効果 (チムニー効果) によって、燃焼効率が良いのが最大の特徴。しかも、すべて連結しているため組み立ても簡単で、パーツを失くす心配もない。
ハンモックと組み合わせて使用すると、よりメロウな時間を楽しむことができるはずだ。
PAAGO WORKS / NINJA FIRESTAND SOLO (パーゴワークス / ニンジャ ファイヤースタンド ソロ)
軽量コンパクトにこだわった世界最軽量クラスの焚き火台。従来のNINJA FIRESTANDのアップデートモデルで、ボトムブリッジを追加したことで剛性が高まり、耐荷重は約4kg。
軽量ながらも火床面積が一般的な焚き火台に近いのも特徴。大きめの枝なども難なく使え、調理もしやすく、ハンモックハイキングに複数人で行く際の、共同装備としても有用だ。
五徳とトングの機能を持つ五徳トングと、火吹き棒が標準装備なのも嬉しい。
PAAGO WORKS / TRAILPOT S1200P (パーゴワークス / トレイルポット)
煮る、炒める、茹でる、炊く、あらゆる調理が可能な深なべ。お米は2合まで炊くことができる (しかも炊飯用の水加減の目盛付き)。
コンセプトは、「気持ちの良いシンデレラフィット」と「コンビニで手に入る食材を美味しく調理したい」。そのため、一見普通のサイズのようだが、実は110サイズのガスカートリッジはもちろんフライパンを蓋にすれば250サイズも入る仕様。さらに袋めんをはじめとしたコンビニの食材もぴったりフィットする。
焚き火台やウッドストーブとの相性も良く、バタフライ型のハンドルは約13cmの長さがあり (一般的なクッカーよりも長め)、手に熱が伝わりにくい設計で、大きめの炎でも安心して使える。
ENO / Microtune™ Structural Ridgeline (イーノ / マイクロチューン ストラクチュアル リッジライン)
Microtune™ Structural Ridgelineは、後付けタイプのリッジライン。かゆいところに手が届くプロダクトで、リッジラインが付いていないハンモックでも、このリッジラインを後付けすれば、自分のベストなたるみ具合で固定でき、理想の寝心地を保つことができる。もちろん小物などのハンギングにも使える。
自分にフィットしたハンモックのたるみ具合は、ツリーストラップを張る角度でも調整できるが、最後の微調整は毎回の設営環境で異なる。リッジラインを使うと、それを自分に合ったたゆみ具合で固定しておくことができる。
リッジラインの長さは、213cm〜274cmまで無段階での調整が可能。ほぼあらゆるサイズのハンモック (全長2.7〜3.4m) に対応できるのも嬉しい。2023年の新製品。
ENO / Talon™ Hammock Organizer (イーノ / タロン ハンモックオーガナイザー)
身のまわりの小物を便利に整理するように設計された、ハンモック専用の収納ポケット。ボトルなどが収納できる大きい気室と、ファスナー付きの小さい気室の2気室構造になっている。
2023年のアップデートにより、この大きい収納スペースが追加された。大きめのドリンクボトルやペットボトル、薄手のジャケットなどが入る大きさで、トンネル状になっているため出し入れも簡単。寝たまま手を伸ばせばアクセスすることができる。
リッジラインへの取り付け方法も、上部をリッジラインにかぶせてベルクロでとめるだけなので、着脱がとても容易なのも便利だ。
MSR / WindBurner Personal Stove System, WindBurner Hanging Kit (エムエスアール / ウインドバーナーパーソナルストーブシステム, ウインドバーナーハンギングキット)
従来のアウトドアストーブにはない独自の燃焼機構を採用した、MSRならではのガスストーブ。燃焼部を完全に覆う構造ゆえ、風の影響を受けにくく燃焼効率が突出して高い。ラボテストにおいては、競合ストーブが10℃以下の低温時において風速3mで沸騰に至らなかったが、ウインドバーナーは風速5mでも沸騰できたという。
耐候性、燃焼効率の高さはもちろん、ハンモックとの相性も抜群。専用のハンギングキットと組み合わせると、ツリーストラップやリッジラインなどに吊り下げることができる。
ハンモックハイキングでは、斜面や濡れた地面で野営することもある。その際に、バーナーを不安定な地面に置かずに吊るすことで安定して湯沸かしできるのが、このハンギングキットのメリットだ。このMSRのシステムはハンモックと組み合わせる火器において、最適解のひとつと言える。
HYDRAPAK / 28mm PNP Inline Filter (ハイドラパック / 28mm PNT インラインフィルター)
寄生虫の一種であるエキノコックスの生息地域の拡大などもあり、ハンモックハイカーにとって必携とも言っていい浄水器。
HYDRAPAKは、2001年にアメリカ・カリフォルニア州で誕生したハイドレーションギアブランド。この28mm PNP Inline Filterは、重量わずか47gと小型軽量モデルで、一般的なペットボトル(28mm)の口径に対応。スクイーズ (押しつぶす・搾る) でも、グラビティ (重量を利用・逆さにするだけ) でも、両方のスタイルで使用できる。
大腸菌、寄生虫の包嚢 (ほうのう) を99.99%除去し、3.0ミクロン以上のマイクロプラスチックを99.99%除去する機能を持つ。メンテナンスも簡単で、付属のバックフラッシュアダプターを用いて、きれいな水をバックフラッシュ(逆流)させるだけ。
OPINEL / PICNIC + ACCESSORIES (オピネル / ピクニックプラス アクセサリーズ)
1890年、フランスのサヴォワ山中にある小さな村で、ジョセフ・オピネルが折りたたみ式ナイフの原型を開発したことに端を発する、世界的ナイフブランドのオピネル。
ハンモックでウッドストーブを使用する際に、便利なギアのひとつがナイフである。このPICNIC + ACCESSORIESは、オピネルの定番のNo.08に取り付けられるフォークとスプーン、さらにキッチンクロスがセットになったもの。
ナイフを、ナイフという機能だけではなく、フォークやスプーンの一部 (取っ手) としての機能も持たせたユニークなアイテムだ。1つの道具に複数の機能を持たせるという点では、UL (ウルトラライト) 的な発想でもある。
全4回でお届けした、『HAMMOCKS for Hiker 2023』のアフターレポート、いかがだっただろうか。
ハイキングの道具としてのハンモックは、進化をしつづけているし、大きなポテンシャルを秘めている。
この4つの記事が、みなさんのハンモック・ハイキング一助になれば、これほど嬉しいことはない。
ぜひまた来年、このイベントでお会いしましょう!
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