TRAILS環境LAB | 松並三男のSALMON RIVER #01 山・川・海とヨコノリ履歴書
文・写真:松並三男 構成:TRAILS
What’s TRAILS環境LAB? | TRAILSなりの環境保護、気候危機へのアクションをさまざまなカタチで発信していく記事シリーズ。“ 大自然という最高の遊び場の守り方 ” をテーマに、「STUDY (知る)」×「TRY (試す)」という2つの軸で、環境保護について自分たちができることを模索していく。
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『TRAILS環境LAB』の記念すべき1回目は、環境保護の「SUTDY」として、「鮭」をテーマに環境問題に取り組んでいる松並三男 (まつなみ みつお) くんの連載レポート。
松並くんは、トレイルで遊び、旅することが大好きな僕らの仲間だ。彼との出会いは、パタゴニアの神田ストア。松並くんは、当時パタゴニアで働いていた。その後、TRAILSにも遊びに来てくれるようになり、お互いの活動を報告しあう仲になった。
彼は、トレイルカルチャーに関しても、環境保護に関してもTRAILSとバイブスが近く共感できる。そして、リスペクトしている彼の活動やトレイルライフを通じて、鮭と川という視点から環境問題について学んでいきたいと思う。
松並くんは昨年パタゴニアを退職し、山形県鮭川村に家族とともに移住した。鮭川村という名前の通り、鮭の遡上する川の近くで暮らし始めた。そこで彼は鮭を通じて、自然環境を守るためのアクションを模索している。
第1回目の今回は、松並くんとはどんな人間かをきちんとみなさんに紹介したいと思い、幼い頃から釣りやスケートボードなどに明け暮れてきた彼の遊びのスタイルや、自然との付き合い方を中心に語ってもらった。
神奈川・大磯町の海岸。ここが松並くんの原点となる、自然のなかの遊び場。
はじめまして、松並三男です!
こんにちは! 山形県鮭川村の松並です。後ろに見えるのが鮭川です。
ぼくは今、山形県の鮭川村という場所で鮭をテーマに活動しています。
幼少期より海や川で遊び、水産系の大学では海洋環境学を専攻。大学卒業後は、フリーター時代を経て、パタゴニアの直営店で10年過ごしました。そして昨年山形へ移住して今に至っています。
縁あって今回、TRAILSで鮭や環境についての記事を書かせてもらうことになりました。
環境に関する本題の前に、まずは第1回の今回のレポートでは、自己紹介がてら、ぼくがやってきた山・川・海とヨコノリの遊びや、TRAILSとの出会いを紹介したいと思います!
釣りが自然のなかでの遊びの原体験
出身は神奈川県の大磯町 (おおいそまち)。家の前には花水川、自転車で海まで行ける環境だったので、幼少期は虫取りや魚取りに夢中でした。
小学2年生のときに近所の友人家族とハゼ釣りにいって釣りにハマり、海や川へ通うようになりました。5年生くらいの時には針と糸の結び方を覚えて仕掛けを自作するようになり、自作仕掛けではじめてシロギスを釣った時の感動はいまだによく覚えています。
小さい頃から大学くらいまでは、とにかく友だちと魚を釣りまくっていました。これは大学時代の魚バカたちと(写真左が筆者)。
中学から高校にかけては海のルアーにハマり、シーバス、ヒラメ、マゴチを追いかけ、水産系の大学に入ってから釣りはさらに加速していきました。
魚の勉強をしながら、魚バカの仲間たちと釣りに出かけるという最高に楽しい大学生活。伊豆や三浦半島に通い、シーバス、メバル、アオリイカ、カサゴ、太刀魚などなにかしらを追いかける日々でした。
多摩川にて、フライフィッシングで釣ったキビレ(フライはオグラスペシャル)。
ぼくの釣りはジャンル・フリー。毛ばりやルアーも自作。
ぼくの釣りのスタイルはルアー、フライ、エサ、船といった、それぞれのジャンルにはまらないこと。
大事にしたいのは技術よりも魚との関係性で、最新の高級ロッドでも竹の棒でも、エサでも毛ばりでも、純粋に楽しむことを意識しています。
鮭川村に移住してからは、源流部での釣りも仲間と楽しむ機会が増えた。
特に好きな釣りをひとつあげるとしたら、磯、干潟、渓流、南国のリーフなど地に足付けた自然地形の釣り。
ヒラスズキ、シイラや青物、尺メバル、ロックフィッシュなど、自然の地形や流れの変化から野生魚を探すプロセスは本当に楽しいです。
今、一番釣りたい魚は磯からのヒラマサですね。何度か遠征したものの、技術不足と縁がなくなかなか出会えずにいて。なので、釣りあげたときは泣いてしまうかもしれません。
