UL MAKER MOVEMENT

MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #04

2025.01.24
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取材・文・写真・構成:TRAILS

『MYOGer Works』では、TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) に集まるMYOGerたちの作品をレポートしていく。

GARAGEでは、どんなMYOGerたちが、どんなギアをMYOGしているのか?

それぞれのMYOGerたちのバックグラウンド(MYOGしたきっかけや動機) と合わせて、各人がMYOGしたギアを紹介していく。

今回の第3回〜第5回では、MYOGer NIGHT #02 (2024年10月開催)に参加した、MYOGerたちによるMYOGが登場。Gossamer Gearファウンダーのグレン・ヴァン・ペスキもサプライズで参加した、この時のMYOGer NIGHTの様子は過去のレポートをぜひ読んでもらいたい (イベントレポートはコチラ)。

MYOGのマテリアル販売、MYOGer向けSCHOOL、MYOGer NIGHTと同様に、この『MYOGer Works』の記事が、MYOGカルチャーの世界観を共有、啓蒙し、素晴らしいUL GARAGE MAKER誕生の健全なブースターとなればと思う。

ULセモタレ / JITO




ULセモタレ (ボディ: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.43oz。重量:15g。製作時間:4時間。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
JITO:パックラフトのダウンリバーで野営をする際、すべてバックパックで担いで行くので限られた量の荷物しか持っていけないですよね。チェアは持っていかず、ずっとマットに座っていたんですけど、同じ体勢を保つのが辛くてなかなかリラックスできなかったんです。

そこで座椅子をヒントに、「背もたれ」があれば少しでも楽になるのではと思ってつくったのがコレです。


座ることこのような感じになる。

—— 極限まで無駄を省いたULな「イス」ですよね!
JITO:重さもたった15gなんです。畳むとすごくコンパクトになりますし。製作については、体に合ったサイズを見つけるのが難しかったですね。あと軽量化においてもそうですが、DCFを使ったのがよかったです。伸びない生地なので、それがうまく体を保持するのに機能しました。

MYOGにハマったきっかけ

バックラフトでダウンリバーしながら野営をするのが好き。そのときになかなかギアに合う収納袋がなくて悩んでいたとき、近所の雑貨屋でタイベック生地を売っていて、ちょうど長期連休 (GW) のタイミングでもあったので、そこからMYOGを始めた。

 

バックパック / MIZUYAN




シェルター (ボディ: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 5.0oz。重量:670g。製作時間:2~3週間。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
MIZUYAN:Dyneemaで一番厚いDCF 5.0ozに、Dyneema Meshと、Dyneemaづくしのバックパックにしたかったので素材から決めました。

あとは、個人的なポイントとして、サイドポケットは街で使うことも考慮して500mlボトルが見えない深さにしたのと、ロールトップの口は、マグネットのパーツを使って瞬時に開け閉めできるようにしました。


付け替えできるショルダーハーネス。横の位置も変えられる。

—— これ、ショルダーハーネスが付け替えできるようになってますよね?
MIZUYAN:そうです、町で使うときと山で使うときで、使うシーンや環境によってショルダーハーネスを付け替えてます。あと取り付け位置も横をずらして、ショルダーハーネスの幅も変えられるようにしてみました。

MYOGにハマったきっかけ

ULに出会ってMYOGの文化を知り、バックパック製作の知識はほとんどなかったが、Pa’lanteが出しているMYOG kitである「simple pack kit」のパターンを紙で購入し、合わせてYoutubeの動画を参考にしながら縫製方法を学んだ。

 

拡張パック / NENTA




拡張パック (ボディ: X-Pac® VX21, ダイニーマ®︎ グリッドストップ 210D。重量:288g。製作時間:2日。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
NENTA:西穂高〜奥穂高のテント泊縦走用に、前回持参した約37Lのバックパックを拡張したくて作ったものです。13L分の容量を拡張するため、ミリタリーとかで使われるMoLLE式 (※1 モール式) の着脱できる形のポーチにしました。

※1 MoLLE式 (モール式):軍で使われる、重いものも追加でバックパックやベストに取り付けられる、モジュール式の装備システム。Modular Light Load-carrying Equipmentの略。


バックパックに付けた状態。

—— 工夫したポイントはどんなところですか?
NENTA:バックパックのセンタージップを開ける際にコンプレッションコードを中央で分離できて、ポーチのふらつき防止とザックの開け閉めを両立できるのが特長です。

ポーチの開閉部は止水ジッパーにフラップを付けた仕様にしました。行動中はポーチの荷物の出し入れだけで済むようにしました。最終的にパックウエイト18kgで、雨天のなか12時間かけて縦走できました。

