MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #04
取材・文・写真・構成:TRAILS
『MYOGer Works』では、TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) に集まるMYOGerたちの作品をレポートしていく。
GARAGEでは、どんなMYOGerたちが、どんなギアをMYOGしているのか?
それぞれのMYOGerたちのバックグラウンド(MYOGしたきっかけや動機) と合わせて、各人がMYOGしたギアを紹介していく。
今回の第3回〜第5回では、MYOGer NIGHT #02 (2024年10月開催)に参加した、MYOGerたちによるMYOGが登場。Gossamer Gearファウンダーのグレン・ヴァン・ペスキもサプライズで参加した、この時のMYOGer NIGHTの様子は過去のレポートをぜひ読んでもらいたい (イベントレポートはコチラ)。
MYOGのマテリアル販売、MYOGer向けSCHOOL、MYOGer NIGHTと同様に、この『MYOGer Works』の記事が、MYOGカルチャーの世界観を共有、啓蒙し、素晴らしいUL GARAGE MAKER誕生の健全なブースターとなればと思う。
ULセモタレ / JITO
—— このギアをMYOGしたポイントは?
JITO:パックラフトのダウンリバーで野営をする際、すべてバックパックで担いで行くので限られた量の荷物しか持っていけないですよね。チェアは持っていかず、ずっとマットに座っていたんですけど、同じ体勢を保つのが辛くてなかなかリラックスできなかったんです。
そこで座椅子をヒントに、「背もたれ」があれば少しでも楽になるのではと思ってつくったのがコレです。
—— 極限まで無駄を省いたULな「イス」ですよね!
JITO:重さもたった15gなんです。畳むとすごくコンパクトになりますし。製作については、体に合ったサイズを見つけるのが難しかったですね。あと軽量化においてもそうですが、DCFを使ったのがよかったです。伸びない生地なので、それがうまく体を保持するのに機能しました。
MYOGにハマったきっかけ
バックラフトでダウンリバーしながら野営をするのが好き。そのときになかなかギアに合う収納袋がなくて悩んでいたとき、近所の雑貨屋でタイベック生地を売っていて、ちょうど長期連休 (GW) のタイミングでもあったので、そこからMYOGを始めた。
バックパック / MIZUYAN
—— このギアをMYOGしたポイントは?
MIZUYAN:Dyneemaで一番厚いDCF 5.0ozに、Dyneema Meshと、Dyneemaづくしのバックパックにしたかったので素材から決めました。
あとは、個人的なポイントとして、サイドポケットは街で使うことも考慮して500mlボトルが見えない深さにしたのと、ロールトップの口は、マグネットのパーツを使って瞬時に開け閉めできるようにしました。
—— これ、ショルダーハーネスが付け替えできるようになってますよね?
MIZUYAN:そうです、町で使うときと山で使うときで、使うシーンや環境によってショルダーハーネスを付け替えてます。あと取り付け位置も横をずらして、ショルダーハーネスの幅も変えられるようにしてみました。
MYOGにハマったきっかけ
ULに出会ってMYOGの文化を知り、バックパック製作の知識はほとんどなかったが、Pa’lanteが出しているMYOG kitである「simple pack kit」のパターンを紙で購入し、合わせてYoutubeの動画を参考にしながら縫製方法を学んだ。
拡張パック / NENTA
—— このギアをMYOGしたポイントは?
NENTA:西穂高〜奥穂高のテント泊縦走用に、前回持参した約37Lのバックパックを拡張したくて作ったものです。13L分の容量を拡張するため、ミリタリーとかで使われるMoLLE式 (※1 モール式) の着脱できる形のポーチにしました。
—— 工夫したポイントはどんなところですか?
NENTA:バックパックのセンタージップを開ける際にコンプレッションコードを中央で分離できて、ポーチのふらつき防止とザックの開け閉めを両立できるのが特長です。
ポーチの開閉部は止水ジッパーにフラップを付けた仕様にしました。行動中はポーチの荷物の出し入れだけで済むようにしました。最終的にパックウエイト18kgで、雨天のなか12時間かけて縦走できました。
MYOGにハマったきっかけ
大学でバックパックの研究、現在は製品のエンジニアリングに関連したことに従事しており、レイウェイのバックパックを見た時に、ここに技術が加わればフィッティングなども向上するはずと思い、自分の人間工学のスキルを活かしてバックパックのMYOGを始めた。
シェルター / KEISUKE
—— このギアをMYOGしたポイントは?
