My Best Articles 2023 | #03 トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人と、読者が選んだ2023年の記事TOP10ランキング
『My Best Articles 2023』の最終回。ついに、2023年のTOP10ランキングの発表です!
#01と#02では、トレイル・カルチャー (※) の未来を、それぞれの最高の個性をもって刺激してくれるであろう総勢30人が選んだ、ベスト3の記事を一挙に公開しました。
この最終回では、その30人が選んでくれたすべての記事を集計し、さらに読者投票も加算して (*)、TOP10ランキングにして発表します。
多くの人が選んだ記事はどれだったのでしょうか。9位タイから順番に発表していきます。
2023年のマイ・ベスト・アーティクルを選んでくれた30人
マイベスト記事を選んでくれたのは、僕たちTRAILS編集部がリスペクトし、独自の編集観点で選出させていただいたTRAILS的感性でイケてる人々。メーカー、ショップ、メディア、書店、編集者、ハイカー、ランナー、旅人、クリエイター、トレイルの作り手の方々など、総勢30名です。
第9位 (タイ) :TRAIL FOOD #02 | ロング・ディスタンス・ハイキング × トレイルフード by 長沼商史
「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなトレイルフードが知りたくて立ち上げた記事シリーズの、ロング・ディスタンス・ハイキング編。「美味しいものはトレイルじゃなくて町で食べればいい」。そう断言するヌーさん (長沼さん) が振り切った食事を紹介。トレイルライフのリアルに惹かれた人が多かったようです。
Jindaiji Mountain Works 尾崎光輝:「ヌーさんのトレイルフード、と聞いて、どうせたいした飯は出て来ないだろう、と読んでみたら案の定の内容で、さすがヌーさん! との思いを強くした。リアルに旨い山飯を知る男。リスペクト!」
第9位 (タイ) :信越トレイル トレイルメンテナンスツアー2023 | ATハイカー (Class of 2022) が参加したトレイル整備
2013年、ハイカーとしてトレイル整備がしたいという思いから、Hiker’s DepotとTRAILSで共同企画、運営することになったトレイルメンテナンスツアーのレポート記事。トレイル整備をその時限りの体験で終わらせることなく、ハイキングのカルチャーとして広めていこうというスタンスに、価値や意義を感じた人がたくさんいました。
フォトグラファー 藤巻翔:「実家の裏山が信越トレイル。トレイルランに出会ったのも信越トレイル開通により、走ってみたのが最初でした。日本屈指の豪雪地、鍋倉山では8mも雪が降り、雪解け後には相当数薙ぎ倒された木々が散乱します。その地を愛する人々の手でトレイルは継続していることを感じます。地元だけになんか勝手に “ありがとうございます” と思いつつ、久々に行きたくなりました」
第7位 (タイ) :It’s a good day! #05 | 数千マイル後のオール・ウィー・ニード
トレイルネームサニーこと、TRAILS Crewのタクミくんによる、ピースでイージーでちょっとおバカな気まぐれハイキングエッセイ。第5回目は、あるロングトレイルのゴール直前に出会ったハイカーとのエピソード。ロングトレイルを通じて吾唯知足 (われただたるをしる) を学んだという話に、自分も同じような体験をしたと共感の声が寄せられました。
ロング・ディスタンス・ハイカー リズ・トーマス:「私はロング・ディスタンス・ハイキングによって、ハイカーのリアルライフの捉え方が変わったという話が好きです。 ハイキングのフィロソフィーが、良い人生を送ること、楽しく最低限で生きることに繋がるということは、ハイキングコミュニティでは十分に語られていません。
私はサニーがすべての記事でこのようなことを実践しているのが好きで、中でもこの記事は私のお気に入り。サニーのストーリーは、いかにシンプルに生き、幸せを見つけるかがトレイルの最大の教訓であることを教えてくれます」
