コンチネンタル・ディバイド・トレイル (CDT) | #02 ギアリスト編 by Gazelle(class of 2022)
文:Gazelle 写真:Gazelle, TRAILS 構成:TRAILS
毎年、多くの日本人ハイカーが海外トレイルを歩きに行く。スルーハイキングだったり、セクションハイキングだったり、ソロだったり、カップルだったり……それぞれが思い思いのスタイルでロング・ディスタンス・ハイキングを楽しんでいる。
そんなハイカーたちのロング・ディスタンス・ハイキングのリアルを、たくさんの人に届けたい。できれば、それぞれの肉声が伝わるような旅の記録、レポートを紹介することで、読者の方々にその臨場感や世界観をよりダイレクトに感じてほしい。
そこで、ハイカーが自らのロング・ディスタンス・ハイキングの体験談を綴る、ハイカーによるレポートシリーズをスタートさせることにした。
今回は2022年にコンチネンタル・ディバイド・トレイル (CDT) をスルーハイキングした、トレイルネーム (※1) Gazelleによる、第2回のレポート。
スルーハイキングに向けたギアの準備編をお届けする。
Gazelle’s ギアリスト for コンチネンタル・ディバイド・トレイル
正直、ギアには無頓着な僕だが、2021年に歩いたPCTの経験を生かし、いる物いらない物を見つめ直し、安全に楽しく快適に歩くためのギアを選んでCDTに挑んだ。
PCTのスルーハイキング (約4カ月半) で使いつづけて問題なかったギアについては信頼しているので、CDTでもそのまま使用することにした。だから大半のギアはPCTの時のものだ。
大きな違いは、雪中山行用のギアを強化したこと。というのも、序盤のモンタナ州グレーシャー国立公園や、中盤の標高の高いコロラド州の山域では、積雪は避けられないからだ。
また、とにかく前へ進むのに必死だったPCTだったが、何度か他のハイカーに借りた竿で釣りをしたのがとても楽しかった。CDTではもっとアメリカの大自然を楽しみながら歩きたい! という思いから、釣竿を用意した。
歩く:HIKING GEAR
バックパックはGRANITE GEAR / Crown2。容量は60Lでフレーム入り。アメリカ人ハイカーの間でもよく見かけるモデルだ。
前年のPCTでも使用したモデルなので、とにかく使い慣れていた。ただPCTでは、中盤のシエラからオレゴンにかけてショルダーストラップがたて続けに左右とも取れてしまった。縫って直してもすぐ取れてしまう。そこでメーカーに修理依頼のメールを送ったところ、なんとすぐにこの色違いの新品を送ってくれた。
僕のパッキング方法は、バックパックの中にパックライナーを入れる。そしてスリーピングマットのリッジレストを筒状にした中にギアを入れてパッキングする。そうすることによってバックパックの剛性がさらに増して、より腰荷重がしやすくなる。
ちなみにマットを外付けすると、倒木をくぐるシーンなどで引っかかって進めなかったり、岩に擦れてボロボロになったりする。中に入れることで、そういったリスクも防ぐことができる。
シューズはPCTでは最初から最後まで軽量なトレランシューズを履いていたが、CDTでは雪山歩きやハートなガレ場が多いようだったので、防水性と保温性、足首のサポートを期待して、Salomonのゴアテックス仕様のミドルカットシューズを選んだ。濡れたシューズを乾かしながら歩いたり、渡渉したりすることも想定してサンダルも携行した。
ベースレイヤーは、夏のモンタナ州、アイダホ州ではそうとう蚊が多いようなので、防虫効果のある「スコーロン生地」のフーディーを選んだ。
レインウェアは防寒着も兼ねているので、ポンチョ等の簡易的なものではなく、しっかりしたゴアテックス3レイヤーのもので、ジャケットとパンツ、上下別々で用意した。
寝る:SLEEPING GEAR
シェルター選びに関しては、PCTのハイシエラエリアで、タープだけで寝ていたら何十匹もの蚊に囲まれて、発狂寸前でろくに眠れないという辛い経験があったのが教訓。そのため、インナーテントは必須アイテムと考えた。
バスタブ式のインナーテントであれば、雨天時の浸水のリスクも減らせるし、防風、断熱効果も多少あると考え、Six Moon Designs / Serenity Net Tentを選んだ。
インナーテントに組み合わせたシェルターは、同じくSix Moon DesignsのGatewood Cape。
また、氷点下の雪上キャンプを想定して、保温透湿性に優れたビビィ、SOLのEscape Light Bivvyを持っていった。ただ、全長208cmと僕にはかなり長かったので、出国前に身長に合わせて友人に仕立て直してもらった。
食べる:COOKING GEAR
長期のアメリカロングトレイルでは、アメリカ人向けに味付けされたインスタント食品の味に飽きあきしてしまう。なので、味変用の調味料入れと、カロリー追加用にオイル入れを携行した。
また、深い袋に入ったクノールなどのインスタントフードを直接食べる時や、深いポットで食事をするのに、コンパクトなスプーンでは食べにくく手がベトベトになる。なのでカトラリーはチタンのロングスプーンを選んだ。
浄水システムは、PCTではSawyer / Squeezeのフルサイズを使っていて特に不満はなかった。ただ、KATADYN / BeFreeはさらに浄化速度が速いという情報を耳にしたので、今回試してみることにした。
エマージェンシー・その他:EMERGENCY GEAR & OTEHRS
雪山ハイキングに対して、どれほどの装備が必要なのか、これがとても悩んだ。
CDT Snow Reportによると、モンタナ州の積雪は例年以下であった。FacebookのCDTコミュニティで現地の方に相談すると「アックスは必須アイテムだ」とのアドバイスをいただいたため、アックスとマイクロスパイクを用意し、トレッキングポールにはスノーバスケットを取り付けた。
カンジキやスノーシューはおそらく使うシーンが少なく、使わない時にとても嵩張るので、不用と判断した。
撮影システムはトレッキングポールのグリップの上部にGoProのマウントを取付けた。以前はトレッキングポールにゴリラポッドを巻き付けていたが、巻き付けるのが手間だし、よく外れていた。
ケガをしたり、多少足腰が痛くても歩き続けなければいけないので、ロングトレイルでは常にロキソニンや絆創膏を携帯している。
釣り:FISHING GEAR
テンカラロッドはAmazonで購入した軽量で安価なモデル (重量110g) で、ロッドとラインがセットのもの。CDTでは、湖での釣りが多いと思い、やや長めの12ftを選んだ。
PCTでは毛針よりも小型のスピナー (※2) のほうが釣果が良かったので、数種類のスピナーも用意した。
今回は、CDTをスルーハイキングするにあたってのギアリストを紹介してもらった。次回は、リサプライ(食料やギアの補給) やアクセスのプランニングについてのレポートをお届けする予定だ。
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