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『LONG DISTANCE HIKERS DAY 2024』4/20-21開催 & 事前の準備WSのお知らせ

2024.02.07
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2024年の『LONG DISTANCE HIKERS DAY』 (略:LDHD) は、4/20 (土)、21 (日) に開催することが決定しました。

また昨年同様、LDHDのプレ・イベントとして、アメリカ、ニュージーランドなど、海外でのロング・ディスタンス・ハイキングを予定している方向けに、『準備ワークショップ&相談会』を2/19 (月)、2/25 (日) に開催します。詳細は、本記事の最後に掲載していますので、チェックしてみてください。

『LONG DISTANCE HIKERS DAY』は、2016年に初開催し、次回で8回目の開催となります。

トレイルの状況もトレイルを取り巻くカルチャーも、毎年変化しています。LDHDは、ロングトレイルを歩いたハイカーが集うリアルな場であり、またロング・ディスタンス・ハイキングやロングトレイルに興味があるハイカーに、旅の刺激を手に入れるゲートになる場として、楽しんでほしいと思っています。

今回の記事では、『LONG DISTANCE HIKERS DAY』のイベント概要と、現時点での海外トレイルおよび国内トレイルの最新情報を紹介します。


『LONG DISTANCE HIKERS DAY』は、ロングトレイルやロング・ディスタンス・ハイカーの最新情報が入手できるイベント。

What’s LONG DISTANCE HIKERS DAY?


リアルなハイカーが集まる『LONG DISTANCE HIKERS DAY』。

日本のロング・ディスタンス・ハイキングのカルチャーを、ハイカー自らの手でつくっていく。そんな思いで2016年にTRAILSとHighland Designsで立ち上げたイベントです。

このイベントを立ち上げる前に、私たちは『LONG DISTANCE HIKING』(※1) という書籍を出版しました。この本は、ロング・ディスタンス・ハイキングのカルチャーとTIPSを詰め込んだ本です。しかし書籍というフォーマットは、リアルタイムの情報更新には不向きです。書籍とは別に、必ずリアルタイムで、ダイレクトな情報を届ける場が必要になると考えていました。それが、このイベントが生まれたきっかけのひとつでもあります。

ロングトレイルを歩いたハイカーが、リアルな旅の体験を発信できる場。ロング・ディスタンス・ハイキングの旅の情報や知恵を交換できる場。旅のあとのライフスタイルについて語り合える場。そんなふうに、ロング・ディスタンス・ハイキングの旅を愛するハイカーにとって、最もリアルな人と情報が交流する場となればと思っています。

数百キロ、数千キロにおよぶ歩き旅とは、どんな体験であり、どんな感覚を与えてくれるものなのか? 映像や雑誌などの情報だけでは感じられない、ハイカーの生の言葉で語られる旅の記憶や記録。またそのハイカー自身の人柄。そこには旅への憧れや臨場感を刺激してくれる、豊かでリアリティある情報が溢れています。ぜひ、あなたの旅のきっかけをつかみに遊びにきてください。

また毎年New Year Topicsとして、国内外のトレイルの最新情報もここでお届けしています。海外トレイルのパーミット取得方法の変更や、今期の残雪の予測などの情報。そして国内のロングトレイルについても、最新の情報をお届けしています。

※1 『LONG DISTANCE HIKING』:TRAILSの出版レーベル第一弾として出版した書籍。Hiker’s Depot (ハイカーズデポ) 長谷川晋氏による、自身の経験と数多くのロング・ディスタンス・ハイカーのリアルな声をもとに制作した、日本初のロング・ディスタンス・ハイキングにフォーカスした書籍。


昨年のイベント風景。

「LONG DISTANCE HIKERS DAY 2024」
【日時】
2024年4月20日 (土)、21日 (日)
【会場】
三鷹 Three Eight Nine MITAKA
【詳細内容・申し込み方法】
詳細は2024年3月中旬に告知予定
【主催】
TRAILS, Highland Designs