最近はプラスチックゴミを出さないよう、会津桐の端材とアルミテープでルアーを自作。
今は、毛ばりやルアーも自分で作るようになりました。プラスチックルアーがゴミになってしまうことに抵抗があって、会津桐の端材とアルミテープで作るようになったんです。
簡単なつくりですが、削るのも楽しいし、お金もかかりません。「重心をもうちょっと前にしてみようかな」とか、気づきがあれば自分で調整できることもメリットだったりします。
釣ること自体はもちろん楽しいんですが、準備するプロセスが最高に楽しいことは、大人になってからあらためて実感しています。「一生幸せになりたければ、釣りを覚えなさい」という名言は真実だと思っています。
“ ヨコノリ ” は中学時代のスケボーから
ぼくは、いったいいつから “ 横 ” を向いていたんだろう? ちょっと振り返ってみました。
人生で最初の乗り物は4歳くらいの時のローラースケート。これが小学3年生くらいでインラインスケートに代わり、鬼ごっこなんかもインラインスケートでやってました。階段やフェンスを駆け上がったりして、なかなかエクストリームな遊びをしていたと思います。
湘南という土地柄もあり、中学生くらいからはスケートボードにも乗り始めていました。スケートボード熱がグンと加速したのは高1の時だったと思います。
同じタイミングで始めた知人と競い合うのが楽しくて、オーリー、グラインド、フリップあたりをはじめて成功した時の感動はよく覚えています。
スケートのおかげで世代を超えた仲間も増え、未成年ながらいつもみんなで夜中まで遊んでいました。
最近、鮭の形のスケートボードを自作。名前は「サケートボード」(笑)。2歳の娘と一緒に遊んでます。
他には、夏休み中はスキムボードにハマり、大磯ロングビーチでのアルバイトあがりの夕方、毎日砂浜を走って板に飛び乗っていました。
大学に入る頃には釣りによりシフトしていったので、スケートはあまり上達はしなかったんですが、大学内のミニパークでのんびり遊んだりしていました。
板一枚あれば、街、海、雪が極上の遊び場になるのが横乗りの楽しさ
スノーボードは大学卒業後に山形蔵王で2シーズン住み込み、一生分滑るくらいのつもりで12~3月まで毎日滑っていました。おかげで、だいだいどんな斜度でもコントロールできるようにはなったと思います。
この頃にロングボードで波乗りをするようになり、鵠沼に住んでいた時は海にもかなり入っていました。
山形に来た今も、相変わらずのんびりと横を向いています。今のぼくにとって、スケートは交通手段とトレーニング、スノーボードは雪上散歩、サーフィンは海に浮かぶ理由、といった具合です。
板一枚を挟むだけで、街、坂、海、雪が極上の遊び場に生まれ変わるんです。このクリエイティブさは、横乗り特有の魅力だと思っています。
横乗りも釣りも両親がやっていたわけではありません。大磯という土地柄が、この楽しみを教えてくれたのかもしれません。感謝ですね。
TRAILSとの出会い
パタゴニア神田店で働いているときに常連だった佐井さん家族が最初の出会い。たしかTRAILS立ち上げ直後くらいだったのではないでしょうか?
佐井さん家族の旅をするような生き方が本当にかっこよくて、当時から尊敬している大好きな家族でした。
他にもギアループマーケットというアウトドアのフリーマーケットで佐井さん夫妻のスノーシューを僕たち夫婦で受け継いだり、パタゴニアストアイベントのゲストが根津さんだったり(すごいことを肩の力抜いて話す雰囲気が最高でした)、いろいろなかたちで縁があったのだと思います。
昨年パタゴニアを卒業し、ここからの余生は魚の現場から声を上げていきたいと動き出したタイミングでいただいた、この連載。
鮭に関する “ 本当におもしろくて、役に立つ、他にはない、リアルな情報 ” をお届けできるよう頑張ります!
山形の鮭の現場から、自然のこと、環境のことをお伝えしていきます!
松並くんは、自然のなかでの遊びがたまらなく好きで、そこから環境問題へと意識的になっていった。
第1回目の今回は、環境問題といっても、真面目なだけではなく、自然のなかでの遊びを大切にしている、松並くんのバイブスを感じてもらいたくて、彼のフィールドにおける履歴書のような内容を紹介してもらった。
次回は、そんな松並くんが、具体的に環境問題に取り組むようになったきっかけや、なぜ「鮭」をテーマに山形で暮らすことにしたのかという経緯を、詳しく語ってもらいます。
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