第7位 (タイ) :北アルプスのラストフロンティア『伊藤新道だより』 | #07 三俣山荘の小屋閉めと伊藤新道復活後の課題
伊藤新道復活の牽引役である伊藤圭さんが、“伊藤新道にまつわる日常” をほぼ毎月レポートする、という今年スタートした新連載。この第7回目は、圭さんが、伊藤新道復活後の課題について率直に語った回。復活したことでみんなの伊藤新道になったこと、作って終わりではなくいかに末永く利用し保全していくか、など、圭さんの伊藤新道への想いや覚悟を垣間見て、自分も力になりたい!と思う人からの支持が集まりました。
Hiker’s Depot 土屋智哉:「アウトドアエシックについて考えさせられる回として読ませて頂きました。自然の中での倫理、道徳を持たないハイカーが勝手気ままに振る舞う自由は自然破壊でしかない。楽しさを優先した情報が溢れる中で、いかに自然の中で振るまうべきか。自然を消費ではなく、持続させるために利用者が意識すべきこと、できることをいまこそ考えるべき。
登山者が多く利用する一般登山道、一定の経験やスキルが必要なバリエーションルート、その中間形態としての伊藤新道は、まさにこれからのハイカーの質を占うルートになるのかもしれません。
こうした議論になると法や条例による秩序を求める意見もでますが、本来山の中というのはそうしたがんじがらめの秩序の外にある世界だとわたしは考えています。法や秩序に頼らずとも、利用者のモラルやマナーによる緩やかな秩序がつくれればと思いました」
第6位:HAMMOCKS for Hiker | ハンモックギア2023 ※全4回
6回目の開催となった「ハンモックを使った、ハイキングの旅」を提案するイベント『HAMMOCKS for Hiker』。同イベントに登場したハンモックやその周辺ギアを紹介する特集記事が6位にランクイン。ハンモックの最新情報はもちろん網羅的に理解できる内容ゆえ、この特集を読んだことがきっかけでハンモックをやろうと思ったという人が多かった。
TRAILS読者:「今年の『HAMMOCKS for Hiker 2023』に参加して、とても楽しかったです。
イベントに参加していろんなハンモックを実際に見たりお話を聞いたりしたこともあり、興味深く読みました」
第5位:ULTRALIGHT CLASSIC 開発ストーリー ※全3回
今年TRAILSが立ち上げた『Simple × Classic × Super Ultralight』をコンセプトにしたプロダクト「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」の誕生背景を紹介する開発ストーリー。なぜメディアがプロダクトを開発するのか? その理由への共感に加え、UL的なギアが多く流通する今、ULの原点回帰的なバックパックに興味を抱く人が数多くいた。
TRAILS読者:「ULバックパックの開発に着手することとなった背景がまさにトレイルズらしい『本質の追求』だと思った」
第4位:TRAILS環境LAB | 松並三男のSALMON RIVER #18 鮭川村の鮭を用いた魚醤が商品化されるまで
『TRAILS環境LAB』の記事シリーズにおいてスタートした、松並三男くんの連載レポート。コアなファンが多く、昨年につづき今年もランクイン。魚醤の商品化については、松並くんの活動の大きな成果のひとつであり、今か今かと期待しつづけていたファンの方々には胸熱なレポートだった。
Campanella 石川寛樹:「松並さんの取り組みで、僕は失いつつある日本の狩猟文化や食生活について改めて考えさせられるのだ。例えば日本酒に合わせるアテとなると日本食に勝るものはない。魚醤はさらに旨みを凝縮させた調味料。それが川を上る鮭からいただくのが本来の在り方であることを、松並さんは実戦から教えてくれる。そんな記事でした」
では、いよいよここから、栄えある『TOP3』の発表です!
トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人と、読者によって選ばれた、2023年のTRAILSの記事TOP3とは?