北米のロング・ディスタンス・トレイルの今


年々、歩くハイカーが増えている北米のロングトレイル。

今回の記事では、北米のロングトレイルのなかから、PCT、AT、CDT、PNTにおける最新情報の一部を紹介したい。

まずPCTは、2023年からスルーハイカー・パーミット (ロング・ディスタンス・パーミット) の取得方法が変更になり、2024年もその方法が継続されている。

具体的には、事前にPCTA (PCTの管理運営団体) のウェブサイトにてアカウントを作成。申請日になるとアカウントごとに予約時間が割り当てられ、その時間にならないと申請できないという仕組みである。これによって、従来のように申請日に複数台のPCやスマートフォンを駆使して申請する、といった苦労をしなくて済むことになった。


『Leave No Trace』を紹介するページ。(PCTAのウェブサイトより。https://www.pcta.org/discover-the-trail/backcountry-basics/leave-no-trace/)

いずれのトレイルにも共通するトピックスとしては、環境保護に対するアナウンスである。これは何も今年に限ったことではないのだが、年々ロングトレイルを歩くハイカーが増えている今、これまで以上に教育や啓蒙が必要だと各トレイル団体の担当者は言う。

たとえばPCTでは、上記画像のように『Leave No Trace』(※2) のようなページを作成し、ハイカーに対してワークショップの受講 (難しい人はオンラインコースの聴講) を促している。


Flip-Flopを紹介するページ。(ATCのウェブサイトより。https://appalachiantrail.org/explore/hike-the-a-t/thru-hiking/flip-flop/)

ATにおいては、『Leave No Trace』に加えて、トレイルの保護およびハイカーの混雑軽減を目的に「Flip Flop」(※3) を推奨。ウェブサイト内に『Flip-Flop Thru-Hikes』というページも作成して啓蒙している。

また、CDTおよびPNTは、ブラックベアやグリズリーの生息地域を通っていることもあり、ウェブサイト内にクマ対策に関する詳細ページを設けている。

クマ対策というのは、ハイカーがクマから身を守ること以上に、クマに人間の食べ物に触れさせないことで生態系を保護することが大事であり、それが第一の目的である。単にベアキャニスターを持てば良いという話ではなく、何のためのクマ対策なのかという本質を理解することこそが、ハイカーに求められる。

アメリカのロングトレイルを歩く人が増え、トレイルの情報もより手に入りやすくなり、歩く上でのハードルも低くなった。一方で、人が増えて環境負荷が大きくなりつつある現在、ハイカーはこれまで以上に環境保護の意識を持ち、上記のような事前準備を徹底することが大事になってきている。

今回は概要のみの紹介となるが、現在さらに詳しい情報をヒアリング中である。PCT、AT、CDT、PNTそれぞれの管理運営団体の担当者に話を聞いているので、詳細は『準備ワークショップ & 相談会』で共有する予定だ。

※2 Leave No Trace (リーブ・ノー・トレース):アメリカのハイキング・カルチャーにおいて当たり前の考え方・マナーであり、世界中に広まってきている。「Leave No Trace」という組織もあり、自然保護や動物保護のためにさまざまな活動を展開している (詳細は「Leave No Trace」のWEBサイトを参照。 https://lnt.org/)。

※3 Flip Flop (フリップフロップ):ハイキング用語で、今回の場合は、ATの中間地点から歩いて北上 (もしくは南下) し、北端 (もしくは南端) から中間地点まで別の交通手段で移動したのち、南端 (もしくは北端) まで歩いてスルーハイキングすること。