MYOGにハマったきっかけ

大学でバックパックの研究、現在は製品のエンジニアリングに関連したことに従事しており、レイウェイのバックパックを見た時に、ここに技術が加わればフィッティングなども向上するはずと思い、自分の人間工学のスキルを活かしてバックパックのMYOGを始めた。

 

シェルター / KEISUKE




シェルター (ボディ: シルナイロン 20D。重量:363g。製作時間:2~3週間。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
KEISUKE:無難なカラーや、単純に格好いいカラーを選ばず、MYOGだからこそできる自由でこだわったものにしたくて作りました。ファブリックは当時ハマっていたピンク、ジッパーは自分が好きなホワイトを使い、ステッチもピンクの生地に対してホワイトでアクセントになるようにしました。

またタイアウトループは、堅牢性よりも必要最低限の数と配置にして、見た目の美しさを優先しました。


インパクトあるホットピンクのシルナイロンで作ったシェルター。

—— このシェルターを作るのに設計から製作で、どのくらいかかりました?
KEISUKE:全部で2〜3週間ですね。連続して作っていたわけではないですが。設計は1週間くらい。このときに1/2サイズのモックも試作しました。モックを作るのに2~3日はかかってます。製作は、裁断2日、縫製5日、後処理・仕上げ1日で、合わせて1週間くらいでした。

MYOGにハマったきっかけ

最初のMYOGはTRAILSのMYOG kitで作ったスタッフサック。鉄工や木工などものづくりやデザイン関連の仕事をしていたのもあって、欲しいものは自分でつくる習慣はある。2023年に歩いたジョン・ミューア・トレイルでは、自分でMYOGしたファニーパックとグランドシートを持って行き、MYOGしたギアで山を歩く楽しみを知った。

 

ポーチ / WAKATAKE


 

*ポーチ (ボディ: リップストップナイロン 40D。重量:10g。製作時間:40分。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
WAKATAKE:以前に愛用してた有名ブランドのポーチ (約20g) があったんですけど、サイズにちょっと不満があって。それでも欲しいサイズの物が売ってなかったんです。それがきっかけで作ったのがこのポーチです。

せっかく自分で作るので軽量になるようにもこころがけました。以前に愛用してたポーチより、サイズは一回り大きいですが、重さは約10gと半分にできました。


カラーバリエーションも豊富。

—— どんなところで軽量化を図ったのですか?
WAKATAKE:布端 (きれはし) の処理に、グログランリボンとかのテープを使わず袋縫いにすることで軽量にしました。袋縫いは完成までに素材を何回も裏返す手間がありますが、強度や耐久性がでますし、仕上がりもきれいなので気に入っています。

MYOGにハマったきっかけ

自分で欲しい!と思える登山用の小物類を作りたくなり、試作品を作っては周囲の人に譲ってたら、段々と受け取ってくれる人が少なくなり、捨てるのがもったいないので試しにフリマに出したら予想以上に買って頂けた。それで売り物に恥じない品質を目指しミシン教室に通い始め、気づいたらガレージブランドgliderを立ち上げていた。

 

ショーツ / DAISUKE




ショーツ (ボディ: アフリカンキルト [パーニュ、キテンゲ]。重量:130g。製作時間:2日。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
DAISUKE:私のMYOGのポイントは「出オチ」です (笑)。「なにそれ!?︎」って言われるのが一番嬉しいんですよね。どうせ作るのなら他人と一緒じゃつまらない。他人にどう思われようと構わない。まあ自己満足ですから。

でも、実用性も欲しいので、ポケットの配置は既製品のものをサンプリングして、使いやすいように配置しました。これは大成功でした。


既製品のポケットをサンプリングしながら、使いやすいポケットも配置。

—— 使った生地はなんですか?いつもパンチある生地を使いますよね。
DAISUKE:これはアフリカンキルトです。パーニュ、キテンゲとも呼ばれるものですね。薄い生地なので、乾きやすいですよ。アウトドア用のものではない生地をいろいろ試していて、他にもビニールハウスで使うシートでレインスカートを作ってみたりしました (笑)。

MYOGにハマったきっかけ

ULのギアを見ていたら「自分で作れるのでは?」と思って、MYOGを始めた。MYOGについて少しだけ調べてから、ミシンを購入して、即挑戦!最初のMYOGは手芸屋さんで買える部材で、奥さんが持っていたサコッシュを真似て作ってみたのがはじまり。意外と自分でできるじゃん!という感触だったのと、何より純粋に楽しかった。

 

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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