KEISUKE:無難なカラーや、単純に格好いいカラーを選ばず、MYOGだからこそできる自由でこだわったものにしたくて作りました。ファブリックは当時ハマっていたピンク、ジッパーは自分が好きなホワイトを使い、ステッチもピンクの生地に対してホワイトでアクセントになるようにしました。
またタイアウトループは、堅牢性よりも必要最低限の数と配置にして、見た目の美しさを優先しました。
—— このシェルターを作るのに設計から製作で、どのくらいかかりました?
KEISUKE:全部で2〜3週間ですね。連続して作っていたわけではないですが。設計は1週間くらい。このときに1/2サイズのモックも試作しました。モックを作るのに2~3日はかかってます。製作は、裁断2日、縫製5日、後処理・仕上げ1日で、合わせて1週間くらいでした。
MYOGにハマったきっかけ
最初のMYOGはTRAILSのMYOG kitで作ったスタッフサック。鉄工や木工などものづくりやデザイン関連の仕事をしていたのもあって、欲しいものは自分でつくる習慣はある。2023年に歩いたジョン・ミューア・トレイルでは、自分でMYOGしたファニーパックとグランドシートを持って行き、MYOGしたギアで山を歩く楽しみを知った。
ポーチ / WAKATAKE
—— このギアをMYOGしたポイントは?
WAKATAKE:以前に愛用してた有名ブランドのポーチ (約20g) があったんですけど、サイズにちょっと不満があって。それでも欲しいサイズの物が売ってなかったんです。それがきっかけで作ったのがこのポーチです。
せっかく自分で作るので軽量になるようにもこころがけました。以前に愛用してたポーチより、サイズは一回り大きいですが、重さは約10gと半分にできました。
—— どんなところで軽量化を図ったのですか?
WAKATAKE:布端 (きれはし) の処理に、グログランリボンとかのテープを使わず袋縫いにすることで軽量にしました。袋縫いは完成までに素材を何回も裏返す手間がありますが、強度や耐久性がでますし、仕上がりもきれいなので気に入っています。
MYOGにハマったきっかけ
自分で欲しい!と思える登山用の小物類を作りたくなり、試作品を作っては周囲の人に譲ってたら、段々と受け取ってくれる人が少なくなり、捨てるのがもったいないので試しにフリマに出したら予想以上に買って頂けた。それで売り物に恥じない品質を目指しミシン教室に通い始め、気づいたらガレージブランドgliderを立ち上げていた。
ショーツ / DAISUKE
—— このギアをMYOGしたポイントは?
DAISUKE:私のMYOGのポイントは「出オチ」です (笑)。「なにそれ!?︎」って言われるのが一番嬉しいんですよね。どうせ作るのなら他人と一緒じゃつまらない。他人にどう思われようと構わない。まあ自己満足ですから。
でも、実用性も欲しいので、ポケットの配置は既製品のものをサンプリングして、使いやすいように配置しました。これは大成功でした。
—— 使った生地はなんですか?いつもパンチある生地を使いますよね。
DAISUKE:これはアフリカンキルトです。パーニュ、キテンゲとも呼ばれるものですね。薄い生地なので、乾きやすいですよ。アウトドア用のものではない生地をいろいろ試していて、他にもビニールハウスで使うシートでレインスカートを作ってみたりしました (笑)。
MYOGにハマったきっかけ
ULのギアを見ていたら「自分で作れるのでは?」と思って、MYOGを始めた。MYOGについて少しだけ調べてから、ミシンを購入して、即挑戦!最初のMYOGは手芸屋さんで買える部材で、奥さんが持っていたサコッシュを真似て作ってみたのがはじまり。意外と自分でできるじゃん!という感触だったのと、何より純粋に楽しかった。
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