第3位:北アルプスのラストフロンティア『伊藤新道だより』 | #01 初めまして、伊藤圭です。
第3位に選ばれたのは、第7位にもランクインした伊藤新道にまつわる連載レポートの第1回目。伊藤新道は今年8月20日に再開通した。そんなビッグニュースもあり、とにかく注目度が高かった。なかでもこの連載第1回目は、伊藤新道復活の牽引役である伊藤圭さんが自分の生い立ちも含めて自己紹介をする回で、この記事を通じて圭さんという人物に興味を持ち、インスパイアされた人がたくさんいた。
トリプルクラウナー 舟田靖章:「来歴もスゴイ、パワーもスゴイ、奥様もスゴイ。お父様に負けぬ開拓精神に感嘆です」
TRAILS読者:「今年話題となった伊藤新道。この道が生まれた背景に迫る連載は内容も深くさらに興味が持てた。ぜひ行ってみたい」
第2位: ジョン・ミューア・トレイル、12日間のハイキング&パックラフティング | パックラフト・アディクト ※全3回
第2位にランクインしたのは、ハイカー憧れのJMTを、ハイキングだけではなくパックラフトを持ち込んで漕いで旅した、櫻井史彦 a.k.a バダさんのトリップレポート。あのJMTをパックラフトで!? そんな楽しみ方があったのか! と、驚きと発見に満ちた旅への憧れを選出理由に挙げる人が多数。
TRAILS読者:「JMTを『漕いで歩く』という発想にビックリしました。日本人ハイカーに浸透しているステレオタイプなJMTのイメージに囚われないその個性的な思考回路に脱帽です」
TRAILS読者:「人それぞれ違う旅の形があることをリアルに感じられた。また、パックラフトの上から撮影されていた景色が幻想的で、自分もその場所に行ってみたいと思った」
第1位:コロラド・トレイル | スルーハイキング準備編・ギアリスト編・リサプライとアクセス編 by Tony(class of 2023) ※全3回
2022年の栄えある第1位は、今年新しく立ち上げた、ロング・ディスタンス・ハイカーによるレポートシリーズから、コロラド・トレイル (全3回) が選ばれました!
コロラド・トレイルを歩くきっかけとなったコロラド出身のハイカーとの出会いから始まり、スルーハイキングのための準備、ギアリスト、リサプライ (食料・ギアの補給) の計画を紹介した3部作は、読み手の旅への欲求をかきたてるだけではなく、自分も行けそうな気にさせてくれる内容。#01 #02で紹介したトレイル・カルチャーの未来を刺激する30人、そして読者の方々も含めて、もっとも多くの票が集まりました。
patagonia 八木康裕:「自分の好きなフィールドだった事もありますが、アメリカ旅に出かけたくなりました。詳細なギアリストは楽しく、FISHING GEARは特に興味深かったです。今後のトリップ・レポートへの期待が膨らみました」
STATIC 田中健介:「『コロラドトレイル』これだけでヨダレもの。コロラド在住時にできなかった! 羨ましい! 俺も実行してやる! と思わずにはいられない。読むのもつらい (笑) そんなモチベーション記事」
TRAILS読者:「以前から憧れのあるスルーハイキングについて、ほとんど知識のない自分でも楽しく読むことができました。特に第2回のギアリスト編では、リアルな道具選びからその選定理由まで説明されていて、とても参考になったし、楽しく読むことができた」
TRAILS読者:「記事には非常に詳しくレポートが記載されており、自分がトレイルにいるような、そして行きたくなるワクワクをかき立てられました。また、コロラド・トレイルについての知識がなかったので、トレイルについての説明が詳しくご紹介されていたことも非常に良かったです」
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『My Best Articles 2023』、これにて完結です。トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人の方々、投票してくれた読者の方々、ご協力ありがとうございました。
そしてあらためて、この1年TRAILSを支えてくださったみなさま、ありがとうございました。TRAILS編集部一同、すべての方々に感謝します。
TRAILSは、2024年も新たな企画や仕掛け、試みにトライし、仲間たちと協力しながら、より一層、日本のトレイル・カルチャーを盛り上げていきます。
2024年もよい旅を!
Happy Trails!
※ トレイル・カルチャー:TRAILS(トレイルズ)は、トレイルカルチャーという言葉が未だ日本に存在しなかった2014年1月に、“本当におもしろくて、役に立つ、他にはない、リアルな情報” を合言葉に、インディペンデントでとんがったメディアを作るべく、日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンとして産声をあげました。それから約6年、有名無名を問わず世界中のコアな人たちにコンタクトをとり、Webメディアとしては異質とも言える、企画と編集に過剰にこだわる時代錯誤なスタイルを続けています。
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