日本のロング・ディスタンス・トレイルの今


信越トレイルクラブ主催の「全国トレイルメンテナンスシンポジウム」では、信越トレイルとATの友好協定を締結。

日本におけるロングトレイルのパイオニアである信越トレイルは、2023年は約1万名の利用があったとのこと (カウンター数値を元に算出。昨年度比ほぼ100%)。

年間の踏破者は36名 (申請があった人のみ) で、2022年にオープンした『あまとみトレイル』とつなげて歩くハイカーも徐々に増えているようだ。

また昨今、全国的に登山道整備が盛り上がってきていることもあってか、2023年の信越トレイルのトレイル整備には、延べ人数で440名が参加。過去最高の数値となった。

11/17〜18には、信越トレイルクラブ主催で「全国トレイルメンテナンスシンポジウム」を開催。トレイルや登山道の整備を担う団体、その活動に参加するボランティアが一堂に会し、トレイルメンテナンスについて語り合い、知識や技術を共有する貴重な機会となった。

また、このシンポジウムのなかで、ATの管理運営団体であるATC (Appalachian Trail Conservancy) との友好トレイル協定を締結。これは、日本のロングトレイル史上において、とても大きなトピックと言える。2024年は、この日米のロングトレイルの連携による相乗効果に期待したい。


みちのく潮風トレイル photo by Koji Iwama

今年の6月9日で全線開通5周年となる、みちのく潮風トレイル。2023年の全線踏破登録者は40名、2024年1月末までの累計は139名となった。

2021年4月から販売を開始した公式ハイキングマップブック (10分冊) の販売も1万冊を超えた。昨年から欧米豪中心に海外からのハイカーも増え、国内外のハイカー同士の交流がトレイル上で見られるようにもなった。

また、2023年9月30日には福島県新地町といわき市をつなぐ「ふくしま浜街道トレイル」の沿岸部ルート (約200km) が開通。これにより、みちのく潮風トレイルとつなげると約1,200kmを歩くことができる。

みちのく潮風トレイルを歩き終えたハイカーがその後に歩くことも多く、また最初からつなげてスルーハイキングすることを計画するハイカーも増えてきているとのこと。2024年も、さらに多くのハイカーが歩くことが予想される。

昨年歩いたばかりのハイカーがサポート! 『準備ワークショップ & 相談会 2024』


今年、海外のロングトレイルを歩く人に向けた『準備ワークショップ&相談会』。お気軽にお申し込みください。

2024年に1カ月以上の海外でのロング・ディスタンス・ハイキングを予定しているハイカーを対象にした、『LONG DISTANCE HIKERS DAY』に先立つプレ・イベントです。

主に、北米のロングトレイルおよびニュージーランドのテ・アラロアのスルーハイキングを予定している方を対象にした、ワークショップ&相談会 (他のトレイルのご希望があれば、ぜひご相談ください)。

TRAILS編集部、およびJMT、PCT、AT、CDTをはじめとした海外トレイルのOB・OGハイカーが相談に応じます。

2023年に海外トレイルを歩いたばかりのハイカーも数多く参加します (時間帯によっては参加できない場合もあります)。新鮮かつリアルな最新情報をたくさんお届けしますのでお楽しみに。


『準備ワークショップ&相談会』の会場となるGARAGEでは、世界中のロングトレイルのガイドブックやマップを読むこともできます。

【内容】
スルーハイキングに向けた、準備やプランニングのサポート。ビザの取得方法、必要なマップ・ガイドブック、コロナに関する注意点、ギアの相談など。
【対象】
2024年に1カ月以上の海外でのロング・ディスタンス・ハイキングを計画している方
【日時】
2/19 (月) 18:00 – 19:30
2/25 (日) 10:30 – 12:00
2/25 (日) 14:00 – 15:30
※応募の際に希望日時を選択してください。
※日程が合わない方はご相談ください。
【会場】
TRAILS INNOVATION GARAGE
※遠方にお住まいの方をはじめ、GARAGEに来ることができない方につきましては、zoomでも対応します。
【参加費】
無料 
【定員】
10名程度 (先着順)
【申し込み方法】
以下の応募ボタンよりお申し込みください
ご参加には、事前申し込みが必須です。
締め切り:2024年2月15日 (木)

※問い合わせ event@trails.co.jp

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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